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海賊行為が音楽産業を殺す?またまたご冗談を

以下の文章は、TorrentFreakの「Is Piracy Really Killing The Music Industry? No!」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Is Piracy Really Killing The Music Industry? No!
著者:Ernesto
日付:April 18 , 2010
ライセンス:CC by-sa

音楽産業はこの10年間、収益が減少し続ける主な原因はデジタル・パイラシーであると主張してきた。しかし、音楽産業自身が提供するセールスデータから、彼らが組織的に無視してきた第三の要因こそ、現在の残念な状況を適切に説明していることが示されている。

70年代中頃、音楽カセットテープの登場により、セールスは上昇を続け、CDがその地位を奪う80年代後半まで続いた。CDセールスが急上昇を続けたため、結果的にカセットテープは徐々に姿を消していった。音楽産業用語を使えば、CDがカセットを殺した(CDs killed cassettes)、というところだろうか。

興味深いことに、こうしたフォーマット・シフトは、音楽産業にとって初めての経験というわけではなかった。レコード/カセット戦争もまさに同じパターンであり、LPは80年代初頭にその座をカセットに明け渡すこととなった。カセットが音楽ビジネスを支配してから30年後の現在、CDの敗北が始まった。

今回は新たな敵、デジタル・パイラシーがある。ここ10年間というもの、米国音楽産業はフィジカルなCDのセールスの低下に直面しているが、彼らはこれまでずっとそれをデジタル・パイラシーのせいであると主張してきた。それによってレーベルは、これまでに経験してきた中でも最大の急激なフォーマットシフト、つまりデジタル革命をうまい具合に無いものとして無視してきた。

インターネットやコンピュータ、最も重要なツールであるMP3プレイヤーなどが人気を伸ばし、音楽ファンたちは手持ちのCDからMP3やその他のデジタルファイルへと移行していった。当初、人々はCDそのものからコンバートしなければならなかったが、2003年にiTunes Storeがオープンし、最初の1週間で100万曲以上を売り上げた。

このフィジカルからデジタルへのシフトにおいて、もう1つの重大な変化が音楽産業に追い打ちをかけた。それは米国音楽産業の収益が減少を続ける理由を説明するものでもある。有料音楽配信の導入により、消費者はもはや2,3曲を欲しいがためにアルバム全編を購入する必要がなくなったのだ。消費者が手にしたこの新たな自由は、音楽セールスの有り様を一変させた。

RIAAの出荷データベースの統計によると、2004年から2008年にかけて、米国で販売されたシングル・トラックの数は669%も上昇した。その一方で、アルバムセールスは42%も減少した。、シングル・トラックのセールスはフルアルバムのそれよりも実入りが少ないため、大手レーベルは苦しめられることとなった。以下の図からもわかるように、販売された音楽『ユニット』数は急上昇を続けている。

米国での音楽『ユニット』出荷数

では、このどこにパイラシーの影響があるのだろうか?我々が言えるのは、全くわからん、ということだけだ。

確かに、ファイル共有は音楽におけるデジタル革命の副産物であるが、音楽産業の収益に対する影響は極めて誇張されてきた。どんな年次報告書であれ、音楽産業は低迷の原因がデジタルパイラシーにあると主張してきた。たとえ、デジタルセールスが好調であり、それがパイラシーと直接競合するものであるとしても。

フィジカルからデジタルへのフォーマットシフト、それに対応する購買習慣の変化の方が、パイラシー以上に、音楽産業の収益の現象を説明しうると我々は考えている。その根拠として、米国、ドイツのレーベル収益におけるデジタル/フィジカルの断裂を見てみることにしよう。

米国、ドイツともパイラシーが蔓延しているが、IFPIの公表したデータによると、両国の音楽消費習慣は全く異なる。ドイツでは、フィジカルメディアのCDが高い人気を誇っており、デジタルセールスは購入された全音楽『ユニット』の25%未満である。一方米国では、デジタルセールスは全セールスの70%を占める。

デジタルミュージックへのシフトが、収益に対してネガティブな影響を与えるという理論が正しいのであれば、理論上はドイツのレーベルはそうした影響をほとんど受けていないことになる。実際、2004年から2008年にかけて、米国レコード会社の純収入は30%減少し、一方のドイツでは5%未満の減少に留まっている。

このデータだけでは説得力が足りないと思われるかもしれないので、もう1つの、ほとんど触れられていないセールスデータを挙げることにしよう。

もしデジタルパイラシーが問題の根源であるのだとしたら、その影響の大部分はデジタルセールスにもたらされると考えるのが道理である。しかし、そのデジタルセールスは絶好調なのだ。多くの若者がもはやCDプレイヤーなど所有していないにもかかわらず、未だに音楽産業はフィジカル(CD)セールス減少の主因はデジタルパイラシーだとしている。デジタルパイラシーが食いつぶすのはデジタルセールスであると考えられるので、この理屈はおかしい。つまり、米国音楽産業がドイツよりもパイラシーの被害を受けているという理屈は成り立たない。

さて、音楽産業はこれに対して何か言い分はあるのだろうか?TorrentFreakはRIAAにこれらの知見についてのコメントを求めたところ、以下の声明を送ってくれた。

「私たちはこれまで常に、過去10年間の産業の減少傾向は複合的な原因によるものだと言い続けてきました。たとえば、エンターテイメント全体での競争や音楽の消費、アクセスの多様化などがあり得ます。しかし、私たちはオンラインで音楽を盗むことができるようになったことが、一番の原因だと考えてもいます。それだけではありません、しかし、第一の原因なのです。」

さて、RIAAの解釈は我々の解釈とは全く異なるようだ。音楽におけるデジタル革命は、音楽ファンの消費習慣を変えることにより産業全体を一変させた。パイラシーもその一因であり得るが、我々がここで見てきたデータからは、たとえ影響があるにしても、ごくわずかなものだと言えるだろう。

1つめのファクトは、音楽『ユニット』の販売数は増えているものの、シングル優位であり、アルバムがあまり売れていないがための問題、いわゆる「チェリーピック」問題。もともとシングルCDなんてものがほとんど無いに等しかった米国にその影響が顕著に見られているのかもしれない。ドイツとの比較もなかなかおもしろくはあるが、これに関してはドイツのデータをもう少し詳細に眺めてみないと判断しにくいなぁ。

音楽配信とチェリーピックのお話は、1年半ほど前に書いているので、詳しくはそちらをどうぞ。

レコード産業にとって、デジタル音楽配信は未来か - P2Pとかその辺のお話@はてな 

もう1つのファクトとして挙げられているデジタルパイラシーはデジタルセールスに悪影響を及ぼしていないじゃないか理論については、デジタルパイラシーが無ければデジタルセールスはもっと伸びていた、とも言えるわけで、それほど強い論拠とは言い難い。とはいえ、少なくともオンライン・パイレーツが少数派であることを考えれば、補助的な論拠とはなり得るかなとは思うけど。

まぁ、全体的に納得できる、というほどではないにしても、音楽産業が直面している問題はデジタル・パイラシー以上の問題だという点には同意。1曲99セントだの200円だのだからダメなんだ、とかいう単純な問題でもない。1曲3ドルとか500円にしても解決しないし、シングルとしてリリースするもの以外はバラ売りしない、アルバムで売るようにしてもたぶん解決しない。メジャーレーベルにしても、インディーレーベルにしても、以前のように出版、流通の唯一無二のハブであるわけではないのだから。

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