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ニュージーランド:スリーストライク法で初の有罪――権利者への損害賠償額は5.5ドル(505円)

以下の文章は、TorrentFreakの「First Kiwi File-Sharer Guilty, But Lack of Evidence Kills Large Fines」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:First Kiwi File-Sharer Guilty, But Lack of Evidence Kills Large Fines
著者:enigmax
日付:January 30, 2013
ライセンス:CC BY

ニュージーランドの著作権審判所は、あるインターネット加入者が無許諾で音楽をダウンロード、共有したとして、初となる罰を与えた。このケースはニュージーランド音楽産業協会(RIANZ)の勝利とも言えるが、彼らはその中身は満足はしていないだろう。音楽産業団体は多額の懲罰的損害賠償を求めたものの、証拠不十分として、その主張の大半は認められなかった。

2011年に施行されたニュージーランドの著作権侵害対策法――『Skynet』法であったが、しばらくは同法の犠牲者は出ずに済んでいた――昨日までは。

このケースには、同国ISP Telecomの女性加入者が関与していると見られており、発端は1年以上も前にさかのぼる。

背景

2011年11月24日、Telecomの著作権侵害対策チームはいわゆる『発見通知(detection notice)』を匿名の個人に宛てて送付した。そこでは、当該加入者がリアーナの『Man Down』という楽曲を共有していると述べられていた。これはIsland Def Jam Music Group(Universal)から寄せられたクレームに基づく通知であった。

2012年6月19日、女性加入者が再び同じ楽曲をアップロードしたことが発見されたことで、第二の『警告通知(warning notice)』が送付された。

その後、この女性加入者が今度はホット・シェル・レイの『Tonight Tonight』を共有していたとRCA Records(Sony Music)からクレームが寄せられたことで、2012年7月30日、第三の『執行通知(Enforcement Notice)』が送付された。

この最終『ストライク』の結果、2012年8月、この女性加入者のケースはニュージーランド著作権審判所に送られることになった。

翌月、女性は1つの楽曲に関するクレームを認めたものの、もう1つについては否定する答弁書を審判所に提出した。また、トレントクライアントの停止に困難が伴ったとも述べられた。

自白

「最初にダウンロードした曲はリアーナの『Man Down』です。これについては私の責任を認めます。違法なサイトからのダウンロードだとは知らずにこの曲をダウンロードしてしまいました」と彼女は答弁書に綴っている。

「この曲を私のコンピュータにダウンロードした時、uTorrentプログラムを使用しました。……私のコンピュータを起動した際、その曲はまだダウンロード中でした。同じ曲を2度登録したためだと思います。」

ホット・シェル・レイの楽曲については、不明なままである。

「私および私の家族はこの曲をダウンロードしてはいませんので、責任を認めることはできません。ただし、この曲を私のインターネットアカウントを使ってダウンロードした人物を発見したとすれば、その責任を負っていただきたいと思います」」と彼女は述べている。

有罪(しかし自白は助けにならず)

興味深いことに、著作権審判所はこのケースにおける調査結果が不十分であることを認めながらも、著作権侵害通知において指摘された個々のファイル共有の発生が実際の著作権侵害を構成する「制定法上の推定」にあたるとして、違法ファイル共有が行われたことを認めた。

罰金の計算

著作権審判所は現行法下では有罪になると判断し、罰金について検討を進めた。規則では、ダウンロードについては侵害された製品の価格が考慮されなければならない。Man DownはiTunesで2.39豪ドル(2.00米ドル)、Tonight Tonightは1.79豪ドル(1.50米ドル)で販売されている。

しかし、このケースはアップロード(配信)も含むことから、その分の上乗せも考慮する必要がある。RIANZとしては他のビットトレントユーザにアップロードした責任も課したかったところではあるが、著作権審判所はその提案に乗り気ではなかった。

「(RIANZ)が正しく認めているように、このケースではどれくらいダウンロードされたのか、とりわけこの加入者のアカウントによって当該録音物がどれくらいアップロードされたのかを知ることは極めて難しい。権利者は既存のインターネット監視サービスを用いているが、本件における楽曲をダウンロードした人物の詳細な数を特定することはできなかった」と著作権審判所は記している。

これを考慮して、著作権審判所は加入者に対し、Man DownのiTunesでの価格の2倍(2.39豪ドル×2)、Tonight Tonightについても同様の額(1.79豪ドル×2)――合計6.57豪ドル(5.49米ドル)をRIANZに支払うよう命じた。RIANZにすれば、有罪の裁定を得たことは喜ばしいものの、この点については失望しているだろう。

権利者に支払う罰金は少額に収まったものの、まだ2、3の問題を解決しなければならなかった。著作権審判所は、この加入者が警告通知の送付コストとして50豪ドル(42米ドル)、審判申請費用として200豪ドル(167米ドル)の支払いを命じた。

『抑止的な額』――と不十分な証拠

最後に「抑止的な額(deterrent sum)」の問題があった。これについては著作権侵害の「悪質さ」、侵害が当該作品の市場に与える影響、著作権審判所が命じる他の罰金の総額――の3点が考慮されることになっている。

RIANZはこの点について、この女性加入者がuTorrentをコンピュータにインストールし、8カ月の間に3度も侵害行為が検知されていること、RIANZが指摘した以外の著作権侵害行為をしていないとは「常識的に考えられない」ことを主張した。さらに、この加入者は著作権侵害をしないようにと警告した2つの通知を無視したとも述べている。

著作権審判所はこれに対し、これらの要素は今後審判所が扱うであろうケースにおいても共通する要素であるとしつつ、今回のケースは「特に目に余る」ものではないとした。また、長期間にわたって侵害が行われたことを認める一方で、この加入者が音楽を正規に購入していること、責任を認めていること、謝罪していること、審判に応じていることを挙げた。

著作権侵害の市場に対する潜在的な損害の影響については、RIANZの主張を裏付ける証拠がないとされた。RIANZはIFPIが英国で実施した2008年の報告書を提出していた。

著作権審判所は「この英国の報告書に重きをおくことはできないと考える」とした上で、この報告書では異なるビットトレントクライアントも含まれていること(uTorrentだけでなくAzureusも含まれている)、異なる作品を対象にしていること、個々の楽曲ではなくアルバム全体を扱っていること、5年近く前の調査であることなどを指摘した。

決定

著作権審判所はこれらの点を考慮して、1侵害につき120豪ドル、合計360豪ドル(301米ドル)を抑止的な額として、加入者に支払うよう命じた。

すべての額を合算すると、この加入者は616.57豪ドル(515.64米ドル=約4万7千円)を支払わなければならない。この額はRIANZが数年前、「スリーストライク」マシーンが稼働した際の皮算用とはかなり離れた数字であることは間違いない。

個人的には妥当な決定だと思う。ただ、今後頻度が高くなっていくのであれば、「抑止的な額」はもっと少額でも良いのではないかと思うけども。

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シックス・ストライク・スキームは著作権侵害対策に有効なのか

以下の文章は、TorrentFreakの「Will the Upcoming Six Strikes Scheme Stop Piracy?」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Will the Upcoming Six Strikes Scheme Stop Piracy?
著者:Ernesto
日付:January 26, 2013
ライセンス:CC BY

物議を醸している米国の「シックス・ストライク・アンチパイラシー・スキーム」は、この1カ月以内に動き出すことになっている。TorrentFreakが信頼の置ける関係者から得た情報によると、2月18日がローンチ日として選ばれたとのことだが、CCIはこれを否定している。一方で、我々はこの著作権警告システムの有効性について考える必要があるだろう。果たして、海賊ユーザを正規ユーザに変えることはできるのだろうか。それとも、VPNや他のファイル共有に逃がすだけなのだろうか。

この数週間のうちに、MPAA、RIAAと米国大手の5つのインターネット・プロバイダがBitTorrent海賊ユーザへの警告を開始する。

彼らは、Center for Copyright Information(CCI)著作権侵害者に対し海賊行為が許されないことを警告するシステムの導入することについて同意した。ユーザが5回ないしは6回の警告を受けた後、ISPは複数の抑止措置を講じる。

今週、TorrentFreakはCCIに近い関係者から、この警告システムが2月18日に開始される予定であるとの情報を掴んだ。しかし、CCIのスポークスマンは現時点でローンチ日は確定していないとしてこれを否定し、「実装に向けて取り組んでいます」と述べている。

正確なローンチ日がいつになるにせよ、1年以上遅延したこの著作権警告システムは近日中に動き出すようである。しかし、問題は残されている。この計画が本当に海賊行為の減少に有効であるかどうか、である。

この問いに答えるのは容易ではない。しかし、すべての著作権侵害者が責任追及の危機に晒されているわけではないということは明白である。

まず、著作権警告がオンライン海賊ユーザ、すなわちビットトレントユーザというサブグループだけをターゲットにしている点に注意が必要である。ファイルホスティングサービス(訳註:サイバーロッカー)やUsenet、ストリーミングサイトを利用する膨大なユーザが影響を受けることはないだろう。

言うまでもなく、これらのサービスにおける海賊行為が減少することはなく、むしろ増加するだろう。

というのが、シックス・ストライクスキームのもたらすストーリーの半分だろう。もう半分は、ビットトレントユーザであっても、警告を回避するために数多ある匿名化サービスを利用してビットトレントを続けるだろうということ。

ビットトレント・プロキシサービスとVPNサービスは、匿名のままダウンロードをしたい人にとってはありがたいツールである。これらのサービスは、自宅のIPアドレスとプロキシ・サービスが提供するIPアドレスを置き換え、誰がファイル共有をしているのかを調査会社に特定できなくする。

アメリカではすでにファイル共有ユーザの16%が自らのIPアドレスを隠しており、著作権警告システムが動き出せば増加することは間違いないだろう。

もちろん、だからといって著作権警告システムがまったく影響を及ぼさないというわけではない。実際、カジュアルな『海賊ユーザ』のごく一部が海賊行為を思いとどまるということはあるかもしれない。しかし、著作権侵害者の大多数は単純に見つからないための措置を講じ、彼らのダウンロード習慣は継続するだろうと我々は予想している。

もちろん、これについては著作権者やISPもよく理解しているだろう。

CCIの取締役ジル・レッサーは、こうした回避のオプションについて指摘された際、この警告システムの主な目的は市民を啓蒙することだと強調した。懲りない人々がVPNを使用したり、ファイル共有の手段を替えたりして警告システムを回避することは、著作権者もISPも重々承知しているのだろう。

「はい、そうした方法はありますし、海賊行為をするための他の方法もあります。」とレッサーは述べている。その上で、そうしたハードコアな海賊ユーザはこのシステムのターゲットではないとも述べている。

本当のターゲットがどれほど大きいかは、数カ月後、シックス・ストライクが導入されてからの米国ビットトレント利用状況統計が公表されるころに明らかになるだろう。

文中でも指摘されているように、シックス・ストライク・スキームのターゲットは、ハードコアなファイル共有ユーザ――ビットトレントユーにほぼ限定されている。この辺りの層が海賊版流通の核となっていることは否定できないが、海賊行為全体への影響という点では、効果はかなり限定的になるのかなと。

米国でのファイル共有ユーザの割合は13%ほどと言われており、日本に比べると高いかなと思えるのだけれども、それでも海賊行為の主流はもはやファイル共有ソフトではない。YouTubeなどで行われているカジュアルな海賊行為のほうが影響は大きいように思える。ただ、そうしたカジュアルな海賊行為はネガ・ポジ2つの側面を持っているので、積極的にはなりにくい。だから、わかりやすいファイル共有がターゲットになっているというところもあるのだろう。

日本でも最近、P2Pファイル共有ユーザをターゲットに、おとりファイルをばらまいて注意喚起・啓蒙しようという実証実験を実施すると総務省が発表した。P2Pファイル共有自体は下火になっているものの、こちらもわかりやすい相手をターゲットにせざるを得ないというところがあるのかもね。今、一番影響が大きいのは動画共有サイトなんじゃないのかなと思うんだけれども。次点でサイバーロッカーがあるけど、こちらはMegauploadの摘発でだいぶ使いにくくなってしまったので、一時に比べれば減少しているんじゃないかな。

シックス・ストライク・スキームの実施でフリーWi-Fiが消える?

以下の文章は、TorrentFreakの「“Six Strikes” Anti-Piracy Scheme Affects Some Businesses, Public Wi-Fi Forbidden」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:“Six Strikes” Anti-Piracy Scheme Affects Some Businesses, Public Wi-Fi Forbidden
著者:Ernesto
日付:January 18, 2013
ライセンス:CC BY

論争の的になっている米国の「シックス・ストライク」システムが、 近日中にもスタートする見込みとなっている。 このイニシアチブは市民を啓蒙することを目的としているが、リーク文書によるとビジネスにも適用されることになっている。本日、CCIの取締役ジル・レッサーは、一部のビジネスアカウントが影響を受けることを認めた。しかし、彼女はこのスキームが パブリックWi-Fiを提供するカフェオーナーに影響を及ぼすものではないとした。パブリックWi-Fiを提供すること自体、利用規約で禁じられているのだから、と。

1週間前、TorrentFreakはベライゾンが実施する「著作権警告」システムの詳細について明らかにした。

要約すると、インターネットプロバイダが海賊版の映画や音楽などを共有するアカウントの加入者に警告を送りつけ、4度の警告を受けても改善されなければ、そのアカウントの接続速度が256kbpsまで制限されるというものだった。

こうした警告の詳細に加え、著作権警告システムがビジネス・アカウントにも適用されることも明らかになった。それが意味するところは、従業員が社内のネットワークを利用して海賊行為を行うのを、会社が防止しなければならないということである。加えて、フリーWi-Fiを提供するカフェなどでは、客によるファイル共有を抑止しなければならなくなる。

我々は、著作権警告システムを担うCenter for Copyright Information(CCI)に、ベライゾンがビジネス・アカウントにもこのシステムを適用しようとしているのは間違いではないかと確認した。その結果、どうもこれは間違いではないらしい。

CCIの専務取締役ジル・レッサーは、警告の大半は一般の加入者に送付されるが、一部の会社も影響を受けるだろうとTorrentFreakに回答した。

「著作権警告システムは、一般の顧客の方をターゲットにしていて、大半の警告は世帯に届けられます。ホームオフィスやホームビジネスの顧客の一部は、著作権警告システムの対象となります」とレッサーは述べている。

CCIによると、これは従業員に著作物を共有させてはならないという問題ではないのだという。

「重要なこととして、利用規約は世帯向けアカウントと基本的には同じであり、中小ビジネスが従業員に著作権窃盗を許しているのであれば、それは利用規約違反ということになります」とレッサーは言う。

パブリックWi-Fiの提供についても同様に、こうしたビジネスアカウントの起用規約では、第三者とのインターネットアクセスの共有をすでに禁止しているとレッサーは付け加えた。

「加えて、そうしたアカウントの利用規約は、フリーWi-Fiや『ホットスポット』の提供を禁じております。ですので、パブリックWi-Fiを提供しているカフェのオーナーが仮にいたとしても、それは彼らが利用規約を守っているかどうかの問題であって、著作権警告システムの問題ではありません。」

実際、我々はベライゾンのビジネス向け利用規約に以下の文言を確認した。

「有線または無線接続を通じインターネット接続を第三者に提供してはならない。(たとえばWi-Fiホットスポットのような)パブリックインターネットアクセスを助長してはならない。」

以前であれば、これらの規約は監視し、強制することは難しかったが、著作権警告システムによって大きな変化が訪れることになるのだろう。こうした影響を受ける中小企業がどの程度存在するのかはわからないが、総統な数に上るものと思われる。シックス・ストライク・スキームが実施された時、あなたのお気に入りのカフェからパブリックWi-Fiサービスがなくなることになるかもしれない。

仏スリーストライク、ネット切断を諦め 行政罰金を科す方向へ

以下の文章は、TorrentFreakの「Music Biz Wants To Swap ISP Disconnections For Cash Fines」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Music Biz Wants To Swap ISP Disconnections For Cash Fines
著者:Ernesto
日付:January 28, 2013
ライセンス:CC BY

エンターテイメント産業は長きに渡り、タダで音楽や映画をダウンロードするような道を踏み外したインターネットユーザへの対策として、いわゆる「スリーストライク」を導入するよう多大なる努力を払ってきた。そして、人々が悪事に手を染めないためには、最終的にインターネットの切断という罰を科すべきだと主張されてきた。しかし、段階的レスポンスの創始国であるフランスの音楽産業は今、切断を捨て罰金を支持しているようである。

この10年間、世界のエンターテイメント企業は、違法ファイル共有の問題と戦ってきた。彼らはそれを阻止するため、サイトを閉鎖し、人々を法廷に引きずり出し、ロビー活動をし、脅し――というように、ありとあらゆることを試みた。

しかし、いずれのアプローチを用いても、彼らが最終的な目標を達成することはできなかった。その事実を理解してか、最近、権利者たちは「教育的」アプローチのもたらす結果について考え始めた。こうした考え方は、さまざまな「ストライク」レジームへと発展していった。基本的には、消費者が自らの行動を変えるよう、常に監視を続けるというものである。

音楽産業はすぐさま目を向けた。人々は二、三度の警告によって正しい方向に導かれなければならないが、その説得に応じなければ、最終的に何かしらの罰が科されることが必要だ、と。

5年以上を費やしたロビー活動の末、この最終的な罰はフランスのHadopiスキームの中に組み込まれた。しかし、100万以上の警告を発しているにもかかわらず、インターネット接続を切断されることはなかった。批判の多い手段であることや実施することで問題が生じる可能性があることに加え、昨夏オレリー・フィリペティ文化相がアカウント停止措置について「最終目標に対して不相応な罰だ」と述べてもいる

したがって、現在フランスではこの切断のオプションはほぼ死んだといえるだろう。では、それに代わるものはなんだろうか? おそらく、金を奪うこと、だ。

Midemで聞こえてきた発言は、フランス音楽産業が現在、罰金システムの導入に重きを置いていることを示唆している。

UPFI(Union of Independent Phonographic Producers)は、切断レジームの代わりに警告と140ユーロの罰金にすべきだとする仏音楽権利団体SACEMの意見に同意すると発言している

PCInpactはUPFI事務局長のジェローム・ロジャーとコンタクトをとり、同団体がそうした罰金に賛成していることを確認した。

こうした罰金を好む傾向は、ワーナー・ミュージック社長のティエリー・シャサーニュによっても支持されている。シャサーニュの最近の発言は、Hadopiの下では違反者に十分な罰が与えられていない、抑止力が必要だということを示唆している

「抑止力が不十分です。この部分については失敗といえるでしょう」とシャサーニュは言う。「私たちがダウンロード違法だと考えるのであれば、それは罰せられなければならない。何も目新しいことではないでしょう。私は罰金システムが妥当だと思いますよ。」

米国で近日中に開始することが予定されている「シックスストライク」スキームには、切断のオプションは含まれていない。しかし、一部のISPの利用規約には、加入者の著作権侵害があった場合に契約の解除を可能とする条項がある。

UPDATENemuramaのエディタ、ギヨーム・シャンポーがこの問題に詳しい関係者から得た情報によると、法改正によってインターネットの切断から行政罰金(つまり、適法手続きの後に裁判所が判断するのではなく、当局によって自動的に判断されることを意味する)に変更されることはほぼ間違いないという。

ギヨームは「具体的にどのような法律にすべきかという議論は残っていますが、自動的罰金システムは、今のHadopiの権利保護委員会(Rights Protection Commitee)のような専属の行政機関が運用することになるようです。もしくは、テレビとラジオの行政機関である上級オーディオビジュアル審議会(Superior Audiovisual Concil)のようなかたちかもしれない。新しい法律は2013年前半に議会で討論されるとのことです」とTorrentFreakに話してくれた。

個人的には、ネット切断よりもはるかにマシな選択肢だと思う。ただ、適法手続きを経ずに自動的に罰金を科すことになれば、先日の遠隔操作ウィルスによる犯行予告の誤認逮捕・冤罪事件に見られたように、不十分な証拠をもとに不当な行政罰が科される可能性は否定できない。おそらくは大量に網をかけることになるだろうから、そうしたリスクをどうやって軽減していくか、十分な議論が必要だろう。

スリーストライクは効果あり? 仏Hadopi、2013年に警告を倍増させる見通しを示す

以下の文章は、TorrentFreakの「Hadopi Plans Large File-Sharing Warning Increase For 2013」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Hadopi Plans Large File-Sharing Warning Increase For 2013
著者:enigmax
日付:January 23, 2013
ライセンス:CC BY

フランスのアンチパイラシー機関Hadopiは、予算を25%削減されたにもかかわらず、2012年に668,000通だった「ストライク」警告を、2013年には110万通送るのだという。また、Hadopiは市民が合法または違法なコンテンツをオンラインでどれくらい消費しているのかを示す調査結果を公表し、インターネットユーザを正規コンテンツの消費に引きこむことに成功したと伝えている。

2010年、フランスはインターネット上の著作権侵害問題に対処するため、議論の的になっている「スリーストライク」システムを世界に先駆けて導入した。

このシステムは、著作権を持つ企業がファイル共有ネットワーク上の著作権侵害を監視し、侵害が疑われるユーザのISPに警告を渡すことになっている。Hadopi機関によって運用されるこのシステムは、「サード・ストライク」の宣告とペナルティを受け取る前に、正規ルートでのコンテンツ購入の啓蒙を目的にしているという。

Hadopiが公表した統計によると、Hadopiは2012年の1年間に613,271通の電子メールによる警告と、54,712件の書面による警告を送付した。そのうち305件が訴追に至った。2012年中に相当な数の警告を送付したHadopiだが、2013年には更に多くの警告を送るのだという。

Numeramaが報じたところによると、Hadopiは今年110万通の警告状を送付するとしている。Hadopiの予算が25%(300万ユーロ)削減されたことを考えると(日本語記事)、驚くべき増加である。

これまでの音楽や映画、テレビ番組のファイル共有ユーザに加えて、昨年ゲーム産業がこの警告スキームに参加したことで、ゲームを共有するユーザも警告を受けることになった。増加分にはそれも含まれているのだろう。

しかし、このシステムは本当にうまく行っているのだろうか?

2年超にわたって続いたこのスリーストライクシステムについて、Hadopiは「海賊行為とインターネットの文化的利用:フランスインターネットユーザの行動と認識」と題した2度目の報告書を公開した。

Hadopiは1,530人の回答者にインタビュー調査を行い、警告システムが導入されたことで、合法コンテンツの消費が増え、違法コンテンツの消費が減少していると結論づけている。

Hadopiによると、オンライン上で違法なコンテンツの入手しているユーザは2011年12月には20%だったが、2012年10月には15%に減少したという。この15%には、違法なコンテンツだけにアクセスするユーザと、合法的なソースから入手したコンテンツも楽しむユーザの双方が含まれている。

全体として、87%のユーザが正規ソースのメディアへのアクセスしていると回答し、78%のユーザが合法的なソースからのみデジタルコンテンツをダウンロードしていると回答した。後者は2011年には71%だった。また、Hadopiによると特に音楽において顕著な違いが見られたという。合法的なソースからの音源にのみアクセスすると答えたユーザは2011年12月に72%だったが、現在は80%に上昇している。ゲーム(84%)や書籍(87%)でも同様の傾向が見られた。

回答者の約半数(51%)が法令順守の精神から正規コンテンツのみを消費していると答え、43%がクリエイターへの敬意からそうしていると回答した。他の理由としては、高品質な製品を手に入れたい、マルウェアやウィルスのリスクを減らしたいなどが挙げられた。

しかし、これらの数字がHadopiの実施した調査から得られたデータからのものであることを考えると、本当にフランスのインターネットユーザの行動や認識を反映したものであるかどうかは疑わしい。インターネット接続を切断してやるぞと脅す機関が実施した調査に、正直に答えられるものだろうか。

この数字の本当のところはさておき、Hadopiは今まで以上に警告を送付することが、来年さらに良い数字を出すためのソリューションだと考えているようだ。

Hadopiに対する批判的な意見も出ていることから、なんとしても成果を出さないといけないという状況に陥っているところもありそうだね。

後段の調査については、置かれている立場を考えると中立とはいえないHadopiが実施した調査で、かつ指摘されているように回答者が本心を回答したかどうかにも疑問がある調査といえる。もちろん、一定の効果はあったと思うけれども、ほぼP2Pファイル共有に限定されているスキームで、ここまでの成果が出るものかなという気もする。

ただ、成果があろうがなかろうが、個人的には「インターネット接続を(一時的にであれ)切断するオプション」が含まれている限り、このスキームには断固反対したい。

追記

そういえば以前、以下の記事を翻訳していました。こちらもご参考に。

仏スリーストライク法、著作権侵害を激減させるも売上は上がらず - P2Pとかその辺のお話

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