P2Pとかその辺のお話

WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。

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豪州: スーパーマリオ違法アップロードの男性、任天堂に1億1600万円の損害賠償

以下の文章は、TorrentFreakの「Wii Super Mario Bros. Pirate Settles for $1.3 Million」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Wii Super Mario Bros. Pirate Settles for $1.3 Million
著者:enigmax
日付:February 09, 2010
ライセンス:CC by-sa

『スーパーマリオブラザースWii』の発売に先だって、同ゲームをインターネット上にアップロードしていた男性が、任天堂と和解した。2009年11月に同ゲームをアップロードしていた24歳の男性は、この巨大企業に130万ドル(150万豪ドル、約1億1600万円)の損害賠償の支払いに同意した。

B002XUMAGWオーストラリア連邦裁判所は、クィーンズランド在住の男性(24)に対し、2009年の終わりにニュースーパーマリオブラザースWiiをアップロードしたことについて、130万ドル相当の損害賠償を支払うよう命じた。

ゲーム小売業者Electronics Boutiqueのマネージャー ジェームズ・バートは、11月6日、オーストラリアでのリリースより1週間早く、同ゲームをアップロードしたことを認めた。

日本の巨大ゲーム企業 任天堂は、さまざまなフォレンジックテクニックを駆使してアップローダーを突き止め、11月23日には連邦裁判所から捜査令状(search order)を取得していたことを声明の中で明らかにしている。それにより(訳注: 警察が)バートの居場所を突き止め、クィーンズランド州シナモンパークの彼の自宅から裁判に用いる証拠として彼の資産を押収した。

さらにバートは、調査の一環として彼の利用していたソーシャルネットワーキングサイト、電子メール、その他ウェブサイトのアカウントにアクセスするためのパスワードを開示するよう命じられた。

通常、オーストラリアでのメディアのリリースは米国や日本に遅れることが一般的であるが、ニュースーパーマリオブラザースWiiに関してはむしろ逆で、オーストラリアでのリリースの方が先であった。そのため、任天堂はこのリークを「世界的問題」と言及した。

「この訴訟手続きは、クリエイティブ・ライツおよびゲーム開発者のイノベーションを保護し、増大する国際的なインターネットパイラシーと戦うために起こされたものです。」と同社は声明の中で述べている。

確かに、このゲームはBitTorrentにおいてかなりの人気を博していた。TorrentFreakが収集したデータでも、2009年12月27日までに、同ゲームは1,150,000回ダウンロードされている。

それでも、ニュースーパーマリオブラザースWiiは、商業的に大成功を収めている。このゲームは発売から2ヶ月で1,000万本以上売れている。これはWiiを所有するゲーマーの6人に1人が購入したことを意味している。単独プラットフォームのゲームとしては最速の売れ行きである。

バート氏がこれほど莫大な損害賠償をどのように支払えるのかについては不明である。少なくとも、Electronics Boutiqueからの給料ではとてもではないがまかなえないだろう。もちろん、彼がその職を失わなければ、の話ではあるが。

News.com.auでは、「many thousands of times」のダウンロードが行なわれたと任天堂側の弁護士が述べている、と報じられている。文字通り「数千回」なのか、それともそれ以上の桁をも含む「たくさんの」という意味なのかはわからないが、Gamespotの記事を読む限りでは、彼のアップロードから派生した流通についての責任も求められているのかなと思われる。任天堂はこの男性について「the individual responsible for illegally copying the file and making it available for further distribution" 」と言及している。「更なるディストリビューション」が、彼のアップロードしたサイトのみを指すのか、それともBitTorrentその他での流通を指しているのかはわからないが…。個人に対する損害賠償の額としては、後者についての責任が影響しているのかなと思える。世界に先駆けてのリークだから、ってことなのかしら。

なお、彼がROMをアップロードしたWiiハックサイト www.yafaze.comは閉鎖を決断したようで、現在同サイトはディレクトリ丸出しのまま、謝罪文を掲載している。

また、せっかくオーストラリアで早めにリリースしたにもかかわらず、このざま状態の任天堂(Nintendo AU)は、日米より遅いっていうからせっかく早くしてあげたのにこのざまだよ、次のオーストラリアでのリリースがどうなっても知らないからね、的な発言をしている。まぁ、たぶんツンデレだと思うけど。

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キース・アーバン、「違法ダウンロードしてもいいよ」発言を撤回

以下の文章は、TorrentFreakの「Keith Urban Gets All Confused About Support For Downloading」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Keith Urban Gets All Confused About Support For Downloading
著者:Ernesto
日付:Febrary 02, 2010
ライセンス:CC by-sa

先月開催されたPeople's Choice Awardsで男性アーティスト部門を受賞したキース・アーバン、彼の受賞スピーチは、なぜ彼が人々から愛されているのかを良く表すものであった。スターは彼の音楽についてこう述べた。「違法にダウンロードしたって、友達にあげてくれたって気にしないよ。全然気にしないからね。」と。しかしそれからほんの1ヶ月、彼はそんな意味で言ったのではない、と話している。

B001R7IHA01975年から続くPeople’s Choice Awardsは、大衆文化に貢献した人々とその偉業をたたえる受賞式典である。

2010年の授賞式は今年1月始めに開催され、映画男優部門では、ブラッド・ピット、ヒュー・ジャックマン、ロバート・パッティンソン、ライアン・レイノルズを抑えたジョニー・デップが受賞し、映画女優部門ではサンドラ・ブロックが勝利を収めた。音楽では、ポップアーティスト部門レディ・ガガが、女性アーティスト部門はタイラー・スウィフトが、そして男性アーティスト部門でキース・アーバンが受賞した。

アーバンはその受賞スピーチの中で、ファイル共有ファンをあっと驚かせることを話した。

アーバンは、投票してくれた人たち、授賞式をテレビで見ている人たち、彼のツアーに参加してくれた人たちに感謝を伝え、そして熱心に彼の音楽を広めてくれたファンクラブ Monkeyvilleのメンバーたちを称えた。

「違法にダウンロードしたって、友達にあげてくれたって気にしないよ。全然気にしないからね。みんなに音楽を聴いてももらって、ライブを見てもらえたら最高だよ。」とアーバンは言った。

おそらくアーバンは、フリーダウンロードが彼のツアーチケットの売り上げにポジティブな影響があることを理解しているのだろう。しかし、彼がTennessean.comに語ったところによると、彼の言葉は間違って解釈されているのだという。

「あの発言が誤解されているみたいだね。あれは、レコードを買って、カセットテープに録音して、ガールフレンドにプレゼントして、それでその娘がその音楽を好きになって、ファンになってくれて、っていう古き良き時代のことを言ったまでだよ。」とアーバンは説明した。

つまり、1980年代スタイルの音楽のコピー、音楽共有についてのことだった、と。それでもアーバンは彼のスタンスに確信を持っている。

「レコードについて言えば、自分の音楽はタダで手に入れられない、ってのには全く持って賛成だよ。でも、ファンの人が友達に熱心に勧めるとかいうのは嬉しいことだと思ってるけど。」

アーバンは、RIAAメンバーのCaptal Records Nashvilleと契約している。彼らはおそらく彼のコメントを少しでも認めるようなことはないだろう。ただ、アーバンは授賞式という形式のせいで、意図せぬ発言をしてしまったのだという。

「今まで授賞式なんてものに出たことがなかったら、それでちょっと大きいことを言っちゃったのかもね。『OK』サインが出るのを待ってたんだけど、最後まで出してもらえなくて。」と彼は話した。

アーバンのスピーチはおよそ50秒。これがもっと長く続いていたら、彼はどこまで許容してくれたのだろうね。

まぁ、授賞式でみwなwぎwっwてwしまったのだろうからしょうがない。

どちらが本音でどちらが建前かはわからないけど、たとえ本音であったとしても、レーベルの意向を無碍にはできないってところもあるだろう。フリーダウンロードがライブチケットのセールスにポジティブな効果があるのだとしても、そもそもレーベルのバックアップなしにレコードを作ることも、プロモーションすることも難しいわけで。ユーザがダウンロードするに至るプロセスには、レーベルのバックアップが強く影響していることを考えると、ポジティブな効果というのは、少なくともアーバンクラスのミュージシャンにとっては補助的なものとして考えるべきだろう(インディペンデントなアーティストはこの限りではないが)。

レーベルと契約している手前、建前として違法ダウンロードを是認できないのかもしれないし、違法ダウンロードがレーベルを食いつぶしてしまうと考えているのかもしれない。いずれにしても、レーベルと共に歩むミュージシャンにとっては、違法ダウンロードは是認しがたい、ということになる。っていうのは、それほど否定されるような考え方でもないかなと。リリー・アレンなんかも結局は、レーベルがあってこそ活動できるという前提があって、その上で、違法ダウンロードはレコード産業を破滅に追いやると考えたからこそ、立ち上がったわけでね。

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オーストラリアISP、著作権侵害裁判で映画産業に歴史的勝利を収める

以下の文章は、TorrentFreakの「Movie Studios Lose Landmark Case Against Aussie ISP」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Movie Studios Lose Landmark Case Against Aussie ISP
著者:enigmax
日付:February 04, 2010
ライセンス:CC by-sa

オーストラリアのインターネットサービスプロバイダ iiNetは、複数ハリウッドスタジオを相手にした裁判に勝利した。 本日、デニス・ コーディロイ判事は、iiNet加入者がBitTorrentを利用して著作物を共有していたとしても、iiNetはその加入者の著作権侵害に責任を負うことはない、という判断を下した。オーストラリア海賊党はこの判決を歓迎している。

本日、オーストラリア連邦裁判所は、Australian Federation Against Copyright Theft(AFACT)によって起こされた著作権侵害訴訟において、同国ISP iiNetの主張を認める判決を下した。

昨年、 Village Roadshow、Universal Pictures、Warner Bros Entertainment、Paramount Pictures、Sony Pictures Entertainment、Twentieth Century Fox Film Corporation、Disney Enterprises, Inc、Seven Networkなど複数の映画スタジオは、iiNetを相手取って裁判を起こし、同社は加入者がBitTorrentを利用して著作物を共有していることに何ら対策を講じていないと主張した。

iiNetはさまざまな側面からこの主張を論破し、2009年11月に結審した。

本日の判決でコーディロイ判事は、iiNetがネットワークをコントロールすることはできず、ISPは「セーフハーバー」規定によって保護されている、とした。

「iiNetが著作権侵害を是認し、また(iiNetが)発生していた著作権侵害を抑止する権限を有していたとも結論づけることはできない。」とコーディロイ判事は判決にて述べた

裁判当初、AFACTは、iiNetはAFACTメンバー企業に代って著作権侵害警告を加入者に送付すべきだと主張していたが、これについては、著作権侵害への対処方法ではないと判断された。

オーストラリア電子フロンティア協会は、この判決が「コモンセンスを反映した」ものだとし、オーストラリア海賊党もまた、この判決を歓迎した。

「コーディロイ判事は良い判決を下した。これはISPが、司法による判断、適法手続きなしに著作権侵害の申し立てに基づいて個人の回線を切断するなどという著作権者側の要望に応える法的根拠や義務がないことを反映している。」と党幹事長ロドニー・セルコフスキーは語った。

「基本的には、ISPは郵便サービスと同様に考えられなければならない。つまり、ISPは単にパケットという形態でデータを運んでいるだけであり、また、そうした通信はプライベートなものとみなされるべきだ。」と付け加えた。

iiNetは判決後の声明の中で、同社は「これまでテレコム法、著作権法の侵害を含め、法律違反を援助したことも、助長したこともありません」として、同社は「よき企業市民であり、それ以上によき著作権市民でした」と述べた。

iiNetは、これまでの長きにわたる大規模な法廷闘争を終え、エンターテイメント産業と共に、新たなビジネスに取り組みたいと話した。それは違法ファイル共有を抑制するための合法コンテンツサービスを模索することであるという。

AFACTの事務局長ニール・ガーネは、裁判所の判決は極めて遺憾であると話した。

「本日の判決は、オーストラリアの映画産業従事者5万人を困らせることになるでしょう。」と声明の中で述べられている

「しかし、私たちは、この判決が、どのように著作権侵害が生じたのか、ISPがそれらをコントロールする能力などの法廷での解釈が、技術的側面を注視して下されたものと信じております。iiNetネットワークで行われている苛烈な著作権侵害が、対策が講じられず、変化もしないままに置かれるような事態を、政府は良しとしないだろうと確信しております。」と彼は付け加えた。

AFACTはiiNetの莫大な訴訟費用の全てを支払わなければならなくなる。これまでのところ、AFACTはこの判決を控訴するかどうかを明らかにはしていない。

Michael Geist Blogでもこの判決をランドマーク・ディシジョンであるとして、エントリを掲載している。ただ、ここではもう少し突っ込んでいて、この判決はスリーストライクスキームを明確に否定したものであった、としている。そのエントリに沿って、AFACTの主張と判事の判断を以下に記しておく。

1.ISPは料金不払いの加入者の接続を切断している、ならばなぜ著作権侵害に対しても同様のことができないのか?

DtecNetの収集した証拠の質は別にしても、著作権侵害は単純な「イエス」「ノー」の問題ではない。iiNetユーザがBitTorrentシステムを利用して著作権侵害を犯したのか否か、どの程度の頻度で行われているのかを判断するためには、技術的、法的側面から詳細に、それこそ数十ページに及ぶ詳細な精査が必要である。被告は訴訟が提起されるまで、そのような手引きを有してはいなかった。被告はAFACTからの通知の根拠となる証拠がどのように収集されたのかを理解していなかったのは明らかである。被告は著作権侵害を疑うこと、そうした疑いに基づいて接続を切断することを明確に拒否した。一方で、料金の不払いに基づく加入者の接続切断が妥当であるのは、切断に先立ち、加入者が料金を支払っていないという第三者による証拠の提示を必要とはしないためである。

2.オーストラリア著作権法における「セーフハーバー」規定には接続の切断も含まれており、ISPはアクセスを遮断する技術的能力がある。

BitTorrentシステムにおける著作権侵害の性質、『侵害を繰り返すユーザ』という自明ではない概念が認められるためには、著作権侵害の容疑そのものに対しての冗長かつ複雑な審理を経なければならない。これを法廷ではなく、たとえば被告のような当事者が決定されるべき問題だと結論づけるのは非常に問題がある。著作権侵害は単純な問題ではない。個人の特定のような問題は克服不可能ではないかもしれないが、そうした問題は、著作権侵害が生じたのか否か、加入者に対する警告やアカウントの停止、強制解約によって抑止するか否かを最終的に被告が決断できるとする主張に対し、不利に働く。たとえそれが技術的に可能であるとしても、そうしたスキームは被告に多額の負担を強いることになる。これについては、マローン氏の2番目の先制供述書でも述べられているとおりである。もちろん、Kazaa訴訟の被告によって多額の損害を被ったとは主張しうるのだが、しかしそれは同被告が侵害の『手段』を提供したという文脈においてであった。本件被告がそうした(訳注: 手段を提供した)ことはなく、従って、警告の送付や切断スキームの強制による負担、その複雑性を考慮すると、そうしたスキームが抑止のために適切な権限であるとの結論には達しない。

そして、このように結論づけている。ちなみに、P2Pファイル共有ネットワークKazaaの話が出てくるのは、Kazaaの裁判がオーストラリアで行われたから。

AFACTからの通知に基づく加入者アカウントへの警告や強制解約は妥当な手続きではなく、さらに、それが著作権侵害を抑止するための適切な権限を構成しないものと法廷は見なす。被告は著作権侵害のための『手段』を作り出したわけではなかった。それは侵害を引き起こしたBitTorrentシステムの一部を構成するものであった。従って、侵害の抑止を被告の義務として課すことはできない。たとえ被告に義務があったとしても、それが対処のための妥当な手続きであったと判断するには至らない。[…]

加入者アカウントの強制解約が単数または複数の個人による著作権侵害を抑止するための手続きとなりうる(少なくともそのISPにおいては)のは明白であるが、しかし、その個人から[…]非侵害的なインターネットの利用まで奪うことになる。(訳注: Kazaa訴訟において)ウィルコックス判事が、Kazaaのシステムがほぼ著作権侵害の用途で利用されていることを認めつつも、Kazaaの被告にそのシステムの停止を命じようとしなかったことを鑑みるに、不確かかつ散発的な利用状況において、少なくとも法廷によるそれぞれのアカウントの侵害状況を精査することもなく、アカウントを強制解約することは不当であるといえる。アデレード社のヒギンス氏の言葉が適切である。アカウントの強制解約は著作権侵害を抑止するものではあるが、それ以上のことも含意しており、そうした状況においては、妥当であるとは言い難い。従って、警告やアカウントの停止/強制解約は、侵害を抑止するための被告側の適切な権限を構成するものではない。

いつものことではあるけれど、訳にかなり不安があったりするので、誤訳、不適切な表現などなど指摘していただければ幸いです。

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メキシコACTA会合で何が話し合われていたのか

以下の文章は、Michael Geist Blogの「What Really Happened At the ACTA Talks in Mexico?」という記事を翻訳したものである。

原典:Michael Geist Blog
原題:What Really Happened At the ACTA Talks in Mexico?
著者:Michal Geist
日付:February 02, 2010
ライセンス:CC BY

先週、メキシコのグアダラハラで開催されていた第7回ACTA会合が幕を閉じたが、参加国がリリースした紋切り型の声明は、相変わらず、単に協議された項目を繰り返すだけで、会合の進捗を示すものではなかった。声明は、更なる透明性を求める声に何ら応じたものではなかったが、ニュージーランドスウェーデンからの報道が、現在進展していることに明らかにしている。要点を以下に記そう。

  • (訳注:以前リークされた)インターネット・エンフォースメントについての米国提案は、衆目に晒されるところとなったが、依然としてデジタル・エンフォースメント、セーフ・ハーバー(仲介者責任)に関する3つの提案は、未だ検討されている。ニュージーランド代表者の1人は、現在4番目の提案を作成中であり、この章の確定には6ヶ月超を要すると報告した。
  • メキシコでの会合では、セーフハーバー規定に加え、迂回防止法(訳注:技術的保護手段の回避を禁ずる法律)などのDMCAスタイルの規定についての議論された。
  • 欧州は、著作権、商標だけではなく、特許も加えるようACTAの範囲拡張を引き続き要求した。
  • 一部の国は、不透明性への批判に応え、ACTA文書の共有によりオープンになっているが、他の国々は依然、議論を引き続き秘匿するという姿勢を崩していない。ニュージーランド、スウェーデン両国は、可能な限り透明性を維持することを公表している。

ちなみに、日本はというと、経産省が公表したメキシコでのACTA会合概要を見る限り、自主的な透明性確保の努力をするつもりはない、ということなのだろう。「関係国は、広く意見を聞く機会を設けることが重要であるとの共通認識のもと、各国でそのような機会を設け、共同で交渉全体の透明性を高めていく努力をしていくことを確認」したというわりには、肝心の会合の内容は「デジタル環境における知的財産権の執行、民事手続、国境措置について有意義な議論を行いました」と言うだけに留まっている。

閑話休題。メキシコでの会合で議論にあがったセーフハーバー規定というのは、オンラインサービスプロバイダの責任の範囲、言い換えれば義務を定めるもの。そこに定められていることに従っていれば、加入者の侵害行為に対してISPが責任を負うことはない、という感じで。ただ、ACTAの文脈でこれが問題になるのは、たとえばスリーストライクスキームに即してISPの責任の範囲が規定されかねないため。ISPが免責されるためのハードルを遙かにあげるためにも利用されかねないのである。

でもう1つは、迂回防止。簡単に言ってしまえば、我々が許されている私的複製であっても、技術的保護手段を用いることで、私的複製を違法行為にしてしまう、ということ。私的複製は違法ではないにしても、そうするためには技術的保護手段を回避しなければならない、という状況を作り出せば、私的複製を制限することができてしまう。DVDやBlu-rayのバックアップやポータブルデバイスで利用するためのフォーマット変換すらできなくなる可能性もある。さらに技術的保護手段の回避のための情報、技術の提供も違法行為となるかもしれない。

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電子書籍のパイラシーを恐れる出版社、でもそう怖がらんでもよい

以下の文章は、TorrentFreakの「Publishers Fear eBook Piracy, But Shouldn’t」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Publishers Fear eBook Piracy, But Shouldn’t
著者:Ernesto
日付:January 04, 2010
ライセンス:CC by-sa

音楽産業はインターネットを海賊で充ち満ちている恐怖の空間だという主張を続けてきた。これと同様の恐怖が書籍出版社の間に広がりを見せており、メジャーレコードレーベルの犯した過ちを再び繰り返そうとしている。まだ間に合う。

2009年 最もパイレートされた電子書籍ランキングは、ギーク向けマニュアル、恋愛指南、自己啓発マニュアルばかりであった。このトップ25ランキングに登場したベストセラー作家は、ダン・ブラウン、スティーブン・キング、ステファニー・マイヤー、J.K.ローリングくらいなものである。

こうした『パイラシーの欠如』の説明としては、電子書籍リーダーが未だ排他的なガジェットであるということがあげられるだろう。MP3プレーヤーの普及と比較すると、電子ブックリーダーを所有しているのはオンライン人口のごく一部であり、ニッチなオーディエンスであるといえるだろう。

理論的には、電子書籍デバイスが一般的なユーザに入手可能となり、さらに魅力的なものとなれば、パイラシーの件数は激増するだろう。もちろん、出版業界がメジャーレーベルと同じ過ちを犯せばの話ではあるが。

では、出版業界のこれまでの取り組みを見てみることにしよう。

その前に、以下で議論される3つの古典的な過ちは、いずれも最もパイレートされた書籍の出版社、著者によってなされていることに注目してもらいたい。偶然の一致、ではないのだろう。

DRM

DRMは機能しない。DRMをかけたところで、誰かが数百万の人々に利用できるようそれを解除するだけだろう。しかし、それと同時に、自分の望むように書籍を利用したい合法的なお客さんを遠ざけることにもなる。残念なことに、全ての書籍出版社が音楽業界の犯したDRMの失敗から学んでいるわけではない。

CNNによると、『Twilight』シリーズの出版社 Hachette Book Groupは、「著作権保護を最重要課題と考えている」として、「パイラシーは出版社にとって深刻な問題である」と主張している。

こうした発言の背景には恐怖があるのだとおわかりになるだろう。その恐怖は読者に優れたサービスを提供することよりも、DRMに強い注目を向けることになるのだろう。

余談ではあるが、『Twilight』の筆者 ステファニー・マイヤーは、彼女の出版社よりさらに親DRM的である。彼女は2008年、出版予定だった本がインターネット上のリークされたことで、その出版を取りやめてしまった。これ以上制限的なやり方などあるだろうか?

遅延

スティーブン・キングの『Under the Dome』の出版社 Simon & Schusterは、その電子書籍版のリリースを数週間遅らせた。報じられているところによると、ハードカバーの売り上げと食い合いになるとの懸念からであるという。これは出版社の犯す最も馬鹿げた過ちの1つだろう。それが唯一もたらすのは、顧客の不満であっる。その結果、セールスは低下する。

いずれにしても、その書籍のデジタル版に興味を持っている人は、ファイル共有サイトで入手することができるのである。出版から数日のうちに、『Under the Dome』のスキャンがオンラインに登場し、その後、テキストフォーマットのものもアップロードされることとなった。結局、デジタル版リリースの遅延が出版社にもたらしたものは、数万の人々による無許諾の電子書籍のダウンロードである。もし正規に入手することができていたら、購入していた人も多数含まれていただろう。

デジタル化の拒絶

J.K. ローリングは、ビートルズよろしく、デジタルフォーマットでのハリーポッターの出版を拒否している。そのため、彼女の書籍は毎年最もパイレートされた書籍の1つとなっている。ハリー・ポッターシリーズの全作が、ファンの手によってスキャン、テキスト化され、デジタル版を入手できるようになっている。

幸いにも、音楽産業が犯した失敗から学んだ出版社もある。CNNの記事よれば、出版社 Harper Mediaのアナ・マリア・アレッシーはデジタル書籍の利点に注目している。アレッシーは、新たなテクノロジーは、消費者、著者、出版社に利益を持たすものだという。

「これら電子書籍に特化したデバイスにお金を出す消費者は、たくさんの書籍をそれに詰め込み、よりたくさん読む傾向にあります。」と彼女は言う。さらに「それの何が悪いことなのでしょう?」と。

アレッシーの言う通り。優れた製品と優れたユーザエクスペリエンスを提供することにこそ、フォーカスが当てられなければならない。消費者が求めるものを、適正な価格で提供すること。音楽産業のいう恐怖を真に受けていてはいけないのだ。

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