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個人から投資を募って製作を続けるSFドラマ、エピソード3をBitTorrentでリリース

以下の文章は、TorrentFreakの「BitTorrent Exclusive TV-Series Writes History」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:BitTorrent Exclusive TV-Series Writes History
著者:Ernesto
日付:March 28, 2011
ライセンス:CC BY

エンターテイメント産業からすれば、BitTorrentは権利者に無断でビデオや音楽をダウンロードするためのツールだと思っているかもしれないが、その一方で多くのアーティストがBitTorrentをビジネスにとって欠くことのできない存在となっている。BitTorrentオンリーのテレビシリーズ『パイオニア・ワン(Pionieer One)』は、この点最も先進的なプロジェクトと言える。本日、同番組の製作者はエピソード3をリリースした。エピソード4も数週間のうちにリリースされる予定になっている。

1年ほど前、我々はBitTorrentでだけリリースされるテレビ番組を計画する2人の若き映画製作者について記事を書いた。その後、彼らはユーザから資金を得て制作費を調達することに成功した。

それから数ヶ月、このアイディアは次第に現実のものとなっていった。数日のうちにパイロット版を製作できるだけの資金を調達し、数多くのボランティアの協力を得て、昨年6月、パイロット版はリリースされた。

このパイロット版はVODOプラットフォームでリリースされた。VODOは、The Pirate BayやFrostWireなどのパートナーを通じて最大限のプロモーションを約束する。ただ、パイロット版をダウンロードしてもらうことは、このプロジェクトにとってはスタートに過ぎなかった。ファースト・シーズン終了まで、まだ5つのエピソードが残されていた。

幸運にも、多くの人が『パイオニア・ワン』を評価し、プロジェクト続行のために寄付をした。リリースから2週間で20,000ドルが追加され、さらに9月初旬には30,000ドルに到達、続くエピソードを撮影するための資金は調達できた。

製作者たちの願いは叶い、このプロジェクトはファンによって生かされた。昨年の終わりにエピソード2はリリースされた。

そして今日、ついにパイオニア・ワン エピソード3がリリースされた。エピソード4は来月リリースされるとのこと。パイオニア・ワンの脚本を手がけたジョシュ・ベルンハルトは、一般的ではないリリース形態でありながらも、ファンは次第に増えていることを確信しているという。

「エピソード2のリリースで、ファンがまだ待ち望んでいることを確認できました。そして、パイオニア・ワンを知らなかったたくさんの人たちにもその存在を知らせることができました。新たなエピソードをリリースするごとに、ますます勢いが増していくように思えます。ストーリーを展開して行くにつれて、ファンはさらに投資してくれるのかもしれません。」とベルンハルトはTorrentFreakに語った。

Pioneer One Episode 3

このプロジェクトをフォローしていたのはBitTorrentユーザだけではなかった。他の映画製作者や従来のテレビ業界の人々にも、広く認知されることになった。このピア-ファンドによるエピソードは、ニューヨーク・テレビジョン・フェスティバルの『ベスト・ドラマパイロット』賞を受賞し、製作者らの意欲をさらに後押しした。彼らが正しい方向に向かっていることを確信させるものであった。

「BitTorrentをコンテンツ配信の現実的な手段だという考え方が、ブレイクスルーの始まりだったと思います。」とベルンハルトは言う。「BitTorrentはある汚名を背負っています。特に、エンターテイメント産業の人たちの間では。BitTorrentの話をしようとしても、きっと『パイラシー』を思い浮かべて、聞く耳を持ってくれないでしょう。でも、パイオニア・ワンやゼニス、その他のプロジェクトが採用しているこのモデルは、無視できないほどに大きくなっていくと思います。」

既にパイオニア・ワンのクルーは歴史にその名を刻んだ。しかし、その成功を実現したBitTorrentモデルは、ある大きな欠点を抱えている。テレビ番組の撮影は非常にコストフルで、しかもほとんどの予算はピアからの寄付によってまかなわれている。クルーがシーズン1を完成させるためには、各エピソードのリリースのごとに資金を調達しなければならない。これまではうまくいった、しかし、残りのエピソードを撮影するための資金を集めるためには、更なるプッシュが必要となる。

「シーズン1の残る2つのエピソードについては、5月から製作を開始する予定です。それまでには、どのようなかたちであれ、資金を調達しなければなりません。目下の目標は、全6エピソードを完成させ、シーズン1を完結させることです。それはもの凄く大変なことだと思います。批判者は、そんなことは不可能だ、挑戦することすら馬鹿げていると言うでしょう。しかし、その達成に向けて、少なくとも前進してきました。何が何でもパイオニア・ワンのシーズン1を完結させる、私たちはその覚悟を固めています。」とベルンハルトは言う。

「パイオニア・ワン エピソード3」はVODOよりダウンロードできる。もし、プロジェクトを支えたいと思うのであれば、チップはお忘れ無く。

あらすじを読んで、おもしろそうと思いつつ、まだ見てなかった「パイオニア・ワン」。

謎の宇宙船が大気圏に突入した。米国国土安全保障省が調査したところ、ソビエトの宇宙服を着た意識不明の人物が発見された。事故現場で見つかったロシア語のメモによると、この男性は火星基地に住む宇宙飛行士の子供であるという。

VODO - Pioneer One (2010) ― by Pioneer One

まだ見ていないのだけれども、タイトルとあらすじから、何となく「カプリコン・1」を思い出してしまった。あれはSFというより、政治的なサスペンス色が強かったけれども。

それはさておき、このプロジェクトについては今まで翻訳してなかったので、これまでの概要はスラッシュドットの記事なんかを参考にしてもらえれば。

パイロット版は予算6,000ドルで撮影されたとのこと。資金は個人から小額投資を募るマイクロ・ファンディング・プラットフォームである「Kickstarter」で調達され、VODOの番組サイトで更なる製作費の支援を募っている。

このシリーズの製作者の一人であり、脚本を担当したJosh Bernhard氏曰く、TV業界では限られた利益にありつくべく業界内でも皆必死であり、新たな参入は非常に難しいとのこと。このため、無名の自分たちの作品が日の目を見るにはVODOは当然の選択であったという。

また現実的な側面以外にも、現在のTV業界に物申す姿勢もあるようだ。昨今のTV業界では視聴率など「良い番組を作ること」以外のプライオリティが優先されており、変革が必要と考えているとのことだ。

P2Pでプロモーション、個人から投資を募って制作を行うSFドラマ「Pioneer One」 - スラッシュドット・ジャパン

確かに、この「パイオニア・ワン」や「ゼニス」のようなプロジェクトが、こうしたモデルに支えられつつ全エピソードを完走できたら、それはそれでおもしろくはある。ただ、一番重要なのは、上記の記事にもあるけど、「何が何でも完結させる」ことにあるのかなって思ったりもする。作り手にとっても、受け手にとっても。

こういうやり方をする人は、現状に不満を抱いている部分が少なからずあるんだろうけど、既存の業界とつかず離れず、ときに交わる機会が生まれるような、そんな状況になっていくのがよいのだろうなぁと思う。

余談だけれども、「パイオニア・ワン」はCC BY-NC-SAでリリースされてるのね。翻訳して字幕つけて、リリースできるのか。

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ホワイトハウス:違法ストリーミングを刑事罰化し、盗聴を可能にせよ

以下の文章は、TorrentFreakの「White House: Streaming Should Be a Felony, Wiretap Infringers」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:White House: Streaming Should Be a Felony, Wiretap Infringers
著者:enigmax
日付:March 16, 2011
ライセンス:CC BY

オバマ政権の『IPカエサル』ことビクトリア・エスピネルは昨日、20ページの白書(政府報告書)を公表した。彼女はその中で、将来あるべき法律について提言し、著作権侵害の取締りを容易にするための法改正を議会に求めた。彼女の提言では、違法ストリーミングを重犯罪とし、著作権侵害事件における当局の盗聴を可能にするよう求めている。

オバマ政権の知的財産執行調整官ビクトリア・エスピネルは、知的財産権関連法の改正に関する提言を公表した。偽造医薬品に対する措置などについても書かれているが、当ブログの読者が気になる箇所は、無許諾ストリーミング取締りのための措置に関する提言だろうか。

偽造医薬品に関しては、場合によっては命に関わることもあり、重要性の高い問題であることは間違いない。そのような重大な問題と無許諾ストリーミングが併記されているということは、これも差し迫った問題であるということなのだろう。

エスピネルは、ストリーミングコンテンツを提供するサイトについて、彼らが使用する配信メカニズムは、現行法下では、公演(public performance)にあたる可能性があるとの懸念を示した。権利者側の抑止的観点からは、より軽微な犯罪ということになり問題をはらんでいると言える。

そこで、ストリーミング-ないし同様の目的に適う新たな他の技術的手段-が、「著作物の配布」として再定義されなければならないという。つまり、重犯罪として扱われるべきだ、と。

重犯罪として扱われることで、特に監視について新たな権限を行使することができる。FBIや他の機関は深刻な犯罪の捜査において、電話、インターネット接続、その他のコミュニケーション手段の盗聴が許されている。現在のところ、著作権侵害はその重犯罪には含まれてはいないが、エスピネルはこれを変えるべきだと主張する。

「こうした知的財産権犯罪に対する盗聴権限を、現在盗聴が許されている他の種類の犯罪における法的保護に従い、米法執行機関が効果的に容疑者(組織的犯罪や犯罪組織のリーダー・オーガナイザーなど)を捜査できるようにすべきである。」と白書にはある。

いつものことながら、いくつかの懸念がある。この提言をざっと見る限りでは、サイトのオーナー(「犯罪的ギャング」という用語を選んで使っているよう)をターゲットにしているようであるが、「ストリーミング」が重犯罪に分類されることで、無辜の犠牲者が巻き込まれる可能性がある。ストリーミングはますます一般的になり、サイト側がコンテンツを円滑に配信するために視聴者のアップロード帯域を利用している(たとえばPPLive)中、その視聴者たちも「ストリーミング配信者」という扱いになるのだろうか?

また、先日テキサス州のブライアン・マッカーシー(32)が、ChannelSurfing.netの運営により著作権侵害の容疑で刑事摘発を受けたケースについても考える必要もある。

マッカーシーは、著作物の「複製と配布」について刑事著作権侵害の容疑がかけられている。ニューヨーク南部地区連邦検事のプリート・ブハラはマッカーシーが「利益を目的として、ライブ・スポーツ・イベントをインターセプトし、ストリーミングした」と話す。

さて、マッカーシーの行為が「ストリーミング」にあたり、既に刑事犯とされているにもかかわらず、何故法改正が必要だというのだろうか?さらに、彼はコンテンツをストリーミング配信したわけではなく、単に誰かのストリーミング配信をChannelSurfのウェブページにエンベッド(埋め込んだ)だけである。ストリーミングかストリーミングでないか、配布か配布でないか(エンベッド)によらず、すべてが刑事犯罪であるということだろうか。いつものことだが、答えよりも疑問の方が多くある。

白書の全文のダウンロードはこちらから

映画/音楽産業団体、ISPにブロックして欲しい100のウェブサイト・ウィッシュリストを作成

以下の文章は、TorrentFreakの「100 Domains On Movie and Music Industry Website Blocking Wishlist」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:100 Domains On Movie and Music Industry Website Blocking Wishlist
著者:enigmax
日付:March 22, 2011
ライセンス:CC BY

英国通信・メディア監督機関Ofcomが、ウェブサイト・ブロッキングの現実的な実行可能性について検討しているという。政府関係者は、このメカニズムは、違法ファイル共有への対処として望ましいアプローチであると話している。エンターテイメント産業は、この計画が前進することを祈ってか、ISPにブロックして欲しい100のウェブサイトのリストを用意した。

昨年12月、映画産業は英国にて、ファイル共有サイトNewzbinのISPレベルでのブロッキングを求める訴訟を起こした

MPAAとUsenetインデックスサイトNewzbinとの戦いは長きにわたった。昨年5月、MPAAは裁判の末になんとかNewzbinを閉鎖に追い込んだものの、同サイトはまもなくNewzbin2として復活した。同年12月、MPAAは英国大手ISPのBTに対し、Newzbin2をブロックするよう求める裁判を起こした。

今月初め、ジェレミー・ハント文化・オリンピック・メディア・スポーツ担当閣内相が、情報通信庁Ofcomにウェブサイト・ブロッキングの実行可能性について説明を求めていたことが明らかになった。ブロッキングそのものは昨年成立したデジタル・エコノミー法により実施できることになっている。

Ofcomからの回答は今春中に出されると見られているが、本日、ガーディアン紙が報じたところによると、気の早いエンターテイメント産業は、Ofcomからの回答に先立ってブロッキングのための準備を進めているという。

音楽、映画産業の権利者たちは、彼らがブロックを望む100のウェブサイトをリストアップした。その中には、The Pirate Bayやファイル・ホスティング・サイト、いわゆるサイバーロッカーサイトが含まれている。案の定、Newzbin2もリストに入っているが、ほとんど知られていないMovieberry、Free Movie Online 4 Youといったサイトも含まれている。

こうしたリストをベースにした、ISPと権利者との民間での自発的取り決めが結ばれた場合、ISPは権利者から違法ファイル共有に関する証拠を受け取り、しかる後に問題のサイトをブロックすることになる。

政府会合関係者がガーディアンに語ったところによると、加入者に著作権侵害警告を送付するよりも、サイトブロッキングの方が望ましいという。その理由として、前者は手間がかかり、コストが高くつきそうだとしている。

「私たちはサイトブロッキングに関心を持っている。エンド・ユーザをターゲットにしたくはないし、[警告システム(the mass notification system)は]回りくどい。即時対応できるものが望ましい。」と話している。

では、この100のリストに我々がよく知るサイトは入っているのだろうか?いくつかのサプライズはあるだろうが、おおかた、先日「最も深刻な海賊市場」にて挙げられたものが主にリストされているのだろう。

長らく音楽産業の頭痛の種となっていた、ロシアAllofMP3から増殖したpay-to-downloadポータルたちはリストの上位に食い込んでいるだろう。また、びtTorrentインデックスサイトでは、The Pirate Bayの他に、isoHuntやBTjunkie、KickassTorrents、Torrentzなどがリストされていると思われる。

DemonoidやRUTracker、Zamundaなどトラッカーを持つTorrentサイトも、おそらく入っている。ただ、OpenBitTorrentやPublicBTのような純粋なトラッカーをブロックするのは難しいかもしれない。これらのトラッカーは、検索エンジンも、読み込み可能なファイル名も、トレントをホストしていることもないのだから。

とはいえ、Ofcomがサイトブロッキングは実行可能だと評価したとしても、音楽や映画への違法アクセスを完全に撲滅するまでにはならないだろう。しかし、ファイル共有ユーザの大多数を占めると思われるカジュアルなダウンローダーたちは、違法なダウンロードを諦めるかもしれない。これはおそらく、エンターテイメント産業にとって十分な成果と言えるだろう。

ポスト・ナップスター時代:メジャーレーベルは苦しんでいるが、新しい音楽は生まれ続けている

以下の文章は、TorrentFreakの「Report: Despite Piracy, Music Is More Alive Than Ever Before」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Report: Despite Piracy, Music Is More Alive Than Ever Before
著者:Ernesto
日付:March 25, 2011
ライセンス:CC BY

米国の経済学者ジョエル・ウォルドフォーゲルが公表した論文によると、 音楽パイラシーは、RIAAやIFPI、その他業界団体の主張とは異なり、新たな音楽の創出を害してはいないという。むしろ、音楽はこの数年で民主化し、そのパワーバランスは、メジャーレーベルによる独占状態から、小規模なレーベルやインディペンデント レーベルへとシフトしている。音楽それ自体は、以前にも増して活気づいているのかもしれない。

近年、多くの研究者がインターネットパイラシーとメジャーレーベルの収益との関連について研究を行っているが、その結果はさまざまである。ある研究者は、パイラシーはセールスに影響しないと結論づける一方で、別の研究者は、ほどほどにネガティブな関係にあるという。とはいえ、全体的には、音楽産業が主張する損失は誇張しすぎ、というコンセンサスは得られている。

また、音楽産業はパイラシーが新たな音楽の創造を妨げると主張してもいるが、ミネソタ大学応用経済学教授ジョエル・ウォルドフォーゲルによって、その偽りを暴かれた。彼は最近公表された論文の中で、パイラシーがクリエイティビティを損ねる、または、レコ―デッド・ミュージックの供給を遅らせるという証拠は見当たらないことを示した。

「著作権によって形成される合法的独占状態は、新たな作品の創出を促進するとして正当化されているが、この関連を指示する証拠はない。」 と、ウォルトフォーゲルは論文「ミスアメリカンパイにさようなら?」 の冒頭で述べている。(訳註:正式なタイトルは「Bye, Bye, Miss American Pie? The Supply of New Recorded Music since Napster」)

「レコ―デッド・ミュージックの供給は、Napster以降も大きく減少することはなかった。少なくとも損益分岐点が低いインディペンデント・ミュージック・レーベルが、新たな作品の市場投入についてより大きな役割を担っていることを示唆する証拠はある。」と彼は結論づけている。

一部の研究者たちは、パイラシーと音楽産業の収益との関連について注目してきたが、この10年で音楽産業が別の大きなシフトを迎えていることは、ほとんど注目されてこなかった。この論文であげられている詳細なデータについては割愛するが、ウォルドフォーゲルが指摘したいくつかのポイントについて強調しておきたい。

音楽の民主化

ウォルドフォーゲルはこの論文の中で、これまで我々が指摘してきたポイントを繰り返し主張している。つまり、ファイル共有の増加と共に、テクノロジーも急速に発展したということ。新しい、そして安価なレコーディング・テクノロジー、音楽配信サービス、ソーシャルネットワークが登場し、以前はメジャーレーベルがなければできなかった種々のタスクが、インディペンデントレーベル、さらにはアーティスト個人でさえ、容易にできるようになった。

メジャーレーベルは、次第に時代遅れになりつつある。少なくとも、メジャーレーベルの役割が、より低い利益率で経営されるインディペンデントレーベルによって引き継がれ、その独占は崩壊しつつある。メジャーレーベルの場合、50万枚を売らなければ損益分岐点をこえないこともしばしばあるが、インディペンデントレーベルならば25,000枚、またはそれ以下で損益分岐点をこえることができると、ウォルドフォーゲルは例示している。

新たなテクノロジー、特にインターネットが、より広い規模で、音楽産業のルールを一変させていると解釈することもできる。

製作、プロモーション、ディストリビューション(配布)

ウォルドフォーゲルは「音楽をうまく市場に投入するには、3つの構成要素―製作、プロモーション、ディストリビューション―をうまくこなす必要がある。新たなテクノロジーは、それぞれの要素を大きく変えた。」として、3つの構成要素それぞれが、近年どのように劇的な変化をもたらしたのかについて説明している。

第二次世界大戦以降、音楽の製作コストは10年おきに減少を続け、このプロセスはポスト・ナップスターの時代に加速度を増した。現在、ほぼすべてのガレージバンドが、限られた予算の中で、高音質のアルバムを録音できる。これはほんの数年前にはほぼ不可能なことであった。

同様に、インターネットのおかげで、ありとあらゆるプロモーションが可能となった。唯一かかるコストは、それにかけられる時間である。YouTubeやFacebook、その他にも、Last.fmやPandoraなど音楽に特化したサービスなど、アーティストは多数のプラットフォームを駆使して、プロモーションを行うことができる。以前は(違法ではあったが)、レーベルが音楽のプロモーションのためにラジオ局にお金を支払うこともあった。

ディストリビューションについても変化が訪れている。現在、アーティストは最小のコストで作品をiTunesで売り出すことができる。また、無料で配布したいというアーティストにも、数百の選択肢がある。現在と10年前とを比較してみるといい。10年前、iPodは未だ世に出ておらず、アーティストはCDを物理的に出荷しなければならなかった時代と。

音楽産業は史上空前の変化を経験している。しかし、メジャーレーベルは新たな現実に適応する代わりに、パイラシーを排除する方向に力を注いだ。メジャーレーベルは収益を落としたが、それと同時期に立ち上がった数千の小規模インディペンデントレーベルは、良好な収益を上げている。

ウォルドフォーゲルが結論づけているように、メジャーレーベルの主張とは異なり、新たな音楽の供給はパイラシーのせいで減少することはなかった。むしろ、音楽産業全体はアーティスト個人、小規模なレーベルにパワーバランスがシフトするように変化している。これはメジャーレーベルを損なうことになりはしても、パイラシーのせいというわけではない。そして、音楽それ自体は以前にも増して活発になっている。

論文(のドラフト)にざっと目を通したけど、経済学は門外漢なもので正直なところ、よくわからない。どなたか詳しい方に解説してもらえればありがたいのだが…。

一応、新たな音楽供給の指標としては、評論家(たとえばローリングストーン誌やピッチフォーク)による「遡及的な」評価(「2000年代 ベスト500アルバム/トラック」とか、期限を区切らないベストアルバム/トラックとか)だとか。任意の年にリリースされたすべてのアルバム/シングルをカウントするとか、一定の売上を記録したもののみをカウントするという研究もあるけど、問題もあるよ、とか、指標の妥当性は検証しているよ、とか書いてあるけど、きちんと理解はできてないなぁ。うーん、と首をかしげられる方は元論文を読んでもらえれば。

ちなみに、タイトルは、「音楽が死んだ日」を歌ったドン・マクリーンの『アメリカンパイ』からインスパイアされたものだとか。

LimeWire停止により違法音楽ダウンローダーが激減、しかし音楽セールスにはほとんど影響なし?

以下の文章は、TorrentFreakの「US Music Piracy Plunges After LimeWire Shutdown」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:US Music Piracy Plunges After LimeWire Shutdown
著者:Ernesto
日付:March 24, 2011
ライセンス:CC BY

今日はメジャーレーベルにとって喜ばしいニュースでも。市場調査会社NPD Groupは、米国の違法なP2P音楽ファイル共有ユーザの数が、3年前に比べてほぼ半減したことを明らかにした。その結果、米国の違法音楽ファイル共有ユーザは1,200万人減少した。NPDはこの激減をLimeWireの閉鎖によるものと推測しているが、残念なことにレコードレーベルの収益には何の影響も及ぼさないようだ。

昨年10月、RIAAは何とかLimeWireを停止させることに成功した。しかし、ファイル共有界隈が一変したというような話は聞こえてこない。ある日を境に、世界中で最も人気のあったファイル共有アプリケーションが姿を消した。我々はその際、LimeWireの消滅が音楽パイラシーの規模に影響を与えることはないだろうと予測したが、NPD Groupの調査を見る限りでは、我々の予測は間違っていたようだ。

LimeWireの代わりは数あれど、NPDによると、昨年第4四半期のP2Pアプリケーションによる違法音楽ダウンローダーの数は、2007年同四半期に比べて43%も減少した。NPDは、この激減はおおよそLimeWireの停止によるものだとしている。LimeWireが停止したのは、第4四半期に入ってから数週間後のことであった。

このデータは、アメリカ人5,549人を対象にした広範な調査から得られている。母集団全体に置き換えると、米国の違法音楽ダウンローダーの数は、この3年間で、2,800万人から1,600万人に減少したことになる。

P2Pアプリケーションのマーケットシェアを見てみると、LimeWireは32%を占めており、依然として最も大きい割合を占めている(2010年第4四半期の最初の数週間は使用できたため)。しかし、この数字は同年第3四半期の56%からは減少している。

予想されていたように、LimeWireの停止により、他のP2Pアプリケーションのマーケットシェアは軒並み上昇した。FrostWireがその恩恵に最もあやかったようで、10%から21%に伸びている(訳註:FrostWireはインターフェースがLimeWireによく似たGnutella/BitTorrentクライアント)。

一方、BitTorrentクライアントとしては最も人気のuTorrentは、マーケットシェアを8%から12%に伸ばした。しかし、昨年に比べて違法音楽ダウンローダーの総数が減少したことから、uTorrentで音楽を違法にダウンロードするユーザの絶対数は減少した。(訳註:2,800万人の8%>1,600万人の12%)

また、NPDの調査によると、米国における違法音楽ダウンローダー人口の割合は、2007年第4四半期の16%から2010年同四半期には9%にまで減少している。では、このような大幅な減少が、音楽産業の収益にどのような影響を及ぼしたのだろうか?我々は、この調査の妥当性について必ずしも新羅いているわけではないが、少なくともRIAAにとっては喜ばしい結果であるにちがいない。

しかし、2010年第4四半期の収益を見てみると、4大メジャーレーベルの収益に大きな変化があったようには思えない。なぜか?まぁ、そもそも音楽パイラシーは音楽セールスに大きな影響を及ぼすものではないだろうから。しかし、彼らがこれを利益に結びつけることができなければ、おそらく、RIAAはこのパイラシーの激減を単純になかったことにするだろうね。

ちなみに、NPDのニュースリリースによると、P2Pファイル共有ユーザの平均音楽ファイルダウンロード数は、Q4 2007の35曲からQ4 2010には18曲の減少しているとのこと。もちろん、1、2曲しかダウンロードしないユーザもいれば、100曲以上ダウンロードするユーザもいる、との但し書きもある。分散が大きいってことを暗に示唆しているんだろうね。

あと、3年前に比べて大幅に減少したのは違いないんだろうけど、そのすべてがLimeWireの停止によるものというわけではないと思う。もともとP2Pファイル共有ユーザ自体が減少(ないし微減)傾向にあり、そこにさらにLimeWireの停止が追い打ちをかけた、というところじゃないのかな。

それにしても、「Limewireによる損害は『75兆ドル』」なんて主張されている一方で、LimeWireの停止が音楽セールスにほとんど影響を与えていないのだとしたら、あまりに間抜けすぎるよねぇ。あくまでも裁判ってことで、「侵害された曲目×共有していたユーザ数×法定損害賠償額(min-max)」で計算しました、ということなんだろう。それが逸失利益(lost sales)かどうかは別にして。

こちらも負けじとLimeWireの停止による回避できた損害額を単純計算してみる。LimeWireの存続期間6年間で被害額が「4000億-75兆ドル」なので、年間平均すると「667億-12兆ドル」、四半期ごとだと「167億-3.1兆ドル」、停止したのが10月末なのを考えると、さらに2/3して「111億-2.1兆ドル」。よって、LimeWireが停止したことにより、米レコード産業が回避できた損害額は、2010年11-12月の2ヶ月間で日本円にして「9037億円-171兆円」ということになる(単純計算をからかってるだけなので、信用しないように。)

さて、これほどの損害を回避できたのだから、音楽産業はさぞお喜びのことだろうと思いきや、この件に関するRIAAのプレスリリースを見る限りでは、そこまででもないようだ。

間違いなく良いニュースではありますが、このレポートからは、LimeWireの穴を埋めるべく、他のサービスの人気が上昇していることがわかります。FrostWireとuTorrentはこの四半期で成長を続け、また、依然として1,600万人がP2Pを用い、アーティストやクリエイターに対価を支払うことなく音楽を盗んでいます。 

PARTIAL PROGRESS ON PEER-TO-PEER: RIAA - March 23, 2011

確かに、3年前に比べてほぼ半減したとはいえ1,600万のユーザ数というのは、決して安心できるものではないのかもしれない。それと、uTorrentユーザの絶対数は減少してるのに比率だけ見て「成長だ」としてしまうのは、総数と比率の関係をわかってないということなんだろうね。ほんと大丈夫か?

それはさておき、RIAAはさらに、未だ被害は甚大だ、私たちRIAAの活動は今後も必要不可欠だ、と主張する。

このとは、現在生じている問題に対し、多面的な戦略が必要とされていることを意味しています。音楽レーベルは、既に合法的で優れた選択肢をファンに提供し、その需要を十分に満たしていますし、新しいサービスも続々と市場に投入されています。また、  インターネット上の著作権や、デジタル窃盗がクリエイターに及ぼす影響について消費者を啓蒙し続ける必要があります。エンフォースメントも依然として重要です。オンラインコミュニティにも重要な役割を担ってもらわなければなりません。たとえばISPはオンライン窃盗に使われたアカウントについて加入者に警告する、広告業者は著作権侵害サイトに絶対に広告を出さない、決済サービスは海賊版業者に対する支払い処理を行わない、といったように。共に、オンラインコミュニティを変えていくことができるのです。

PARTIAL PROGRESS ON PEER-TO-PEER: RIAA - March 23, 2011

反射的に音楽産業は「合法的で優れた選択肢」なんて提供してしない!と思っちゃう方は実際にリンクをのぞいてみると良いかも。個人的には、「音楽レーベルが」提供しているわけではないにしても、魅力的なサービスが並んでいるなぁと思います。あくまでも米国の話として。

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