英国:スリーストライク規定を含むデジタル・エコノミー・ビルが下院を通過

以下の文章は、TorrentFreakの「Digital Economy Bill Passes, File-Sharing Ends Soon」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Digital Economy Bill Passes, File-Sharing Ends Soon
著者:enigmax
日付:April 08, 2010
ライセンス:CC by-sa

昨晩、英国政府は、第3読会を終え、たった2時間の議論を経ただけのDigital Economy Billを通過させた。同法が成立することになれば、 人々がオンラインでのファイル共有を止めねばならず、映画・音楽産業は数億もの人々を一網打尽にすることだろう。にもかかわらず、同法案を手放しで支持する輩もいるということだ。

昨晩の議会で、英国政府は野党保守党の協力を取り付け、デジタル・エコノミー・ビルを強引に通過させた。

同法案があまりに重大であるため、「wash-up」期間が必要であるとの意見も無視され、下院にてたった2時間足らずの議論が行なわれたのみであった。現在のところ、同法案が成立するのは避けられないだろう(訳註: 同法案を作成したのが上院であるため?)。

同法案のアンチ・パイラシー措置は、基本的には音楽産業によって書かれ、それに対してはほとんどの人々が反対しているにもかかわらず、賛成189 反対47で可決された。

元内閣官房長官トム・ワトソンは、数少ない反対票を入れた1人であったが、彼はこの結果に動揺し、「党議拘束を守らなかったのはこれが始めてだ。病気になりそうだ。」とTwitterにて語っている。

650名の議員がいるにもかかわらず、その場にいたのはわずか236名。もちろん、議場にいたからといって批判されないなどということはない。

「今晩の議会からの中継を見ていた全ての人が、あまりに痛々しいものだったと思っているだろう。議場に現れただけで、ろくに議論をしようともしない、有権者の視点で考えもしない、民主主義とは何たるかについて気にかけもしない、英国デジタル経済の未来なんて何とも思っちゃいない、そんな議員ばかりだった。」とベリー北部から出馬予定の英国海賊党グレイム・ランバート候補は語った。

同法の問題の1つであったサイトブロックを含む18条は破棄されていたものの、実質的には同様の措置を可能にするよう8条が改訂されている。これにより、ビジネス担当大臣は「著作権侵害的活動に用いられている、また関連するインターネット上の場所を、裁判所の同意を得て」ブロックすることができるようになる。

この改訂による影響は計り知れない。ジョン・ヘミング労働党議員は、ほとんどの場合著作権を侵害しているWikiLeaksを例に挙げた。

「最近の例としては、公開された米国空軍のビデオがあります。」とヘミングは言う。「著作権は米国政府にあります。彼らはこの法律をよりどころにして、WikiLeaksを英国から遮断するよう求めるでしょう。そのとき、根拠となるのはこの条項になるのは明白です。」

クリエイティブ産業はオンラインファイル共有のせいで年間10億ポンドもの損失を被っており、これらの措置は必要不可欠だと主張したスティーブン・ティムズ財政担当大臣に対しても、批判が向けられている。

イーストハムから出馬予定の英国海賊党マーク・シムズ候補(訳註: スティーブン・ティムズもイーストハム選出)は、ティムズは「議論の引き延ばしのために自分の時間を費やし、彼に対する質問にも応じなかった。それどころか、党議拘束によって投票を強制さえした。実質的に、有権者から大臣に向けられた懸念の声を無視したことになる。」と語った。

そう、我々は今そんなところにいるのだ。音楽・映画産業を救い、数億もの追加収入を生み出し、数限りなり仕事を創出し、全てのファイル共有サイト、そのためのメカニズム、ファイル共有する市民は皆無くなってしまう、そんなプロセスの終わりにいる。

それでおしまい、それで終了。戦争には敗北したのだ。民主主義の高貴な精神も、人々によるサポートも追いやられただけだった。

我々もTorrentFreakを店じまいしなきゃね。もうじき、あなたのお近くのHMVのイベントでもレポートするようになるんだろう。彼らに需要を満たすだけの十分な蓄えがあることを祈るだけだね。あぁ、素晴らしき未来予想図。

Digital Economy Billについては、「Green Sound from Glasogow」さんでも取り上げているので、そちらも参照のこと。

Digital Economy Bill、法律化へ その1: Green Sound from Glasogow

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