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世界最大手のファンエディットサイト、MPAAに『骨抜きにされる』

以下の文章は、TorrentFreakの「MPAA ‘Castrates’ World’s Biggest FanEdit Movie Site」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:MPAA ‘Castrates’ World’s Biggest FanEdit Movie Site
著者:enigmax
日付:November 23, 2008
ライセンス:CC by-sa

ファンエディットとは、公開された映画をファンが作り直したバージョンのことである。ファンは膨大な時間を費やし、高度なソフトウェアを駆使して、シーンを追加したり、カットしたり、差し替えて、オリジナル版を改良したり、オリジナルの映画とは全く異なった作品に仕上げる。Fanedit.orgは、そうしたコミュニティとしては世界最大のサイトであるが、同サイト管理人によれば、同サイトは今、『骨抜きにされた』のだという。

ファンエディターたちは、自らの行為を芸術の1つの形態だと考えている。ファンエディターたちは、有名な映画をベースとして扱い、既存の映画を改善したり、全く違った映画にしたりするために、高度なソフトウェアを用い、膨大な時間を費やして編集を行なう。ほとんどの場合、ファンエディターはオリジナルをベースに新たなアートを作り出す上級テクニックを駆使して、映画の間違っている箇所、おかしな箇所を修正している。もちろん、ファンエディターたちは、彼らの作品をコミュニティ内の人々と共有することを好んでいる。しかし、それこそ映画産業が終わらせたいものであろう。

Fanedit.orgは、サイトが開設された2006年以降、世界最大のファンエディットサイトであった。そしてそのメンバーたちは、自らのファンエディット活動に非常に情熱的であった。毎日、およそ2,000人ものビジターを迎え、サイトのメンバーはSF作品ではエイリアン、マトリックス、ターミネーター、スタートレック、一般作品ではタイタニック、ハリーポッター、パルプフィクションといった既存の映画のたくさんの新たなバージョンを作成した。しかし最近になって、サイトの状況はうまくいかなくなり始めた。TorrentFreakはその真相を探るべく、Fanedit.orgのboon23に話を伺った。

TF:読者に向けて自己紹介をお願いします。

boon23:私はファンエディターであり、世界最大のファンエディットサイトの管理者です。私はヨーロッパで幼稚園の先生をしています。ファンエディターとしては、CBB(created by boon)という名前で作品を投稿しており、現在までに29本のファンエディットを制作しています。これはかなり多い方です。ファンエディットは私の趣味であり、アートであり、大好きでたまらないものです。これからも続けていこうと思っています。

TF:ファンエディット活動について、私たちにもう少し詳しく教えてください。

boon23:ミックスCD(訳注:プレイリスト)を作成するとか、音楽アルバムから楽曲を削除するといったものに少しにているかもしれません。ただ、自分の好きな音楽をリミックスするといった方がもっと近いかもしれません。ファンエディットの作成は、映画の歴史と同じくらい長いものでしょう。人々は、自分好みの作品にするとか、オリジナルをベースにしたバリエーションを楽しむことを好みます。

TF:オンライン上でのファンエディット共有はどれくらい前から行なわれているのですか?

boon23:ファンエディットのオンライン共有は、2004年、Mike NicholsによるThe Phantom of MenaceSW Episode 1)をベースにしたThe Phantom Editに始まります。この作品は、同映画のまともなバージョン(訳注:確か当時エピソード1に対する酷評が多く、それを受けて作られたものだったと記憶している)に対する非常に大きなデマンドがあったために、数百万回も共有されました。最近最も成功したファンエディットは、AdywanのStar Wars Revisitedです。これは、2004年にリリースされたA New Hope(訳注:SW Episode 4)のあらゆる欠陥を修正したものです。新たな特殊効果の追加、映像のシャープ化、色の修正、新たに修正されたシーン、新たな音楽、音響効果の追加・修正がなされました。これはある1人の男性が2年の歳月をかけて作り上げたものです。彼はこのプロジェクトに全てを費やしてきたのだそうです。

ファンエディット活動は、(少なくともfanedit.orgでは)極めて非商業的です。全ての人が既にオリジナルをを購入し、所有している映画のファンエディットを楽しみにしていると思っていますし、全てのページに購入リンクを設けています。また、ファンエディットを販売しようとする行為を認めてはいません。これによって、我々は出来る限りファンエディット活動を合法的なものにしようとしています。

TF:MPAAはサイトで行なわれていることを望ましいとは思っていないでしょう。MPAAが初めてサイトに照準をあわせたのはいつ頃ですか?

boon23:3日前、私はウェブホストを通じて、初めて彼らから連絡を受けました。彼らはDMCAクレームを提出し、多くのRapidshareダウンロードリンクを含む2つのページを削除するよう求めていました。彼らは詳細については述べず、どのファンエディットがクレームの対象となっているのかも言及されませんでした。いずれのページも5つ以上のファンエディット映画へのリンクを含んでいました。

TF:彼らのクレームは実際にどのようなものですか?

boon23:彼らが問題にしているのは、たとえそれらの映画がオリジナルではないにしても、オリジナルを元にした映画を無料で共有し、彼らがそこから利益を上げることはできない、ということです。我々は合法性を担保しておくために、警告や断り書きを入れているにもかかわらず、彼らはこれを著作権侵害だと見なしています。MPAAの要求は、今のところよくわかりません。

TF:全てのスタジオがサイトを問題視しているわけではありませんよね?ルーカスフィルムについてお話しいただけますか?

boon23:ルーカスフィルムは、ファンムービーを黙認し、許容してくれました。1年前、我々は、ある1つのファンエディットを削除するようルーカスフィルムのアンチパイラシー部門から連絡を受けました。しかし、彼らはウェブサイト全体を見回してみたが、オフェンシブなものはなかったと明確に述べていました。そして、fanedit.orgは80!!!ものスターウォーズのファンエディットを集めています!

TF:Fanedit.orgにはBitTorrentトラッカーがありましたよね。それについてお聞かせいただけますか?

boon23:以前にはTorrentTraderを利用していましたが、外部のTorrentにのみリンクするというものでした。どのTorrentも我々の所有していたトラッカーから転送されるというものではありませんでした。そのトラッカーでは、ファンエディットにリンクされた400ほどのTorrentがありました。

TF:今度の件が、サイトに対する最初の法的措置ですか?

boon23:Fanedit.orgは2006年に開始されましたが、これまで我々はいかなる法的問題をも抱えることはありませんでした(ルーカスフィルムによる、ちょっとした、そして結果的にはポジティブな出来事を除けば)。サイトのページはプライベートではなく、全ての検索エンジンに対してオープンでした。

TF:MPAAの脅威に直面した今、どういった対処を取っていますか?

boon23:Dreamhost(訳注:Fanedit.orgのホスティング会社)は、我々に起こりうる結果について知らせてきました。閉鎖、訴訟、などですね。そこで我々は、Fanedit.orgや関連フォーラムからダウンロードリンクを削除しました。本当に骨の折れる作業です。我々のトラッカーの運用も、昨日停止しました。このウェブホストにいるうちは、二度と復帰させることはできないでしょうね。

TF:お話、ありがとうございました。これからも頑張ってください。

Boon23は、MPAAのアクションが1つの芸術の形態に深刻な打撃となっていると感じている。ファンエディットは産業に損害を与えるものではなく、商業的な目的があるわけでもない。以前には黙認された『グレーゾーン』(たとえばルーカスフィルムによって)が現在とうとう終わりを迎えてしまったことに、彼は悲しさを覚えている。

今後、Fanedit.orgがどうなっていくのか、ファンエディット一般がどうなっていくのかは、未だわからない。しかし一方で、米国ベースのウェブホストが同サイトの運営に困難を引き起こしていることは明らかだろう。生き残りを図るのであれば、移転しなければならないかもしれない。いかなるホスティングの申し出であっても、彼らは大いに感謝することだろう。

ルーカスフィルムの要請の部分については、ちょっとよくわからないところがあって、一度は削除要請を行なったが、後に問題なしとして取り下げたのか、それとも、あるファンエディットだけでは許容できなかったけど、他のSWファンエディットに関しては問題なしとしたのか。まぁ、いずれにしてもルーカスフィルムは、たとえ自社が権利を保有する作品のファンエディットがあったのを知りつつ、問題なしと判断した、ということには変わりないだろう。

ルーカスフィルムはパロディなどのファンムービー(日本でいうところのMAD)に対しては比較的寛容で(もちろん、公序良俗に反するというものは許容していないみたいだけれど)、以前にはYouTube側が(starwars.comの要請を誤解して)独自にスターウォーズのファンムービーを削除した際には、YouTube側に「不当に削除されたコンテンツを全て元に戻すよう」要請している。また、ファンムービー、ファンコミュニティの活発さを受けてか、公式サイト内にスターウォーズの映像素材を用意し、それを用いて簡単にファンムービーを作成し、掲載することが可能なマッシュアップサイトも提供していた(今年の2月にこのサービスは停止してしまったみたい)。

ルーカスフィルムにとっては、製作としてもビジネスとしても、アクティブで熱心なファンコミュニティがあるということは、何にも代え難い財産であり、それをより活かすことができるのであれば、多少のことは目をつぶるというスタンスでいるのかなと思える。もちろん、グレーゾーンを越えて自らそのエクスペリエンスを提供しようとしたことも素晴らしい。もちろん、自前でやる以上は費用対効果を考えなければならず、マッシュアップサイトを永続的に続けていくことができなかったのもそういったところがあるのかな(未だにファンムービーのコーナーはあるけれど、マッシュアップ用の素材を提供しているかどうかは不明)。

個人的には、極端なアンチコピーライトでもアンチパイラシーでもなく、利用できる部分は大いに利用すべきだと思っている。まぁ、お互いに疑心暗鬼になっているという部分があるのだろうけれど、いつまでも疑いの目でにらみ合っていてもしょうがないし、できるところからやってみても別にかまわないだろう。もちろん、今回のファンエディットは映画全編を改編しているものであり、ショートクリップとは簡単に比較できるものではない。

とはいえ、こうしたサイトにいってファンエディットをダウンロードするのはよほど熱心なファン以外には考えられず、ダウンロードする大半の人々が既にそのコンテンツをお金を払って入手しているであろうとは思える。ただ、難しいのはこうした活動がより広く知れ渡り、ファンエディットであることを建前に正規品の代価物として利用されるということも起こりえるかもしれない。悩ましいところだけれどね。

それでもダウンロードの要件として、正規購入を確認する、というプロセスを作ったとしても、なかなか認められないだろうなぁとも思うけれどね。それとも素材は自前で用意することにして、編集データのみを配布する、という感じならいいのかしら。

余談ではあるが、こうしたファンムービー、MADのお話は少なからず『リスペクト』という文脈で語られることがあるが、個人的にはこうした行為がそれを欠いているとは思いがたい。『リスペクト』なんてものは主観でしかなくて、人によってその考え方は異なるわけで、一方は最大限の敬意を表していても、その受け手は最大級の侮蔑だと感じることもあるだろう。また、その感情が『作品』に対するものなのか『オリジナルの創作者』に対するものなのかも人によって異なるだろうし、『オリジナルの創作者』が嫌がっているというだけで、リスペクトに欠けるなどといわれることもある。

私は、創作を評価するのに『作品』をこそ第一に考えている。誰が作ったとか、そういったことは後々になって考えればいいことで、創作者に対する評価やリスペクトというのは『作品』への評価があってこそのものとなる(もちろん、創作者一般に対する畏敬の念はもっているが)。ファンムービーやMADに対して、オリジナルに対する侮辱、と思ってしまうことは否定しないが、私としては、私が下したオリジナル作品への評価は、たかだか数本のファンムービーやMADを見た程度では変わらないし、たとえファンムービーやMADを先に見たとしてもオリジナルの作品はその文脈を受けずに評価する。唯一、作品への評価が変わるとしたら、それは膨大な量の経験の結果としてもたらされる。

結局のところ、私にとっては作品に対する評価に影響するものとは思いがたいのだけれど、もちろんそれは一個人としての感覚でしかないので、一般化することはできない。ただ、ファンムービーやMADと一言で言っても、多様な作品があり、その全てを否定する人もいれば、一部の作品だけ否定する人もいる。なかなか難しいところではあるけれど、そういった点を考慮しても、公序良俗に反しない限りは、特にそれを制限するだけの妥当な理由が見つからない。もちろん、オリジナルの創作者が嫌がっているのだから、という点を強調されることがあるが、批評を嫌がる創作者に対する批評はどうなのか、というところからも考えなければならない。おそらくその辺は、「創作者がコストをかけて作り上げた作品の一部」にフリーライドしている、という感覚によってプッシュされるのかなとは思うけど。

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