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LimeWire停止により違法音楽ダウンローダーが激減、しかし音楽セールスにはほとんど影響なし?

以下の文章は、TorrentFreakの「US Music Piracy Plunges After LimeWire Shutdown」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:US Music Piracy Plunges After LimeWire Shutdown
著者:Ernesto
日付:March 24, 2011
ライセンス:CC BY

今日はメジャーレーベルにとって喜ばしいニュースでも。市場調査会社NPD Groupは、米国の違法なP2P音楽ファイル共有ユーザの数が、3年前に比べてほぼ半減したことを明らかにした。その結果、米国の違法音楽ファイル共有ユーザは1,200万人減少した。NPDはこの激減をLimeWireの閉鎖によるものと推測しているが、残念なことにレコードレーベルの収益には何の影響も及ぼさないようだ。

昨年10月、RIAAは何とかLimeWireを停止させることに成功した。しかし、ファイル共有界隈が一変したというような話は聞こえてこない。ある日を境に、世界中で最も人気のあったファイル共有アプリケーションが姿を消した。我々はその際、LimeWireの消滅が音楽パイラシーの規模に影響を与えることはないだろうと予測したが、NPD Groupの調査を見る限りでは、我々の予測は間違っていたようだ。

LimeWireの代わりは数あれど、NPDによると、昨年第4四半期のP2Pアプリケーションによる違法音楽ダウンローダーの数は、2007年同四半期に比べて43%も減少した。NPDは、この激減はおおよそLimeWireの停止によるものだとしている。LimeWireが停止したのは、第4四半期に入ってから数週間後のことであった。

このデータは、アメリカ人5,549人を対象にした広範な調査から得られている。母集団全体に置き換えると、米国の違法音楽ダウンローダーの数は、この3年間で、2,800万人から1,600万人に減少したことになる。

P2Pアプリケーションのマーケットシェアを見てみると、LimeWireは32%を占めており、依然として最も大きい割合を占めている(2010年第4四半期の最初の数週間は使用できたため)。しかし、この数字は同年第3四半期の56%からは減少している。

予想されていたように、LimeWireの停止により、他のP2Pアプリケーションのマーケットシェアは軒並み上昇した。FrostWireがその恩恵に最もあやかったようで、10%から21%に伸びている(訳註:FrostWireはインターフェースがLimeWireによく似たGnutella/BitTorrentクライアント)。

一方、BitTorrentクライアントとしては最も人気のuTorrentは、マーケットシェアを8%から12%に伸ばした。しかし、昨年に比べて違法音楽ダウンローダーの総数が減少したことから、uTorrentで音楽を違法にダウンロードするユーザの絶対数は減少した。(訳註:2,800万人の8%>1,600万人の12%)

また、NPDの調査によると、米国における違法音楽ダウンローダー人口の割合は、2007年第4四半期の16%から2010年同四半期には9%にまで減少している。では、このような大幅な減少が、音楽産業の収益にどのような影響を及ぼしたのだろうか?我々は、この調査の妥当性について必ずしも新羅いているわけではないが、少なくともRIAAにとっては喜ばしい結果であるにちがいない。

しかし、2010年第4四半期の収益を見てみると、4大メジャーレーベルの収益に大きな変化があったようには思えない。なぜか?まぁ、そもそも音楽パイラシーは音楽セールスに大きな影響を及ぼすものではないだろうから。しかし、彼らがこれを利益に結びつけることができなければ、おそらく、RIAAはこのパイラシーの激減を単純になかったことにするだろうね。

ちなみに、NPDのニュースリリースによると、P2Pファイル共有ユーザの平均音楽ファイルダウンロード数は、Q4 2007の35曲からQ4 2010には18曲の減少しているとのこと。もちろん、1、2曲しかダウンロードしないユーザもいれば、100曲以上ダウンロードするユーザもいる、との但し書きもある。分散が大きいってことを暗に示唆しているんだろうね。

あと、3年前に比べて大幅に減少したのは違いないんだろうけど、そのすべてがLimeWireの停止によるものというわけではないと思う。もともとP2Pファイル共有ユーザ自体が減少(ないし微減)傾向にあり、そこにさらにLimeWireの停止が追い打ちをかけた、というところじゃないのかな。

それにしても、「Limewireによる損害は『75兆ドル』」なんて主張されている一方で、LimeWireの停止が音楽セールスにほとんど影響を与えていないのだとしたら、あまりに間抜けすぎるよねぇ。あくまでも裁判ってことで、「侵害された曲目×共有していたユーザ数×法定損害賠償額(min-max)」で計算しました、ということなんだろう。それが逸失利益(lost sales)かどうかは別にして。

こちらも負けじとLimeWireの停止による回避できた損害額を単純計算してみる。LimeWireの存続期間6年間で被害額が「4000億-75兆ドル」なので、年間平均すると「667億-12兆ドル」、四半期ごとだと「167億-3.1兆ドル」、停止したのが10月末なのを考えると、さらに2/3して「111億-2.1兆ドル」。よって、LimeWireが停止したことにより、米レコード産業が回避できた損害額は、2010年11-12月の2ヶ月間で日本円にして「9037億円-171兆円」ということになる(単純計算をからかってるだけなので、信用しないように。)

さて、これほどの損害を回避できたのだから、音楽産業はさぞお喜びのことだろうと思いきや、この件に関するRIAAのプレスリリースを見る限りでは、そこまででもないようだ。

間違いなく良いニュースではありますが、このレポートからは、LimeWireの穴を埋めるべく、他のサービスの人気が上昇していることがわかります。FrostWireとuTorrentはこの四半期で成長を続け、また、依然として1,600万人がP2Pを用い、アーティストやクリエイターに対価を支払うことなく音楽を盗んでいます。 

PARTIAL PROGRESS ON PEER-TO-PEER: RIAA - March 23, 2011

確かに、3年前に比べてほぼ半減したとはいえ1,600万のユーザ数というのは、決して安心できるものではないのかもしれない。それと、uTorrentユーザの絶対数は減少してるのに比率だけ見て「成長だ」としてしまうのは、総数と比率の関係をわかってないということなんだろうね。ほんと大丈夫か?

それはさておき、RIAAはさらに、未だ被害は甚大だ、私たちRIAAの活動は今後も必要不可欠だ、と主張する。

このとは、現在生じている問題に対し、多面的な戦略が必要とされていることを意味しています。音楽レーベルは、既に合法的で優れた選択肢をファンに提供し、その需要を十分に満たしていますし、新しいサービスも続々と市場に投入されています。また、  インターネット上の著作権や、デジタル窃盗がクリエイターに及ぼす影響について消費者を啓蒙し続ける必要があります。エンフォースメントも依然として重要です。オンラインコミュニティにも重要な役割を担ってもらわなければなりません。たとえばISPはオンライン窃盗に使われたアカウントについて加入者に警告する、広告業者は著作権侵害サイトに絶対に広告を出さない、決済サービスは海賊版業者に対する支払い処理を行わない、といったように。共に、オンラインコミュニティを変えていくことができるのです。

PARTIAL PROGRESS ON PEER-TO-PEER: RIAA - March 23, 2011

反射的に音楽産業は「合法的で優れた選択肢」なんて提供してしない!と思っちゃう方は実際にリンクをのぞいてみると良いかも。個人的には、「音楽レーベルが」提供しているわけではないにしても、魅力的なサービスが並んでいるなぁと思います。あくまでも米国の話として。

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我々は著作権団体の調査にだまされているのだろうか?

以下の文章は、TorrentFreakの「Breaking: The Entertainment Industry Is Fabricating Anti-Piracy Research」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Breaking: The Entertainment Industry Is Fabricating Anti-Piracy Research
著者:Ernesto
日付:February, 2011
ライセンス:CC BY

たったいま、TorrentFreakのオフィスにニュースが飛び込んできた。

アンチパイラシー団体の欺瞞的な面々は、偽のデータや嘘の主張を弄して、市民や政治家をミスリードしようとしているようだ。

その目的は何か?アンチパイラシーの専門家としての彼ら自身の立場を正当化し、彼らの望むように法律を変えるためだ。

もちろん、ここまでのがニュースというわけじゃない。喜ばしいことに、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)が、先日、我々が公表したスキャンダル取り上げた

記事からいくつか引用することにしよう。記事のタイトルは「パイラシー:我々はだまされているのか?」である。是非読んでもらいたい。

「主な目的は、こうしたデータを使って政治家にロビイングしたり、市民を脅して従わせることにあります。」とIBRSアナリストのガイ・クランズヴィックは言う。さらに「データの質も分析もあまりに粗末なものです。政治的意図が透けて見えます。」

EFA(エレクトリック・フロンティア・オーストラリア)代表のコリン・ジェイコブスは、「この手の報告書はいつも『パイラシーのせいで失業』というような見出しをつけていますが、これは全く事実に即してはいません。」とSHMに語った。

「エンターテイメント産業のマーケターたちは、自らに問い直さなければなりません。彼らは、オーストラリア人の4分の1が違法なダウンロードに手を染めていると言います。オーストラリア人は不道徳な犯罪者だということでしょうか?それとも他に説明があるのでしょうか?」とジェイコブスは問う。

「エンターテイメント産業は、テクノロジーを受け入れ、オーストラリアの消費者に常に魅力的な製品を提供し続けなければならないのです。残念なことに、イノベーションは弁護士を雇うよりは難しいようですが。」

これまでの経緯はこちら。

SMHの記事を読んだけども、これまでの反動もあってか、かなり権利者側のプロパガンダを批判的に報じている印象。上記記事に引用されたもの以外で興味深かったものを以下に。

今回の調査とは別に、昨年Australian Federation Against Copyright Theft (AFACT)のアンチパイラシー調査が公表され、国内経済に13.7億ドルの損失、6,100人の失業をもたらすとされたが、この調査もアナリスト、法律の専門家、ネット市民団体(EFA)から批判されている。EFAは、たとえ映画のチケットにお金を出さなかったにしても、その分のお金を他の商品、サービスに費やしている、と。要は、エンターテイメント産業の問題を国内経済の損失にすり替えるな、ということかな。

また、豪犯罪学研究所(Australian Institute of Criminology:司法省に属する政府機関)は、産業が主張する「パイラシーによる損失」の妥当性について懐疑的に見ているという。同研究所が最近公表した知財犯罪レポート(PDF)には「これらの推定は問題の大きさを大まかに示唆するものではあるが、データの妥当性については議論の余地がある。」と記している。さらに、2006年にリークされたAICの文書では、産業側のパイラシー統計は「ご都合主義的な誇張(self-serving hyperbole)」だとまで表現されている。クィーンズランド大学のキンバリー・ウェザオール法学上級講師は、こうした産業側のレポートは専門家による査読や分析を経て世に出ているわけではなく、AICはその辺りにフラストレーションを感じていると指摘する。

さらに、昨年Music Industry Piracy Investigations (MIPI)は、メルボルンの海賊版CD業者の摘発についてプレスリリースを公表したが、これも誇張が過ぎるという。「警察は、CDバーナーを約100台、郊外のレコード店から海賊版を含む約25,000枚のディスクを押収した」とあるが、押収したディスクのうち14,600枚がブランクディスク、残りの大半もライセンスを受けて作られていたもので、海賊版CDと認められたのは100枚に満たなかったという。

いずれにしても、我々はこれだけ苦しんでいるんだ、ということを強調したいがために、よりインパクトのある数字を前面に押し出したい気持ちが空回りしすぎて、オオカミ少年になりつつあるんじゃないのかと思ったりもする。ただ、この手のデータってうまく丸め込みたい人たちを説得できればいいって類のものなので、こういう批判もお構いなしなんだろうなぁとも思うけれども。

それはともかくとして、このSMHの記事でちょっと気になった点について。海賊行為が国内経済に与える影響について、いずれにしても消費者は何かにお金を出しているのだから、国内経済に与える影響は小さい、というような主張が掲載されているけれども、本当にそうかしら?「主張されているよりは小さい」というのは同意だけど、少なくともそれが成り立つのは、コンテンツの輸出が皆無である場合に限られるんじゃないのかな。自国のコンテンツが他国で海賊版として大量に消費されたのであれば、「国内経済に影響はほとんどない」とは言い切れないと思うのよね。

豪州:胡散臭いパイラシー調査、ついに公開されるもボロが出まくる

以下の文章は、TorrentFreakの「Secret Australian Piracy Report Revealed and Debunked」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Secret Australian Piracy Report Revealed and Debunked
著者:Ernesto
日付:March 16, 2011
ライセンス:CC BY

先週、オーストラリアのニュースメディアは、インターネット上の海賊行為が国内経済に9億ドルの損失をもたらすという調査について報じた。しかし、この調査報告書そのものは巧妙に隠されていた。各方面からの批判を浴びたことで、ようやくこの調査報告書が公表され、その重大な欠陥をさらけ出した。この報告書は、昨年、欧州議員をミスリードさせるために作られた馬鹿げたパイラシー調査を、そのまま豪州に当てはめただけ(direct translation)の報告書に過ぎなかった。

2日前、インターネット・パイラシーがオーストラリア経済に与える影響についての報告書が、いかに秘匿されているかについてお伝えした邦訳訳記事)。この報告書の記事を書いたジャーナリストすら実際の報告書を読んではおらず、著名な研究者らもその秘密主義的態度を批判するコメントをTorrentFreakに寄せた。

こうした圧力が功を奏したようだ。多数の電話、メール、この報告書を引用した司法長官への情報開示申請求などを経て、数時間前、ついにこの報告書が公開された。

では、公表されたこのレポートをみてみよう。まず、この『調査』は、以前公表された非常に問題のあるパイラシー調査を、そのままオーストラリアに当てはめただけのものであったことが判明した。

この報告書は、昨年TERA Consultantsが公表した欧州の"Building a Digital Economy"調査報告書をそのままベースにしている(邦訳記事)。この辺りから、なぜ『不動産』会社がこのような調査報告書を書くことができたかが見えてくる。そう、そもそも実際に調査する必要がなかったからだ。しかし、そうなれば、元の調査報告書の欠陥もそのまま引き継ぐことになる。

この報告書では、インターネットトラフィックと失業は正の相関にあると示されている。つまり、インターネット・トラフィックが増せば増すほど、お金が失われるということだ。報告書によると相関係数は1、つまりインターネットトラフィックの成長と共に、著作権侵害も同じ比率で増加する、と。

このロジックがどれほどおかしいかを考えてみよう。このロジックに従えば、回線速度を5倍にすると、自動的にユーザたちはYouTubeで5倍のビデオを見るようになり、5倍のウェブサイトにアクセスする、ということになる。これがいかに馬鹿げているかは、火を見るより明らかだ。

さらにこの馬鹿げたロジックには、著作権侵害の量と損失との正の相関というおまけもついてくる。この報告書では、トラフィックが増えるほどパイラシーも増加し、従って損失も増大すると述べられている。ユーザがファイルサイズの大きい高品質のメディアを消費している可能性について、否定できない。こうした予測は、著作権侵害コンテンツの量ではなく、回線速度をベースに導き出されている。

この報告書の誤り、間違い、ミスリードな推測についての詳細な指摘は、以前に書いた元報告書の記事(邦訳記事)を参考にしてもらいたい。

オーストラリアの司法長官は、どうしてまたこんなレポートをこれからの著作権法を検討するための基礎資料だと考えているのだろうか。全く理解に苦しむ。エンターテイメント産業による委託調査であること、設立から4ヶ月にみたいな会社によって実施されたことなどを除いても、非常にお粗末な方法論に基づいて書かれた報告書であり、真に受けるような類のものではない。

オーストラリア海賊党は、我々の調査を支援してくれたが、この報告書の公開についても彼らの功績を賞賛したい。彼らがこの報告書に関して情報公開を申請し圧力をかけたことで、迅速に文書が公開されたのだろう。

オーストラリア海賊党のロドニー・セルコフスキーは「納税者として、有権者として、我々は我々の議員に対し透明性を求める権利があります。」とTorrentFreakに語った。

「彼らの不透明さには理由があるのでしょう。この調査は問題だらけなのですから。司法長官は、なぜこれほど安易にミスリードされてしまったのか、なぜ産業側のプロパガンダを信頼するのかを説明しなければなりません。こうした報告書は、より厳格なエンフォースメントを正当化し、プライバシー等の基本的権利を危うくするものです。」

この報告書は、不備や欠陥も含め、エンターテイメント産業が政治家をミスリードするためにどれほどご熱心かを改めて示してくれた。嘆かわしい状況ではあるが、この状況が改善し、オーストラリアの報道機関がこの報告書の妥当性を再び検証してくれることを願うばかりだ。

「BitTorrent で共有されているファイル、合法なものは 0.3 %」というインチキ調査

以下の文章は、TorrentFreakの「Tech News Sites Tout Misleading BitTorrent Piracy Study」という記事を翻訳したものである。ちなみに、この記事のタイトルはスラッシュドットの記事から拝借した。

原典:TorrentFreak
原題:Tech News Sites Tout Misleading BitTorrent Piracy Study
著者:Ernesto
日付:July 24, 2010
ライセンス:CC by-sa

BitTorrentでダウンロードできるファイルのうちわずか0.3%が『合法』であるという研究が話題になっている。この調査結果は、アンチパイラシー団体AFACTが喧伝しており、Ars TechnicaやZDNetなどのニュースサイトでも取り上げられている。この研究がインチキであることを見抜けなかったようだ。

時折、BitTorrentシーンを記述しようとする研究が注目を集めることがある。昨日、Internet Commerce Security Laboratory (ICSL)が行った研究(pdf)が公表された。研究者は全Torrentのうち、わずか0.3%が合法なコンテンツであると確認したという。注目を集める見出しとしては申し分ない、だがこの研究はどれくらい正確なのか?

残念なことに、この手の結果はアンチパイラシー団体に喧伝され、第三者には、それもArs TechnicaZDNetといったインターネット上で一目置かれている大手ニュースサイトさえ、鵜呑みにされてしまう。今回のケースでも、記者はこの調査に完全に騙されてしまった。

この研究に目を通してわずか数分で、我らTorrentFreakチームはあきれ果ててしまった。間違いに次ぐ間違い、そしてあまりに不正確なデータと方法論をもとに導き出された結論。この研究の致命的な誤りを以下に記すことにしよう。あくまでも氷山の一角であることをお忘れなく。

この研究は、4つのリサーチ・クエスチョンについて答えを導き出そうとしている。ここでは、それぞれのクエスチョンについて、その答えがどう間違っているかを指摘していこう。

1.BitTorrentを使用してどれくらいのファイルが共有されているのか?どんなカテゴリーのファイルが共有されているのか?

ICSLは、今春、17のBitTorrentトラッカーから得たデータとして、オンライン上に100万ちょいのTorrentがあるとしている。また、カテゴリーの概要として、全Torrentのうちアプリケーションは2.3%、映画・テレビ番組は70%超であるとしている。

いずれの結論もあまりに間違っている。

この研究者らがどのようにして100万Torrentという結論に落ち着いたのか全く理解できない。たとえば、彼らの調査対象となっているOpenBitTorrentのトラッカー単独で、2,500万Torrentをトラッキングしている。さらに、isoHuntなどのサイトは500万を超えるユニークTorrentをインデックスしている。ICSLのデータ収集方法が極めて不正確であることは言うまでもない。

さらに、カテゴライズの仕方についても、さらに大きな欠陥がある。彼らのやり方は、すべてのTorrentをベースにしたものではなく、最もシードされているTorrentをベースにしており、こうした方法はデータをひどくゆがめることになる。一般に、書籍やアプリケーションは、映画・テレビ番組に比べてシードされにくく、それゆえカテゴリー概要にて過小評価されてしまったことになる。

2.任意の時点で、BitTorrentを使用したファイル共有がどの程度行われているか?

「我々の調査で使用したデータでは、現在、最低でも117,420,061のシードが記録されている。この値は、トラッカーから得られたそれぞれのTorrentで最も利用可能なシーダー数を決定することで算出された。」と研究者は述べている。

この数字も間違いであるが、こちらは上記のものとは別の誤りである。研究者たちは、嘘のシード数を報告する複数のトラッカーを対象に含めるという致命的なミスを犯した。この点については後述する。この論文にて、2年前のTorrentに100万シーダーもいるかのように書かれていることには、苦笑せざるを得ない。任意の時点でのシーダー数は、実際には1,000万から2,000万くらいだろう。

3.それぞれのTorrentが何回共有されたのか?

研究者たちが馬鹿をやらかしてしまったのはここだ。このクエスチョンへの答えとして、彼らは最もシードされているTorrentのリストを掲載している。上述したが、最もシードされているファイルはほぼ2年前にアップロードされたもの(The Incredible Hulk)で、なんと1,112,628シーダーにも上る。第10位のTorrentでも277,043シード。すべて間違ったデータだ。

フェイクTorrentトップ10?

これらの数字がどのように算出されたのかはよくわからないのだが、現時点で最もシードされているTorrentはわずか13,739シーダー、この調査が示すThe Incredible Hulkのシーダー数の1%程度である。さらに、2年前にリリースされたものという事実は、少し警戒して見なければならない。どうも研究者たちは、偽トラッカーからデータを収集したように思える。このトップ10リストのすべてのTorrentが実際にはフェイクであったとしても、何ら驚きはない。

4.全ファイルならびにダウンロード数による違法ファイル共有の数および割合はどれくらいか?

これについて、研究者らはBitTorrentにおける全ファイルのうち97.9%が著作権侵害ファイルであり、わずか0.3%が『合法』であると結論づけている。我々の以前の結論に基づいて考えると、これらの数字が正確だとは言い難く、事実、そうではない。方法論の欠陥は余りに多く、特にこの統計は、偽ファイルが多数ある中から最も人気のファイルをベースにして算出しており、極めて不正確であると言える。

少なくとも研究者たちは、(多数の偽ファイルの中で)最もシードされているTorrentではなく、(不正確とはいえ)全体のデータから著作権侵害ファイルの割合を算出すべきだった。もちろん、Torrentの大半が合法的なものだと言いたいわけではない。この研究におけるTorrentやソースの選択が、著作権侵害Torrentを発見する方向に強いバイアスがかけられていることを指摘したいのだ。

isoHuntを見るだけでも、我々の主張は裏付けられる。isoHuntによると、同サイトにて5,451,959のユニークTorrentファイルがインデックスされている。そのうち、85,457Torrentが、クリエイティブ・コモンズでライセンスされた音楽のみを提供するJamendoからのものである。つまり、Linuxディストリビューションなど(その他の合法的なTorrent)を含めずとも、1.5%のファイルが合法的なファイルであると言える。

重要な点は、この『アカデミック』な論文が、我々がこれまで目にしてきた中でも最も不正確な部類のものだということ、そして、主要テクノロジー系メディアがこの論文を精査する時間を作れなかった、またはこの結果を読み、自らの結論に至れるほどの専門知識を持ち合わせてはいなかったということだ。さらにひどいことに、オーストラリアのアンチパイラシー団体AFACTはおそらくこの『信頼できる』論文を裁判官を説得するために持ち出してくるだろう。彼らは今、豪ISP iiNetと同社加入者の著作権侵害の責任について訴訟の真っ最中である。

Arsやその他のメディアが、このレポートについてアップデートしてくれることを祈ることにしよう。

Update: Arsがやってくれた!

我々も研究者の1人、ポール・ワッタースにコメントを求めている。今のところ、彼からの返信はない。

Update2: ワッタースから返信があり、彼はこの調査結果の有効性を支持するという。こちらからの質問はすべて無視され、その代わりに彼は統計マニュアルのコピーを送ってくれた。博士課程の学生に統計と調査法を教えていた私としては、丁重にお断りさせていただいたが。

おそらく最初から煽り気味の研究なんだろうなぁとは思う。なので、こういう批判が出るのも当然かな。百歩譲って結論ありきなのはまぁわかるにしても、 調査手法としてはかなり荒いというか、意図した結果を導き出すことをクリアするだけのやり方というか。

ただし、数値はともかくとしても、実態はこれに近いパターンが見いだされるような。個人的な印象だけどね。違法流通をトラフィックから見れば、もっと顕著に出るかも。ただ、不正確な調査を見て、感覚的に理解した気になってしまうのも危険だよね。

私自身は、違法ファイル共有や違法流通なんてなくなってもいいと思っている。大事なのは、個人が自らの創作物を効果的に公表する機会とか可能性であって、だからこそ、その機会が失われる可能性に対しては抵抗する。両者を実現するためには、合法的な共有の促進しかない。

もちろん、既存のコンテンツ産業にコンテンツを差し出せというわけではなくて、自らの作品の共有を望む人たちの作品を積極的に共有し、我々にとってなくてはならない存在にしようというだけのこと。

合法的な共有の促進は望ましいこと。ただ、その道筋を作るのは我々しかいない。コンテンツ産業は違法ファイル共有の撲滅を望んでいるが、(彼らが関わるはずのない)合法ファイル共有の普及なども防ぎたい、つまり違法流通を抑えたいが、敵を増やしたくない、と考えるだろう。コンテンツ産業が否定するものを行政なり立法なりがサポートするわけもない。コンテンツ立国なんていっても、結局は金の話なんだから。

ある意味では、変化の中でビッグチャンスが回ってきたとも言える。未だ変化は続いていて、誰も先はわからない。かつては過去を踏襲するだけで良かったものが、今や暗中模索しなければならない。誰かに舵取りを期待するのか、自ら舵取りに参加するのか、それはあなた次第。

海外ドラマ『ロスト』最終話、BitTorrentでの人気も天井知らず

以下の文章は、TorrentFreakの「BitTorrent Download Record Shattered By Lost Series Finale」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:BitTorrent Download Record Shattered By Lost Series Finale
著者:Ernesto
日付:May 25, 2010
ライセンス:CC by-sa

『ロスト』の最終エピソードは、過去のBitTorrentの記録を塗り替えた。わずか1日足らずで、 ラスト2つのエピソードがほぼ100万人にダウンロードされ、10万人を超える人々がそれぞれのTorrentを共有している。予想されたように、ほとんどのダウンロードは、最終話がまだ放送されていない、またはテレビ放送が予定されていない米国外からのものであった。

B001E5AJII昨年、『ロスト』はBitTorrentで最もパイレートされたテレビ番組の第2位という何とも言えない栄誉を勝ち取った。ロストは各エピソードごとに600万回以上もダウンロードされ、第1位の『ヒーローズ』とは1エピソードにつき数千回のダウンロード差という僅差であった。

その『ロスト』が最終シーズンを迎えたとなれば、2010年の年間ランキングの最有力候補と言えるだろう。

BitTorrent上に登場した『ロスト』の2つの最終エピソードは、わずか20時間のうちに90万回以上ダウンロードされた。おそらく1週間で400~500万ダウンロードまで増えるだろう。我々が把握している限り、BitTorrentにて短期間でこれほどダウンロード数は他に例がない。

人々がBitTorrentでテレビ番組を入手する理由としては、まず、住んでいる地域では放送までにずいぶん時間がかかるということがある。こうしたインセンティブを取り除くため、『ロスト』最終エピソードの放送は、世界59カ国で同時、または米国の放送後48時間以内に行なわれた。

こうした狭いリリース・ウィンドウが実際にパイラシーを減少させたかどうかの判断は難しい。ただ、『ロスト』最終エピソードの全ダウンローダーのうち、15%がオーストラリアからのものであった。偶然にも、オーストラリアでの最終エピソードの放送は、今週の水曜日に予定されている。

世界規模でのダウンロード数の高さのもう1つの理由としては、『ロスト』の結末に向けられた大きな期待があったのだろう。シーズン中盤ならまだしも、最終エピソードを見逃してしまったとあっては、ダウンロードしてでも見たいと考えてしまう人も少なからずいるだろう。

今後、この『ロスト』のダウンロード記録が破られることがあるのか、実に興味深いね。

2009年のテレビ番組パイラシーTOP 10の記事は、翻訳はしてたんだけどアップするタイミングを逃したままの状態だったので、この機会に。

以下の文章は、TorrentFreakの「Top 10 Most Pirated TV-Shows of 2009」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Top 10 Most Pirated TV-Shows of 2009
著者:Ernesto
日付:December 31, 2009
ライセンス:CC by-sa

1年の終わりを前に、我々は2009年に最もパイレートされたエンターテイメント作品をリストしてきた。ゲーム、映画のトップ10チャートに続き、今回はテレビ番組のトップ10を見てみよう。 実際の視聴率が減少を続ける中、Heroesが最もダウンロードされた番組となり、各話600万回以上ダウンロードされた。

2009年は新たなマイルストーンに到達して良いと言えるだろう。トップ10のうち、『ヒーローズ(Heroes)』と『デクスター(Dexter)』の2番組が、米国テレビ局の平均視聴率以上のBitTorrentダウンロード数をたたき出した。

テレビ番組の無許諾ダウンロードの増大は、消費者が他のメディアでは手に入らないものを望んでいるというシグナルである。

人々がBitTorrentに興味を持つ理由を考える上で、利用可能性は非常に重要な問題であろう。また、 これは、ほとんどのテレビ番組のダウンロードが、まだテレビ放送されていない国からのものであるという事実にも合致する。

米国外のファンは、自国のテレビ局が放送するまで、数週間、数ヶ月と待たされることもしばしばある。どうしても我慢できず、勢い余ってBitTorrentに手を出してしまう人が数多くいるのだ。

テレビ番組のパイラシーは大規模なものとなっているが、ディストリビューター、放送局が視聴者を取り戻すための機会はたくさんある。海賊行為の統計は、単に視聴習慣が変化していることを示している。オンデマンドTVサービスへの関心は非常に高まっており、莫大な収益をもたらしてくれるかもしれない視聴者は数百万といるのだ。

以下の表は、最もダウンロードされたテレビ番組と、ニールセンのデータに基づく米国でのテレビ視聴者の平均をリスとしたものである。ランキングは、TorrentFreakが全パブリックBitTorrentトラッカーを含む複数のソースから収集したデータに基づいている。全データは入念にチェックされ、誤差は系統的に補正された。

Most downloaded TV-shows on BitTorrent, 2009
rank show downloads est. US TV viewers
torrentfreak.com
1 Heroes 6,580,000 5,900,000
2 Lost 6,310,000 11,050,000
3 Prison Break 3,450,000 5,300,000
4 Dexter 2,780,000 2,300,000
5 House 2,590,000 15,600,000
6 24 2,440,000 12,620,000
7 Desperate Housewives 2,180,000 15,500,000
8 Terminator The Sarah Connor Chronicles 1,960,000 6,340,000
9 Grey's Anatomy 1,740,000 15,640,000
10 True Blood 1,600,000 12,400,000
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