スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

欧州議会、ACTAに明確な制限、交渉の透明性を求める

以下の文章は、の「No ACTA Deal Yet As EU Parliament Seeks Narrower Scope, More Transparency」という記事を翻訳したものである。

原典:Intellectual Property Watch
原題:No ACTA Deal Yet As EU Parliament Seeks Narrower Scope, More Transparency
著者:Monika Ermert
日付:December 20, 2008
ライセンス:CC by-nc-sa

今週木曜、欧州議会は、パリにて行なわれた模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想の会合の詳細が再び公表されないことをうけて、 会合の透明性を求める強いシグナルを発した。

12月18日、欧州議会はストラスブールで開かれた議会会合にて、国際貿易における偽造の影響に関する決議を通過させ、「(欧州)委員会及び加盟国は、欧州市民に対し、最大限の透明性の下でATCA交渉を進めるよう」求めた。議会はまた、ACTAが規定する範囲について様々な領域での制限を明確にすることも要求している。

決議によれば、「構想にあるいかなる知財エンフォースメント協定においても、営利を目的としないパーソナルユースは、詐欺的かつ意図的なマーケティング、偽造品、海賊版製品とは区別されなければならない」としている。また、ACTAによって、公的機関に対し個人のコンピュータおよびその他電子機器へのアクセスを与えることのないよう求めてもいる。さらに、ACTAは「既存の欧州知財権エンフォースメントの枠組みを修正するための道具」として用いられてはならない、ACTAは「知財権エンフォースメントの手段に関する部分に集中しなければならず、保護の制限や例外の範囲といった知財権の本質的な問題を扱うものであってはならない」ともされている。

水曜の晩に行なわれた議論では、多数の議会議員が知財保護の重要性を強調しつつ、組織的犯罪による海賊行為及び偽造と消費者の安全及びプライバシーリスクが繋がりかねないことへの強い懸念を表明した。European People’s Party (EPP)メンバーで、前フランス文化相、法相を務めたJacques Toubonは「偽造の蔓延が過小評価されている。」と発言した。さらに彼は議会の提案にひどく失望したといい、その姿勢があまりに及び腰であると述べた。

秘密主義は「海賊行為との戦いを害する」

それでも、議論ではACTA会合に対する数多くの批判が見られた。EEPスウェーデンのメンバーChristofer Fjellnerは、これまで欧州議会にて議論されたテキストが憶測に基づかざるを得なかったことに強い不満を表明している。「ACTAがどうあって欲しくないか、を決めなければならないなど、あまりに恥ずかしいことではないでしょうか。秘密と噂の文化は、海賊行為との戦いの中で、我々を害するものでしかありません。」彼はさらにこう述べる。「我々はツールが海賊行為そのものよりも悪しきものとならぬことを確実なものとしなければなりません」。Fjellnerは、たとえば、コンピュータ・インターネットユーザのユーザのプライバシーに関する懸念があると言う。

議会は、欧州委員会(欧州共同体の執行機関)の会合参加者に対し、市民権への影響を考慮するよう求め、さらに、適正な法手続を踏まないプライバシーの侵害行為、非営利の著作権・商標権侵害の刑事犯罪化、『フェアユース』を犠牲にしたデジタルライツマネジメントの強化、「著作権エンフォースメントのコストを補填するための」加盟国への義務といったACTA(にて想定されうること)への強い批判を明確に踏まえることを求めている。

ACTAにおける第三者責任の回避

緑の党は、貿易委員会の報告者としてGianluca Susta (Liberal Party, ALDE)が提出した当初の決議案よりもさらに一歩進んだものを強く押し進めた。緑の党メンバーは、ACTAの範囲をさらに制限し、仲介者の責任を除外するよう求めた。驚くべきことに、この提案は309票対232票の票差でオリジナルの議決案に勝利を収めた。その結果、ACTA会合参加者は、仲介者の責任を問わぬよう交渉することを求められることとなった。インターネットサービスプロバイダやポータルプロバイダといった第三者の責任は、インターネット企業や市民権団体(ACTAの交渉が開始された2007年終わりから反対するキャンペーンを行なっている)の大きな懸念の1つであった。

また、この決議案では、旅行者は「偽造・海賊製品の運び屋とは同義とされない」ことになったと、投票後の緑の党のメモにある。加えて、レポートでは「国境での偽造・海賊製剤所持に対して刑事的措置を行なわない」、「インターネットトラフィックのデータの質を問わない」ことが記され、緑の党メンバーはこれらがプロバイダー責任の範囲に含まれると見ている。

緑の党は、これらの提案を後押しするために、もう1つの変更を取り下げた。これは海賊行為に対する保護のための刑事罰全体に異議を唱えるものであった。

報告者Gianluca Susta (ALDE, Liberal Party) が提出した当初の議決案に対抗して、自らの議決案を推し進めるため、緑の党メンバーのCarl Schlyterは、投票の直前になって、海賊行為に対抗するための刑事罰に対する強い反対を取り下げたことを口頭で説明した。声明では、議会は「刑事罰に対する過度の強調には承伏し得ない」と言うに留まった。

「企業による市場価格操作への対抗といった消費者意識の高まりは」、海賊行為との戦いにおいてより効果的であると考えられると緑の党は議決案にて記している。それでも、こうした変更によって、社会党員や保守層からの大きな反発が予想されることとなった。結局、投票プロセスにおける混乱が、この結果を生み出したと言える。

明確な区別を

緑の党メンバーであり欧州議会法務委員会報告者のEva Lichtenbergerは、この結果に満足していると話す。「私たちは、製品の偽造への対処と、インターネットでのダウンロードへの対処には、異なる戦略を必要しています。」

この議論の間、主に海賊版CDやDVD、偽ブランド品の数字については提示されたものの、より厳格な保護やエンフォースメントを求める主張は、偽薬や偽の航空機部品によって生じる健康・セキュリティリスクに密接に関連するものばかりであった。

Lichtenbergerは「リスクに関する明確な統計を示されてはいない」と述べ、例として、偽の車両部品のリスクに関する過去の欧州での調査について言及している。「リスクに関する証拠が不十分である」と彼女は言う。そして、企業による貿易障壁としてのより厳格な知財体制こそ、回避しなければならないものだとしている。

決議では、健康リスク・セイフティリスクに関する更なる調査を求めているが、同時に、薬品領域での区別も明確に求め、「EU及び発展途上国にて貿易、流通が推奨されるジェネリック薬品と、偽薬とは区別される必要がある。」としている。

さらに、偽造製品の生産国、消費国、通過国の区別も求めている。ここで欧州議会は、欧州委員会に対し、世界貿易機関の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)が定める範囲で、輸出、輸送、中継輸送活動といった適正な取引を保証する提案を求めている。組織的犯罪と偽造との関連に関しては、欧州議会は組織犯罪に関するパレルモ国際条約に加えて、偽造に関する条約原案の起草を支持するとしている。

レポートの影響

Lichtenbergerは、このレポートの影響について、ACTA交渉が開かれることになるとは思いがたいと話している。Lichtenbergerはレポートやスピーチでも、委員会の交渉に対し干渉するための法的基盤には疑わしいところがあるとしている。実際、議会もこの決議案の中で、委員会の権限に異議を唱えるテキストを受け入れている。

EPPメンバーで、議会貿易委員会メンバーのDaniel Casparyは、この開放性の問題について「私たちはリスボン条約を必要としています」と述べている。彼はリスボン条約によって、欧州が最終的なACTA文書に署名する前に、その定義に関与し、投票を行なうことができるだろうとしている(訳注:リスボン条約は未だ発効されてはいない。リスボン条約の概要はこちら)。CasparyはACTAが来年の夏までに締結されることはないだろうとし、その理由として、米国では政権交代が行なわれるため、それまでの間はACTA交渉に変化は生じないだろうと述べている。Lichtenbergerもこれに同意し、「オバマ次期大統領のインターネットポリシーアジェンダを読む限りでは、私たちは多くの点で共通の基盤を有しているようです。」と話す。

第4回会合における米国

今週、ACTA会合に参加した米国代表は、パリを去る前に、「透明性」が重要であるとの代表間でのコンセンサス、そして「市民との更なる情報共有のための議論」が重要であると指摘した。これはまさに議会が懸念しているところではあるが、これまで米国にて述べられてきた利害関係者のディスカッションでは、制限されてきた部分である。

米国通商代表部のスポークスマンは、この第4回会合を以下のように概説している。「関係国間で世界的な知財権侵害に立ち向かうための合意を取り付けるために議論を続け、特に偽造と海賊行為の文脈で、国際強力の強化、実効的なエンフォースメントに寄与する実務的枠組みの強化、そして、関連する知財権エンフォースメント措置そのものの強化を再確認した」。今回のディスカッションでは、国際協力、エンフォースメントの実施、制度的問題に焦点が当てられた。知財権の刑事的エンフォースメントに関する以前の議論は継続され、「インターネット上の知財権侵害の対策について、各国で情報が共有された」と彼は話す。第5回会合は2009年3月にモナコで開催される。

日本ではあまり報道されていないようだし、あってもかなりあっさりしているものの、欧州では市民権への影響が懸念されているようだ。それもそのはずで、既にリークされているRIAAの要求などを見ても、強力な第三者責任を求めるという文言が含まれていたり、我々のインターネットの利用に大きく影響を及ぼす可能性があるにもかかわらず、その内容が公開されてはいない。たとえばRIAAの要求では

反証なき場合、インターネットサービスプロバイダは、コンテンツが侵害または違法に保存されていることを知っているとみなされるのが当然であって、したがってISPは著作権侵害に対する責任を免れることはできない。

とあるが、これが含まれているのかどうかすらわかりようがない。もちろん、これはあまりに馬鹿げた提案なのだが(何故なら、あなた自身が撮影したビデオをYouTubeにアップロードした場合、あなた自身が合法的な作品であることをYouTube側に証明しなければ、YouTubeは違法なコンテンツを保持していると見なされることになる)、こうしたものに加え、欧州議会が否定したスリーストライクポリシーの導入なども求められており、会合の透明性が確保されない限り、疑念ばかりが募ることになるだろう。

関連リンク

「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想」12月関係国会合の概要について - 経済産業省

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/1355-2d481ce3

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。