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欧州委員会、著作隣接権保護期間延長の提案を採決

以下の文章は、TorrentFreakの「EU to Extend Copyright, Break Royalty Monopolies」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:EU to Extend Copyright, Break Royalty Monopolies
著者:Ben Jones
日付:July 17, 2008 

今週初め、我々が言及したように、欧州委員のMcCreevyは録音されたパフォーマンスのより長期にわたる著作権保護期間を要求していた。現在、この提案は委員会を通過し、議会へと提出されることとなった。ただ、その一方で良いニュースとして、委員会は音楽著作権料徴収の独占を止めさせようともしている。

我々が月曜の記事で説明したように、提案はシンプルなものである。この著作権保護期間の45年の延長は、年老いた「苦しんでいるセッションプレーヤー」を助けてあげるためのものである。いずれにしても、それはご立派な原則のようにも見えるし、委員たちを納得させたようでもある。

おそらく、これに関するアナウンスから感じる最大の違和感は、セッションミュージシャンが1つの作品から50年間の支払いを受けた後に、なぜ突然にさらに45年の支払いを得ることが必要となったのか、ということである。

プリンターに紙を入れ、McCreevyの自宅の図面を引いた人が、これまで50年の間、支払いを受けてきたのであろうか。建築家は、いずれからも支払いを受けてはいなかっただろう。しかし、ミュージシャン、とくに才能がない、あるいは自らの力でスタートするだけの野心がないミュージシャンには、過去数十年の仕事の代金を支払わなければならないという何らかの理由があるのだろう。委員会から出されたプレス向けの資料では、このことはさも当たり前のことであるように書かれている。FAQの設問7に我々皆が感じている疑問への答えが書かれている。

7. パフォーマーは50年の保護期間で、十分に稼げないのですか?

大半のパフォーマーや歌手、セッションミュージシャンは、そのキャリアを20代前半、またはそれ以前に開始しています。つまり、現行の50年の保護では、彼らが70歳代になったときに終わってしまうのです。現在のEUの平均寿命は男性で75.1歳、h女性で81.2歳ですし、普通の人々は、80歳代、90歳代を豊かに暮らしています。ひとたび保護期間が終わりを告げれば、パフォーマーたちは、彼らの録音物からいかなる収入をも受け取ることはできなくなります。セッションミュージシャンや、それほど名の知られていないアーティストたちにとって、このことは引退したときの収入がなくなってしまう、ということを意味しています。それも彼らの生涯で最も頼りない時期に。

まぁ、彼らは1つの重要な事実を見落としているのだろう。人が引退をするとき、彼らはもはや働いていないので、その仕事からお金を得ることはできない。まさにそれが引退が意味するものである。これらのセッションミュージシャンが、1967年以降働いていないのであれば、彼らはこの40年間引退していたといえる。金銭的な苦難を何とかしてくれるということが分かっているのであれば、看護士、庭師、工場労働者、整備士、トラックドライバー、その他の人々が30歳で引退しても、その金銭的な苦難を何とかしてくれる法律を、委員たちが提出してくれるのを期待してもよいのだろうか。

ただ、本日の会合の結果は悪いことばかりではなかった。アーティスト、消費者のためになる、他の2つの法案も通過した。1つ目として、著作権保護期間の延長の規定の一部に、「use it or lose it」という条件が付けられたことである。レーベルが既にその録音物を市場に出すことを望んでいないのであれば、ミュージシャンがレーベルから彼らの著作権を取り戻すことを可能にする。商業的な利用可能性が1年以上失われている場合、権利は失われることになる。これは市場に録音物を押し出す試みとみることができる。しかし、これがどの程度効果がみられるのか、あるいは、どのように実行されるのかについては、言及されてはいない。たとえば、小さな町の裏通りの店舗にて、コピーを販売していることが、(訳注:商業的利用可能性としての)資格を得ることができるのだろうか、とか。

2つ目に、我々が最も大きな関心を持つ、著作権料徴収団体との契約についてのことがある。これまで、彼らは国内での独占状態にあった。人前で歌を歌ったとすると、そのアーティストが望むと望まぬとにかかわらず、楽曲が著作権で保護されている限りにおいては、料金を支払わなければならない。著作権改革の最終的な大改造として、そのようなグループが享受してきたナショナルフランチャイズは解体され、アーティストは自らの望んだエージェンシーと契約を結ぶことができるようになる。委員会は競争を望んでいるようだ。

ただ、これはまだ提案の域を出てはおらず、議会に承認されなければならない。しかし、この提案文書が、その提案の背景にある歴史を列挙している点に注目すべきだろう。彼らは2004年に、コメントを求める提案を行い、その後、特定の利害関係者との会合を持っている。EUでの文脈における利害関係者とは、その対象を含むビジネス関係者であり、市民は含まれてはいない。見事なまでに、提案それ自体が、どの点でうまくいかなかったのかについてリストしている。

Summary of responses and how they have been taken into account

保護期間の延長に賛同する反応は、パフォーマー協会、レコード産業、徴収団体、音楽出版社、パフォーミングアーティストおよび音楽マネージャから寄せられた。保護期間の延長に反対する反応は、テレコム、図書館、消費者、パブリックドメイン企業から寄せられれた。保護期間の延長に対するこうした議論は、さまざまなオプションの影響分析において述べられた。
・専門知識の収集と使用について
外部の専門的意見を必要とはしなかった

その影響研究を見ると、それ自身はが1950年代、1960年代に音楽を制作し、公表した人々をのみ考慮し、パブリックドメインとなった場合と、著作権で保護されている場合とのコストの差異を検討したものであるようだ。ただ、こうした研究の概要として記述される結論は、実状を反映していないことがほとんどである。

EU統合の懐疑派たちは、長らくEUを嫌ってきたし、そのための根拠も増えてきている。今回のケースでは、委員たちがコモンセンスや欧州の利益のためではなく、お金によって動かされたことがそうだろう。「欧州のことについて考えることでペイされる唯一の組織」と記述された組織としては、嘆かわしい状況である。明らかに「欧州の」という言葉は、「貪欲な」とか、もしくは「近視眼的な」という言葉の婉曲表現であるのだろう。

Ben Jonesも疑問視しているところではあるけれど、"use it or lose it"規定は役に立つのかどうか分かりにくいところもある。どの程度の範囲の消費者に対して、とか、どのような手段で、とかそういった部分が規定されていなければ、結局はパフォーマーのためにはならないのではないか、とも思う。上記記事であげられたようなごく限られた地域の人にしか利用できない小売店や、非関税障壁によってより広範な潜在的消費者のリーチを許さない音楽配信サービスなどで提供されている、ということが利用可能性を確保していると認められるのであれば、レーベルとしても「とりあえず」そうした方法を用いるだろう。言いかえれば、権利を確保し続けるためのファームを作るという感じだろうか。少なくとも、どの程度の利用可能性が存在しているのかという点は言及すべきかなと思う。

今回の著作隣接権保護期間の延長は、まったくもってナンセンスだとは思うが、それでも不利益だけを生じさせるというものでもない。利用可能性の程度については言及されていないものの、それが担保されるのであれば、レーベルにしてもパフォーマーにしても権利を保持し続けるためには、それを市場で利用可能にしなければならない。1年間、市場に存在しないとみなされたものに関しては、その権利は消失することになっている。この辺は、当該の楽曲を死蔵させないための措置、とも考えられる。

また、パフォーマーに権利が返されるとされる"use it or lose it"規定ではあるのだけれども、そこでパフォーマーと定義される人たちは誰になるのか、というのも気になるところだ。全てのセッションミュージシャンたちが含まれるのか、とかね。そのパフォーマンスに含まれるすべての人に権利が返されるのであれば、それはそれで大変なことのようにも思えるのだけれど、その辺はどうなんだろう?

あともう2つ、この件についてそれほど大きくは扱われないけれど、この著作隣接権保護期間の延長の提案の中には、「レコード会社がこの延長期間内(つまり51年目から95年目まで)にあげた収益のうち、20%をセッションミュージシャンをサポートするためにファンドしなければならない」という規定と、「延長された期間でのエアプレイに対するロイヤルティおよび私的録音補償金は、製作者には分配されない」という規定も存在する。この辺は、FAQを参照のこと。

まぁ、ある程度はバランスを取るための規定が含まれているし、もう1つの提案、著作権管理の独占体制を解体(こちらはITmediaの記事が詳しい)に関しても、コンテンツの流通を促進することを目的としていることを考えると、消費者にとって望ましいところではあるのだけれども、その対価として(純粋なバーターではないのだろうけれど)45年間の著作隣接権の延長が果たして呑めるものであるのか、ということはそう簡単には結論は出しにくい。延長それ自体はナンセンスだとしか思えないわけでね。

この話題に関しては、無名の一知財政策ウォッチャーの独言さんでも解説されているので、こちらも併せて是非。

個別の記事にされていると分かりにくいのだが、この競争の決定と延長の提案が同時に出されていることには注意しておかなくてはならないだろう。これらは欧州なりのアメとムチの政策と考えられるのであって、延長の方だけを取り上げて国際動向を論じるなど欧州統一の大きな動きを無視して個別の動向のみを取り上げるのは、常に間違いの元である。

確かに欧州の著作権関連の動きを見ていると、アメとムチというのはよくわかる。

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頑張れLammy!
●LAMMY STILL NOT CONVINCED BY NEED FOR 95 YEAR TERM - CMU Daily (16/02/2009) 英知的財産省のDavid Lammy氏は、先日欧州議会法務委員会で承認された著作権保護期間...
2009.02.18 22:00 | Green Sound from Glasogow
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