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英国:アーティストの考える著作権とクリエイティブコモンズ

前のエントリでも少し触れたアーティストと著作権、クリエイティブコモンズの調査について、原典を見てみます。全体を見てみると、CreativeCommonsを支持しているアーティストは、現行の著作権の複雑すぎるあり方を問題視しているから、CreativeCommonsのクリアさを評価しているんじゃないのかなというお話。創造物の送り手と受け手が不便な思いをしているってのは変な感じね。その真ん中の中間搾取者がでかい顔して支配してるってんだから、おかしな話。ユーザとアーティストがダイレクトにやり取りできる時代になりつつあるのにね。

原典:Open Business.cc
原題:Release of Report on ‘UK Artists, Copyright and Creative Commons’
著者:OpenBusiness
日付:Nove,mber 28, 2006
URL:http://www.openbusiness.cc/2006/11/28/release-of-report-on-%e2%80%98uk-artists-copyright-and-creative-commons/

英国芸術協会とOpenBusiness.ccは、著作権、創造性、ライセンスの慣習についての選択肢、特にCreative Commons(CC )についてのアーティストの態度に関する6ヶ月間のレポートの公開をアナウンスした。オープンライセンスを利用する英国アーティストの数が、ここ10年間で増大してきたけれども、どうやって、またはどうしてそのようなライセンスを利用しているのかについての調査がなされてはこなかった。

Download the Report

これは、アーティストが彼らの作品を配布する革新的な方法についての仕組みを、どのようにますます利用しているかについてを明らかにするタイムリーなレポートである。個人だけではなく世界的な組織や代理店のオープンなコンテンツライセンスの利用の高まりについては、更なる調査が必要になるだろう。これらの分析の開始を可能にした、Branac Ferran、Arts Council Englandには、OpenBusinessへの資金提供を感謝する。

レポートの焦点は2つ存在する。

・デジタル環境で作品を制作しているアーティストが、商業的な関係を構築し、一方で共有やコピー、簡易な二次製作を禁じる著作権をどのようにとらえているのかを調査すること。
・なぜ一部のアーティストが、共有、コピー、特定のライセンス下での商業的or非商業的な目的での派生的な利用を促進するCCを利用するのかを検証すること。

レポートは、アーティストがCCを利用する大きな理由の1つとして、既存の標準的な著作権があまりに複雑でコストがかかることを認めていることを示唆している。CCライセンスは、ニューメディアアーティストのための効果的で実用的なツールである。そのような人たちは、自らの既存の作品にCCを適用させる。アーティストはまた、ネットワーク効果を期待し、より効果的に自らの創造的な作品を市場に送り出すためにも、CCを利用している。しかし、今のところは、前衛的な若い世代のアーティストに利用されている傾向にある。英国の140,000*1以上のwebサイトが、このようなライセンスを利用している。

調査は、リユースやリミックスといった製作習慣の進展と、自らの作品に対する個人の警告との間に起こりうる混乱についても指摘している。一般に、アーティストは、法律によってだけではなく、資金の調達や英国芸術協会等の団体のポリシーを通じ提供されるシンプルでより適切なガイドラインを必要としている、と要約することが出来る。

訳注1:レポート本文では170,000となっている。ミスタイプかと。

調査方法の詳細については、実際のレポートを参照してもらうことにして、ここでは概要だけ。

回答者は合計で83名。募集方法はCreative Commons UKと芸術協会がメーリングリストで募集。回答者は、オンライン調査、電話インタビュー、フォーカスグループによる量的、質的データを測定された。

上記のプレスリリースには詳細はかかれていはいないけれど、アーティストの多くは著作権そのものについて、否定的な見解を持っている人は少ない。むしろ、理論的には重要な機能であるとしており、どのような形態であれ、再利用に対して対価を得ることは重要であるとしている。しかし、ほとんどのアーティストはそれとは相反する感情をも持っている。実際の回答には以下のようなものがある。

著作権は、製作者の利益を保護するはず。しかし、私にはそれが真実だとは思えない。

結局のところ、ビッグビジネスを支えているだけだ。

と、著作権の理念は重要であると考えてはいるが、その理念が現実に反映されていないという不満もあるようだ。回答者の中では、唯一1人だけが現行の著作権制度を好ましいと答えている。

また、著作権団体のよく言う、著作権の保護がアーティストの創造性を刺激する、とか利益を保証するものだという主張も、アーティスト本人たちは大して思ってもいないらしい。オンライン調査、電話インタビューではそのような言及は見られず、フォーカスグループにおいて話題には上ったものの、その主張を支持する事例が語られることもなかった。

著作権は「諸刃の剣」であるという回答があったように、アーティストたちは、自分たちの作品を保護するために作られた著作権であるはずなのに、その保護の結果、自らが制限されることになってしまっているという状況に失望している。

また、著作権と『フェアユース』に関しては、

著作権がますます複雑になっているので、それがどう機能するのかよくわからない。

アーティスト自身の認識を高める必要がある

という反応が得られている。より強固なDRMの導入などは、消費者のみならずアーティストの権利すら制限しているということを理解する必要がある、ということかもしれない。このような産業側の都合による制限に対しては、

バランスはシフトしつつある。(産業側のコントロールではなく)著作権は、アーティストが必要とするコントロールがなされるべきである。

という回答もあり、この辺は、自分たちへの扱いに対する産業側への不満が混合しているのかもしれない。

また、二次製作物を作成しているアーティストは、それをどのように公開してよいものかよくわかっていない部分がある。CCや著作権の知識だけではなく、技術的な知識にも関係する。それらのアーティストの中には、どこに、どのようにその作品を公開してよいのか、どのようにそれにライセンスを付与することが出来るのかを知らないでいる人もいる。また、多くの配布者たちが、CC作品の利用に関する法的な要求について、正確な知識を持っていない。

また、ビジュアルアーティストにとっての問題は、音楽、映画企業による著作権にかかわるコントロールについてである。彼らは、mash-upやサンプリングなどによる二次製作、コラージュについての議論が十分になされておらず、自らの作品の法的なポジションが不確実なままである。

また、産業側の著作権制度保護のうたい文句に対しては

アーティストが作品を製作できる社会を構築するために、著作権システムを通じてお金を必要としているという人たちを見るにつけて、私は彼らが何を言っているのか理解できない。創造とお金とは無関係である。お金が欲しいなどという動機からではない。そうであってもならない。

というアーティストもいる。彼以外にも、回答したアーティストの多くは、自らの作品からほとんど報酬をえているわけではないが、彼らはそのような経済的な報酬に関係なく、創作したのだと強調しているのである。

それについての証左として、ブログやWikiといった、何の報酬も期待できない無料奉仕であるにもかかわらず、人々はオンラインコミュニティでの創造的な貢献に時間を費やす、ということの高まりを指摘している。

またCreativeCommonsについては、複雑な制約ばかりの現行著作権制度に比べて、非常にクリアであると評価しており、それによって利用されているという部分もある。また、旧来の著作権がアーティストに約束している利益をもたらすことも、保護を与えることもしておらず、それよりはむしろ作品のコントロールを失うことなく、ネガティブな影響(中間搾取や制限など)を回避することが出来るとも考えている。

ただ、実際には英国でのCreativeCommonsのライセンス利用について、その半数が"Share Alike(共有許可)"を選択しているのとは対照的に、"No Derivative(二次利用禁止)"を選択しているという現状もある。それでも、旧来の著作権と対照的にCreativeCommonsライセンスの利用を選択しているアーティストは増え続けている。

この調査は、希望者のみが回答しているものであり、本当にアーティストを代表した意見の集約になっているかは疑問であるが、それでもこのような意見を持つアーティストが多く存在するのも事実ではあると思う。量的データとしては解釈しにくいが、質的データとしては非常に勝ちのある研究かと。

レポートでもまとめられているように、現行の著作権制度というものが、あまりにも複雑化しており、アーティスト自身ですらコントロール出来ない状態に不満を持っているというのが問題なのだろう。彼らの回答にもあるように、本来であれば、アーティストの権利を守るものであったはずなのに、その機能を果たすよりも企業の利益を保護するためのものに成り下がっているという現実がある。

また、ユーザ側も、アーティストとユーザという二者間であれば許されていたような権利も奪われているというのが現状である。それも、そこから金を生み出そうとだけしか考えていない人たちによって。

アーティストはライツフリーをよしとしているわけでもないし、保護されることは重要であると語っている。それでも現状の著作権制度に対しては否定的な評価を持っているという人が多いという現状がある。そして、ユーザも同様である。問題ははっきりしている。中間搾取団体、つまりパブリッシャー、レーベル、著作権保護団体が自らの都合のよいように、アーティストから、ユーザから権利を取り上げることで、利益をあげようとしていることが問題なのである。

残念なことに、ユーザは束になってもなかなか発言力を発揮することは出来ないし(束になるのも難しいけど)、アーティストも個々には発言力もない。ようやく発言力が出てきた大物アーティストなどはほとんどが体制よりである(ぽーるまかーとにーとか)。

一方で、業界団体は、豊富な資金も、政治家への根回しも、合法的な範囲内での脅迫もできる。面倒なアーティストを干すこともできるしね。そんな彼らに対抗するなら、こちら側は行動で示すしかない。どれだけ彼らが我々を馬鹿にしていても、彼らの飯代は、直接的、間接的の違いこそあれ我々の懐から捻出されている。でもって、彼らは金を儲けることにご熱心なわけ、人の迷惑も考えないでね。

だったら、もうそんなところから買わないという選択肢があってもいいんじゃないかと。別にアーティストの楽曲を買うなというわけではなくてね、中古でいいじゃんって話。中古レコード屋めぐったり、マーケットプレイスで買うので、十分事足りる気もするしね。まぁ、中古で買うっていっても誰からは、正規に購入しているわけだけれども、それでも少しでも支払われる額は減るわけですよ。

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