スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

いかにしてヘビーユーザに対処するか:Comcast、ネット中立的な帯域制御のテストを開始

J-CASTニュースが今更のように伝えているが、バックボーン帯域の大半を一部のヘビーユーザが占有しているという問題がある。そうした状況に対処すべく、ISPはしばしばトラフィックの制御をおこなってきた。その中には、P2Pファイル共有プロトコルを狙いうちにしたり、混雑時間帯のみならず常時規制を課すなど、行き過ぎとも考えられる帯域制御を行うISPもあった。その最たるものが、ぷららによるWinnyプロトコル遮断の一件であったようにも思える。

現在、こうした帯域制御は各ISPが定めた独自の基準によってなされており、そうした状況を打開するために、日本インターネットプロバイダー協会をはじめ、電気通信事業者4団体が、「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」を策定し、それにのっとったフェアな帯域制御の運用を模索しているというところでもある。

ヘビーユーザによる帯域の占有は、日本においてのみ見られているわけではなく、米国においても同様に問題となっている。そして、その原因とされているのがP2Pファイル共有であるという点、問題への対処のためにP2Pプロトコルが規制されているという点でも、同様である。

ただ、日本と大きく異なるのは、特定P2Pプロトコル(換言すればBitTorrentなのだが)に対する帯域制御の問題が非常に大きな問題として議論されているということ。これは当ブログでも再三お伝えしてきたことではあるが、ComcastによるBitTorrentトラフィックへの過剰な帯域規制が、メディアの注目を集め、それによって連邦通信委員会(FCC)において議論されるまでに至っている。主にネット中立性に関わる問題として扱われ、FCCは現状の差別的な帯域制御ポリシーに対して懐疑的なスタンスをとっている。もちろん、こうした日米の事情の違いは、米国において既にBitTorrentを利用したビジネスが多数立ち上げられている、という側面もあり、単純に比較することは難しいという部分もあるだろう。

こうした事情もあり、米国ISPはより積極的にフェアな帯域制御ポリシーの導入を必要とされることとなった。もちろん、ネット中立性を担保するよう求められたからといって、それまでのトラフィックの占有状態が緩和されるわけではなく、なんらかの手法を持って帯域を制御しなければならなくなっている。

そういった中で、VerizonやPandoなどが中心となっているP4Pのような、より効率的なP2Pデリバリーを模索する動きがあり、こうした問題の当事者であったComcastがこのようなP2Pの有用性を認めるという形で、BitTorrent Inc.と手を結んだりPandoとともにP2Pユーザの権利章典を策定する、といった親P2Pへのシフトとも思えるようなアナウンスをおこなっている。

ただ、こうしたComcastの親P2P的なスタンスはスタンドプレーであると考えられ、あくまでもFCCの介入を避けたいという思惑の下に行動しているだけ、という見方もある。それと一致するように、同社は最近になっても依然としてBitTorrentプロトコルに対する過度の帯域制御をおこなっていることが示唆されている。もちろん、親P2P的な方向性を示しつつも、今現在は帯域制御が必要であるという説明は続けているわけで、全く嘘をついている、というわけでもないのだろうが。

それでも、こうした差別的な帯域制御を続けることは、再びFCCによる直接的な介入の機会を与えかねないということもあり、これまでとは異なる手法による帯域制御が必要になるだろう。

フェアな帯域制御の必要性に迫られてか、Comcastは新たなネットワークマネジメントポリシーを公表した。直接的なP2Pトラフィックの遮断という手法ではなく、プロトコルによらない帯域制御(protocol-agnostic bandwidth throttling)を目指すのだという。つまり、どのプロトコルを利用しているかによってではなく、その帯域の消費量によって帯域制御を行うという、プロトコルを狙い撃ちにしたものではなく、ヘビーユーザを狙い撃ちにしたものといえよう。Comcastによれば、こうしたヘビーユーザに対する帯域制御は、帯域の総消費量に応じて特定され、ネットワークが混在する時間帯にその通信が制限されるという。ヘビーユーザに課せられる制限は、そのユーザの利用状況が一定値以下になるまで、またはネットワークの混雑が解消されるまでとなる。Comcastはこのような制限にかかるユーザはごく一部であり、ほとんどのユーザはこうした制限が課せられることに気づくことはない、としている。

この新たな帯域制御ポリシーは、現在米国2か所において試験的に導入され、それがうまくいけば夏にはそのテスト地域を拡大、そして年末までにはComcast全体のポリシーとして導入したいようだ。

こうしたComcastの帯域制御ポリシーに対しては、以前のP2Pに対する差別的な遮断措置に比べるとまだ評価できる、という意見がある一方で、どの程度のユーザがこうした制限にかかってしまうのか、という点で疑問の余地が残されている。Ars Technicaでも指摘してされているように、同社のハイエンドサービスを利用するユーザが、頻繁にこうした制限にかかってしまうのであれば、何のためのハイエンドサービスだということにもなりかねない。Comcastのこうしたポリシーがたとえフェアなものであっても、その制限が過度に厳しいものであれば、ユーザ側からすればフェアであるという感覚は持ち得ないだろう(ユーザ間のフェアさは担保されるのだろうが)。

さて、Comcastがすべてのユーザを対象に、一定以上の帯域を消費するユーザに対して制限を設けるというポリシーへのシフトをうかがわせている一方で、それとは別の方法でトラフィックの抑制を試みるISPも存在する。Comcast同様にCATV系のISP、Time Warner Cableである。彼らが見出したネットワークマネジメント方略は、制限はしない、その代りに使った分だけ払ってもらう、というもの。つまり、従量課金制の導入である。これについては、次のエントリにてその話題を扱った記事を紹介しよう。

(なお、この従量課金に関しては、Comcastも導入を検討しているのでは?という噂があった。内部関係者のリークという形であったため、依然としてその真偽は明らかではないものの、そうした検討を行ったor行っているというのは不思議ではない(この噂に対するComcastの返答も曖昧なものであったし)。)

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/1046-aff2a3b1

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。