スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

BitTorrentと海賊版とインディ映画製作者

以下の文章は、TorrentFreakの「Filmmaker: BitTorrent Pirates Help Us Get More Exposure」という記事を翻訳したものである。昨年12月の記事。

原典:TorrentFreak
原題:Filmmaker: BitTorrent Pirates Help Us Get More Exposure
著者:Ernesto
日付:December 14, 2011
ライセンス:CC BY

数日前、インディペンデント映画「The Inner Room」がBitTorrentに登場した。こうした出来事を脅威だと捉える映画製作者がいる一方で、同映画のプロデューサー マーク・ディスラーには全く正反対の出来事として捉えられた。数カ月間、彼は海賊たちが映画をピックアップするのを待っていた。そしてついに、彼の映画が新たな露出を得たのである。そして彼の映画は初めてIMDbムービー・メーターのトップ250入りを果たした。

MPAAなどの映画産業のロビイストは、海賊行為が大手スタジオだけではなく、小規模なインディペンデント・プロダクションをも傷つけていると主張する。

しかし、インディペンデント映画製作者 マーク・ディスラーは、そんなに白黒はっきりしたものではないという。先週、彼の映画「The Inner Room」がネット上に流出し、例のごとくたくさんの人たちがその映画をBitTorrentで共有し始めた。

1日と経たずして、5,000人のユーザが対価を支払うことなくコピーを手にした。一部の映画製作者にとってこれは最悪のシナリオである。しかし、ディスラーは彼らとは全く異なる見解を持っている。彼はBitTorrentでのダウンロードが、彼の血と汗と涙の結晶である映画を露出するための良い方法であると考えていた。

「5,000ダウンロードと言わず、500,000ダウンロードの方がありがたいかもしれません。もちろん、ディストリビューターは違うふうに考えているかもしれませんが。小規模な映画にとっての最悪の事態は、どの映画にも当てはまることでしょうが、全く無視されてしまうことです。500,000人に映画をダウンロードされようと、忌み嫌われようと、全く見られもしない、話題にものぼらないよりは良いと思うのです。」とディスラーはTorrentFreakに話した。

「もちろん、誰しもに忌み嫌われることはないでしょうから、何人かは気に入ってくれるでしょう。そしてたくさんの人にその映画を楽しんでほしいと思ってくれるかもしれません。さらに重要なのは、それについて話してもらうことです。そのバズはうまく行けば映画のセールスに変換されるかもしれません。また、特典のためにDVDを手にしてくれるかもしれないし、もっとダイレクトに、自分が本当に楽しんだ映画の製作者をサポートしようと思うかもしれない。」

ディスラーは、大半のインディペンデント映画はハリウッド大手の映画制作会社とは違って、雀の涙ほどの広告予算しかないのだと説明する。こうした映画にとって、BitTorrent『パイラシー』はプロモーションとして機能する。ディスラーは2年前、彼の友人の映画がパイラシーのお陰で爆発的に人気に火がついたのを見て、BitTorrentの力に思い知ったという。

「あなたが小規模な映画製作者で、広告費が全くなかったとしましょう。BitTorrentはあなたの映画を世に知らしめ、そうして人々の会話に乗る、何れにしても全てが広告になるのです。映画『Ink』の製作者ジャミン・ウィナンズ/ジャミン・カイオワのようになりたいのか、というのは興味深い質問です。この件に関しては、彼らと非常に近い考えを持っているのでしょう。」と彼は話した。

「The Inner Room」の公開に際して、自分たちでこの映画の海賊版を流してしまおうか、と話し合われたという。しかし、最終的にはプロに任せることにした。

「この映画がDVDでリリースされる2ヶ月くらい前に、この映画に関わった何人かから、この映画をBitTorrentに『リーク』すべきかどうか、という話を持ちかけられました。私も最初はそれはいいと思ったのですが、やり方がよくわからない。特に、こういうのはうまくやらなければなりません。となると、誰かを雇わないといけない。どうしようもない状態ですよね。」

「結局、私たちはいつかBitTorrentに上がるだろうと考えました。だから、私たち自身でアップロードする必要はない、と。それから2ヶ月が経ちました。ついに、ようやく、BitTorrentに現れたのです。今はこの映画が広まり、視聴され、楽しまれ、話題になることを祈るのみです。」ディスラーは言う。

これまでのところ、「The Inner Room」は「上々の」BitTorrent効果を引き出したようで、期待していたバズが生まれている。この映画が海賊の手にかかってからわずか数日のうちに、IMDbムービーメーターは大幅にランクアップし、現在250位につけている。映画「Ink」には遠く及ばない露出ではあるが、製作者らはBitTorrentパイラシーによって生み出されたパブリシティに満足しているようだ。

Update:マーク・ディスラーより、以下の声明を追加するよう要請があった。

初めに、私たちのウェブサイトに高品質ダウンロード版を追加することにしました。この映画のHDでのダウンロードはここが初となります。HDダウンロードで9.99ドル、SDダウンロードで7.99ドルです。リージョン制限は無いので、世界中どこからでもダウンロードできます。さらに、私たちをサポートしたいという方のためにドネーション・ボタンを設置しました。

また、私は以下の点について、明確にしておかなければならないと思いました。

  1. 私は北米での映画のデジタル・ライツを所有していません。ただし、私のウェブサイトでのダウンロード販売は除外されています。
  2. 私は「パイラシー」を容認しているわけではありません。単に、私たちのような極僅かな予算しか持たない映画に、BitTorrentは露出をもたらすものだと提案しているだけです。たとえ1万人がダウンロードしたとしても、9,900人かそれ以上は、それがなければ知らなかった人たちでしょう。そうなると、私たちは100人くらいの潜在的な「セールス/レンタル」を失ったことになるのでしょうか?そうは言っても、あくまでも潜在的なセールスです。実際のセールスがいくらだったかなど誰にわかりましょう。いいとこ、5本/回くらいではないでしょうか。それよりも、1万人に露出したことのほうがはるかに貴重ではないかと思うのです。それとも、私が間違っているのでしょうか?
  3. この映画をBitTorrentでダウンロードして、時間を損したと感じる人もいるかも知れませんが、この映画にお金を払わず済んでいるのですからハッピーでいられるのです。一方で、この映画を楽しんでくれた方は、寄付をしたり、私たちのウェブサイトからダウンロードしてくれたり、DVDを買ったり、単純に映画のことを誰かに話してくれるかもしれません。

支援をありがとう。プロデューサー マーク・ディスラー

スポンサーサイト

不正な法への反逆は万人の義務

以下の文章は、TorrentFreakの「It Is Everyone's Duty To Defy Unjust Laws」という記事を翻訳したものである。筆者はスウェーデン海賊党リック・ファルクヴィンエ。

原典:TorrentFreak
原題:It Is Everyone's Duty To Defy Unjust Laws
著者:Rick Falkvinge
日付:May 29, 2011
ライセンス:CC BY

しばしば、法律は従わねばならないものとしてある、という主張を耳にします。そう主張する人々は、社会に存在する最も危険な人々です。専制政治は法によって支えられるのではありません。規則と法律を信じ、法律条文にのみ追従する数多の役人によって支えられるのです。

一方、自己の責任を負う人々がいないわけではありません。意識的に自己の責任を負った人を遡れば、ソクラテスの時代に行き着きます。彼は初めて、現行法を越えて優先する道徳律があると主張しました。

法律、規則、命令への盲従の対極にあるものとして、自己の責任という概念を置いたことをお気づきになったかもしれません。もちろん、意図的にそうしています。命令への追従は、自己の責任を負わずに済む言い訳にはなりません。規則への盲従、法律への盲従も同じことです。

核災害、人命を損なう事故、開戦など、社会において重大な問題では、「私は規則に従っていただけだ」という言い訳は通用しません。 小さな問題でもそうでしょう。当局に袖の下を渡さなかったがために受注できなかったとか、クラスでただ一人、カンニングをしなかったがために落第したということもありえます。

命令、規則、法律が間違っていると考えるのであれば、それに逆らう義務がある。あらゆる戦犯が、絞首刑を前にそれを学んだでしょう。一方、多くのレジスタンスが、射殺を前に真逆のことを学んだでしょう。

ここから学べることは、誰かが作った規則や法律への盲従は懸命ではないということと、それと同じくらい、抵抗を誇示することが懸命ではないということです。合理的だと思える多くのことが、馬鹿らしいと思える規則によって禁止されてはいますが、行動の自由とバランスのちょっとした感覚を持ち合わせることで、それを実行に移すことができます。物事のあるべきかたちとして、万人の義務と言えるでしょう。規則を一般的なガイドラインとみなす社会は、法律や規則に盲従する社会よりも、隣人や市民にとって健全な社会となります。

つまるところ、あなたにはあなた自身の倫理基準が備わっているということです。法律に従うべきかどうかは、あなたが判断しなければなりません。これを考える上で、なぜその法律が作られたのかを考える必要があります。

法は正義のために作られるわけではない。誰かが政治的キャリアを積むために、法は作られる。

(これは、覆面で投石をする誰かの口から発せられた言葉ではなく、スーツとネクタイを見にまとった政治屋が口にした言葉です。)

いつの時代でも、通常、ほとんどの法律に従うことは合理的です。しかし、いつの時代でも、すべての法律がそうとは限りません。午前2時、人影も車もない交差点での信号待ちは、愚かなだけでなく、危険ですらあります。

著作権の独占は、そうした不当な法律の1つの例です。誰かを身体的に傷つけることを除いて、人類の知の共有を阻害すること以上に明確な悪を、私は知りません。文化や知の共有は、あなたにいかなる負担をもかけない、ただ人類を豊かにするものです。

こうした主張によって、私が法を破るよう奨励していると思われるかもしれません。ですが、それは違います。あからさまに違法なことをしろ、というわけではないのです。しかし、行動の自由の精神において、万人が自らの倫理基準に従い、人類が助けあうことを奨励しているのです。

それが、不正な法に逆らう、万人の義務ということです。

TorrentFreakは隔週でリック・ファルクヴィンエのコラムを掲載している。彼はスウェーデン海賊党の創設者であり、大のウィスキー愛好者、単車乗り。彼のブログ http://falkvinge.net では主に情報政策について語られている。

Twitterアカウントは@Falkvinge 、Facebookは /rickfalkvinge

言いたいことはわかるのだけれども、たとえがやや分かりにくい。ソクラテスのくだりが何を指すのかまではわからないけど、彼が死刑を受け入れた過程を指すのだろうか。彼は規則に盲従したわけなく、なぜ規則を守るべきかを突き詰めた末、自らの責任や信念のもとに従うべきという結論に至った、だから彼が従っていたのはメタ的には規則ではなく、自らの責任である、というのはわかる。

ただ、その後の「賄賂」や「カンニング」のたとえは理解しがたい。腐敗や不正が蔓延した状態にあっては、規則やルールを守ること(綺麗事につきあうこと)は合理的ではない、ということなのだろうか。だとしたら、賄賂を渡すことで亡命できたはずのソクラテスがそうしなかったのは、どういうことになるんだろう?

ルールや規則が存在しているが、しかし社会なり共同体が腐敗や不正を許している状況があるのであれば、逸脱の責任を個人に帰するべきではない、よってルールや規則を守るべき合理性はないとも考えられるが…。社会的ジレンマ問題のように。

うーん、多分、思い浮かべている比較的具体的な事象があって、それに即しての喩えなんだろうなぁ。おそらく、違法ファイル共有とか。たくさんの人がルール(著作権法)を守っていないのだから、ルールが間違っているのだ、よって律儀にそのルールに従うことは不合理である、ということなのかな。まぁ、単純にルールを破れとは言わず、「行動の自由とバランスのちょっとした感覚」で実行せよと含みを持たせてはいるけれども。

私個人としては、法による秩序に一定の意義を見いだしているので、法は守るべきだとは思うよ。だからこそ、恣意的な行使や濫用は許されないと思うわけで。

現実的には難しいけど、ルールがおかしいのであれば、あるべきかたちを模索して、ルールそのものを変えるべきだと思うし、不正が蔓延している状況がおかしいのであれば、不正を正すことが「不正な法に逆らう、万人の義務」なんじゃないのかなと思う。もちろん、海賊党が政治にコミットしようとしているのは、その現れでもあるんだけど。

それと、違法ファイル共有の文脈で言えば、共有しても違法とならない自由なコンテンツがたくさん生まれてきているのだから、そちらに目を向けようよとも思う。

この樹は腐ってる、切り倒すべきだと言いつつ、その樹の果実を期待するのはおかしい。…やっぱり、喩えってのは難しいね。

海賊予備軍を優しく諭し、改心させたアプリ開発者

以下の文章は、TorrentFreakの「App Developer Fights Pirate With Politeness」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:App Developer Fights Pirate With Politeness
著者:Ernesto
日付:May 19, 2011
ライセンス:CC BY

多くの大手音楽・映画業界団体が、コンテンツをコピーする人々に銃をぶっ放し、しばしば泥棒だ犯罪者だとレッテルを貼る。しかし、そうした人たちは、正規のお客さんでもある。あるアプリ開発者は、音楽・映画業界団体とは別のルートを取り、潜在的な海賊ユーザを礼儀正しく粉砕した。

パイラシーは、コンテンツ・クリエイターに複雑なジレンマを突きつける。自らの作品で生計を立てているのであれば、その作品が無料でコピーされていることを好ましくは思わないだろう。しかし、このご時勢、そうされないことの方が深刻な状況とも言える。つまり、誰も価値を見出していないことを意味するのだから。

また、『海賊ユーザ』が、正規の購入者でもありうると理解すれば、状況はさらに複雑になる。以前にお伝えしたように、音楽海賊ユーザは、正規の音楽購入に多くのお金を費やしている。ある意味、海賊ユーザを非難することは、その人の最大のファンを非難することでもある。

では、そうした様々な側面を持った海賊ユーザに出会ってしまったとしたら、コンテンツ・クリエイターはどのようにアプローチするのだろうか?

アプリ開発者であり、ウェブサイトThe Fucking Word of the Dayのオーナー クリス・ベーカーの例を見るに、対決的、しかし礼儀正しくというのが、良い選択をもたらしうることがわかる。昨日、クリスはxSellizeフォーラムにて、海賊予備軍を発見した。その海賊予備軍は、以下のようなリクエストを投稿していた。

「どなたか、 The F-ing Word of the Dayのクラックをお願いします。」

多くのコンテンツ・クリエイターがこのメッセージを読めば、うんざりするか、怒鳴りつけたくなるのかもしれないが、クリスはより平和的な答えを選んだ。彼は、投稿者「HiDefinition」に返信した。

「こんにちは!私が*** Word of the Dayの、もっと正確に言えば F-ing Word of the Dayアプリのクリエイターです。まずはじめに、お褒めの言葉をありがとう!私はいつも、誰かが私の製品を割ろうとしているタイミングで居合わせてしまうようで。」

クリス・ベイカーは、彼がニューヨークで仕事をしているが、決して裕福ではないと説明を続ける。彼にとってアプリとウェブサイトは、自由になる時間を費やして熱心に続けているプロジェクトで、みんながそこから何かを学び取ることを願っているという。それから、彼は海賊予備軍に事実上の承認を与えた。

「それで、私が何を言いたいかというと、アプリを割ってもいいよ、と。このプログラムには1500ドル掛かりました。私の1ヶ月分の家賃というほどではありません。でも、もし私のサイトがクールだと思ったなら、ステラ・アルトワ(ベルギーのビール)の8分の1くらいだしてもいいと思うなら、私に99セント払ってください。そうしてくれたら、大喜びして、飲みに行っちゃいますよ。」

これは、HiDifinitionが望んでいた返事ではなかったかもしれない。しかし、インパクトはあったようだ。タダで割れアプリを手に入れる目論見は、突然、以前ほど魅力的には思えなくなったようだ。

HiDifinitionは以下のようにリプライした。

「わっ、 開発者の方がコメントくださるとは思いませんでした。あんなリクエストを出してしまって、すみません。クレジットカードもなく、バンキングサービスも利用していなかったので、IPA(iPhone App?)をタダで手に入れようとしてしまいました。でも、あなたの考えを見て、契約しようと思いました。支払いできるようになるには、少し余分にお金がかかてしまうかもしれませんが、私もステラ基金に貢献したいと思います。」

「また、あなたからの返信に心から感謝し、あなたの取り組みをサポートしたいと思います。あなたのアプリがクラックされないことを祈りつつ、あなたへのリスペクトのため、リクエストは取り下げさせてもらいます。クリス、改めてありがとう。ご多幸を。」

クリスの礼儀正しい返答により、彼は少なくとも1人の海賊予備軍を排除した。しかし、これで終わりではなかった。クリスはHiDifinitionからの99セントを心待ちにするのではなく、彼にギフトとしてアプリを送ることを約束し、その代わりにポジティブな評価を依頼した。

そして、クリスはこう締めくくった。

「このスレッドが、あなたにとって、オンラインで起こった「予想外」の1つとして記憶されることを望みます。私は予想外が好きなんです。それに、語彙を覚えるなんてくだらないことでも、人をハッピーにすることが好きなんですよ。」(註:彼のアプリは"sex, drugs, and swearing"な英単語が学べるアプリ)

確かにこのスレッドは忘れ難い。この一件は、銃をぶっ放す戦略が必ずしも最良の戦略ではないことを示しているのかもれしれない。特に、インディペンデント・コンテンツ・クリエイターにとっては。もちろん、必ずしも『海賊ユーザ』を優しく扱うべきだというわけではない。しかし、時にバランスのとれたリアクションを試してもても良いのかもしれない。

TorrentFreakは、クリス(彼はRedditでもたくさんの出会いを共有している)にコンタクトをとった。彼は、誰かが自分のアプリを割ろうとすることは想定していたし、問題だとは思っていないと話した。

「誰かが私のアプリを割ろうとすることはわかっています。誰にも割られないより、割られる方がいいんですよ。もし誰も割ろうとしないのであれば、誰も必要とはしていないということですから。」とクリスは言う。

実際、クリスは海賊版ソフトの使用経験があると認めている。彼は、モラルの問題は開発者が決めることではなく、「海賊ユーザ」が自分自身に問いかけることだと考えている。

「アプリ割れのモラリティは、永遠に答えのでないトピックだと思います。」とクリスはいう。「飢えた子どもが食べるためにパンを盗んだとして、これは悪いことなのでしょうか?飢えたデザイナーがPhotoshop700ドル版を割ったとしして、それは悪いことなのでしょうか?」

「クリエイティブなストーリーテラーは、どんなストーリーでも2つの側面を見せる物語を生み出すものです」。

欧州委員、国家や企業を超えた、クリエイターと市民のための著作権改革の必要性を訴える

以下の文章は、TorrentFreakの「European Commissioner Lambasts ‘Copyright Middlemen’」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:European Commissioner Lambasts ‘Copyright Middlemen’
著者:Ernesto
日付:November 10, 2010
ライセンス:CC by-sa

ネーリー・クロース欧州委員(デジタル政策担当)は、著作権ミドルマンとコンテンツ・ゲートキーパーらが淘汰のリスクを抱えていることを警告している。彼らがセットアップした制限的なシステムは市民を苛立たせ、「違法コンテンツによって生み出される空白」が維持される、著作権に対する新たなアプローチこそが答えであると彼女は言う。これは「企業人的自己利益」の先を見据えたものとなる。

先週金曜に開かれたForum d'Avignon - Les rencontres internationales de la culture, de l'economie et des medias(文化・経済・メディアに関する国際会議)にて、ネーリー・クロース欧州委員(デジタル政策担当)は、文化の保存が権利者によって、いかに制限されているかについて、実に興味深いスピーチをしている。

「歴史上、今ほど境界を越えることが容易な時代はありませんでした。全てのアーティスト、クリエイターに素晴らしい機会が与えられていると言えます。もはや芸術には我々の感性以外の制限はないのですから。」とクロースは言う。「芸術は、たとえば国を分かつ国境のような、人と人の間にある人為的な障壁を取り除くことで、それ自体がますます豊かなものとなります。」

この惑星における最もパワフルなツール-インターネット-が普及したことにより、その境界はますます容易に乗り越えられるようになってきている。

だが、(文化的)情報の自由な流通は、その情報にどこで、どうやってアクセスするかをコントロールすることで成り立つビジネスの基盤を揺るがすものとなる。しかしクロースは、企業利益のために著作権を擁護し、搾取する多くの企業について言及しつつ、こうした「コンテンツ・ゲートキーパーと仲介者」の地位は、インターネット革命によって弱められているとした。

「好むと好まざるとに関わらず、コンテンツ・ゲートキーパーが文化的財産の創造者と消費者のニーズに適応できなければ、彼らは淘汰のリスクを負うことになります。」と彼女は警鐘を鳴らす。

著作権がアーティストに対し、金銭的に報いることのできるシステムとして、それ自体が歴史的に証明してきた点について触れつつも、文化の保存を望む人々がフラストレーションを募らせてきた側面にも触れている。

クロースは、Europeanaポータルにて文化的作品のデジタル化を進める上での「デジタルな悩み」について言及し、複雑な法的枠組みに雁字搦めにされ、著作権者によって管理されている20世紀のモノやメディアの許諾、ライセンスの取得に大きな問題を抱えていることに憂慮しているという。

「今日、私たちの崩壊した著作権システムは、芸術の本質に適応できていません。つまり、そこにフロンティアは存在しないのです。そのシステムは、アーティストよりもむしろ、その仲介者に強力な役割を与えることになりました。」とクロースは言う。

「アーティストが触れて欲しいと願うモノに市民がアクセスできないことがしばしばあり、市民を苛立たせることになります。それこそが、違法コンテンツによって生み出される空白を維持し、アーティストが手にするべき報酬を奪っているのです。また、著作権執行は、プライバシーやデータ保護、ネットの中立性といったセンシティブな問題に、しばしば関わってきます。」

さらにクロースは、権利者たちが自らの既得権益を守るために不都合な意見を無視する一方で、著作権問題を「数百万の市民を泥棒扱いするような道徳的な問題」に落とし込んで議論していると主張する。

クロースは、そうしたアプローチではサステナビリティは見込めないとして、「国家的、企業人的な自己利益」を超えた著作権改革こそソリューションであると主張した。

彼女は最後にこう話した。「アーティストと市民が、二人三脚で一歩一歩前進してゆくことになるでしょう。アーティストは、私たちの世界を光で照らしてくれます。私たちの使命は、その光をさらに輝かせることにあるのです。」

ゲーム製作者から違法ダウンローダーへ:「年に1本からでもいい、ゲームは買うようにしよう」

以下の文章は、TorrentFreakの「Game Dev: Sometimes It’s OK to Steal My Games」という記事を翻訳し、私heatwaveが加筆したものである。加筆箇所は破線の枠内。

原典:TorrentFreak
原題:Game Dev: Sometimes It’s OK to Steal My Games
著者:Ernesto
日付:August 04, 2010
ライセンス:CC by-sa

ほとんどのコンテンツ製作者はパイラシーの負の側面だけを見る。しかし時折、我々はまれな例外に遭遇する。Spiderweb Softwareの社長でありヘッドプログラマーのジェフ・フォーゲルは、パイラシーが絶対的な悪だとは言い切れないという。彼は自身のゲームを割っても構わないと思えることもあるとして、その理由を説明した。

多くの映画、音楽産業団体によるアンチパイラシー活動について、我々TorrentFreakしばしばお伝えしてきたが、パイラシーはゲーム産業においても蔓延している。

昨年、最も違法ダウンロードされたPCゲームは4,100,000回ダウンロードされたが、おそらくこの記録も2010年に更新されるだろう。

違法ダウンロードがゲームパブリッシャーの収益にどのような影響を与えているのかは、判断が難しい問いである。つまり、違法ダウンロードがなかったとして、そのゲームを何人が購入しただろうか?また、ゲームの違法ダウンロードは今日の体験版として機能し、ゲームの購入を促すという可能性はないのか?

今のところ、これらの問いに答えは出されてはいない。しかし、誰もゲームにお金を払わなくなれば、産業は滅びるということは言えるだろう。とはいえ、これまでのところ、産業滅亡の兆しすら見てはおらず、むしろ昨年は記録的セールスさえお目見えしたくらいだ。

ゲーム産業で働く全ての人が、パイラシーを絶対的な悪だと考えているわけではない。もちろん、ゲームの収益によって生計が成り立っている人なら誰だって、海賊版ではなく正規版を購入する消費者を好むだろう。しかし、中には前者から『得るもの』があると考えるデベロッパーもいる。

Spiderweb Softwareの社長でヘッドプログラマーのジェフ・フォーゲルは、丁寧に綴られたブログエントリの中でその理由を説明している。「このブログエントリは、海賊版ソフトウェアの陽の側面について書いたものです。私のゲームを盗んでも構わないというだけではなく、そこから得るものがある、そんな時代のお話です。おそらく、ゲームデベロッパーからこんな話をするというのも滅多ないことでしょう。」

ジェフはエントリの冒頭で、この話題に触れることで、違法ダウンローダーにお金を支払わなくても良いと確信させてしまうことを懸念しながらも、彼の視点からゲームビジネスを語るには、パイラシーの問題は避けて通れないのだという。

「みんながやりたいようにやった結果、どうなってしまうのか?」、彼はこれを、ある行為の道徳性をはかるための問いだと考えている。つまり、ほとんどの人がゲームにお金を支払わなくなれば、メーカーはこれまでのようなゲームを作ることはできなくなり、広告ベースのFlashゲームのようなものばかりになってしまう、と。彼はFlashゲーム自体を否定するわけではないが、彼自身Starcraft 2のようなゲームが好きだという。 そして、広告だけでStarcraft 2は作れない、と。

だから彼は「もちろん、パイラシーの大半は悪いことである」という。パイラシーを正当化したり、それが良い行為であるかのように主張されることもあるが、それに対して彼はこう述べる。「たくさんのクールなものをタダで手に入れることもできます。もしくは、倫理的に尊敬される存在になることもできます。ただし、両方を満たすことはできないのです、滅多には。」

ジェフは、ゲームの違法コピーの大半は、産業に利益をもたらさないことを認める一方で、その現象の陽の側面も認めている。「正直にお話ししますと、パイラシーは絶対的な悪ではないと考えてしまうようなことが時としてあることを、認めざるをえません。たとえ奪い取られたのであっても、私はそこから得るものがあるのです。」

彼は説明を続ける。彼はしばしば、ネットカフェで彼のゲームを楽しんでいるというロシアや東南アジア、インドの人たちからメールを受け取るのだという。しかし、彼らには正規版を買うだけの余裕がない。中には、どうしてもゲームが欲しいと言って、シリアルを無料でくれないかと懇願されることもあるそうだ。

中には騙しがあるのかもしれないが、ほとんどは心からの嘆願であるとジェフはいう。その理由として、海賊版を入手したいなら、いくらでも、簡単にそうするだけの手段はある、と指摘する。

「こうしたメッセージを受け取ると、『俺のイカれたゲームを割ってくれよ!』と伝えたくなります。つまり、まじめな話、電子メールを書き上げるための使った時間を、BitTorrentの使い方を学ぶために割いた方が彼らにとってよっぽど有益だったはずです。」

ジェフは無料でシリアルを提供することはしなかったが、メールの差出人たちがBitTorrentで無料のコピーを手に入れることを望む。彼の作品を楽しめるようにと。

「しかし、こうした子どもたちが私のゲームの海賊版を手に入れていてほしいと心から願うのです。[…] 世界的な金融秩序の気まぐれのせいで、どうやっても私のゲームに手が届かない人たちがいる。そんな人たちが私のゲームを楽しんでくれたとしたら、私はそこに生きる喜びを感じます…。」

これは第三世界の国々に限った問題ではない。富める国に住んでいても、日々の食事にすら困っている人々は数限りなくいる。ジェフはそうした人々が彼のゲームをダウンロードし、個人的に使用したとしても、気にはしないのだという。

「長期の失業、破産などに直面した人々も、私のゲームに支払うだけのお金は持っていないでしょう。そんな人たちが、海賊版であれ私のゲームをプレイして日々の苦悩を一時的にでも忘れられるのなら、素晴らしいことです。少しでも助けになるのなら嬉しく思います。」

ジェフの考えは実に筋が通っている。彼の考えに同意する人は少なくないだろう。彼が話している状況では、パイラシーはセールスを害することはない。その人々はゲームを購入するだけのお金を持っていないのだから。

しかし、明確な線引きもまた難しい。たとえば、ゲーム好きの子どもがいて、月に1本だけゲームを購入し、もう1本をBitTorrentで手に入れていたとしよう。その子どもは、年に12本のゲームを購入し、12本のゲームを違法ダウンロードする、それはフェアなのだろうか?

ジェフは、もし可能なのであれば、ゲームの購入を検討すべきだと結論づける。「もし、君がPCゲームが好きで、でもいつも違法ダウンロードしているのだとしたら、年に1本、ちゃんと買うところから始めて欲しいのです。1本でいい。お願いだから。君の好きなものが、これからもあり続けるためには、そうでなきゃいけないんです。」

そうすることで、自分自身の高潔さを感じることができるかもしれないとジェフはいう。しかし、最終的には、そうすることで、自分の利益、つまり大好きなゲームをこれからも続けられることに繋がっていると理解してほしいという。

では、どんなゲームにお金を支払うべきか?ジェフはこう答える。「たとえば私のような、家族を支えるだけで精一杯な弱小インディメーカーをサポートすべきだと考えたくなるかもしれません。しかし、そうは思えません。Starcraft 2を作った人たちにも家族がいるのです。報いるべきだと強く感じたゲームを購入するのです。あなたに最高の楽しさを与えたゲーム、産業に前進をもたらしたゲーム、あなたをフェアに扱ったゲームに、お金を支払うべきなのでしょう。」

最後に彼はこのように書いている。「パイラシーは絶対に正しい、絶対に悪い、とお怒りの方もいるとは思います。でも私がここで言いたいのは、現実をもう少し考えてみてもよいのではないか、ということなのです。」ゲームの収益はそれに携わる人の、その家族の生活を支え、次のゲームを作る基礎となるという現実、そして自分の力ではどうすることもできない貧困によりゲームを正規購入することもできず、しかし海賊版で日々の苦悩から一時の解放を得ているという現実、その現実から目を背けて正当化したり批判したりすることは容易だが、行為の背後に潜む問題を無視するだけのことなのかもしれない。

そして、ジェフはこう続ける。「最後にもう一度、あなたはたくさんのクールなPCゲームをタダで手に入れることもできるし、尊敬すべき存在でいることもできる。その両方を満たすことはできない。時には、ソリューションの側に立ってみてはいかがでしょうか?」

あなたはどう思う?

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
表示中の記事
→次
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。