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ビデオリンクサイトTV-Links管理人逮捕から1年:ビデオへのリンク行為は違法だったのか?

以下の文章は、TorrentFreakの「The Inside Story of the TV-Links Bust」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:The Inside Story of the TV-Links Bust
著者:Ernesto
日付:November , 2008
ライセンス:CC by-sa

2007年10月、多くのテクノロジー系メディアがOiNKへの強制捜査に注目していたころ、あるもう1つの大手サイトが警察の注意を引きつけていた。YouTubeライクなビデオサイトのビデオへのリンクを提供していたTV-Links は、強制捜査をうけ閉鎖を余儀なくされた。そして管理人は逮捕されることとなった。それから1年、我々はこのTV-Linksの元管理人におこったストーリーの全容をキャッチアップしよう。

TV-Links.co.ukが、警察の家宅捜索を受け、管理人が逮捕されたというニュースは、ある種信じがたいものであった。TV-Linksは、YouTubeなどのビデオ共有サイトにホストされるビデオへのリンクを提供していた。決して同サイトは違法なビデオコンテンツを自身で配信していたわけではない。

 

それにもかかわらず、UK Trading Standards(取引基準局)、Federation Against Copyright Theft (FACT)、及び警察の調査の末に、管理人は逮捕された。その当時、FACTは、管理人が「インターネット上での著作権侵害を幇助したことで拘留された」と述べていた。しかし、事実はそうではなかった。英国の法律では『著作権侵害の幇助』は刑事犯とはならない。またTV-Linksが直接ビデオをホストしていたのだとすれば、少なくとも民事上の責任はあったのかもしれないが、彼らがそうしていたという事実はない。YouTubeやDailymotionのようなサイトも同罪であったにもかかわらず、警察やアンチパイラシーグループは、これらの巨人たちを追求することはなかった。しかし、FACTの主張していたような家宅捜索の理由は、警察が想定していたものとは異なっていたようだ。事実、管理人は「許諾なく所有物に登録商標を付していた」として逮捕されている。

…このことは、また別の問題を引き起こす。Trade Mark Act 1994(特にその第92条)は、フィジカルな、現実世界の偽造品に対処するようデザインされている。どう考えても、リンクの提供はサービスでしかなく、フィジカルな製品の販売であるとは言えない。こうした事情があるため、有罪判決を得るのは不可能ではないにしても、慎重さを必要とされるだろう。上記で強調したような問題を考慮すると、TV-Linksのケースがほとんどニュースで扱われなくなったことはそれほど不思議なことではない。

TorrentFreakは、同サイトの26歳の元管理人を捜し出し、話を伺ってみた。この重要なケースについての真相は2つの疑問に答えてくれるものとなるだろう。1つは、第三者が別の誰かがホストしている著作物に単にリンクを張ったとして、その人物は責任を負うのか、そしてもう1つは、フィジカルな製品を守るためにデザインされた法律の下で、これは刑事犯罪を構成するのか。

全ては10月18日から始まった。これはOiNKが強制捜査をうけた5日前のことだ。06:20、Daveは望まない訪問者を迎えた。2名の警官、3名のFACTメンバー、およそ5名のTrading Standardsの役人がDaveの家に押しかけた。幸いにも、彼のケースでは、メディアに内通されることはなかったようで、カメラマンとリポーターが家の外にいるということはなかった。この点に関しては、OiNKの管理人Alan Ellisは不幸であったが。

「警察とTrading Standardsの役人は常に礼儀正しく、そしてプロフェッショナルでした。テレビで演じられるような警官からのひどい扱いというものはありませんでした。」とDaveは我々に話す。「ドアを開けるとすぐに私は逮捕されました。そのとき手錠はかけられませんでしたし、ちょっとしたもの、たとえば財布や携帯電話を所持することを許可されました。彼らは私のラップトップ、古いPC、それと困ったことに私のガールフレンドのPCまで押収していきました。あとは、CDや4,5台の8GB~15GBのハードディスクもランダムに持っていきましたね。」

TV-Links Homepage (large)

我々はDaveに、捜査令状が何に基づいていたのかを聞いてみた。「Video Recording Act 1984 - Section 16AとTrade Marks Act 1994 - Section 93でした。ただ、私が聞き取りを受けている間、いくつかの疑問に気づきました。どうも彼らはDVDのコピーキットかそれに近いものを探しているように思えました。FACTのWebサイトでは、常にDVD海賊を潰したことを誇らしげに掲げています。」

警官はその後、Daveを取り調べるために警察署に連れて行った。警察によってではなく、Trading StandardsとFACTの人々、つまりよく知られた私的アンチパイラシー企業やロビー団体の人々による取り調べのために。それにしても、なぜ、私企業が刑事事件に関わった人物に直接質問をすることが許されているのだろう?しかも、その人物に対して民事訴訟を起こそうとしているであろう人々であるのに。これが彼のもう1つの疑問であり、そして今後多くの人が不愉快に思うことであろう。

おそらく、両団体ともがっかりしたことだろう。彼らは単なるハイパーリンク以上のものが、このケースの背景にあると思い込んでいたのだから。世界中の膨大な数のフォーラムと同様に、DaveはTV-Linksスタッフの個人的なことは何も知ってはおらず、また、ユーザに関しても何一つ知ってはいなかった。サイトのビジターの約75%は中国から、10%は米国から、そして英国からのユーザはほんの3.8%であった。したがって、英国における脅威はそれほどないかもしれないが、ただ、Daveがお金を稼いでいたという点に関しては含みがあるかもしれない。ただ、実際には一部のユーザから1日に2ドルから5ドル程度のの寄付を受け取っていたくらいで、それはサーバコストをまかなうために使われていた。

6時間後、彼は解放された。起訴されることも、何かを制限されることもなかった。1年以上が過ぎた今も、この状況は変わってはいない。ここ6ヶ月くらいでいえば、Daveは警察からのコンタクトもなく、さらにはFACTや(グロスター)のTrading Standards(GTS)から彼の弁護士へのコンタクトもなかった。GTSがそれ以降関与してくることはなく、民事訴訟を起こしたいはずのFACTはぐずぐずしていた。そうして、動きは全くなくなった。

TorrentFreakはDaveに、この状況に対処するには適切ではない法律の下での逮捕がこれまでにあったのかどうかを訪ねてみた。彼は我々にこう話してくれた。「法律に関していえば、今回の点について明確に述べているようなものはありません。要は、[このケースで]FACTが現在の法律をどのように解釈するのかにかかっているといえるでしょう。もし法廷で争うことになれば(なるのだとしたら)、彼らはその解釈をアドバンテージとして用いるでしょう。」

それまで、これはまさに根比べといったところであった。「おそらく、皆さんはこのケースが五分五分であるといわれるかもしれませんが、正直なところ、私はこれ以上考えようとは思っていません。これからの人生の方が大切ですからね。」とDaveはいう。「それでも少し腹立たしく思えるのは、GTSが押収していった私の所有物の全てが、フォレンジック分析を行なうとしてFACTに提供されているということです。私企業に個人情報を渡すなんて、『データ保護法違反』だと思いませんか?これについては、未だに検討しているところではあります。」

ところで、なぜ、TV-Linksはレーダーにひっかかてしまったのだろうか?なぜ、同サイトが重大であると判断されたのだろう?なぜ、警察、政府取引基準局、ハリウッド資本の私企業FACTといった多数の人々が参加した家宅捜索へと繋がったのだろうか?

「1ついっておきたいことは、グロスター取引基準局は最後まで礼儀正しく、プロフェッショナルだったということです。」とDaveはいう。「私見ですが、彼らはおそらくFACTによって誘導されたのでしょう。つまり、グロスター取引基準局は、FACTの口添えによって私がDVDをコピーし、売っていたと信じ込まされたということです。しかし、彼らが私の家を捜索したときに目にしたのは、古ぼけたPCやラップトップばかりで、彼らがまず真っ先に探していたであろうDVDは何処にもないことを理解したために、関心を失ったのでしょう。」

大した関心も向けられず、有罪判決を勝ち取るだけの基盤がないとしても、TV-Linksが上記のアクションの結果としてなくなってしまったことは変わらない。なぜ、人々はTV-Linksを見つけ、それを利用したのだろうか?Daveはそれを、選択の余地の欠如であると考えている。「少なくとも英国では、最近になるまで大手メディアが視聴者に対し、現実的なオルタナティブをほとんど提供してはいませんでした。そのため、TV-Linksや類似したリンクサイトが必要とされたというだけのことです。もちろん、最近のBBC iPlayerは素晴らしいものです。ただ、(訳注:キャッチアップコンテンツが)たった1週間しか見られないというのはとても残念なことですが。」

さて、当局が手を引いたことで、TV-Linksの復帰の可能性はあるのだろうか?「サイトを運営し続けることは、私の自由な時間の全てを必要としました。サイトを運営することはとても楽しかったのですが、今の私は平日の晩や週末がフリーであることがとても幸せなのです。」とDaveはいう。彼はサイトを復活させる気はないようだ。また、数ヶ月前にTV-Links.co.ukの代価サイトとしてTV-Links.wsが登場してきたこともその一因であろう。

最後に、サイトへの強制捜査が行なわれたとき、どうやってサイトオーナーが当局によって特定されたかという点に多くの人が興味を抱くだろう。その点では、TV-Linksのケースは全く不可解な技術が用いられたということはない。いや、むしろ技術すら必要はなかった。特定が非常に用意であった理由は、Daveがサイト運営に全く遠慮がなかったということだろう。

「正直に言うと、私は自分のIDを隠そうとはしなかったのです。何故なら、英国の法律では、他のサイトへのリンクは違法ではないのですから。だから、隠す必要はないと思っていたのです。」

この一件に関しては、続報がほとんどなかったので、その後どうなっていたのかずっと気になっていた。管理人逮捕当時のエントリはこちら(英国:違法ビデオコンテンツへのリンクサイト管理人、著作権侵害を助長したとして逮捕 )。

この時点では、おそらく著作権侵害の幇助によって逮捕されたのだろうとされていたが、実際には著作権法違反ではなく商標法違反の容疑であったことが当局より公表された。しかし、TV-Linksに対し、商標法違反で起訴するのは無理筋ではないかという指摘もなされていた(TV-Links:違法コンテンツへのリンクは著作権侵害ではなく商標法違反?

それ以降、特に目立ったニュースもなく、現在に至っている。ただ、TorrentFreakの記事を見ると、ニュースになっていないというよりは、本当に目立った動きがなかっただけのようだ。

一応は逮捕まで漕ぎ着けたものの、実際にそのサイトにて違法な行為が行なわれていたのかどうか、という点は依然として定かではない。つまり、著作権侵害コンテンツだと知りながらインデックスしていたであろうことは疑いないのだが、それが法的に問題であるかどうかは確定していないということ。

違法アップロードされた著作物へのリンク集はアリなのか

2年ほど前に扱った上記のエントリでも、この問題が将来的に法的問題に直面しかねないレベルに達しつつあると感じられたが(エントリ内でリンクしたITmediaの記事では、日本におけるリンクサイトの法的解釈について述べられている)、その当時はビデオ共有サイト自身がコンテンツ産業と対峙し、そして交渉相手となっていたことで、ユーザやそれを利用する側がターゲットとされることを抑制していたように思える。

しかし、時は流れ、YouTubeを初めとするビデオ共有サイトはコンテンツ産業との宥和に向かいつつある。違法アップロードされたコンテンツについても、権利者の申し立てに基づき、より簡便に、迅速に削除する方向に向かっているし、一方で正規のコンテンツプロバイダとしてコンテンツ産業からコンテンツを提供されてもいる。また、YouTubeはその両者をあわせたような提案もしている(参考:「著作権は守りから攻めにシフト」──違法動画も収益化目指すYouTube - ITmedia News)。もちろん、未だ違法アップロードされたコンテンツに関して紛争は絶えないが、少なくとも2年前に比べると共存の方向にシフトしてきているだろう。

また、こうした方向はビデオ共有サイトとの関係によってのみ促されたものではなく、たとえばNBC、CBS、ABC、そしてHuluなど見逃し・タイムシフトに対応したキャッチアップを可能とするサービスが展開されていることも一因として考えられるだろう。YouTubeやビデオ共有サイト、リンクサイトで探さなくても、公式サイトで高画質の最新人気ドラマ、コンテンツが提供されている。

少なくとも、コンテンツプロバイダ側としては、最新エピソード放送後の高いキャッチアップのデマンドを取り返すことができた、といえるかもしれない。そういった点でも、ビデオ共有サイトとの協同が行なわれやすくなってきているのだろう。

ただ、最新エピソードに関してはそれで良いのだが、過去のエピソードのアーカイブに関しては依然としてビデオ共有サイトがそのデマンドに対応しており、多くのビデオリンクサイトはそれらを系統的にインデックスしている。ビデオリンクサイトを窓口としてそうした違法にアップロードされたコンテンツへのトラフィックが少なからず生み出されているだろう。

ビデオ共有サイトとコンテンツ産業がつかず離れずといった微妙な距離感であっても、関係を作り出すことが出来ている以上、コンテンツ産業側が一方的にビデオ共有サイトを排除する方向に再びシフトするとも考えがたい。個別に見れば、YouTube v. Viacomのようなケースもあるが、 かといって産業全体が再びアンチYouTubeとなることはないだろう。となれば、これまで主にターゲットとされてきたプレイヤー以外の人々に目が向くことになるだろう。それはビデオリンクサイトかもしれないし、アップロードしたユーザかもしれない。

しかし、そうした人々に対する追求が盛んになる前に、コンテンツ産業が自らの力で過去のエピソード・コンテンツに対するデマンドをも取り返し、ビデオリンクサイトへのデマンドをより小さなものとすることで対処するという可能性もないわけではない。また、正規に提供されるコンテンツが増えることで、ビデオリンクサイトのリンク先が正規のコンテンツがある場所になっていくのかもしれない。私としてはそうした未来を望みたいところではある。

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