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米国:PRO-IP法成立とその問題点

以下の文章は、TorrentFreakの「Bush Signs Draconian Anti-Piracy Law」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Bush Signs Draconian Anti-Piracy Law
著者:Ben Jones
日付:October 14, 2008
ライセンス:CC by-sa

Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act of 2008(PRO IP Act)が、ついにジョージ W. ブッシュ大統領の署名を受け、成立することとなった。我々が以前に報じたように、同法は米国司法省(DOJ) と商務省(DOC)から批判されていたが、 米国の経済危機を受けて支持を集めることとなった。

司法省が民事訴訟を起こすという規定は、同法が議会を通過した際に削除されている。これについてElectronic Frontier FoundationのスポークスマンRichard Esguerraは、当局が「コンテンツ産業にとっての無料奉仕の個人弁護士にならずに安堵した」と語っている。しかし、「著作権取締長官(Copyright Czar)」の創設は憲法が規定する権力分立に反する、との司法省の反対は立ち消えとなった。また、同法に含まれる問題としては、「民事上の押収」がある。これは、犯罪、侵害に関与したとされる物品を押収し、保持することができるというものである。

同法が満場一致で通過したことは憂慮すべきであろう。このことは、議会工作が事実に勝るということ、コモンセンスが多額のお金と影響力の前では容易に覆されてしまうことを示しているのだから。同法を支持する主張の中には、被害を抑えることで、雇用を作り出すのだという偽りのものがある。ロイターによると、米国商工会議所は「偽造と海賊行為によって、アメリカ合衆国は毎年およそ2,500億ドルの損失を生み出しています。」という。しかし、こうした意見に対しては、より精緻な分析をおこない、いかにナンセンスな主張であるかを指摘する声もある。

それでも、経済危機に瀕している国では、そうした数字がいかに不合理で根拠がなくとも、雇用創出によって経済を助ける(さらに失われたとされる雇用と収益を取り戻すことで経済を支える)ということになっている法律は、政治的に良いものだと判断されるようだ。MPAAのDan Glickmanは、明らかにこの経済危機をカードの1つとして利用している。「我々の経済がこのように危機に瀕ししている今、知的財産権の保護による雇用を創出・維持が、国家的プライオリティの高いものであるとメッセージを発することは重要なことです。」

また、著作権取締長官はおそらく、麻薬取締長官(Drugs Czar)と同様のポジションになるのだろうが、その役割は、主にロビイストの話を聞き、『安全な』仲間からのプレッシャーを受けるだけのものであろう。麻薬のケースと同様に、その原因に対してではなく、その兆候に対して対処していくことになる。原因をターゲットとすることは、それに関与した者をターゲットにするということである。しかし、兆候をターゲットにするのであれば、それは膨大な数の有権者をターゲットにすることに他ならならない。また、誰がその著作権取締長官につくのかも不明であるが、それがMPAA/RIAAのメンバーであっても不思議ではない。しかし、以前カリフォルニア第12地区の議員が欠員となったときのように、一部の人々はLessig教授を押すかもしれない。ただ、Lessig教授はTorrentFreakに対し、「取締長官になるつもりも、そういった要請もありません。」と語っている。

おそらく、同法最大の問題は、押収の拡大であろう。ドラッグの場合、それはすでに広範囲に及んでおり、しばしば不当に行使されている。ドラッグが誰かの家で発見されれば、それが第三者によって持ち込まれたものだと主張しても(さらにはたとえ押し入られたものだったとしても)、家主は自宅を、そしてその中のものも一緒に取り上げられてしまう。

広範囲に及んでいる深刻なドラッグへの対処であれば、こうした反応も適切であろうと思われるかもしれないが、しかしこうした厳格な対処が、現在の著作権侵害のケースにも適用されかねないのである。被告となった場合、個別の訴訟において、押収された物品が疑われているような使われ方をしていないということを証明しなければならないとすれば、被告として裁判に臨むことは、ますます困難で、費用がかさむものとなりうる。Wikipediaによれば、こうしたケースで争う場合、典型的には3年と、10,000ドルを要するという。Public KnowledgeスポークスマンArt Brodskyは、こうした押収措置に対して批判を加えている。「1台のPCが家にあると考えてください。ある人はそれでダウンロードし、別の人はそれで宿題をします。しかし、そのPCはなくなってしまうのです。」

強制力と罰金の増大は、既に悪化している状況をさらに悪化させることになる。こうした押収が可能になれば、理論的には、ISPが有する機材を押収したり(DMCAには侵害におけるセーフハーバー条項があるが、同法は押収に対する防衛を認めないかもしれない)、ISPに著作権ポリスの役割を担わせる(世界中のISPがそれを引き受けることを拒否しているが)ための武器として用いられるかもしれない。

あと数週間で大統領選挙が始まる。米国読者の皆さんは、おそらく立候補者がこの法案にどう投票したのかを知りたいところだろう。ただ、議会投票は記録されてはいない

問題点については、多少の誇張はあるのだろうが、潜在的にそうした問題をはらんでいるというのは留意しておくべきことかもしれない。

こちらもあわせてどうぞ。

後、この記事にも出てきたレッシグ先生、この件に関してWSJの論説欄に寄稿しています。こちらもどうぞ。

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