スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

大規模BitTorrent訴訟:著作権トロールに打撃?ユーザの情報開示が認められず

以下の文章は、TorrentFreakの「Court Kicks Out Copyright Troll Who Has "No Desire To Litigate"」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Court Kicks Out Copyright Troll Who Has "No Desire To Litigate"
著者:enigmax
日付:April 06, 2012
ライセンス:CC BY

ファイル共有ユーザに対する大規模訴訟において、カリフォルニア法廷は、著作権者の苦境に同情しつつも、法廷をBitTorrentユーザ特定のために利用することを認めないとした。判事は、著作権侵害を可能にするテクノロジーがそれを防止するテクノロジーに先行している状況を嘆かわしいとしたものの、法廷で争う意図はなく単に和解だけを目的としてユーザの特定を求める権利者には、協力できないと言う。

Hard Drive Productions, Inc.対Does 1-90は、有名なポルノ企業の原告が、今時のよくある著作権トロールのやり口を踏襲している事件である。

彼らはBitTorrentネットワークでIPアドレスを収集し、法廷において彼らの著作権を侵害しているとみられる人物の個人情報を得る。その情報からISP加入者にコンタクトを取り、(平均的には)2000ドルほどの和解金を要求し、支払われれば架空の訴訟を取り下げる。

この裁判で、Hard Driveは63日間の監視期間に「Amateur Allure - Natalia」をダウンロード・共有したとみられる90人のインターネット加入者の詳細について開示するようISPに求めている。

法廷は、「正当な理由」が示された場合においてのみ、裁判所命令でディスカバリが許可されるとした。「正当な理由」の審理原則は以下の4つの要件を満たす必要がある。

(1) 被告が連邦裁判所で提訴できる実際の人物ないし実体であることを裁判所が確定できるよう、原告は行方不明の当事者の十分な特性を特定することができること;

(2) 原告は、所在のつかめない被告を発見するために既にあらゆる措置を講じていること;

(3) 被告に対する現石の訴訟は、請求棄却の申し立てに耐えうるものであること;

(4) 原告は、召喚状の送達が可能であるなど、ディスカバリを通して被告を特定しうる合理的な見込みについて証明していること

しかし、ハワード・R・ロイド判事は、請求された初期のディスカバリが氏名不詳の被告の身元を「十中八九(very likely)」明らかにするかを考慮すると、問題があると考えた。

以前、Hard Driveは、ディスカバリによって著作権侵害を疑われるそれぞれのBitTorrentユーザを「完全に特定する」ことができると述べていた。しかしロイド判事は、ISPアカウント保持者が当該の著作権侵害者であるかもしれないが、著作権侵害者とは別の単に支払いをしているだけの人物かもしれない、と指摘した。つまり、当該のIPアドレスでアクセスした誰もが、実際の著作権侵害者でありえた。

それから法廷は、アカウント保持者がHard Driveの探している人物でないときに、誰が実際に侵害行為を行ったのかを突き止めるための二次的な「探索実行(fishing exercise)」手続きについて記した7つのリストについて言及した。これは法廷の手に余るものであった。

「原告の請求するディスカバリでは、氏名不詳の被告の身元を『十中八九』明らかにできないことは、極めて明白である。実際、原告のみならず他の原告も、初期のディスカバリが許可されたこれらの事件において、一人の被告も特定できなかったことを審理で認めている」とロイド判事は述べる。

また、「相当な理由」についても認められなかった。

原告は、この事件の氏名不詳の被告がカルフォルニア州在住であることを示す必要があった。しかしHard Drivは墓穴を掘った。IP位置情報ツールは「…IPアドレスが位置する国を予測する場合に限り、正しく信頼できる」と認めてしまったのだ。

これを確認するように、Hard Driveは、以前の訴訟においてディスカバリが許可された際、一部のISP加入者が訴訟の起こされた州には住んでいなかったことが判明したと認めた。

また、Hard Driveは、90人の氏名不詳の被告がBitTorrentを使って互いに映画を共有していたことを示す証拠を持たないことを認めており、法廷は90人の被告を1つの訴訟でまとめて扱うことに問題視した。

ロイド判事は、「原告は、同じスウォームに全く異なる時間に現れた被告らが、協力して著作権侵害を行った証拠を示してはいない。したがって、本法廷はこれを、90人の氏名不詳のの被告が関わる単一の取引、または緊密に関連した連続する取引とは認められず、共同訴訟としては不適当である。」と言う。

法廷は、Hard Driveによる氏名不詳の被告の特定を求める申立を却下し、一人の被告を除いて訴訟から切り離すよう命じた。Hard DriveがBitTorrentユーザ全員を特定したいのであれば、それぞれのユーザについて個々に訴訟を起こさなければならない。

いわゆる著作権トロールに反対する人々にとって、このロイズ判事の判断は非常に心強いものだろう。

「本法廷は、この決定が原告や他の著作権者を失望させるものであることは理解している。彼らが自らの作品のオンライン侵害を抑制したいと望むのも当然である。残念なことに、著作権侵害を可能にするテクノロジーは、それを防止するテクノロジーに先行しているように思える。」とロイド判事は言う。

「本法廷は、原告が明確な著作権侵害によって害されていると理解しており、また、このような訴訟が著作権侵害者を発見し、阻止する唯一の方法であるという主張には同情的である。しかしながら、本法廷は、実際に裁判で争う意志はなく、著作権侵害者と思しき人物(やISPの網にかかった無実の他者)に対する法廷外のビジネスプランを進めようとする原告に助力することはない。」

「原告は、侵害者またはそうでない者から『和解』金を引き出すという司法外の救済を目的として、訴訟におけるディスカバリ手続きを通して情報を得るために、法廷の助力を得ようとしている。これは本法廷の意図するところではない。」とロイド判事は結論づけた。

まとめると、

  • 「ISP加入者=著作権侵害者ではない」し、その可能性が高いよね
  • 同じコンテンツ(スウォーム/ネットワーク)だとしても、ユーザ同士の関係が曖昧なのであれば、まとめて裁判を起こせないよね
  • 90人の被告の中に別の州の人も混じってる可能性が高いよね
  • ちゃんと裁判する気もないのに、個人情報取得のために訴訟手続き利用してるよね。和解金をせしめたいだけだよね

という理由から、ISPへのユーザ照会を却下したというところ。著作権トロールへの不信感があっての判断だと思われる。

EFF:YouTube対Viacomで差し戻し判決、だがインターネットとイノベーションは守られた

以下の文章は、Electronic Frontier Foundationの「Viacom v. Google: A Decision at Last, and It's Mostly Good (for the Internet and Innovation)」という記事を翻訳したものである。

原典:Electronic Frontier Foundation
原題:Viacom v. Google: A Decision at Last, and It's Mostly Good (for the Internet and Innovation)
著者:Corynne McSherry
日付:April 05, 2012
ライセンス:CC BY

インターネットは今日、ほっとため息をついたことだろう。長らく続いているViacom v. YouTube裁判に新たな動きがあった。第2巡回控訴裁判所は、大エンターテイメント企業がGoogleを訴えた裁判を下級審に差し戻した。しかしそれと同時に、法廷は訴訟の根幹をなす法理論を骨抜きにした。

2010年、地方裁判所はYouTubeに対するViacomの訴えを棄却した。デジタル・ミレニアム著作権法のセーフハーバー条項によりYouTubeはすべての著作権侵害の責任から免責されると判断したためだ。この判決を受けてViacomは上訴した。Viacomの主張は、それが採用されたらDMCAセーフハーバーが無効になる、というほどの先例のない法理論に基づくものであった。

本日の控訴審判決は基本的には地裁判決を支持したものである。本件に係る特定の著作権侵害、またはそのような特定の侵害を指し示す状況的事実について知っていた(もしくは意図的に知りえないようにしていた)場合を除いて、YouTubeは免責されると判断された。

控訴審はさらに、YouTubeが著作権侵害を「意図的に知りえないようにしていた」ならば窮地に立たされうるとしたが、YouTubeにユーザ活動を監視する義務はないことも強調した。言い換えると、同社は著作権侵害に気づかないようにするための措置を講じることはできないけれども、著作権侵害を積極的に監視する義務があるわけではないということ。ややテクニカルなポイントとしては、ビデオクリップのシンジケーションがセーフハーバーで免責される種類の活動かどうかは明確ではないとしつつ、本件のクリップを実際にシンジケーションしていたかはさらなる証拠が必要だとされた。

最後に法廷は、YouTubeがユーザの著作権侵害行為に「相当な影響」を及ぼしたのであれば、YouTubeは責任を負う可能性はある、とした。法廷は、さらなる実態調査のために、未解決の問題について裁判を地裁に差し戻した。つまり、裁判は今後も続く。今のところ、和解が結ばれない限りは地方裁判所は2,3の問題を解決しなければならない。

結局、どういうことになるのか。YouTubeには敗北(しかし極めて小さく、ほとんど影響を受けない敗北)だが、インターネットユーザとイノベーションにとっては勝利だ。Viacomの勝利を宣言する人もいるかもしれないが、失うものが大きく得るものが少ない勝利でしかない。判決は、明確に(そして正しく)Viacomの大半の主張を棄却した。Viacomの主張の中には、インターネットの表現の自由が依って立つDMCAセーフハーバーを覆す主張も含まれていた。

たとえばViacomは、YouTubeは著作権侵害について一般的な認識をもっており、したがって、それを取り締まる「商業的に合理的なステップ」をとる義務があったため、セーフハーバーでは免責されないと主張した。もしこれが認められれば、侵害取り締まりの負担がコンテンツオーナーからサービスプロバイダに押しつけられてしまう。セーフハーバー自体がそれを防ぐための規定だというのに。今回の判決は、第9巡回裁判所に加え第2巡回裁判所までもがこの理論を却下したことを意味する。大コンテンツ企業にはよいレッスンになっただろう。

同様に、Viacomは、ISPが著作権侵害活動をコントロールする権利と能力を有しているのであれば、判例法における「代位責任(vicarious libility)」スタンダードに基づいてDMCAセーフハーバーでは免責されないというアグレッシブな解釈を持ち込もうとした。その理論が認められれば、特定コンテンツへのアクセスをブロックできる全てのサービスプロバイダがセーフハーバーを失うことになってしまう。もちろん法廷はそれを認めず、ノーティス・アンド・テイクダウン条項は、侵害の通知があった場合にそのようなブロッキングをするよう意図したものであるとした。Viacomの主張が正しいならば、セーフハーバーは全く「セーフ」ではなくなってしまう。

さらに法廷は、YouTubeが著作権侵害の監視に失敗したことをもって「意図的に知りえないようにしていた」とするViacomの主張についても棄却した。法廷は、DMCAが故意に知らないようにすることを禁じてはいるが、サービスプロバイダに監視する義務を課すものではないとした。

最後に、YouTubeがストレージ・ロッカー以上の存在でありつつ、関連ビデオのリスト生成などユーザのビデオへのアクセスを促進するためのさまざまな方法を用いていることから、DMCAで規定されるサービス・プロバイダとしては不適格であるというViacomの主張に対しても、第2巡回裁判所は大幅に割り引いた。この主張は第9巡回裁判所でも否定されていた。法廷は、DMCAの立法の立法に際してそこまで細かい解釈は意図されていない、と結論づけた。

本日の控訴審の決定は、DMCAがイノベーションに必要不可欠であるという判断に、さらなる権威の重みを加える。YouTubeはこの点について明確に肯定されたことを好ましく評価するだろう。そして、インターネットもこのことを盛大にお祝いしているだろう。しかし、安心してはいけない。大コンテンツ企業が議会の友人たちに既に電話をかけていることは疑いない。そして、次のYouTubeを阻止するための権限を与える新たなSOPA/PIPAを要求しているのだろう。

この記事のほかにも、Public Knowledgeエリック・ゴールドマン教授TechDirtのマイク・マズニックの視点が参考になる。

CNET Japanの記事によれば、Googleはこの判決について、「米連邦巡回控訴裁判所は、長期にわたるDMCAの解釈を支持し、Viacomによる同法律の解釈を却下した。YouTubeに対する全面攻撃という形で始まったViacomによる訴訟で残されている議論は、かなり以前にYouTubeから削除されたほんのわずかな割合の動画に関するもののみとなった。今回の判決によって、YouTubeの運営方法には何の影響も生じない。」とコメントしている。

Viacomはセーフハーバーの範囲を削りたいという思惑があったのだろうが、その試みは今のところ失敗しているといえる。

米国CISPA:セキュリティ強化を口実にした『ユーザデータ収集法案』

以下の文章は、TorrentFreakの「Draconian 'Privacy Invasion Bill' Continues to Gain Support」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Draconian 'Privacy Invasion Bill' Continues to Gain Support
著者:greenpirate
日付:April 04, 2012
ライセンス:CC BY

Cyber Intelligence Sharing and Protection Act (CISPA)は、未だメディアからの注目を集めてはいないが、議員からの支持を集めつつある

同法案はプライバシー侵害に関して、SOPAよりも更に酷いと言われている。

SOPAでは海賊行為への対処が強調されたが、CISPAはセキュリティ上の脅威、知的財産権の侵害等への対処を掲げてユーザ・データへのアクセスを正当化しているようである。「私的または政府情報の窃盗または悪用」という言葉は、法案H.R. 3523の中で4回も登場している。

CISPAの下では、インターネット・プロバイダ等は、政府機関やその他企業の要請に応じてユーザ・データを提出しなければならなくなる。

電子フロンティア財団(EFF)によると、同法は「企業にユーザへのスパイを許し、私的な情報を連邦政府や他の企業と共有し、ほぼ全面的に民事、刑事責任を免責するものである。これは事実上、あらゆる現行法に『サイバーセキュリティ』を口実にした免責を与える」。

EFFは、同法案に用いられている言い回しが漠然としており、「Google、Facebook、Twitter、AT&Tがユーザの電子メールやテキスト・メッセージを傍受し、そのコピーをお互いに、そして政府に送信し、それがサイバーセキュリティの脅威を撃退するという彼らの計画に合致したとするならば、これらのコミュニケーションを修正し、阻止することができる」と懸念している。

SOPAACTAへの大規模な市民抗議活動が行われている今、CISPAがオンライン・コミュニティに広く受け入れられるとは思いがたい。

そもそも、本当に必要なものなのだろうか。ユーザ・データの取得自体が、セキュリティ違反の結果としてもたらされるものだというのに。セキュリティ専門家でなくとも、プライバシーの侵害に対する懸念を抱かざるをえない。複数の人気のオンラインサービスを定期的に利用している人にとって、ユーザ・データへの極めて容易なアクセスを提供する潜在的な危険性をはらんだ法案が提出されたことは気がかりなことだろう。

良きソーシャル・エンジニア(要は詐欺師)が政府機関や企業体を騙り、電話一本でユーザ・データへのアクセスが可能になってしまうかもしれない。そのような手口は既に日常的に行われているのだから。

CISPAについてセキュリティ専門家の意見を聞いてみたいものだ。CISPAはセキュリティ強化に実際に役に立つのだろうか、それとも、これまで以上に酷いセキュリティ脆弱性を抱え、悪夢のようなインターネット環境を作り出すのだろうか。

法案の中身をよく調べてないのでかなり誇張されているところもあるかもしれないが、気になる動きではある。

米大手ISP各社、今年7月よりスリーストライク・スキームを導入か

以下の文章は、TorrentFreakの「ISPs To Begin Punishing BitTorrent Pirates This Summer」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:ISPs To Begin Punishing BitTorrent Pirates This Summer
著者:Enigmax
日付:March 15, 2012
ライセンス:CC BY

今年7月より、米国の大手インターネット・サービス・プロバイダが、オンライン著作権侵害対策を講じる著作権者への支援を開始する。コムキャスト、ベライゾン、タイム・ワーナー・ケーブルなど主要ISPは、昨年交わされた了解覚書(MOU:Memorandum of Understanding)の規定に基づき、彼らの義務を果たすことになる。これにより、数百万のISP加入者に著作権侵害警告が送付されることになるだろう。

昨年6月、長く苦しい交渉の末、RIAA/MPAAと米国の大手インターネット・サービス・プロバイダとの間で、インターネットにおける著作物の無許諾共有への対策について合意が交わされた

この協定では、レコードレーベルや映画スタジオなどのコンテンツオーナーが、BitTorrentを含むピア・ツー・ピア・ネットワーク上の著作権侵害を監視、発見された事例についてインターネット・サービス・プロバイダに報告することになっている。ISPは、通知、警告、そしてその他の措置という段階的なシステムを通じて、著作権侵害を疑われた加入者を「教育」する措置をとることに合意した。

当時はビッグニュースとして扱われ、非常にホットな話題ではあったのだが、2011年中頃からその進捗状況はほとんど報じられなくなった。当初の発表では、ISPが昨年末までにこの警告システムを実施することになっていたが、実際にはそうはならなかった。

しかし、同スキームを管轄する著作権情報センター(CCI:Center for Copyright Information)によると、前関係者間で今年7月12日の開始を目指して調整を進めているという。

「CCIメンバーは、消費者を教育し、著作権泥棒を防止するための協働システムの開発を順調に進めております」とスポークスマンはTorrentFreakに語った。

「CCIは先例のないシステムを実現するために取り組んでおり、了解覚書に従って進めております。近いうちに、私たちは[アンチ・パイラシー監視]パートナーの名前や、CCIやそのテクノロジー・パートナーがどのように協働するかの詳細を含めて、アナウンスする予定です。

CNETによると、こうした前向きな見通しは、RIAA会長ケアリー・シャーマンによっても確認されている。

シャーマンは昨日開催された米国出版社協会(Association of American Publishers)の年次総会において、(コムキャストやケーブルビジョン、ベライゾン、タイム・ワーナー・ケーブルなど)大手ISPの『ほとんど』が、いわゆる「段階的レスポンス」(スキーム)に加わったと述べた。

シャーマンは、このプロセスは決して容易なものではないと言う。ISPは著作権侵害を繰り返すユーザ(まさにレーベル、スタジオが行動を変えたい人たち)を追跡するために独自のデータベースを構築しなければならない。では、来る7月、大手ISP加入者たちはどのような変化を迎えるのだろうか。

P2Pファイル共有以外では、おそらくほとんど通知を受けることはないだろう(サイバーロッカーでの共有はカバーされない)。もちろん、このスキームが導入されることで、ISP料金が値上がりするといった影響は不可避だろうが。

EMIやソニー、ユニバーサル、ワーナーなどのポピュラー音楽、ディズニー、ソニー、パラマウント、20世紀フォックス、ユニバーサル、ワーナーの映画をダウンロードしている人たちにとっては、状況は一変するだろう。

昨年6月に公表され、ホワイトハウスや議員らに支持された了解覚書(MOU)の下、ISPは著作権侵害を疑われたユーザに勧告を送付する。

最初は『初期教育的ステップ(Initial Educational Steps)』と呼ばれる段階で、加入者は、著作権侵害が違法であり、ISPの利用規約違反であること、合法的な選択肢が存在すること、さらに著作権侵害を継続した場合にはISPアカウントの停止または終了もありうる、という勧告を受け取る。

次の段階は『確認ステップ(Acknowledgment Step)』と呼ばれ、上記勧告後に再び権利者から加入者に対し著作権侵害の報告があった場合、ISPは著作権警告(Copyright Alert)を送付する。加入者はその警告を受領したことを確認し、今後、自身のアカウントで違法な活動をしないことを誓約しなければならない。

こうした『教育的』試みに失敗すると、ISPは軽減措置著作権警告(Mitigation Measure Copyright Alert)を送付できるようになる。この通知では、加入者は再度確認を求められ、以前の警告を受け取っていること、ISPの利用規約に従い、加入者のアカウントに対して『軽減措置』が適用されることが告げられる。

軽減措置には、アップロードないしダウンロード速度の抑制、サービス品質の一時的な制限(ダイヤルアップよりちょっとマシな程度に)、加入者が更なる『教育』を受けられるためにライディング・ページのリダイレクト、そしてアカウントの停止などが含まれる。ISPはアカウントの停止に関して未だ合意しておらず、また、VOIP、電子メール、セキュリティ、テレビサービスの停止についても合意してはいない。

コンテンツ産業とISP業界との間で交わされた合意は、あくまでも任意であり、法的義務を負うものではなく、このスキーム実施の根拠となるのはISPの利用規約となる。

繰り返し警告をうけた加入者への措置として、アカウント停止ないし終了が選択肢に挙げられているが、これについてはコンセンサスがとれているとは言いがたく、またISP側に裁量が認められているため、ISP側も積極的には選択したくはないというところだろう。

日本でも類似したスキームが既に実施されている。ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF)の活動がそれに当たり、現在のところは、啓発(メールでの通知)を目的とし、速度抑制やアカウントの凍結、停止などは行われてはいない。

CCIFでは、ISP業界団体と著作権団体との間で、ファイル共有ソフト(Winny、Share)を著作権侵害用途で利用するユーザに向けた啓蒙スキームを構築している。おそらく、日本においてスリーストライク(段階的レスポンス)制度が導入された暁には、このスキームがスライドしていくことになるのだろう。

英国で裁けないなら米国に引き渡せ:英ビデオリンクサイト管理人、著作権侵害容疑で米国に引渡しへ

以下の文章は、TorrentFreakの「"Pirating" UK Student to be Extradited to the US」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:"Pirating" UK Student to be Extradited to the US
著者:enigmax
日付:March 13, 2012
ライセンス: CC BY

英国のビデオ・リンク・サイト TVShackの元管理人リチャード・オドワイアが、著作権侵害の容疑で、米国に引き渡されることになった。市民から怒りの声が上がったにもかかわらず、本日、内務相テレサ・メイは引渡命令を承認した。この23歳の学生は、これまで一度も米国を訪問したことはないのだが、今、彼は米国で数年間の懲役刑を科せられる可能性に直面している。

昨年、リチャード・オドワイアは、著作権で保護されたテレビ番組へのリンクを掲載したウェブサイト TVShackを運営したとして、警察に逮捕された。

英国最大の刑務所に拘留された後、彼は米国への引渡し要求と戦った。が、その戦いに勝利することはできなかった。

2ヶ月前、英国法廷は、彼の引渡しにゴーサインを出し、内務相テレサ・メイは本日、公式に米当局からの引渡し要求を承認した。

リチャードの母、ジュリア・オドワイアは、この判断にひどく失望し、息子が米国に「売り渡された」という。この引渡しは彼の人生を失わせるかもしれない。

「今日、また一人の英国市民が英国政府に裏切られました」と彼女は言う

「リチャードの人生-彼の研究、就職機会、経済的安定-は失われようとしています。回復までにどれだけの時間がかかるかわかりません。英国政府が、切望されていた引渡し法の改正を行わないためです。」

特定の状況において単に著作物にリンクする行為は英国では犯罪ではなく、この引渡しは議論を引き起こしている。2010年、リンクサイトTV-Linksの裁判では、情報の『単なる導管』とみなされ、サイト管理人は無罪となっている

しかし、米国での最近の判決は、それとは全く異なる。つまり、リチャード・オドワイアが米国に引き渡されれば、、米国で裁判にかけられたリンクサイトの運営者と同様の運命を辿ることになる。

今年1月、Ninjavideoの創設者 ハナ・ベシャラは、懲役22ヶ月(執行猶予2年)、500時間の地域奉仕活動、およそ210,000ドルの賠償を命じられた。また、同サイト管理人のマシュー・スミスも、懲役14ヶ月(保護観察2年)、172,000ドル超の賠償を命じられている

補足しておくと、2011年10月に、英米間の犯人引渡し条約に関する司法審査において、英米間の格差はなく公正なものであるとの判断が下され(これは英クラッカー ゲイリー・マッキノンの引渡しにも関係する)、今年1月には、地裁がオドワイアの米国への引渡しは妥当であるとの判決を下している

地裁判事は、「リチャード・オドワイアが北イングランドから一度も出たことがなかったとしても、彼の犯罪行為による直接的な結果が米国にもたらされていると言われている。そのような事態は、権限を持つ英国当局が法的措置を講じない限り、ここ英国において審理を要求するものではなく、私の判断において、米国での審理を許可する」としている

なお、記事本文中にもあるように、TV-Links裁判では、英国ではリンクサイトの運営によって著作権侵害には問われない、という判決が下されている。リチャード・オドワイアが運営していたサイトも、TV-Links同様に、コンテンツを自らが管理するサーバに蔵置していたわけではなく、たとえばYouTubeなどのビデオサイトにリンクを張っていただけであった。また、彼が運営するサイトは、米国のサーバを使用するものではなかったが、米国ドメインを使用していたという。

つまり、米国の引き渡し要求は、米国ドメインを使い、米国に被害をもたらしたと判断されれば、米国の刑事事件として裁ける(と米当局が考えている)ことを意味する。

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
表示中の記事
←前 →次
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。