2008年05月03日
IFPIのアンチパイラシー戦略のシフトは昨年より非常に明確になりつつある。当初は、サービスとしてファイル共有を提供してきたファイル共有企業に、その後はファイル共有ユーザに、そしてファイル共有企業亡きあとファイル共有サービスの機能の一端を担っていたBitTorrentトラッカーなどのHubに、ターゲットを絞ってきたが、そのどれもが結果としてはそれほど成功したとは言い難いものであった。そこで、昨年初めに公開されたIFPIの年次報告にも示されていたように、ISPに対してファイル共有ネットワークへの対処を要求する、という方向にシフトしてきている。大枠としては、ファイル共有トラフィックのモニタリングおよび当該ユーザのインターネットからの切断、電子指紋等を用いたコンテンツフィルタリング、ファイル共有プロトコルのブロック、海賊ファイル共有サイトへのアクセスブロックなどを求めている。そうした活動は昨年から次第に欧州に広がっており、デンマークでは実際にIFPIの主張が認められ、The Pirate Bayへのアクセスを遮断するよう裁判所が命令を下している。そして、IFPIが次のターゲットとしてスウェーデンのISPを狙っているようだよ、というお話。
原典:TorrentFreak
原題:IFPI to Sue Swedish ISP for Facilitating Copyright Infringement
著者:Ernesto
日付:May 02, 2008
IFPIが理想として求めているところとしては、すべてのISPが、IFPIが著作権侵害を助長したと判断したWebサイトに対する加入者のアクセスを制限することによって、インターネットポリスの役割を果たすこと、である。
これまでのところ、IFPIはロビー活動にほとんど成功してこなかったという経緯があり、そのためにISPに対して法的なプレッシャーをかけているのだろう。「ISPはこの点で、特別な役割を担っているのですから、ISPは我々を援助しなければなりません。私たちは複数ISPとの議論を求めてきましたが、それが良い方向に向かうということはありませんでした。」とIFPIスウェーデンのLars Gustafssonは、このアナウンスへの反応として述べている。
IFPIは複数のISPの実態を調査したとしているが、Lars Gustaffsonによると、その中でもある特定の企業に対して注視しているという。その理由は、同社がインターネット上でのファイル共有を助長しているためだと。彼らが停止せんとするサービスの1つは、もちろん彼らの天敵であるThe Pirate Bayだろう。
Gustafssonは、弁護士団からまだそのISPの名前を明らかにしないようすすめられているようだが、多くの人はそのISPがBahnhofである可能性が高いと思っているだろう。Bahnhofは、海賊コミュニティからもそのスタンスの高潔さからレコメンドされているISPである。
「ISPは、ファイル共有の抑止を援助するということに、いかなる責任をも感じてはいないのです。」とLars Gustafssonはいう。IFPIはすでに複数サービスプロバイダに対して書簡を送付している。その中で、ISPに対し、加入者をモニターし、Webサイトに対してフィルタリングをかけるよう訴えている。
とはいえ、大半のISPはIFPIとの協力を拒絶するだろう。先月、スウェーデン大手のISP Telia Soneraは、IFPIからの要請に対して、そのような行為はEU法において違法である(邦訳記事)と回答している。ノルウェーのISPも、のちに同様の議論で返答している。
一方IFPIは、ファイル共有サイトへのアクセス制限を行うこトは、実際にはISPにとって利益をもたらすものだとも主張する。「かつて、違法P2Pファイル共有はブロードバンドへの加入をドライブするのに役立ったかもしれません。しかし今日では、このような活動、特に映画などのファイル共有が、帯域を占有しているのではありませんか?」と彼は述べる。
これまでのところ、IFPIはデンマークにおいては勝利を収めている。2月、デンマーク法廷は、ISP 'Tele2'に対し、同社顧客のThe Pirate Bayへのアクセスを遮断するよう命じている(邦訳記事)。判決に対しては現在控訴が行われている。さらに最近では、The Pirate Bayが遮断によって生じた損害に対し補償を求める(邦訳記事)とのアナウンスを行っている。こうした動きが広まっていく、というのはある程度予想されていたことではあるが、現状ではEU議会の側がこうした動きに完全に同調している、というわけでもないようだ。無名の一知財政策ウォッチャーの独言でも述べられているように、権利と利用のバランスを保つことを良しとする、というところがある。
未だ各国における判断が分かれている(というより、判断すらなされてない)という状況にあるように思える。デンマークにおいて下された判決に対しても、ISP"Tele2"は控訴しており、今後もこの議論は続けられるだろう。
もちろん、The Pirate BayをはじめとしたBitTorrentサイトなどを起点として海賊行為が行われているのも、ゆるぎない事実として存在しており、たとえEU議会がIFPIの現在望んでいるような規制を拒否したとしても、こうした試みは今後も続けられていくだろう。
私としては、ここまでして海賊行為を抑え込もうとしている人々の守っているものにいつまでもこだわる必要などあるのか、と思うところもあるのだけれどもね。お金を払わずに使わないでください、というなら、OKわかった、じゃあ使わない、というだけでよいのではないかと。現状では、数多くのアーティストがCreative Commonsライセンス下で自らの作品を自由に利用してくれ、と積極的にWeb上にコンテンツを公開している。現状を見ればそれほど現実味のある話ではないと思うが、Webにおけるこれまでのダイナミクスを見ていると、現状では馬鹿げた話に見えても、将来にわたってそれが馬鹿げた話である保証はどこにもない。





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