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現代のアーキビスト:BBC、『海賊版』録音により過去の番組を復活させる

以下の文章は、TorrentFreakの「BBC Relies on ‘Pirate’ Audio To Bring Back Lost TV Show」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:BBC Relies on ‘Pirate’ Audio To Bring Back Lost TV Show
著者:enigmax
日付:December 14, 2008 
ライセンス:CC by-sa

60年代、BBCはそのアーカイブスペースの確保に難儀していた。そのことは、BBCが放送したものの一部を削除することを強いた。現在、こうした状況によって犠牲となったテレビ番組は、番組オーディオ部分の海賊録音によって再び命を吹き込まれている。

このインターネットとファイル共有全盛の時代にあっては、いかなるメディアであっても再び『レア』なものとなるということは想像しがたいことである。たとえ、それがインターネットのどこに現れようと、一度コピーされれば、地球上の至るところで、何度も何度もコピーされ、広まっていく。映画や楽曲、テレビ番組が永遠に失われるということは既に過去のものとなった。しかし、これまでの時代はそうではなかった。

今日の圧縮技術、ハードディスク技術を持ってすれば、数百の映画を小さなスペースに保管することができる。しかし、デジタル技術がメインストリームとなる以前には、ビデオや音楽の保存は、非常に高価でリソース食いのタスクであった。BBCからの最近のニュースでは、それが1960年代にはいかに困難であったか、を伝えている。当時、BBCは資金不足やストレージスペースの不足によって圧迫されており、それまでに製作したテレビ番組すら削除せざるを得ないケースも存在した。

そうして失われたテレビ番組にDad’s Armyがある。これは、第二次世界大戦中のHome Guardを描いたコメディであった。このテレビシリーズはなんと80エピソードにも上り、さらにラジオ、映画、ステージなどでも公演された。番組は1970年代中に1800万人に視聴され、今日でも放送されている。そして昨晩、BBCは同番組のスペシャルなエピソードを放送した。

Room at the Bottom、このエピソードはBBCの資金、スペース節約のために30年前に削除され、失われたものだと思われていた。それが昨晩放送されたのである。もともとはカラーのエピソードであったが、カラーバージョン、そしてそのオーディオパートは廃棄され、BBCに残されていた番組ソースは白黒であった。しかし、専門家はそのソースからカラーバージョンを再現した。では、失われたオーディオはどうしたのだろうか?

Ed Doolan MBEは、現在BBC Radio WMのプレゼンターをつとめているが、BBCの職に就く以前の1969年には、彼は非常にやんちゃな少年であった。Doolanはオープンリールのレコーダーを用い、多くの番組を録音した。その中には、その『失われた』エピソードのオーディオも含まれていた。彼はそれ以来録音を続けた。そして現在、BBCはそんな彼を叱るどころか、番組を再び蘇らせるためにDoolanの違法なコピーを利用した。

昨晩、数百万人のDad's Armyファンは彼らの愛してやまない番組の『失われた』エピソードを楽しんだ。間違いなく、誰一人としてDoolanを訴えろなどという人はいやしないだろう。結局、彼の海賊行為は数百万人の人々の喜びに繋がった。それは決して悪いことなどではない。

もちろんこれは、我々がその価値の全てを真に評価しているものですら失われてしまうという時代の話である。このファイル共有とインターネットの時代にあっては、我々はいかなるメディアに対しても『レア』や『消失』という言葉を必要とすることはない、そんなすばらしい場所に立っている。たとえ企業がDRMを用い、メディアへのアクセスさせまいとしたところで、長期的視点から見れば、それらのコンテンツを歴史の中に埋没させたことに対して誰も感謝することはないだろう。

うーん、この時代の私的録音が違法行為であったのか、ということがわからないので、Doolanの録音が海賊録音かどうかは判断しがたいところではあるのだけれど…。

ただ、1つ言えることは、現代は、複製技術がより一般に普及したおかげで、オリジナルが消失してしまったコンテンツであっても、趣味のアーキビストによってその複製が保存されている、ということが往々にして見られる時代であるということ。たとえば、先日NHKがNHK-FMのラジオ番組「サウンドストリート」の音源を配信するサービス「NHK青春ラジカセ」をスタートさせたが、ここで用いられた音源はリスナーがエアチェックしたものである。それはNHK自身がそのソースを保存していなかったためであった(現在では、アーカイブポリシーを設けているみたいだけど)。それゆえ、NHKは現在も同番組の録音テープの提供を呼びかけている。

もちろん、TorrentFreakのいうように、「今日の圧縮技術、ハードディスク技術を持ってすれば」多様なメディアの保存がより容易になってはいるのだろう。だから、趣味のアーカイブなど必要ない、と言われるかもしれないが、しかし、現在コンテンツを握っているプレイヤーたちがアーキビストとしての自覚をどれほど持っているかという点には疑問があるし、さらにアーカイブされたとしてもその権利を持つものだけが参照できるアーカイブでしかない。また、商用の余地のあるコンテンツに対しては積極的なアーカイブの可能性があるが、そうではないコンテンツは今でも脆弱なポジションにあると言える。

無分別に利用を自由にしろなどというつもりは毛頭ない。しかし、その利用可能性がゼロである、もしくは、違法な手段を用いずには不可能である、という状況は、改善されるべきだと思っている。

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