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EU:録音物の権利保護期間延長についてのFAQ(素直にレーベル儲けさせる為ですって言えばいいのに)

以下の文章は、Europaの「Directive of the European Parliament and of the Council amending Directive 2006/116/EC on the term of protection of copyright and certain related rights – Frequently Asked Questions」を翻訳したものである。

原典:Europa
原題:Directive of the European Parliament and of the Council amending Directive 2006/116/EC on the term of protection of copyright and certain related rights – Frequently Asked Questions
日付:September 12, 2011

著作権・関連権利保護期間に関する欧州議会および委員会指令 2006/116/EC の修正指令 FAQ

修正指令の主な構成は?

演奏者の著作権が50年から70年に:この指令は、著者の著作権保護期間(現在は著者の死後70年間)と演奏者の保護期間(現在は演奏後50年間)の格差を是正するものです。演奏者は現在より長い期間の報酬を約束されます。(詳細は以下に)

演奏者の収入を改善する追加的措置

  • この指令は、複数の付随的措置により演奏者の地位を強化します。通常、演奏者はレコード製作者に権利を譲渡するため、これらの措置は演奏者が保護期間延長から追加収入を得ることを確実にします(セッション・ミュージシャン・ファンド)。
  • 加えて、レコード製作者が録音物を市場に出さない場合には、演奏者は権利を取り返し、自ら市場に出すことができます(『use it or lose it』条項)。
  • 最後に、レコード製作者は最初の50年間が過ぎた後、主演演奏者(featured performers)に支払うロイヤルティからの控除を認められなくなります(『clean slate』)。

本日採択されたこの指令は、2011年5月に知的財産権に関する戦略委員会にて公知されたものです。

http://ec.europa.eu/internal_market/copyright/docs/ipr_strategy/COM_2011_287_en.pdf

保護期間の70年間への延長は、どのように機能するのですか?

この指令は、Directive 2006/116/ECを修正し、演奏家の著作権保護期間を70年まで延長するものです。現在のEU法では、記録された音楽の演奏は、レコードへの固定から最大で50年間保護されています。たとえば、50年の保護期間内であれば、放送やバー・ディスコなどの公共の場で作品が演奏されるたびに、演奏者は支払いを受けます。50年を過ぎると、演奏者は自らの演奏の使用についてのコントロールを失い、作品から収入を得ることはなくなります。

大部分の演奏者は、20代前半またはそれ以前にキャリアをスタートします。今日のEUにおける平均寿命は、男性で76.4歳、女性で82.4歳です。このことは、豊かな80代を過ごす演奏者が、自らの創作から利益を享受できなくなることを意味します。人生で最も脆い時期に保護期間が満了するためです。

一方、作曲家と作詞家の著作権は、人生を通じて保護され、死後70年間続きます。採択された演奏者の保護期間の延長は、欧州のアーティストがより公正な扱いを受け、彼らの生涯にわたって、自らの演奏からの安定した収入を約束します。

保護期間延長の付随的な措置は、どのように機能するのですか?

この指令では、演奏者に利益をもたらす付随的な措置を導入し、自らの作品に対する更なるコントロールを与えるものでもあります。

  • 買取契約のセッション・ミュージシャンへの20%ファンド(A 20% fund for session musicians, paid by the record companies):この報酬は、一回限りの支払いにより自らの権利を売るよう強いられた演奏者が、延長期間に追加の支払いを得ることを保証するものです。このファンドは、保護期間の延長の恩恵を受けるすべてのレコードに適用されます。
  • 『使わねば失う(use it or lose it)』条項:これは、レコード会社が当該の録音物を市場に出していない場合、その権利の権利を演奏者に譲渡しなければならないというものです。レコード会社が演奏者の要請があるにもかかわらず、レコードを市場に出さないのであれば、演奏者は自らの権利を取り返し、自分自身でレコードを市場に出すことができます。
  • 『白紙(clean slate)』規定:これは、延長期間中、レコード製作者が主演演奏者(featured performers)に支払うべき契約上のロイヤルティから、いかなる控除をも認めないというものです。

どれくらいの演奏者が、この修正指令の影響を受けますか?なぜ現在の状況を緊急に変える必要があったのですか?

現在の50年間の保護期間に変更がなければ、英国だけで今後10年間で約7,000人の演奏者が、自らの演奏の放送に対するロイヤルティを失ってしまいます。

こうした演奏者の大多数は、そのキャリアの中で数百万ポンド/ユーロを稼いだ著名なロックシンガーではありません。たとえば、50年代後半や60年代に録音に貢献した無名のセッション・ミュージシャン(1回きりの録音のために雇われ、録音の際に1度きり支払いをうけたミュージシャン)はたくさんいます。

保護期間が延長されなければ、こうしたミュージシャンたちは、彼らの年金生活に貢献していた放送からのロイヤルティを受け取ることができなくなるでしょう。まさに、オンライン販売が新たな収入を約束せんとしているときに、彼らは保護を失ってしまうのです。

委員会の影響調査では、保護期間の延長により、平均的な演奏者が年間150ユーロから2000ユーロ(約1万6千円~21万円)の追加収入を得ることが示されています。これらの額は、主に放送からのロイヤルティによるもので、ビッグミュージックスターにとっては大した額ではありませんが、多くの音楽演奏者、特にセッション・ミュージシャンにとってはかなりの額になります。

延長の結果、消費者が音楽に支払う額は増えるのですか?

小売価格が上昇するに足る理由はありません。

実証的研究では、著作権保護期間が満了した録音物の価格は、保護期間中の録音物の価格に比べ低くないことが示されています。ある研究では、著作権保護期間内の価格と、保護期間満了後の価格とでは、体系的な違いは見られないと結論づけられています[pdf]。

また、この研究では、録音物の価格は、たとえば演奏者の個々の楽曲の人気や、楽曲を録音した時点での演奏者のキャリア段階など、保護期間以外の多様な要因が関わっていることを指摘しています。たとえば、保護期間の満了した演奏者の初期の楽曲が、それ以降に録音されて保護期間内にあるが人気は低い楽曲よりも、高額であることがあります。

保護期間の延長は、放送局が支払わなければならないロイヤルティの額に影響を及ぼさない:放送局が使用する全ての公演権(public performance right)は集合的に管理され、収入に準じた使用料を支払います。これは、何人の演奏者が保護されているかに関わりありません。放送局は、録音物を『楽曲単位で』クリアにはしていないのです。

また、放送局は収入の1パーセントに満たない額を音楽業界に支払っていることも強調されねばなりません。このような状況では、著作権が放送局に与える経済的な影響は、最小限に留まります。

この証拠に基づき、私たちは保護期間を調和させることで、価格にネガティブな影響を及ぼすとは考えていません。放送局やバー、ディスコにとって、演奏する作品がパブリック・ドメインであるかどうかによって、ライセンス料が変わることはありません。音楽を購入、ダウンロードする消費者にとって、フィジカルであれダウンロードであれ、パブリック・ドメインであるかどうかによって、価格にネガティブな影響を及ぼすこともありません。

歴史的なアーカイブに影響はありますか?これらはオンラインで利用できますか?

演奏者の保護期間の延長は、伝承のための歴史的放送アーカイブを利用可能にするプロジェクトに影響を及ぼしません。これらのアーカイブは、演奏者の徴収団体が与えた包括ライセンスによってカバーされています。過去の演奏者を見つけられなくても、徴収団体は演奏者の取り分を保持し、その所在を突き止めようとします。これは放送局が抱える問題ではありません。

既にレーベルに権利を譲渡した演奏者はどうなりますか?

この保護期間の延長に加え、レーベルが今後録音物を市場に出すことを望まないのであれば、演奏者が自らの権利を回復できる条項があります。これは一般に『使わねば失う(use it or lose it)』条項と呼ばれます。この条項は、演奏者が過去の楽曲を自ら市場に出すための公的な権限を与えます。

いずれにせよ、延長された期間に入っても、レコード製作者ないし演奏者が、1年以内に録音を市場に出すことにいかなる関心も持たないのであれば、その録音は保護されません。自由にパブリックユースすることができます。

またレコード産業は、販売収入の一部を蓄え、それを買取契約を交わした演奏者に、延長期間の開始から分配しなければなりません。さらに、(訳註:保護期間延長分の)放送ロイヤルティと私的複製補償金は、レコード製作者に分配されません。セッション・ミュージシャンはしばしば、その老年期に、これらの収入を主要な年金として頼っています。放送ロイヤルティは、演奏者の徴収団体の収益の57%を占めます。

レコード製作者も、この保護期間の延長から利益を受けるのですか?

はい。保護期間の延長により、レコード製作者は店舗及びインターネットでのレコードセールスから使いの利益を上げます。これは、激減するフィジカル・セールス(過去5年で-30%超)と成長の鈍いオンライン・セールスといった急速に変化を続けるビジネス環境に製作者が適応するために必要になります。

著作権の拡張は、独占の延長につながりますか?

いいえ、録音の著作権は独占ではありません。録音物の著作権は、その所有者に独占力を与えません。聴衆にとって、代替可能な録音物はそこかしこに多数あります。著作権で保護された録音物は、しばしば別の保護された録音物と、そしてパブリックドメインの録音物との競争に晒されています。それにより、価格が抑えられます。

共著作品(co-written works)とは何ですか?この指令がそれらをどうするのですか?

「共著音楽作品(co-written musical composition)」は、数人の著者の貢献から成る音楽作品です(たとえば、1人が作曲し、もう1人が作詞した楽曲)。音楽作品の60~70%がこうした共同作品であると推定されています。こうした共同音楽作品の保護については、EU加盟国ごとに異なっており、ある国では共同著作による単一の作品として分類され、保護期間が定められ、別の国では、個々の作品として著者ごとに別々の保護期間が定められています。つまり、同じ楽曲でありながら、加盟国によって保護期間が異なることもありうるのです。

たとえば、オペレッタ『ジプシー男爵』は1899年に没したヨハン・シュトラウスによって書かれたものですが、リブレット(歌劇の台本)の著者の1人 レオ・スタインは1921年に没しています。ドイツでは、曲は1921年にパブリック・ドメインになりましたが、詩は1991年まで保護されていました。ベルギーでは、全てのオペレッタが1981年まで保護され、イタリアでは1977年末まで保護されていました。

本日採択された指令は、保護期間の計算方法を調和させるもので、歌詞の著者または曲の作曲者のうち、最期まで生き残った著者の死後70年を持って保護期間を満了するというものです。

採択された指令は、以前の委員会提案とどこが違うのですか?

欧州議会にて大差で票決されたように、採択された指令はこの提案に従っています。

演奏者およびレコード製作者の著作権保護期間の延長について、当初の委員会提案では95年と設定していましたが、最終的な合意では70年となりました。第二に、セッション・ミュージシャン・ファンドと『use-it-or-lose-it』条項が、一時的な措置ではなく恒久的な措置となります。第三に、レコード製作者が主演演奏者に支払われるロイヤルティから控除することを防ぐ、『clean slate』が導入されました。

委員会は、最終的な結果が非常に良い折衷案であると考え、歓迎しています。

知的財産権に関する詳細はこちらから

http://ec.europa.eu/internal_market/copyright/term-protection/term-protection_en.htm

わざわざ反論を考えるのも馬鹿らしくなる。回りくどい理屈が並んでいるが、こんなものは、レコード会社が虎の子60年代の録音音源の権利、そこから生み出される利益を手放したくないがためにねじ込んだ延長でしかない。もちろん、これに賛成する国は、経済的理由から延長を支持しているんだろう(ちなみに、オランダ、ルーマニア、ベルギー、スロヴァキア、スロヴェニア、スウェーデンは反対、オーストリア、エストニアは棄権)。なんだかんだで金の話。

老人となったカワイソウなミュージシャンたちを救うために、なんてお為ごかしを建前にしているが、そんなものはミュージシャンに限らず社会保障で何とかしろって話だし、そんなに救いたいなら業界で共済、互助会なり、支援団体でも作ればいい。これまで延長推進派が主張してきた「保護期間の満了で困窮する老齢ミュージシャン」が実際にいるのだとしたら、50年前の録音に頼らねば生きてはいけないという音楽産業の構造に、問題の根幹がある。その辺りを放置して、構造改革もないままに社会システムに尻拭いさせるという、建前としてもgdgdすぎる話。

今回の延長については、学識者らが以前から批判の声を上げている。今回の採択に際し、英ボーンマス大学 知的財産権政策・管理センターのマーチン・クレッチマー教授は、以下のように記している。

多くの演奏者団体と徴収団体が、この指令を支持しているのは当然でしょう。彼らがコストを担うのではなく、一般市民が10億ユーロ(1045億円)を上回る負担を強いられるだけなのですから。(これは委員会が出した数字に基づく試算です。この試算については、Centre for Intellectual Property Policy & Management (CIPPM, Bournemouth University), the Centre for Intellectual Property & Information Law (CIPIL, Cambridge University), the Institute the Institute for Information Law (IViR, University of Amsterdam), and the Max Planck Competition and Tax Law (Munich)の共同学術声明を参照のこと[pdf])

期間延長により生じる経済的利益の72%は、レーベルに渡ります。残りの28%はアーティストに渡りますが、、お金の殆どはスーパースターが手にします。欧州委員会がプレスリリースでいうところの「人生の終わりに経済格差」に直面するミュージシャンに渡るのは、わずか4%です。

Copyright Term | Centre for Intellectual Property Policy & Management | Bournemouth University

ここで挙げられている共同声明は、2008年10月に出されたものなのだが、欧州委員会による上記のFAQは殆ど変わってはいない。この共同声明では、欧州委員会のFAQそれぞれに対して詳細に反論しているので、興味のある方は是非。

Joint Academic Statement on Term Extension (CIPPM/CIPIL/IViR/MPI-IP), 27 October 2008 [pdf]

結局のところ、レコード産業が儲け続けるために保護期間の延長がゴリ押しされたのである。単にミュージシャンの救済だけが目的なら、レコード産業自らが進んで契約等の見直しをしているだろう。また、延長による利益が100%ミュージシャンの手元に行くとなれば、レコード産業がこれほど熱心に注力することもなかっただろう。

あと、しれっと楽曲は共同著作物だとして、作詞、作曲の著作権保護期間の長い方に合わせることになりました、と。

補足

レコード会社による控除を認めないという『clean slate』が少しわかりにくそうなので補足。

演奏者が受け取るロイヤルティ(いわゆる印税)は契約でレートが決められているのだが、ロイヤルティは単純に希望小売価格と出荷枚数にロイヤルティレートを掛けて算出されるわけではない。レコードレーベルとの契約において、各種控除が設けられる。

パッケージCDの場合のロイヤリティは、SLRP(希望小売価格-Suggested List Retail Price)に対してのパーセンテージで計算される。 アメリカでは、多くの新譜のSLRPは、通常$16.98(実売価格はこれより安い。それとこの記事は昨年のもの)。で、アーティストにはこの価格の10~14%のロイヤリティが支払われる。しかし、まるまる$16.98が計算基準額ではなく、契約上様々な控除がなされる。

まず、パッケージ控除25%が差し引かれる。

$16.98×25%=$4.25 $16.98-$4.25=$12.73

次に、破損控除。これはアナログレコード時代の名残だそうで、ここでは10%と捉えている。

$12.73×10%=$1.27 $12.73-$1.27=$11.46

まだある。技術開発の控除。これが25%。CDは20年前にできたにも拘らずいまだに新技術と捉えているそうだ。

$11.46×25%=$2.87 $11.46-$2.87=$8.58

したがって、この$8.58を基準として、10~14%のロイヤリティが支払われるということだ。

また音楽配信関係 - ぽいずソ

これは米国の例だが、欧州にも同様に控除がある。ちなみに日本にも、ジャケット控除、出荷控除といった控除がある。今回の保護期間延長において延びた20年間については、どのような契約であったにしても一旦白紙に戻して、レーベル側が求める控除を認めませんよ、ということ。レーベル側からすれば、それで切れるはずの権利を維持できるなら安いものである。

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欧州: 実演家の権利保護期間延長にむけて動き出す

以下の文章は、Open Rights Groupの「COPYRIGHT TERM EXTENSION - YOU CAN HELP STOP IT」という記事を翻訳したものである。

原典:Open Rights Group
原題:COPYRIGHT TERM EXTENSION - YOU CAN HELP STOP IT
著者:Peter Bradwell
日付:April 13, 2011
ライセンス:CC BY-SA

2009年、Open Rights Groupは、音楽著作権(実演家の権利)の保護期間を50年から70年に延長しようと提案されたEU指令に強く反対し、キャンペーンを展開した。この提案は、延長すべき根拠を全く欠くものであった。

にもかかわらず、この提案は権利者たちの強力なロビイングを受け、2009年4月23日に欧州議会を通過した。著作権政策は的確な根拠を必要としないことを示す新たな一例が加わった。今週、この計画は再び欧州理事会に持ち込まれ、すぐにでも法律になってしまうかもしれない。

そこであなたの出番だ。たくさんの人たちが自分の国の欧州議員たちに手紙を送り、欧州議会によるこの指令の適切かつ詳細な精査を行うよう求めることで、このプロセスに歯止めをかけることができるかもしれない。欧州議会議員クリスチャン・エングストロームは、『request for renewed referral(訳註:適当な訳語がわからず。意味合いとしては「再審議請求」か)』を提出している。

どうか今すぐ、あなたの議員にコンタクトをとり、この要請に署名し、この有害かつ無分別な計画に反対するよう依頼して欲しい。(今後のプロセスに関する背景は下記を参照のこと)

あなたが英国民であれば、こちらから

あなたが英国外の人であれば、こちらから

しかし、アーティストにお金が行くのであれば良いことではないのか

もちろん、イエス。だが、音楽著作権の保護期間を延長したところで、大多数のアーティストを助けることにはならず、そのくせ消費者に、我々の文化に負担を強いる。この提案に対する経済的な側面からの反論は十分に揃っている。知財権を専門とする大学教授(政府報告書『ガワーズ・レビュー』も含む)、独立系経済アナリストらも皆、保護期間の延長は賢明ではないと主張した。フィナンシャル・タイムズは2009年の社説にて、この提案を『みっともない』と断じた。おそらくこれは、消費者に負担を強いる結果に終わる。学識者らの共同声明によると、延長は少数のアーティストと企業のためにしかならない、(延長による)経済的リターンの96%はメジャーレーベルと上位20%の実演家に行き着くという。この共同声明には、80名の著名な研究者らが署名し、ノーベル賞受賞者も複数含まれている。また今週、知財を専門とする4人の大学教授らは、『ソーシャルかつコマーシャルなイノベーションを阻害することを目指す政策であるならば、遡及的な保護期間の延長は理に適っている。』と主張した。我々の文化・歴史的遺産の多くがしまい込まれることになる。

英国への影響はどのようなものになるのか。ケンブリッジ大学知財権・情報法センターは、保護期間の延長は『貿易収支に関して重大かつネガティブな影響をもたらしうる』として、『現状の知識からは、ポリシーメーカーが録音著作権保護期間を延長することは、きわめて賢明ではない』と主張している。

保護期間延長に反対すべき更なるエビデンスも参照のこと。

なぜ、議員にコンタクトをとることが助けとなるのか?

例によって、欧州意志決定プロセスの複雑さがその背景にある。2009年以降、このEU指令は欧州理事会で止まっていた。デンマークなど『ブロッキング・マイノリティ』を形成する一部の国が、このプランに反対しているためだった。しかし、デンマークは権利者側からの強いロビイングを受けてか、最近になってその態度を翻し、この指令を支持した。つまり理事会が、欧州議会で可決されたとして、この提案を承認すれば、この指令を止めようがなくなってしまう。しかし、この指令の可決後に、欧州議会選挙が行われている。

クリスチャン・エングストローム議員が解説した方法はこうだ。

Rules of Procedure of the European ParliamentのRule59では、第一読会のポジションが承認された後に選挙による新議会が開会された場合、第一読会にある関係資料を再検討できるとある。欧州議会は2009年6月に選挙が行われ、新議会が開会されているので、これに当てはまる。

40名以上の欧州議会議員がこれを求めるならば、renewed referral提案は、本会議での投票が行われる。そこで過半数の支持を得ることになれば、欧州議会議長は、欧州委員会に対し、この提案を再び議会に委ねるよう要請しなければならない。これはつまり、関係書類の再検討を意味する。再び、この内容について最初から議論することができるようになる。実に賢明なやり方である。

隣接権の保護期間を延長するという前議会の決定は、無分別であり、法律・経済学者からかなりの批判を受けた。現在の議会が、先の決定に束縛される必要はない。

消えつつあるごく少数の人々のために、我々の文化的領域に害を与えるというのは、あまりに恐ろしいことだ。

どうか議員に連絡を。この提案を見送らせよう。

(via Green Sound from Glasgow: 欧州にて著作権保護期間延長の議論が再燃

この議論の中心となっているのは、日本では著作隣接権(実演家の権利)と言われるもの。なお、詞やメロディの著作権の保護期間は、国際条約にて、最低でも原著作者の死後50年とされている。

もうじき、虎の子の60年代音楽の保護期間が切れてくるということもあり、かなり必死のロビイングが展開されていると思う。世間に向けては、貧しいセッションミュージシャンを救うため、という大層な理念を掲げたりもするけれども、ほとんどは著名な(そして作詞作曲もする)アーティストやレーベルに渡る。

断言してもいいが、これは単純にアーティストをダシにしたレコード産業の既得権益拡大に他ならない。彼らは「困窮するセッションミュージシャン像」を作り出し、「その彼らのための保護期間の延長である」ことを演出し、「最も恩恵を受けるのはレコード産業である」ことをひた隠しにする。

欧州:録音物の著作権保護期間延長、実現にまた一歩前進 :P2Pとかその辺のお話

おそらく、日本でも同様の動きが見られるかと。

欧州:録音物の著作権保護期間延長、実現にまた一歩前進

以下の文章は、TorrentFreakの「Music Copyright ‘Pension Extension’ Moves Forward」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Music Copyright ‘Pension Extension’ Moves Forward
著者:Ben Jones
日付:Febrary 13 , 2009
ライセンス:CC by-sa

欧州にて、録音物の著作権(訳注:実演家の権利/日本では著作隣接権の一部)保護期間を50年から95年へと延長せんとする動きは、法務委員会を経由することで、その実現へとまた一歩近づいた。こうしたアクションは、表向きはセッションミュージシャンに年金を与えるため、とされているが、実際には4大メジャーレコードレーベルがたなぼたで数百万ユーロをカスめとろうというだけの話である。

現在、著作権に関連した『ホットなトピック』といえば、来るThe Pirate Bayの訴訟であることは疑いない。『これからの10年を決める政治的裁判』とも呼ばれるこの訴訟は、非常に多くのニュースサイトによってカバーされた。もちろん、それはここTorrentFreakも例外ではない。こうしたトピックへとメディアのフォーカスが釘付けになっているのに乗じて、EUは抜き打ちで何かを滑り込ませようとしているようだ。

欧州議会 法務委員会は、録音物の著作権保護期間を延長するという決議案を承認した。これは来月3月に全体投票が行われることになっている。

これまで、延長に対する反対意見は非常に多かった。先月、Open Rights Group(ORG)が学者や欧州議員ら(その中には少なくとも1人の法務委員が含まれていた)との円卓会議を開催し、また昨年には、有力新聞紙上にて、この提案に対する強烈な批判が掲載された。

McCreevy委員が謳っているところでは、この提案の主な『利益』は、セッションミュージシャンやそれに類する人たちのためのものである、とされているが、委員会が徴収団体に権限を与えるという修正を加えたことで、その根拠は非常に脆弱なものとなっている。もちろん、これはアーティスト自身がお金を受け取る資格を有することを証明できることを前提としている。ベテランプロデューサー/ミュージシャンのMile Collinsは、ORG円卓会議でのスピーチにて、セッションミュージシャンの参加記録は、最近まで一般的ではなかった。

さらにひどいことに、現在、委員会によって、ビデオパフォーマンスの保護期間延長に関する影響分析を行うための調査が求められている(訳注:オーディオヴィジュアルでも同様の保護期間延長が求められているということ。)。この調査の結果は、メジャーコンテンツ製作者以外にはほとんど利益をもたらさないことが示されるだろうことは疑いないのだが、それは無視され(今回のケースでも同様のことを指摘する調査もあったが、それは無視された)、提案は進められるだろう。

しかし、僅かながら望みもある。この提案では、3年後にアーティストを取り巻く社会的状況を評価することが求められており、その後も4年ごとにどの程度改善したのかが評価される。このことは、この対象に対する更なる延長を抑制するものとなるのかもしれない。さらに、保護期間が延長されてもアーティストの利益には変化がないということになれば、再び保護期間を元に戻すということを促すことにも繋がるだろう。それでも、彼らが更なる保護期間の延長を求める可能性はあるのだが…。

毎度のことながら、保護期間の延長議論は釈然としない。

ORGのこのビデオでは、結局、保護期間の延長で新たに得られた利益は、90%がレコードレーベルに、9%がトップ20のミュージシャンに、残りの1%がボトムの80%のミュージシャンに分配されるだけ、なんていわれている(この部分についての詳細はこちらのエントリにて)。そもそもは、このボトムの80%の中でも、この延長がなされないと生活に困窮する人たちが出てくるんだ!なんて主張が、延長の根拠にされていたような気がするのだけれどもね。

一応、レーベルの側が(ロイヤルティ徴収団体を介する)ファンドを作って、保護期間の延長によってあげられる収益の20%をセッションミュージシャンに分配するとのことであるが、それでも残りの80%はレーベルの利益になるわけだ。

さらに、上記記事でも「ベテランプロデューサー/ミュージシャンのMile Collinsは、ORG円卓会議でのスピーチにて、セッションミュージシャンの参加記録は、最近まで一般的ではなかった」としてるように、50年も前のセッションミュージシャンの参加記録をどのていど保管しているのかも重要な点だろう。結局、延長はして利益を増やしたはいいが、受け取るべき人々が受け取れないのでは全く意味がない。

断言してもいいが、これは単純にアーティストをダシにしたレコード産業の既得権益拡大に他ならない。彼らは「困窮するセッションミュージシャン像」を作り出し、「その彼らのための保護期間の延長である」ことを演出し、「最も恩恵を受けるのはレコード産業である」ことをひた隠しにする。

最後に、ORGのBecky Hoggeが欧州議会、音楽著作権カンファレンスにて行ったスピーチのビデオを。


Becky Hogge: Speech at Sound Copyright conference in the EU Parliament 27.01.09 from Open Rights Group on Vimeo

欧州委員会、著作隣接権保護期間延長の提案を採決

以下の文章は、TorrentFreakの「EU to Extend Copyright, Break Royalty Monopolies」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:EU to Extend Copyright, Break Royalty Monopolies
著者:Ben Jones
日付:July 17, 2008 

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EU:未だくすぶる著作隣接権の保護期間延長議論

以下の文章は、TorrentFreakの「EU to Extend Music Copyright to 95 Years」という記事の翻訳である。

原典:TorrentFreak
原題:EU to Extend Music Copyright to 95 Years
著者:Ben Jones
日付:July 14, 2008

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