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ドイツ検察:被害額3,000ユーロに満たない違法ファイル共有ユーザへの告訴を拒否する方針を明らかに

以下の文章は、TorrentFreakの「Sharing 2999 Songs, 199 Movies Becomes ‘Safe’ in Germany」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Sharing 2999 Songs, 199 Movies Becomes ‘Safe’ in Germany
著者:enigmax
日付:August 14, 2008

ドイツ州検察は、彼らが今後、大半のファイル共有訴訟の受け入れを拒否すると発表した。今後は、営利目的での著作権侵害者のみが追跡の対象となるとみられており、共有数が音楽で3,000曲、映画で200本以下の場合には、起訴の対象とはなりえないようである。

過去2,3年の間、ドイツにおける法的状況はファイル共有ユーザに対してますます厳しくなっており、数十万人のファイル共有ユーザが法廷脅威を受けてきた。アンチP2P追跡組織によって収集された情報を元に、著作権侵害が通報されることになる。ドイツでは著作権侵害が刑事犯罪であるために、検察はこうした通報に基づいて調査を行わなければならない。ISPは容疑の掛けられた違反者の個人情報の提供を強制され、その後、そうした人々は法的脅威にさらされることになる。

法的措置はそれほど頻繁に行われてきたわけではないが、そうした脅威は権利が容疑の掛けられたユーザから『補償』を得るためのり協力として用いられた。ドイツの法律システムは、『民事の』金銭獲得のために警報制度を『濫用』されることにうんざリしているようである。

Jetzt.deのインタビューの中で、ノルトライン・ヴェストファーレン州の検察官は、こうした個人的な、非商用利用のファイル共有が、今後は訴訟の対象とはならないだろうと話している。

現在、ドイツ音楽産業から訴えられた500名ものファイル共有ユーザを弁護する、Wilde & Beuger弁護士事務所の弁護士Christain SolmekeはTorrentFreakにこのように語っている。「これが意味するところは、もはやドイツ音楽産業が、IPアドレスから実際の住所を取得する機会を失ったということです」。これは明らかに法的措置を取ろうとする人々にとっては大きな痛手である。

個人的なファイル共有と商業的なファイル共有との境界線は、法律によって明確に定められる必要があるが、現在、検察がこれに関する幾ばくかの定義を提供することとなった。「ガイドラインでは、損害が3,000ユーロ(約4,500ドル)未満であれば、捜査の対象とならないとされています。」とChristianは我々に語ってくれた。「ガイドラインでは、1曲の楽曲を交換した際の損害を1ユーロ(1.50ドル)としています。つまり、ファイル共有ユーザのPCに2,999のファイルが存在しているとき検察はそれを捜査しないだろうということです。」

映画1本の損害は15ユーロ(およそ22ドル)と喧伝されているので、おそらくは200本未満の映画を共有している人は、非営利目的のファイル共有ユーザと考えられるので、起訴を免れることになるだろう。ただ、検察は、現在公開中の映画を共有する人たちが、同様の扱いを受けるわけではないと指摘している。

ChristianはTorrentFreakにこう述べている。「この決定はまだ新しく、今後どのような結果をもたらすのか、ドイツのすべての検察がこの新しいガイドラインに従うのか、という点についてはわかりません」。しかし、ドイツ音楽産業にとっては、今回の件は明らかに都合が悪い。彼らはこの決定を「災難(カタストロフィー)」であるとして、受け入れを拒否している。

この決定がドイツ全体に広がることになれば、Logistep AGやドイツ企業のDigiprotectなどのP2P追跡企業は、ドイツ以外での利益の上げ所を模索しなければならないだろう。既にDigiprotectは、みんなの大好きなアンチP2P弁護士事務所Davenport Lyonsと新たにパートナーシップを結び、既に英国へ進出しているという兆候がある。

(via P2P Blog

これを簡単に言うと、 ノルトライン・ヴェストファーレン州検察は、非商用目的でのファイル共有のケースは原則として扱わず、商用目的のケースのみを捜査の対象とする。また、その商用、非商用の境界線は、損害額が3000ユーロ以上のものを商用とし、そうしたケースのみを扱う、ということ。

なぜ一部の州とはいえ、ドイツ検察がファイル共有訴訟に対してこうした頑なな態度を示しているかというと、ドイツ音楽産業がとっているアンチパイラシー戦略が非常に問題の多いものであることに起因する。こうした問題は2006年ごろに顕在化してきた。

ドイツでは、氏名不詳のままファイル共有ユーザを訴えることができない(米国ではJohn Doe訴訟が可能)。それゆえ、民事で訴えるとしたら、ISPに対して当該ユーザの氏名開示請求を行う必要がある。しかし、ちょっと強い言い方をすると、ドイツ音楽産業は法制度を悪用して、その部分をクリアしようとした。ドイツでは著作権侵害は、非営利のものも刑事犯罪として扱うことができる。そこで、音楽産業はまず、P2P追跡企業から得られたIPアドレスを元にファイル共有ユーザを告訴し、捜査を行わせ、当該ユーザの身元を明らかにさせて、その情報を元に民事訴訟を起こす。つまりは、ファイル共有ユーザを特定するために刑事訴訟を起こしてきた。

しかし、ここまで問題となったのには理由がある。その件数とコストがあまりに膨大なものとなっているためである。ドイツ当局がISPに対してIPアドレスから当該ユーザの情報開示を求める際、1件につき35-40ユーロ(およそ45-50ドル)の支払いが必要となる。こうした告訴がごく少数であれば、この程度の額は問題にならないのだろうが、こうした訴訟は既に数十万件と起こされており、すべてに対処していればかかるコストは莫大なものとなる。これは全て税金から捻出される。また、数十万件規模で大量に起こされるファイル共有ユーザへの告訴が、ドイツ検察の機能を著しく低下させる可能性もあった。すべては、音楽産業側がユーザを特定したいがためだけであるにもかかわらず。

これまで検察側は、こうした状況に対し、こうした訴訟によって納税者の税金が数百万ドル単位で浪費されている、と言及したり、より深刻な訴訟に対処するために、無駄な訴訟を切り捨てる必要があるとして多くの訴訟を取り下げるなどを行ってきた。また、ドイツオッフェンブルグ地方裁判所でも、こうした刑事訴訟は法的根拠を持ち得えず、ISPへの情報開示命令を出すことはできないと判断した。また、最近では、ドイツ検察のトップが商業レベルに達しない著作権侵害ケースを扱わないとするガイドラインの作成を考慮していることを明らかにしている。一方で、こうした訴訟そのものの問題だけではなく、音楽産業がP2P追跡企業を使って得た情報(IPアドレス等)を用いて、情報開示請求を行うこと自体にも問題があるという指摘がなされてきた。P2P追跡企業の調査手法の信頼性や、その調査そのもののプライバシーの侵害、そういった調査によって個人情報を開示することのプライバシー的懸念などがあげられている。

検察側からは、こうした刑事訴訟の濫用に対して実質的な制限をかけると言われ、政府・法定からは、安易に個人の情報開示は認められないと言われ、手詰まり気味の音楽産業であるが、その一方で、ドイツ議会ではファイル共有ユーザの個人情報開示を簡略化しようという動きもある。ただ、これも、そうして訴えられたユーザは罰金100ユーロまで、という規定とのバーターのようなものであり、依然として音楽産業にとっては風向きが悪そうだ。

確かに音楽産業としては、違法ファイル共有ユーザを訴えねばならない、というところがあるのだろうが、現実にこうした問題を引き起こしている以上、それに対する実質的な制限を課せられるのも仕方のないところではある。基本的には著作権侵害を行うユーザが悪いのだが、音楽産業はそれに対処する戦略を誤った、というところだろうか。

追記

上記のTorrentFreakの記事は、P2P Blog経由の記事なのだけれども、そのP2P Blogでは追記として、こうした問題を考えるうえで、具体的な数字をあげたエントリを提示している。そのエントリによると…

Prosecutors of the German city Essen reportedly were asked to start as many as 10.000 criminal investigations based on the sharing of pornographic material during the last quarter alone. Even a small town like Wuppertal, home to roughly 360.000 people, gets about 2000 of these lawsuits per month.

これは音楽産業のケースではなくて、ポルノ産業のケースではあるのだけれど、一地方都市でも4カ月のうちに10,000件もの告発がなされている。さらに、36万人都市のヴッパータールでも毎月2,000件の告発が…、と。

こうした手法は音楽産業だけではなく、ゲーム産業、ポルノ産業も大規模に用いているようで。このP2P Blogの記事は確か訳した記憶はあるんだけど、タイトルが卑猥すぎて公開しなかった気がする。はてなのブログのほうでちょこっとだけ紹介したと思ったけど。

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