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英国アーティスト団体、スリーストライク法を求める動きに懸念を表明

以下の文章は、TorrentFreakの「Artists Don’t Want Pirate Fans to be Disconnected」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Artists Don’t Want Pirate Fans to be Disconnected
著者:Ernesto
日付:May 18, 2009
ライセンス:CC by-sa

先週、音楽及びその他のエンターテイメント産業を代表するグループは、英国政府に対し、海賊行為を疑われるユーザの遮断をISPに強制する法律の立案を考慮するよう求めた。現在、この提案は予期しないところからの反対に直面している。トップアーティストらによる団体がこうした提案に反対を表明したのだ。彼らは、彼らのファンを遮断することは悪手であると述べている。

主流ミュージシャンたちは、自らの発言に耳を傾けさせるために自らのロビー団体 Featured Artists Coalition(FAC)を設立した。同団体はRobbie Williams、Billy Bragg、Radiohead、Iron Maiden、Travisらが所属し、アーティストの利益を第一のものとして音楽レーベルやロビー団体との適切な関係を構築することを目的としている。

同アーティスト団体は、先日エンターテイメント産業のロビー団体が要請した、著作権侵害を繰り返すユーザをインターネットから遮断せよという「スリーストライク」法案に対する懸念を明確にしている。またも、著作権ロビーは産業の利益のために、そして、彼らが代表しているというアーティストに相談することもなく、行われたことになる。

「これがはじめてのことというわけではないが、私たち、Featured Artist Coalitionに参加するメンバーにとって、音楽産業がこうした法案を求めるに際して、本当にアーティストの最大の利益を代表しているのかどうか疑わしく思わざるを得ません。」と英国のミュージシャンBilly Braggはこの話題を扱ったGuardianの記事の中で記している。Braggによれば、音楽産業が主張しているほどには容易に解決できないような『問題』をもって音楽産業はISPを避難しようとしているのだという。

「これは他分野の産業に責任を押し付けるという恥ずべき試みどころの話ではありません。こうした法案が期待されるほどの効果があるかどうかに関わらず、問題が解決されることはないでしょう。テクノロジーは常に規制に先んじています。捕まるのを恐れる無許諾のファイル共有ユーザたちは、単に見つからない方法に移行するだけでしょう。」とBraggは記す。

彼は更に、ファンたちはしばしばファイル共有ネットワーク以外の場所でDRMフリーの楽曲を探すのに苦労していると主張する。音楽ファンのデマンドはインターネットの出現によって変化しているが、音楽産業はこれまで適切なオルタナティブを提供してこなかったという。

「Featured Artist Coalitionは著作権侵害には反対していますが、もしテクノロジーが音楽への自由なアクセスを可能にするのであれば、人々はそれを活用する、ということをよく理解しています。次世代の音楽ファンはもはや音楽にお金を払いたいとは思ってはいないのかもしれません。でも、彼らは音楽に飢えています。音楽産業にとっての課題は、そうした人々の行動からマネタイズする方法を見つけ出すことなのです。」

「明らかに、ある種のP2Pサブスクリプションサービスは前進と言えるでしょう。そのサービスが消費者が音楽にアクセスするための最も便利な方法である、とう点においては。」とBraggは主張している。

最終的には、レーベルはこれまで長年にわたってビジネスのコアとしてきた流通の一分野を諦めざるを得なくなるのだろう。これはレーベルの不確かな未来を描くものであり、それゆえに彼らは強行に抵抗するのだろう。Braggの言葉でいうならばこうだ。

「今のところ、レーベルにとって主導権争いに敗れるということは、彼らの音楽流通におけるコントロールの終演を意味しているのでしょう。まだか弱きデジタル産業が飛び出す前に、その翼を奪わんとする、そのためにできることなら何でもするというのも、そうした理由からではないしょうか?」

Braggが批判しているコンテンツ産業のスリーストライク法の英国への導入の提案については、nofrillsさんがその動きをまとめているので、是非。

tnfuk [today's news from uk+]: 「ネット上の海賊を撲滅せよ!でなければ映画は作られなくなる!」論@英国

さてさて、FACが反発を示した件について。既に人気を獲得したアーティストにとっては、レコードレーベルとの関係はイーブンであって欲しい、という願いがあるのだろうから、こうした動きを利用して牽制をする、というのもロビー活動の一環なのかもなぁとは思う。レーベルの存在は功罪あって、罪の部分だけあげつらっても仕方がないのだが、功の部分だけ強調して罪の部分をもみ消そうとするのも世の常。アーティストのロビー団体であるのだから、功の部分を認めつつも、罪の部分を強調して、少しでも待遇の改善を求める、というところだろうか。

人気のアーティストにとっては、レコードからの収入は大したものではなくて、より多くの利益を求めるためのプロモーションの一部であることも多いので、できるだけ全体の利益を伸ばすために、より柔軟な運用を求めるというところもあるのだろうが、レーベルにしてみればそれこそが我らが食い扶持というところだろうから、その辺で摩擦が生じることもしばしば。レーベルに反発するとアーティストのワガママだと揶揄されることもあるが、ある意味ではそれも一方的な主張であって、その背景にはレーベルのワガママが存在していて、それがそう思わせるという部分もある。そうした意味では、互いにワガママを言い合って落としどころを見つけるしかないのかな、と思ったりもする。

で、今回の件の半分くらいは、FACにとって格好の批判材料だったわけで、この発言の背景にはある種の政治的判断があるのだろうなぁと思ったりもする。これまでは、レーベルや音楽産業団体は、アーティストと一蓮托生のような主張を繰り返して自らの利権を広げていったわけで、世間的にそうした目で見られているところもある。なので、FACはアーティストとレーベル/音楽産業団体との利害が対立している部分を請け負っているわけで、その意味では、利害が一致していないのに勝手に代表しているんだ、という部分を攻撃することが、自らの主張の正当性を増すための手段ともなる。

また、レーベルのデジタルディストリビューションへの及び腰にたいしても不満に思っているところもあるだろう。リスナーの多くがデジタルな時代に適応しつつあり、音楽産業としてもそれに対応しなければならない時に、それをレーベルが邪魔しているという思いもあるのだろう。もちろん、この辺は、レーベルとしても自らの利益を守らねばらならない、という思惑もあって当然なのだろうが。

互いの利害が一致しないところでは一番声のでかい奴の意見が通るというのが、これまでの通例だったのだが、この混迷を極めている現在にあっては、他のプレイヤーの意見を遮ってまでゴリ押しすることが難しくなっているのだろう。アーティストとしても今声を上げずにいつ声を上げるのだ、と思っているのかもね。

なお、FACという団体がリスナーの味方のように思える方もいるだろうが、個人的な感想としては、あくまでもそれはアーティストとリスナーとの利害が一致している限りにおいては、のことだと思っている。利害が一致しない場合には、互いの対立しあうこともあるかもしれないし、アーティストとデジタル産業との軋轢によっても、間接的に対立することもあるかもしれない。まぁ、互いの利益が相反する場合には、可能な限りフラットな状況で主張をぶつけ合うこと(その上で、落としどころを模索すること)が大切だと思っているので、それが健全だと思うけれどもね。

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Comment

@yano | URL | 2009.05.21 01:02 | Edit
こんにちは。いつも興味深く拝読させていただています。

最後のパラグラフにアーティストとデジタル産業の話がありましたが、こんな記事もあります:
http://musically.com/blog/2009/04/08/billy-bragg-talks-google-myspace-and-creator-rights-in-the-digital-era/
FACの活動は、個人的に興味があって追いかけていますが、FACのコメントや意見はやはりミュージシャンの立場で出されたもので、Heatwaveさんがおっしゃるように、私も、彼らが必ずしもリスナーを代表しているとは思えません。音楽ファンや教育現場の声を聞くのであれば、著作権保護期間延長に賛成(※今提案されている内容については反対)という話にはならないのでは、と思うのですが・・・。

またお邪魔させていただきます。
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