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寄付ベースの音楽モデルはほとんどのアーティストに通用する戦略じゃない

以下の文章は、TorrentFreakの「NiN’s Donation Model Doesn’t Work for Most Artists」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:NiN’s Donation Model Doesn’t Work for Most Artists
著者:Ernesto
日付:October 25, 2008
ライセンス:CC by-sa

今年、複数の一流バンドたちが無料で自らの音楽を提供することを決意した。そして彼らは、ファンにその価値に値すると思えるだけのドネーション(寄付)を行う選択肢を提供した。RadioheadやNine Inch Nailsにとっては、こうしたドネーションモデルは、それ以外の選択肢以上にお金をもたらし、大きな成功を果たしたと言える。しかし、これはそれほどメジャーではないアーティストには当てはまらないように思える。

RadioheadとNiNのサクセスストーリーを耳にした一部の人たちは、これが音楽産業にとって未来のビジネスモデルであルべきだと考えた。無料で音楽を提供する、そうすればファンは一斉にドネーションしてくれる。これは本当に機能するのだろうか?NiNはアルバムのダウンロードを提供した最初の週に160万ドルを稼いだ。また、Radioheadはこれまでの他のアルバムのオンラインセールスあわせた額を遙かにしのぐ額を手にした。

もちろん、NiNとRadioheadの最大のアドバンテージは、彼らが既に巨大なファンベースを有しているということだ。しかし、駆け出しのバンドにとっては、自らの音楽を聞いてもらうことすら難しく、寄付してくれる人を捕まえるのはきわめて困難だ。我々は、これが本当なのかどうか、そしてドネーションモデルがどの程度収益を生み出すことができるのか、を判断するため、Jamendoから計算を行うことにした。

Jamendoは、ユーザがサポートしたいと思うアーティストへのドネーションのオプションを用意する、最大の音楽共有サイトである。サイトは2005年6月に設立され、現在までに約50万人がユーザ登録している。同サイトはわずか3年で最大の音楽共有コミュニティの1つに成長した。しかし、そのドネーションボタンは埃をかぶっているように思える。

詳細に入る前に、我々はJamendoが、アーティストとファンをつなぐ、インターネット上で最高の無料音楽サービスの1つでると考えていることを明らかにしておきたい。このエントリで、いかにJamendoが失敗してたかを書く意図は毛頭無い。それはJamendoは『ダウンロード・ドネーション』プラットフォーム以上の存在である。ただ、我々がここで示したいのは、ドネーションベースの音楽モデルが、平均的アーティストにとって、それほどお金をもたらすものではない、ということである。

我々は2008年10月25日までのドネーションの総額を調査することにした。そしてその結果は非常に愕然とするものであった。423,968ユーザの内、寄付をしたのは1,650ユーザ、わずか0.5%にも満たない。また、そのドネーションの支払額も、1回に10ドルを超えるものではなかった。Jamendoにて最も高額なドネーションは200ユーロ(250ドル)で非常に印象深いものであるが、NiNのTrent ReznorがRadioheadのアルバムの「フリーコピー」に5,000ドルを支払ったのに比べるとそれほどでもない。

Jamendoにて最も多くドネーションを受け取っているのはRob Costlowである。彼はこの3年の間に1,000ドル以上を受け取っている。Jamendoにある彼の2枚のアルバムは、500,000回以上ダウンロードされ、彼の楽曲はサイト上で50万回以上ストリーミング再生された。現在Jamendoには、約10,000組以上のアーティストがいるが(彼ら全員がドネーションを受け取る設定にしているわけではないが)、そのうち少なくとも1度以上ドネーションを受け取ったのは648組であった。こうした話を聞くと、これは全く期待はずれのもののように思えるかもしれない。しかし、こうした状況は、アーティストがJamendoのようなドネーションベースのサービスを利用すべきではないということを意味しているのだろうか?

この質問に対する答えはシンプルである。もし、ゴールが数千ドルを儲けることにあるのなら、そうすべきではないだろう。しかし、大半のアーティストはそこをゴールとはしていない。彼らは、自らの音楽を聞いて欲しい、オーディエンスを、ファンを増やしたい、と願っている。アーティストの音楽を無料でダウンロードし、そして好きになった人たちは、おそらくアーティストのギグにいき、グッズを買い、彼らの見つけた素晴らしいバンドを友だちに伝えるという人々である。ほとんど知られていないアーティストは、ドネーションから十分な収入を得ることは決してできない。しかし、無料で利用可能な音楽を提供することは、現実的なビジネスモデルの一部である。

Update:記事のタイトルで“NiN’s Donation Model”と記したが、これは全く正確ではなかった。Radioheadが、NiNよりドネーションモデルでより多くの利益を上げている。

正確に言えば、Trent ReznorはNiNでドネーションモデルを行ってはいないはず。確かに彼のプロデュースしたSaul Williamsのアルバムにて、ドネーションモデルでのリリースを行っている。これは5ドル支払うか、タダで落とすかの選択肢をユーザに与えるものだった。しかし、これはTrent Reznorにとっては失敗に終わっている(Saulは満足しているようだが)。

その後、NINの4枚組アルバム『The Ghost』のリリースに際して、彼らはこの4部作のアルバムの第1部だけを無料で提供するという戦略に打って出た。そして、全編聴きたければ有料で(安価な)ダウンロードをするか、フィジカルな製品を購入するよう促した(ただし、アルバム『The Ghost』は全編Creative Commonsライセンスのもとでリリースされており、ペイしなくても無料で手に入るという選択肢を残していたが)。また、このフィジカルな製品はバラエティに富んでおり、ライトなファンから、コアなファンまでが満足できるであろうラインナップであった。

さらにその後、NINは『The Ghost』をサポートしてくれたファンへの感謝の気持ちだとして、アルバム『The Ship』の無料ダウンロードを提供した。こちらは数ヶ月後に、フィジカルな製品がリリースされることとなった。

いずれにしても、NINそのものは厳密な意味でのドネーションベースのビジネスに乗り出した、とは言い難いかもしれない。Radioheadもそれに近いものがあり、もちろん、当初の『pay-what-you-want』方式でのアルバム『In Rainbows』の売上もそれなりのものだったとされているが、一方で、その方式でのダウンロード提供を中止したあとのiTSでの販売やフィジカル製品の販売でも多くの利益を上げている。

また、Trent Reznorの「5,000ドルを寄付した」という発言も、ジョークだと思われる。Saulのアルバムのリリースの前にRadioheadによる『pay-what-you-want』方式のアルバムリリースが行われており、ReznorはSaulとの合同インタビューの席で

Trent: I bought the physical one, so I spent a whopping $80. [Pauses.] But, then I re-bought it and paid $5,000, because I really felt that I need to support the arts, so people could follow in my footsteps. [Saul laughs.]

述べている。おそらく「俺はこれだけ払ったんだぜ、お前らも俺を見習えよ!」というジョークだろう。

と、ここまでが補足。あとはこの記事のトピックについて考えてみよう。

ここで言われているほとんどのことに同意したい。無名のアーティストがフリーな楽曲提供を行うとしても、直接そこからドネーションという形でお金を受け取ることを期待してはいけないと思っている(もちろん、好き好きなので勝手にやればいいのだけれど、結果は期待しない方がいいよという意味で)。ここで示されたデータにあるように、おそらくほとんどの人は寄付するところまではいかないだろう。例え敷居を低くしても、生活を支え、音楽活動をサポートするほどの収入をドネーションから得るのは、かなり難しいのではないだろうか。結局、そもそも名前が知られていないのだから、期待値はかなり低くなる。

また、私もJamendo経由で気に入ったアーティストに何度かドネーションしているが、ほとんどの場合、最低価格の5ドルにしている。私にとってドネーションという行為は、アーティストにどれだけ良かったかを伝えるための手段の1つであり(サポートという感覚もないわけではないが)、アーティストの側も額自体はそれほど気にしてはいないだろうと考えている(もちろん、200ユーロなんて寄付されたら大喜びだろうが、おそれくそれも額ではなく、リスナーの気持ちに対して喜びを覚えるものであろう)。だから、額は最小にしてできるだけ多くのアーティストにドネーションしたい、というところだ。もちろん、よほど気に入った場合には5ドル以上ペイしたい!と思ったりするが(私のお気に入りはWhiteroomだ)。また、それに加えて、1回のドネーションごとにJamendoに0.5ドルの手数料が入る仕組みになっており、それもあってドネーションの回数を増やすことに意味があると思っている。いろいろと理由はあるにしても、私にとってドネーションという行為は、私自身に感動を与えてくれたアーティストに、それを伝えるためのメディアだということになる。

ただ、こうした無料で楽曲を提供する人たちであっても、しばしば有料でのダウンロードチャネル、フィジカルな媒体(CDなど)の販売を行っており、ファンになった人が気持ちを表すチャネルはドネーションだけではないという部分もあるが。

いずれにしても、既に巨大なファンベースを持ち、そこに対するリーチをある程度は持ち合わせているアーティストと、未だにほとんどの人が知らないであろうアーティストとでは同一に語ることはできないだろう。

お金を稼ぐにしても、ドネーションだけに頼るのではなく複数の収益チャネルを用意する、というところに現在のインディペンデントなアーティストたちの向かっている方向が見えてくる。簡単に言うと、まず聴いてもらうこと、そして好きになってもらうこと、そのあとに、できるだけ多くの人にフィットした形で(つまり多様な収益チャネルを用意することで)収益を集める、というように思える。もちろん、今のところはこれが成功への道の1つであるとは約束されているわけではない。ただ、聞いてもらえなければ、次のステップはない、ということは真実だろう。

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