スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

だれが「音楽産業」を殺すのか

以下の文章は、TorrentFreakの「How To Kill The Music Industry」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:How To Kill The Music Industry
著者:Jens Roland
日付:February 27, 2009 
ライセンス:CC by-sa

The Pirate Bayの裁判に際して、音楽産業は彼らの収益が激減していることをファイル共有ユーザのせいだと非難した。そのロジックは明らかに欠陥があるのだが、本当の説明がなされなければ、判決を左右してしまう可能性がある。では、海賊行為以外の理由が考えられるのだとしたら、『本当に』音楽産業を殺しているのはなんなのだろうか?

Universal Music CEOのPerSundinによれば、音楽産業の過去8年間の収益の減少は、全て違法ファイル共有のせいであるのだという(批判はこちら)。もし、これが本当の真実なのであれば、現在音楽産業が行っている猛烈な海賊ユーザへの追求を彼が支持したということも尊重すべきなのかもしれない。しかし、過去8年の間、ホームエンターテイメントを取り巻く景色は、Per Sundinが考えるより大きく変化を遂げた。そうした変化の一部は、音楽の収益性に劇的な変化をもたらすものであった―どれほどの海賊行為よりも大きな影響を。

では、ここで我々の記憶をリフレッシュし、過去8年の間にそしてその直前に本当に起こったことを見直してみよう。

1. 始めに、コンピュータとコンソールゲームの爆発的な隆盛があった。この競争的な『第三のプレイヤー』がエンターテイメントの景色に現れ、音楽産業、映画産業の囲いを突き破り、音楽産業の収益は大きく減少した。しかし、消費者は無尽蔵に金があふれてくる財布を持っているわけではなく、かつて音楽にほぼ独占的に流れていた数十億ドルの『レクリエーション・ダラー』は、現在ゲームに費やされている。

2. 国際的な貿易協定により、消費者は国境を越えて音楽を購入することができるようになっている。これによって、製品の実際の価値ではなく、その国の『相対的な豊かさ』をベースにした音楽の国内価格を許容せずに済むようになった。

3. 配付可能な新たなメディア形態(特にMP3、もちろんCDも)がメインストリームとなっている。これらのニューメディアは、時間が経つにつれて劣化することもないし、滅多に壊れることもないため、音楽の再購入を過去のものとした。また、音楽の中古市場を確立し、拡大させることにも繋がった。これら2つは、音楽産業が以前に得ていた収益を断つものであった。

4. 急激なテクノロジーの革新は、音楽制作、プロセッシング、ミキシング、マスタリングの分野を大きく変えた。レコーディング用ハードウェア、CDライター、ミュージックソフトウェア、メディアエンコーダーが進化を遂げ、現在では、ほとんどのアーティストは実際に、自らレコーディングし、プロデュースを可能するまともな品質の機材を手にすることができるようになった。さらに、これは文字通り、数千に及ぶ小規模かつ専門的なスタジオを持つことを可能にし、それが低価格性、アーティストにとってのよりよい条件、ジャンル特化した専門知識、その他のメリットも相まって『4大メジャー』への疑問視へと繋がった。現在では、成功をつかんだアーティストは大手レーベルを離れることができ、比較的妥当な予算で個人でレコーディングするための機材一式を揃えることができる。もちろん、ビートルズやフランク・シナトラのようなスーパースターには常にこうした選択肢があったが、最近の技術的進歩はそのハードルを大幅に下げるものであった。こうした発展は『4大メジャー』からドル箱を奪うこととなり、現在メジャーレーベルに頼る人々は、その広告、ディストリビューション・インフラのみを利用しているのである。

5. World Wide Webは世界のありとあらゆる場所に存在する勢力となった。これにより、デジタルミュージックは安価に、エンドツーエンドのディストリビューションが可能となった。このことは、バイトや帯域ではなく、輸送やCDカバーに関わる商用ミュージックディストリビューターからますます苦境に立たされることを意味する。先頭を行くiTunesなどは(iTunesは『フリーとの競争』という意味でうまくやっていると思っている)、現在、フィジカルよりデジタルに、数億曲もの楽曲がiTunesにて購入されており、もはや大手レーベルのディストリビューション・ネットワークは必要とはされていない。

6. ラジオ局、ミュージックテレビネットワーク、その他の音楽ストリーミングソースの総数は、指数的に増大を続けており、音楽ファンに無数の無料(で合法的な)ミュージックオプションを提供している。衛星ラジオ、DAB、インターネットラジオ局は、コンシュマーが聞きたいと感じる音楽のサブジャンルのチャンネルを聞くことはごくありふれたことになっているし(ともすればPandoraのようなサービスではダイナミックにそのストリーミングチャンネルを作ることができる)、音楽の購入はもはやカジュアルユーザにとっては(訳注:必須のものではなく)完全にオプションの1つとなっている。

7. 膨大な数のエンターテイメントの選択肢(ホームコンピューティング、コンソールゲーム、モバイルデバイスなど)が家庭に登場したことで、活動としての音楽が事実上置き去りにされてしまった。15-20年前であれば、若者たちは、音楽を聴くために互いの家を行き来していた。しかし今日では、そういった活動は、たとえばGuiter HeroやRock Bandをやるとか、コンサートで踊るといった活動の形態以外にはほとんど考えられなくなってしまった。

8. 最後に、音楽産業自身、デジタルメディアの機会を受け入れており、そのことは少なくともコンシュマーに『間に合わせの楽曲』でいっぱいのアルバムを購入する必要を失わせ、シングル曲だけの購入を可能にした。RIAAが公表している過去10年のセールス実績を見てみると、アルバムセールスの不調と、デジタルシングルの導入とそのセールスの増加との間に相関がある。実数に目を向けると、大多数のコンシュマーが、第一にフルアルバムを購入したいとは思っておらず、単に手頃なシングルトラックメディアが欠如していたために、アルバムの購入を強制されていたことが明らかとなる。デジタル革命が到来した今となっては、かつてミリオンをたたき出した無数の16曲入りアルバムのセールスは、1, 2曲のセールスに置き換えられ、かつての収益に対して壊滅的な打撃を与えているのである。これこそが、音楽産業を苦しめている真の理由である。

言い換えると、音楽産業が喧伝して回っているような収益の減少と海賊行為との結びつきを「コモンセンスである」という主張は、単純に受け入れられない、ということである。それは産業が信じ込んでいるほどに明確なものではない。つまり、この激減の真の理由は、彼らが未だに目を背けている何かでしかないのである。そして彼らは、遅かれ早かれそれに直面しなければならないのである。

実際のところ、音楽産業の収益は、消費者選択の制限によって、何十年にもわたって人工的に膨張してきた。しかし、過去15年のイノベーションは、これらの制限を解除してきた。それが実質的に、旧式の、独占的な生産技術による不完全なビジネスモデルに支えられ、アルバムの抱き合わせを強制し、ほとんど競争の存在しなかった音楽産業を、ホームエンターテイメントのフィールドから去らせたに過ぎない。現在起こっていること、つまり音楽の収益の減少と音楽産業による海賊狩りは、旧来のビジネスモデルが死に瀕している恐怖から目をそらすための戦いであり、デジタルな世界でますます役割を失いつつあることを許容し得ない音楽産業の自己満足なのである。海賊行為は原因ではないし、収益の減少は病ではない。それは治療なのだ。

これはJens Rolandによるゲストエントリである。Jensはコンピューターサイエンスの専門家としての教育を受けているが、テクノロジーの予測を生業としている。彼は国際的なシンクタンクにて、新興テクノロジーのコンサルタント、研究者として働いている。また、彼は300本を超える記事、このテーマの書籍を執筆している。

———————————————————————-
DATA: Net value of shipped music, in billion dollars

1991 7.83
1992 9.02
1993 10.0
1994 12.1
1995 12.3
1996 12.5
1997 12.2
1998 13.7
1999 14.6
2000 14.3
2001 13.7
2002 12.6
2003 11.9
2004 12.3
2005 12.3
2006 11.8
2007 10.4

(source: RIAA’s annual reports)

ここでの記述が当てはまるのは、「音楽産業」というよりは、「レコード産業」という気がしないでもない。レコード産業が低迷している中、ライブ産業は好調だともいわれているしね。ただ、これからも順調に好調を維持していけるとは思っていないけれど、音楽産業全体が危機を迎えているわけではないだろう。

この文章全体としては、やや誇張気味に書かれてる部分もあるけれど、レコード産業を対象にしているのだとすれば完全に外れてるとも思いがたい。まぁ、The Pirate Bay裁判の文脈で出てきた記事だという背景を考えれば、これくらいの強さでもいいんだろね。「収益の減少は治療なのだ」という主張には同意するけれどもね。

Trackback

だれが「音楽産業」を殺すのか
リンク: だれが「音楽産業」を殺すのか過去8年の間、ホームエンターテイメントを取
2009.03.02 13:27 | Corns Blog
島谷ひとみと挙式できる権利キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
島谷ひとみ、新曲購入の“あなた”と結婚式 http://www.sanspo.com/geino/news/090304/gnj0903040503014-n1.htm 新曲の仰天特典はなんと、島谷と模擬結婚式を...
2009.03.05 04:44 | It probably will go with Torrent -Whity- Torrentで逝こう(白)
Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/1426-6ec6d7d0

Comment

匿名のPeerさん | URL | 2009.03.13 15:26
マドンナは既にレコード会社に見切りをつけてライブ等の興行事務所に移籍したそうですね。

考えてみれば利益云々はアーティストの取り巻きが騒いでいるだけで、本人は発表できればどこに帰属しようが構わないわけで、その選択肢が膨大にあるってことも考慮に入れるべきなんでしょう。
Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。