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オーストラリア海賊党、政党認可を受ける……がロシア海賊党は再び失敗

以下の文章は、TorrentFreakの「Australian Pirate Party Gets Approved and Russians are Denied (Again)」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Australian Pirate Party Gets Approved and Russians are Denied (Again)
著者:Ben Jones
日付:January 22, 2013
ライセンス:CC BY

今週は海賊党にとって悲喜こもごもの一週間だった。2つの国で政党の認可を受けられるか否かが決定された。オーストラリア海賊党は最高の一週間を過ごし、ロシア海賊党は法務省に再び「nyet(ノー)」を突きつけられた。

世界にはある種の対称性がある。世界の一方が昼なら、一方は夜。さらに大きな違いは、一方の半球が夏なら、もう一方は冬。まさに今、夏真っ盛りの南半球では、輝く太陽がオーストラリアの海賊たちを照らした。

地球の反対側の仲間たちがMegaローンチを祝っている中、オーストラリアの海賊たちはオーストラリア海賊党が政党として認可されたことを祝った。

オーストラリア海賊党の政党登録は1月14日までの異議申請期間が終了した。その間、彼らは著作権団体からの悪意ある、またはいい加減な意義を避けるべく平穏を保った。そうして1月15日、彼らは正式な政党となり、党員の受け入れを開始した。

オーストラリア海賊党の創設者ロドニー・サコウシは、オーストラリアに海賊党が必要な理由を強く主張している

「首相が内部告発者や出版者を裁判もなしに犯罪者呼ばわりし、2年にわたってインターネットのアクセスログを保持しようとしている。また、主体性のない外交官や官僚によって不当な貿易協定が締結され、ポリシー・ロンダリングが行われている。海賊が議会に進出すべき理由として、これ以上のことがあるだろうか。」

総選挙は8月ごろに行われることになっている。

南半球が夏を謳歌する一方で、北半球は冬――厳しい冬で知られるロシアには、寒風が吹きつけていた。

ロシア海賊党は、幸運をつかむことができなかったようだ。一昨年、ロシア海賊党は「名前が悪い」として、政党登録できなかった。法務省は「海洋犯罪」を助長すると判断した。ロシア海賊党はこの決定を覆すよう裁判を起こしたが、2011年7月、法務省を支持する判決が下された。

そして2012年、法改正により(日本語記事)、ロシア海賊党は再び政党登録申請の機会を得た。それに伴い、彼らは2012年6月30日、式典を開催した。しかし、今回も同じ結末が待っていた。法務省は「党が目指す目標および目的に合致しない『海賊』という語を用いている」として、再び申請を却下した。

「これは冗談ではありません。このような決定が高いレベルで行われているのです。法務省は考える頭がないのです」と党議長のパーヴェル・ラスドフは語った。

しかし、海賊党インターナショナルがロシア・カザンにて年次会議を開催すると決定したことで、いささかの励ましがもたらされ、しおれた魂を再びたぎらせ(そして他の海賊党を鼓舞し)、次の戦いにむけて党として結束を固めるかもしれない。

一つ確かなことは、海賊党は世界中の政治的な権威を逆撫で続けているということだろう。

ロシアの場合は、そもそも政党登録のハードルが高くて、法改正後もなんだかんだで高いってことなのかな。

ただ、The Voice of Russiaの記事を見ると、

党の登録が理由もなしに役人によって拒否されることも不可能となっている。法務省は政党登録を退ける場合、何が不足しているかを示し、その箇所の修正に3ヶ月の猶予を与えねばならない。

とある。「名前が悪い」と言われたなら、別の名前にすれば通るのだろうか……。まぁ、海賊党のアイデンティティが損ねられるから飲めない条件ではあるんだろうけど。

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豪州:著作権団体、段階的レスポンスシステム導入に向けてISPに圧力

以下の文章は、TorrentFreakの「Graduated Piracy Response Coming To Australia, Or Else」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Graduated Piracy Response Coming To Australia, Or Else
著者:enigmax
日付:July 11, 2011
ライセンス:CC BY

Australian Federation Against Copyright Theftの旗の下、大手ハリウッドスタジオは、地球の裏側で柔軟体操を始めている。 彼らのレトリックが本当であれば、オーストラリアのISPは、違法ダウンロード対策として段階的レスポンスシステム(ex. スリーストライク・システム)の導入についての議論に、48時間中に応じるよう求められている。著作権ロビーは、ISPがこれに応じなければ、iiNetのように訴訟に巻き込まれるだろうと警告している。

先週、Australian Federation Against Copyright Theft(AFACT)は、オーストラリアのISPが違法ファイル共有対策を放棄しているとして、強いプレッシャーを掛けなければならないとした。

AFACTは、豪州ISP iiNetとの訴訟に敗訴してはいるが(このケースは控訴が予定されている)、ハリウッドに後押しされたこの団体は、慎重に考慮されたレトリックを振りかざしている。

先週、AFACTのスポークスマンは、「AFACTは、常にISPとの交渉の場を開いている」として、オンラインパイラシー対策についての『交渉』に参加するよう、ISPに『要請している』と報道に語っている。

「これは単純に、ISPが義務を果たすために、私たちと共に取り組んでいくよう求めているというだけのことです。」

先週、AFACTからISP宛に、先日のiiNetとの裁判においてAFACT側に都合の良い箇所を抜粋した書簡を送られたとDelimiterは報じた。

つまり、AFACTはiiNetとの裁判に負けはしたものの、控訴を前に、ISPにプレッシャーをかけようとしているということだ。では、彼らは何を望んでいるのだろうか?豪州ISP Exetelに送られた書簡のコピーを見たという人物によると、彼らは「オンラインパイラシーに対する段階的レスポンス・システム」を求めているのだという。

しかし、このアプローチは、相互に利益的かつ親密な話し合いというよりも、ISPが次に来るものとして懸念していた驚異を背景に要求を通そうというものであろう。

ISPはAFACTの要請を受け入れて、今週水曜までに自発的にこの会合に参加しなければならない。さもなくば「何らかの措置」が待っているのだという。

ExetelのCEO ジョン・リントンは、この書簡の言い回しは「脅迫以外の何者でもない」と話した。

書簡のコピーを見たという上述の人物によれば、AFACTの要請は、iiNet裁判での裁判官アーサー・エメリットの発言を根拠としているという。

簡単にいえば、エメットは、ISP加入者は当該のアカウントを通じて生じた著作権侵害について警告を受けねばならず、その申し立てに応じるために特定の期間を(彼は7日間と言ったが)与えられなければならないとした。申し立てに対して応答がなければ、応答があるまでISPはアカウントを停止できる。iiNet裁判では、エメット判事は著作権侵害を繰り返す加入者へのさらに強い措置についても提案している。

「おそらく、この段階までくると、こう言っても差し支えないでしょう。『見なさい、あなたにはこれだけ警告が着ています。おそらく、あなたは合法的なこともしているでしょうが、そこに違法な活動が含まれているのであれば、私たちはあなたのアカウントを停止します』」。当然ながら、ハリウッドはエメットのこうしたスタイルを好む。

iiNet側も、今年3月、AFACTの要求との落とし所を探るために、著作権侵害対策として以下の図のような提案をした

「iiNetはISPへの懸念に答えるモデルを考えています。しかし、私たちとしては、この紛争の解決と違反者への罰則の問題について、公平なレフェリーによる持続可能な戦略を含む、すべての参加者が加わるべきものと考えております」とiiNetチーフ マイケル・マローンは裁判の中で話している。彼は現在も、こうしたスタンスを保っているようだ。

「権利者は、強い明確な証拠を提出しなければならない。それは、透明性があり、確固とした証拠収集プロセスによって得られたものであり、独立機関(例えば司法官)によって認められなければならない。」とマローンは話している。

それでも疑問は残る。ISPがAFACTの無言の恫喝に屈して会合に参加するのか、それとも、ハリウッドのハッタリに挑戦し、iiNetの控訴審の結果を待つのか?

1つ確かなのは、ExetelのCEOジョン・リントンは、恫喝には応じないし、これからも応じることはない、と話しているということである。他のISPが同様のスタンスを取るかどうかは、今週の終わりにはわかるだろう。

我々は著作権団体の調査にだまされているのだろうか?

以下の文章は、TorrentFreakの「Breaking: The Entertainment Industry Is Fabricating Anti-Piracy Research」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Breaking: The Entertainment Industry Is Fabricating Anti-Piracy Research
著者:Ernesto
日付:February, 2011
ライセンス:CC BY

たったいま、TorrentFreakのオフィスにニュースが飛び込んできた。

アンチパイラシー団体の欺瞞的な面々は、偽のデータや嘘の主張を弄して、市民や政治家をミスリードしようとしているようだ。

その目的は何か?アンチパイラシーの専門家としての彼ら自身の立場を正当化し、彼らの望むように法律を変えるためだ。

もちろん、ここまでのがニュースというわけじゃない。喜ばしいことに、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)が、先日、我々が公表したスキャンダル取り上げた

記事からいくつか引用することにしよう。記事のタイトルは「パイラシー:我々はだまされているのか?」である。是非読んでもらいたい。

「主な目的は、こうしたデータを使って政治家にロビイングしたり、市民を脅して従わせることにあります。」とIBRSアナリストのガイ・クランズヴィックは言う。さらに「データの質も分析もあまりに粗末なものです。政治的意図が透けて見えます。」

EFA(エレクトリック・フロンティア・オーストラリア)代表のコリン・ジェイコブスは、「この手の報告書はいつも『パイラシーのせいで失業』というような見出しをつけていますが、これは全く事実に即してはいません。」とSHMに語った。

「エンターテイメント産業のマーケターたちは、自らに問い直さなければなりません。彼らは、オーストラリア人の4分の1が違法なダウンロードに手を染めていると言います。オーストラリア人は不道徳な犯罪者だということでしょうか?それとも他に説明があるのでしょうか?」とジェイコブスは問う。

「エンターテイメント産業は、テクノロジーを受け入れ、オーストラリアの消費者に常に魅力的な製品を提供し続けなければならないのです。残念なことに、イノベーションは弁護士を雇うよりは難しいようですが。」

これまでの経緯はこちら。

SMHの記事を読んだけども、これまでの反動もあってか、かなり権利者側のプロパガンダを批判的に報じている印象。上記記事に引用されたもの以外で興味深かったものを以下に。

今回の調査とは別に、昨年Australian Federation Against Copyright Theft (AFACT)のアンチパイラシー調査が公表され、国内経済に13.7億ドルの損失、6,100人の失業をもたらすとされたが、この調査もアナリスト、法律の専門家、ネット市民団体(EFA)から批判されている。EFAは、たとえ映画のチケットにお金を出さなかったにしても、その分のお金を他の商品、サービスに費やしている、と。要は、エンターテイメント産業の問題を国内経済の損失にすり替えるな、ということかな。

また、豪犯罪学研究所(Australian Institute of Criminology:司法省に属する政府機関)は、産業が主張する「パイラシーによる損失」の妥当性について懐疑的に見ているという。同研究所が最近公表した知財犯罪レポート(PDF)には「これらの推定は問題の大きさを大まかに示唆するものではあるが、データの妥当性については議論の余地がある。」と記している。さらに、2006年にリークされたAICの文書では、産業側のパイラシー統計は「ご都合主義的な誇張(self-serving hyperbole)」だとまで表現されている。クィーンズランド大学のキンバリー・ウェザオール法学上級講師は、こうした産業側のレポートは専門家による査読や分析を経て世に出ているわけではなく、AICはその辺りにフラストレーションを感じていると指摘する。

さらに、昨年Music Industry Piracy Investigations (MIPI)は、メルボルンの海賊版CD業者の摘発についてプレスリリースを公表したが、これも誇張が過ぎるという。「警察は、CDバーナーを約100台、郊外のレコード店から海賊版を含む約25,000枚のディスクを押収した」とあるが、押収したディスクのうち14,600枚がブランクディスク、残りの大半もライセンスを受けて作られていたもので、海賊版CDと認められたのは100枚に満たなかったという。

いずれにしても、我々はこれだけ苦しんでいるんだ、ということを強調したいがために、よりインパクトのある数字を前面に押し出したい気持ちが空回りしすぎて、オオカミ少年になりつつあるんじゃないのかと思ったりもする。ただ、この手のデータってうまく丸め込みたい人たちを説得できればいいって類のものなので、こういう批判もお構いなしなんだろうなぁとも思うけれども。

それはともかくとして、このSMHの記事でちょっと気になった点について。海賊行為が国内経済に与える影響について、いずれにしても消費者は何かにお金を出しているのだから、国内経済に与える影響は小さい、というような主張が掲載されているけれども、本当にそうかしら?「主張されているよりは小さい」というのは同意だけど、少なくともそれが成り立つのは、コンテンツの輸出が皆無である場合に限られるんじゃないのかな。自国のコンテンツが他国で海賊版として大量に消費されたのであれば、「国内経済に影響はほとんどない」とは言い切れないと思うのよね。

豪州:胡散臭いパイラシー調査、ついに公開されるもボロが出まくる

以下の文章は、TorrentFreakの「Secret Australian Piracy Report Revealed and Debunked」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Secret Australian Piracy Report Revealed and Debunked
著者:Ernesto
日付:March 16, 2011
ライセンス:CC BY

先週、オーストラリアのニュースメディアは、インターネット上の海賊行為が国内経済に9億ドルの損失をもたらすという調査について報じた。しかし、この調査報告書そのものは巧妙に隠されていた。各方面からの批判を浴びたことで、ようやくこの調査報告書が公表され、その重大な欠陥をさらけ出した。この報告書は、昨年、欧州議員をミスリードさせるために作られた馬鹿げたパイラシー調査を、そのまま豪州に当てはめただけ(direct translation)の報告書に過ぎなかった。

2日前、インターネット・パイラシーがオーストラリア経済に与える影響についての報告書が、いかに秘匿されているかについてお伝えした邦訳訳記事)。この報告書の記事を書いたジャーナリストすら実際の報告書を読んではおらず、著名な研究者らもその秘密主義的態度を批判するコメントをTorrentFreakに寄せた。

こうした圧力が功を奏したようだ。多数の電話、メール、この報告書を引用した司法長官への情報開示申請求などを経て、数時間前、ついにこの報告書が公開された。

では、公表されたこのレポートをみてみよう。まず、この『調査』は、以前公表された非常に問題のあるパイラシー調査を、そのままオーストラリアに当てはめただけのものであったことが判明した。

この報告書は、昨年TERA Consultantsが公表した欧州の"Building a Digital Economy"調査報告書をそのままベースにしている(邦訳記事)。この辺りから、なぜ『不動産』会社がこのような調査報告書を書くことができたかが見えてくる。そう、そもそも実際に調査する必要がなかったからだ。しかし、そうなれば、元の調査報告書の欠陥もそのまま引き継ぐことになる。

この報告書では、インターネットトラフィックと失業は正の相関にあると示されている。つまり、インターネット・トラフィックが増せば増すほど、お金が失われるということだ。報告書によると相関係数は1、つまりインターネットトラフィックの成長と共に、著作権侵害も同じ比率で増加する、と。

このロジックがどれほどおかしいかを考えてみよう。このロジックに従えば、回線速度を5倍にすると、自動的にユーザたちはYouTubeで5倍のビデオを見るようになり、5倍のウェブサイトにアクセスする、ということになる。これがいかに馬鹿げているかは、火を見るより明らかだ。

さらにこの馬鹿げたロジックには、著作権侵害の量と損失との正の相関というおまけもついてくる。この報告書では、トラフィックが増えるほどパイラシーも増加し、従って損失も増大すると述べられている。ユーザがファイルサイズの大きい高品質のメディアを消費している可能性について、否定できない。こうした予測は、著作権侵害コンテンツの量ではなく、回線速度をベースに導き出されている。

この報告書の誤り、間違い、ミスリードな推測についての詳細な指摘は、以前に書いた元報告書の記事(邦訳記事)を参考にしてもらいたい。

オーストラリアの司法長官は、どうしてまたこんなレポートをこれからの著作権法を検討するための基礎資料だと考えているのだろうか。全く理解に苦しむ。エンターテイメント産業による委託調査であること、設立から4ヶ月にみたいな会社によって実施されたことなどを除いても、非常にお粗末な方法論に基づいて書かれた報告書であり、真に受けるような類のものではない。

オーストラリア海賊党は、我々の調査を支援してくれたが、この報告書の公開についても彼らの功績を賞賛したい。彼らがこの報告書に関して情報公開を申請し圧力をかけたことで、迅速に文書が公開されたのだろう。

オーストラリア海賊党のロドニー・セルコフスキーは「納税者として、有権者として、我々は我々の議員に対し透明性を求める権利があります。」とTorrentFreakに語った。

「彼らの不透明さには理由があるのでしょう。この調査は問題だらけなのですから。司法長官は、なぜこれほど安易にミスリードされてしまったのか、なぜ産業側のプロパガンダを信頼するのかを説明しなければなりません。こうした報告書は、より厳格なエンフォースメントを正当化し、プライバシー等の基本的権利を危うくするものです。」

この報告書は、不備や欠陥も含め、エンターテイメント産業が政治家をミスリードするためにどれほどご熱心かを改めて示してくれた。嘆かわしい状況ではあるが、この状況が改善し、オーストラリアの報道機関がこの報告書の妥当性を再び検証してくれることを願うばかりだ。

豪州:著作権団体のインターネット・パイラシー調査がもの凄く胡散臭い件

以下の文章は、TorrentFreakの「Secrecy and Darkness Surround Mysterious $900m Piracy Report」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Secrecy and Darkness Surround Mysterious $900m Piracy Report
著者:Ernesto
日付:March, 2011
ライセンス:CC BY

エンターテイメント産業が委託したアンチパイラシー調査というのは大概疑わしいものだが、最近の調査にまつわるミステリーはそれどこではない。この調査に関する記事は多数報じられているが、実際にジャーナリストたちが報告書を読んだというわけではないようだ。しかも、この詳細な報告書を作った調査会社は、設立からわずか4ヶ月足らずで、その実態については謎に包まれている。

豪州エンターテイメント産業の上部団体 Australian Content Industry Group (ACIG)は、より強力なアンチパイラシー法制の必要性を政府に訴えるべく、インターネット上の著作権侵害の経済的な影響に関する調査を委託した。それ自体はよくあることではあるのだが、この調査を取り巻く不透明性や背景には驚くべきものがある。

2月末、問題の調査報告書は、将来的な著作権法の方向性を議論する協議会の中で、マクレランド司法長官により初めて言及された。それまでこの報告書の存在すら知られてはおらず、ジャーナリストたちにとっても初耳であった。

しかし、初めて公になったのは報告書だけではない。Australian Content Industry Groupという著作権団体もその時点では全く知られてはいなかった(現在でも同団体の公式ウェブサイトは存在しない)。この団体は、Music Industry Piracy Investigations (MIPI)など複数のエンターテイメント産業団体から構成されているのだが、その存在はこれまでほとんど公になっていなかった。

さて、これがこの報告書にまつわる背景である。では、時計の針を2週間進めてみよう。

3月6日、豪紙The Ageはインターネットパイラシーについてのシリーズ記事を掲載した。このシリーズ記事のコアとなったものこそ、先述の報告書だった。このシリーズではさまざまな記事が書かれたが、特筆すべきはフリーのジャーナリスト ニール・マクマホンの書いた"Nation of unrepentant pirates costs $900m(懲りない海賊ユーザ、国内で9億ドルの損害)"という記事だ。この記事は、他のニュースメディアにも広く取り上げられた。

先週、多数のヘッドラインを生み出したこの報告書に注目した我々は、この調査を行った会社『Sphere Analysis』について調べてみることにした。しかしそれは、言うは易し行うは難し、であった。

Australian Content Industry Groupと同様、Sphere Analysisもウェブ上にその存在を確認することはできなかった。公式サイトはもとより、同社の従業員とおぼしき人物も発見できない、さらに誰かが同社について言及している痕跡も見当たらない。果たして、これは何を意味しているのだろうか。これほど重要なレポートであれば、実績のある調査会社に委託するのが道理であるように思われるのだが。

控えめに言ってもこれは疑わしい。我々がまず思い浮かんだ疑問は、Sphere Analysisのバックに誰がついているのか、ということ。

オーストラリア海賊党の協力を受けて情報を収集した結果、Sphere Analysisは『Sphere Property Corporation』という会社名で登記されていることが判明した。この会社は(やはり公式サイト無かったが)、どうやら不動産ビジネスを営んでいるようだ。少なくともインターネット・パイラシーが豪州経済に与える影響を分析するような業種ではない。

更に興味深いことに、Sphere Analysisは登記されてから4ヶ月足らずであった。つまり、登記の直後に、大型の契約をゲットしたことになる。では、どのような人物がSphere Analysisに関わっているのだろうか。

同社について更に知るため、Sphere Property Corporationに関係する複数の電話番号に電話をかけてみた。が、結果は芳しくはなかった。いずれの番号もいわゆる『ヴァーチャル・オフィス』に繋がり、同社について心当たりはない、または企業に関する情報は教えられない、との回答を得た。

更に調査を進め、ようやくSphere Property Corporationの従業員とおぼしきフィル・ノットという人物に行き当たった。Linkedinには不動産コンサルタントとある。ノット氏以外の従業員については確認できなかった。ノット氏の2つのLinkedinプロフィールには、それぞれただ1つのコネクションがある。

Sphere Property Corporationは不動産事業以外に、投資会社のSphere Capital Advisers、リクルート会社Sphere Associatesと繋がってもいるようだ。

この2つの会社とも公式ウェブサイトを持ってはいない。Sphere Analysisに繋がる手がかりはここで潰えた。

この報告書に関する我々の関心はますます強まった。Sphere Anaysisが何を根拠に映画、音楽、ゲームの違法ダウンロードが年間9億ドルの損失を生み出し、8,000人の職を失わせているとしたのかについて、調べてみることにした。残念なことにThe Ageの記事で強調された2,3の数字を除いて、この報告書そのものはどこにも公開されていない。

しかし、暗闇に投げ出されていたのは我々だけではなかった。The Ageの記事を書いたジャーナリスト自身も、TorrentFreakの取材に報告書全体が提供された訳ではないことを確認している。彼は『何者か』によって提供された情報を元に記事を書いたとしている。彼に情報を提供した人物については、当人の許可無く明かしたくはないという。

次に我々はこの報告書のコピーを手に入れるため、Australian Content Industry Groupに参加する複数の団体にメールを送付した。しかし、返信は得られなかった。また、オーストラリア海賊党は情報公開法に基づく情報公開を申請しているが、現在は処理中であるという。

現時点で我々がつかんだのはここまで。この1週間、電子メールを送り、電話をかけ、ありとあらゆる情報を掘り下げてみたが、この報告書を入手することはできなかった。それどころか、この報告書を巡る疑念は、Sphere Analysisの不透明さも相まってますます強まった。

司法長官は、(このデータを)将来的な法制に影響を与えると明確に言及しているのだから、なおさら懸念される。我々に情報を提供してくれた海賊党も同様に考えているようだ。

「このような報告書や調査が政府方針の方向性を決めるのであれば、情報の透明性が担保され、その手法についても確実かつ十分に現実を反映したものでなければなりません。これは民主主義の根幹に関わることです。」と海賊党のロドニー・セルコフスキーは語った。

「The Ageの記事では、司法長官がこの調査の数値を元に政府の方針を判断すると推測されています。この調査は、公共施策の根拠としてはまったくあてになりません。現行の著作権法制が現実に対応しきれなくなり、抜本的な構造改革を必要とするというコンセンサスがますます得られてきているのですから。」と彼は付け加えた。また、Sphere Analysisという新興かつよくわからない会社に、これほど重要な調査を委託したという問題も指摘する。

「この調査は、事実上全く未知の団体が調査を行い、さらにたった1人のジャーナリストだけがその内容の一部を知ることができたというものです。著作権ロビーの一環ということを抜きにしても、きわめて疑わしいと言えます。事実として報告されるのであれば、いかなる調査であれ、市民に公表されなければなりません。そうでなければ、その事実とされたことが本当に事実であるかどうかを検証することすらできないのです。」と海賊党サイモン・フルーは言う。

さて、Sphere Analysisは、施策に影響すると言われるこの調査の全文を我々ないしニュースメディアに即座に公開してくれるのだろうか?透明性の問題は改善するのか?それとも、無名の団体から出された全く精査を受けない『統計』を、事実であるかのうように反復し、内容にかかわらずとにかく信用できるかのように喧伝され、その後、法律に組み込まれるような事態を、盲目的に受け入れなければならないのだろうか。問題の改善以外であってはならない。

UPDATE:こうした疑念を持っているのは我々だけではない。研究者のガイ・クランズヴィックはこのようにコメントしている。「私は研究者として、この上部組織に加盟する団体に報告書の開示を要請した。だが、返信は得られなかった。通常、こうした団体は多額のお金をかけて実施した調査については、名のある研究者やニュースメディアには喜んで提供するものなのだが、実に奇妙なことだ。」

「まったく指摘はされていないが、この報告書は報道の信頼性を揺るがす問題であると思う。The Ageのような新聞が、このような裏付けのない調査に基づいて記事を書いているのだから。」

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