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CDセールスの下落は中古市場が原因?

以下の文章は、P2P Blogの「File sharing not the only reason CD sales are falling」という記事を翻訳したものである。また、文章中の画像はArbeit 2.0のRobert Gehringによるものである(CC BY-ND-NC)。

原典:P2P Blog
原題:File sharing not the only reason CD sales are falling
著者:Janko Roettgers
日付:April 7, 2009
ライセンス:CC by-nc-sa

先日、ドイツのブロガーRobert Gehringは、米国でCDセールスが落ち込みを続ける理由を分析する素晴らしいエントリを公表した。Gehringは、現在の危機が実際に何によってもたらされているのかを正確に描写するため、RIAAが公表する1990年から2007年までのセールス数を詳細に観察した。彼の結論はどのようなものだったのだろうか?

フィジカル・オーディオ・レコーディング市場は、CDのある種の特徴のために、かなりの影響を受けている。

言い換えると、CDフォーマットそのものが原因で引き起こされている影響を、ファイル共有ネットワークのせいにしてはならない。Gehringは、当初のオーディオCDブームは、人々が自らの音楽コレクション全部を新たなデジタルフォーマットにしたいと思い、その結果、既にレコードやテープで所有していたアルバムまで買い直したことに起因していると考えている。GehringはこれをCDの成長期と呼んでいる。これはほぼ1991年から1994年まで続いた。

(used with permission)

Gehringによると、その後市場は普及期を迎える。これは1994年から2000年まで続いた。その期間はそれほど顕著な成長は見られず、音楽のセールスはおよそ安定していた。この時期のレコード・ミュージックのセールスは平均して年間10億枚程度であった。この頃、CDはマーケットシェアの90%を占めるようになり、消費者たちは相当な数のCDをコレクションしはじめている。

もちろん、それらのCDコレクションは全てデジタルの、完全なコピーである。90年代は、CDのコピーやリッピングなどはほとんどなされなかっただろうが、それは交換したり、売却したりしなかったということを意味するわけではない。この頃、第二のマーケットとして中古市場が幕を開けている。

確かに、それまでも中古レコードストアは存在していたが、レコードはメインストリームではなくなっており、玉石混淆の中古レコードの山から、欲しいものを探し出そうとする意志を持っていたのはハードコア・コレクターばかりであった。一方、CDのサウンド・クオリティは(レコードのように)悪くなるものではなく、それゆえに気に入らなかったCDを売却することも容易であった。

そうした混乱の中にEbayが加わることになる。伝統的な音楽セールスのシェアを食いつぶす、巨大な中古市場の出来上がり、というわけだ。これこそが、2000年を過ぎてから起こっていることだとGehringは考えている。以下に彼のエントリから引用しよう。

2007年までに、米国では合計120億枚のCDが売られた。ある程度は破損・紛失していることを考えたとしても、これらのCDの少なくとも100億枚存在していると仮定することができるだろう。この相当数のCDが、中古市場の一部なのである。

(used with permission)

私は、これが実に興味深い視点であると思う。特に、RIAAのゴールドアルバム、プラチナアルバムを受賞した、伝統的なベストセラーアルバムのほとんどが、名盤となっている。つまり、Rolling StonesやThe Beatlesといったクラシックが、長きに渡って産業に莫大な富ををもたらしてきたことを意味する。もちろん、そうしたクラシックは、中古市場でも多数取り扱われているアルバムである。Ebayで取引されているのは、2009年にリリースされたCDばかりではないのだ。

では、このことは、ファイル共有がレコードセールスに影響を及ぼさないことを意味するのだろうか?それは疑わしいだろう。Napsterとその後継者たちは、PCでの音楽消費、モバイルプレイヤーでの音楽消費を全ての世代に知らしめた。そうした人々は、音楽が物理媒体でなければならないとか、中古・新品でなければならない、ということを全く気にしない。しかし、ファイル共有をしようとは思わないであろう古くからの音楽ファンであっても、この中古市場を通じて、安価な音楽へのアクセスを得ているという事実は、音楽産業の直面している危機を確かに悪化させるものであっただろう。

個人的には、複合的な原因によって、CDセールスの下落が続いていると思っているので、中古市場という存在が単一でこの事態を引き起こしているとは考えていない。もちろん、それはRobert GehringもJanko Roettgersも同様であろう。

問題は、実際にどの程度のインパクトを持っているか、なので、その辺りが漠然としたままだとなかなか更なる議論は難しいところなのだけれども、オンライン中古市場といえば、日本ではEbay以上にYahoo!オークションが強いのだろうが、音楽に限って言えば、個人的にはヤフオクよりもAmazonのマーケットプレイスがより大きな影響を与えているだろうなとは思う。中古レコード屋に出向いてお目当てのCDが中古であるかどうかを探さなくても、お目当てのCDのページに行くだけで、複数の中古レコードストアが出品しているわけだしね。

それでも、そうした中古市場の影響が単一ではそれほど大きくないと思えるのは、現在進行形のトップの売上もがた落ちだ、というところだろうか。確かに過去の作品であれば、多数の中古版が出回っているのだろうが、新譜であれば、それほど市場に出回っているわけでもない。もちろん、購入後すぐに売ってしまうということもあるのだろうが、ここ10年の大幅な下落を説明しうるとも思いがたい。

いずれにしても、この議論ではファイル共有がセールスの減少に影響を及ぼしてはいない、とは言い難い。もちろん、CDセールスの減少の1つの原因ではあるのだろうけれどもね。

なお、日経新聞に掲載された記事によれば、米国ではCDの不振が続いており、レコード市場も4年連続で前年割れだそうだ

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Comment

as | URL | 2009.05.02 17:44
古い指揮者で、当時は有名でも今はほとんど名前が残っていない人がいます。なぜかというと録音を非常に嫌ったからです。
彼らが嫌った理由には、音楽に集中できないとかプライドがあったのかもしれませんが、商業的になるのをなんとなく予想していたのかもしれません。これを逆手にとって突っ走っていたのがカラヤンです。(彼の音楽を否定しているわけではありません。つまらない音楽が売れないのは何時の時代でもある側面当然です。)
音楽の商業化は戦後、SP時代の終わりと共に始まったのではないでしょうか。当時はまだレコードで、値段もある程度したでしょうが、だんだん品質が上がり、媒体が長持ちするようになって「それを売る。また、古いのを買う」という概念が出てきたと思います。
こういうと企業や個人のせいみたいになってしまいますが、技術の向上もその当事者にも罪はありません。
元々存在しない責任にすがりついて、それを掴もうと憤怒としてあがいているように見えてしまいますが・・。
ゆう | URL | 2009.05.02 19:03 | Edit
アメリカも、大変そうだな…。

ときどきこのblogを見させていただいています。

ただ、携帯なので、重要な部分に色が着くようになってるのはいいのですが、黄色だから見づらいです…

携帯で閲覧すると見にくいことがわかるのでよかったら変えていただけないでしょうか?(色を)
heatwave | URL | 2009.05.04 04:34
asさま

コメントありがとうございます。確かに、技術を許容するか拒絶するか、はたまた商業性を許容するか拒絶するかは各人(作り手も受け手もその間にいる人も)さまざまな考えを持っているでしょうね。

少なくとも、創作の一部を商売にしてしまった以上、その上下に一喜一憂、理由を求めなければならない局面もあるのかなと思っています。特に製作(制作ではなく)や流通に大きな影響を及ぼしうることなので、私にとっては重要な側面もあります。

とはいえ、個人的には企業による商業的なアプローチよりも、個人がインディペンデントにどうやって活動を継続していけるのかという部分が気になるので、そういった意味で商業的側面を重視しています。


ゆうさま

コメントありがとうございます。こういったご指摘は本当にありがたいです。私もしばしば携帯で眺めているのですが、確かに強調箇所が強調されていないですね。ご指摘があって調べてみたのですが、<strong>タグ(論理強調)を使用すると携帯では強調表示されないみたいです。一部、<b>タグ(ボールド)だと強調表示される機種もあるようなのですが、全体的には太字に関しては未だにあまり対応していないようです。そういった意味でのご指摘でなかったらごめんなさい。

また、色に関しては確かに見づらいなと思ったので、シンプルなテンプレートにしてみました。黒字の方が読みやすい…と思ったのですがどうでしょう??

もし、また何か気になる点などありましたら、遠慮なくコメントくださいね。ご指摘ありがとうございました。
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