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ACTA: 条文公開後も引き続き警戒しなければならない理由

以下の文章は、Michael Geist Blogの「ACTA: Why You Should Still Care」という記事を翻訳したものである。

原典:Michael Geist Blog
原題:ACTA: Why You Should Still Care
著者:Michael Geist
日付:May 03, 2010
ライセンス:CC BY

このエントリは、本日GigaOmにゲストコラムとして寄稿されたものである。

「模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement, ACTA)」と呼ばれる国際条約の第8回会合がニュージーランドで開かれ、その条約案について議論が交わされた。ACTAは長らく秘密のベールに閉ざされてきたが、市民の批判に直面したことで、ようやくその条文案が公開されることとなった。ACTAは(訳註: その名に反して)貿易協定でもなければ、模倣品に主たる焦点があるわけでもない。しかし、インターネット・サービス・プロバイダやインターネット企業の責任、DMCAスタイルのノーティス・アンド・テイクダウン要請、デジタル・ロック(訳註: DRM/アクセスコントロール)の法的保護、法定損害賠償額の設定義務(これにより非営利の著作権侵害でも数百万ドルもの損害賠償が科されうる)など、著作権が特に重視されている。

米国、EU、カナダ、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、モロッコ、シンガポールらACTA参加国が2007年10月にその交渉プランを発表してからというもの、ACTAはずっと、透明性が完全に欠如しているという批判をかたくなに無視してきた。当初の会合は開催場所すら公表されることもなく、参加各国はその内容について一様にほとんど同一の、中身のないプレスリリースを公表してきた。もちろん、これは市民の不安を煽り立てる以外の何物でもなかった。現在、ACTAの条文案が公表された現在、この条約について懸念すべき点はあるのか疑問に思う人もいるだろう。営利を目的とした模倣品を対象とする措置に対しては広く支持されているのだから、ACTAに対しても積極的に支持すべきではないかと思われる人もいるかもしれない。

しかし、そうではない。少なくとも現在のACTAでは。

未だ続く秘密主義

透明性の側面からは、未だに一般的な秘密主義的ルールの例外という程度でしかない。ACTA参加国は、次回の交渉が6月にスイスにて開催されることを公表しているが、具体的な場所や日時について公表することを拒否している。さらに、公式にリリースされた条文案では、各国のポジションについてのリファレンスが全て削除されている(以前にリークされたACTA条文案では、それらの情報が記載されていた)。米国政府は、ACTAは現在の米国法に完全に矛盾のないものだと主張しているが、現在のところ、我々はその言葉を額面通り捉えなければならない。

異なる地域、異なるルール

さらに懸念すべき点は、条文そのものである。ACTAにて明文化された多数のルールと国内法との異同が参加国ごとに異なるため、それぞれの条項への懸念は国や地域ごとに異なる。米国にとって、ACTAは差止め命令を得るためのルールが変更されることを意味しており、現在存在する調整のためのセーフガードの一部が削除されるだろう。欧州では、ACTAがプライバシーに与える影響について、データ保護機関が懸念を表明しており、また、法定損害賠償額の設定義務化により(米国での数百万ドルに及ぶファイル共有訴訟はこれに由来している)、国内法が大幅に変化することになる。

実質的に、全ての参加国が国内法、規則を改正しなければならなくなる。日本では、著作権侵害が疑われる加入者へのISPの対処に関して法改正が必要になり、オーストラリアでは映画盗撮規制法が、ニュージーランドでは技術的保護手段の回避規制法が必要になる。また、カナダでは米国と同様ノーティス・アンド・テイクダウン・システムの導入を強制されることになる。もちろん、ACTA交渉には参加していない中国、ブラジル、インドなどの国に対しても、ACTAスタンダードに従うよう圧力がかけられるだろう.彼らがそれに応じれば、さらにドラスティックな変化が生じることになる。

密室にて

ACTAは世界規模で知財法を根本から再構築するのみならず、それらの法律の作られ方まで再構成しようとしている。一般的にこの手の問題を扱う略語だらけの国際組織にWTO、WIPO、WHO、UNCITRAL、UNIDROIT、UNCRAD、OECDなどがあるが、これらはACTAより遙かにオープンで、透明性があり、包括的である。

さらに、ACTAの調印は、憲法問題にまで発展する。米国では、ACTAが議会の承認を回避するための露骨な行政協定であると批判されている。また、海を越えた欧州でも、欧州議会がACTA交渉プロセスへの関与を求めたが、欧州代表として交渉に参加している欧州委員会がその要求をはねつけている。

市民からの圧力により、ACTAはわずかながら良い方向に傾いた。しかし、条文案の公表によってわかったのは、これまでの概要によって引き起こされた懸念が確認されたということだけである。透明性や交渉プロセスへの懸念は引き続きある。これまで以上に、市民のACTAへの注目、関与が必要とされている。

後半はポリシーロンダリングの問題で、我々の国内法を定めるに当たって、我々国民(の代表である議会)の承認を受けることなく、行政の側が勝手に法律の枠組みを作ってしまうという問題。ACTAに調印してしまえば、その枠内で法律を作らざるを得ない。現在の日本の議会制度自体が、我々の声を反映してないという現実もあるが、この問題は国民の代表者が決めてるんですよ、という建前すら反故にするものでもある。

また、現在も秘密主義が貫かれている、というか、いたちのさいごっ屁のような嫌がらせをしてくれているのが、「各国のポジションについてのリファレンスが全て削除されている」という点。ACTA条文案については、未だ確定しているものではなく、参加各国がそれぞれに条文案について「盛り込みたい意見」を主張しているのだが、それについての情報が公式リリースでは削除されている、と。要は、どの国がどの箇所についてどのような方針を持っているかについての情報が見えてこない。

さらに、これは英語圏ではない日本ならではなのだが、公式の英文リリースはあったものの、日本では担当官庁である経済産業省、外務省ともに日本語訳を公表するつもりはないのだそうだ。業界向けに全文訳と抄訳は出されているらしいのだが、国民に向けては見せたくないものらしい。そのため、現在、MIAUがACTA条文案の翻訳プロジェクトを立ち上げ、その公開を進めている。本来なら、その問題点などを指摘し、より多くの人たちから注目を集めることにリソースが必要なのだが…。

「ACTAという新たな国際スタンダードを…」云々などとという謳い文句をしばしば耳にするものの、その国際スタンダードを広く国民に知らしめるための努力すらしないというのだから、その目的も推して知るべしである。

スリーストライクの義務化についてはACTAから除外され、最悪(実質的な)推奨という形なり、今後は国内法改正議論に主戦場を移すことになるのだろうが、米国DMCAの輸出を含むISP責任の在り方など、上記の記事であげられているように、ACTAは依然としてさまざまな問題を抱えている。今後も、ACTAに対しては注視する必要がある。

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青少年条例案・GFWほか各人権侵害政策の現状
人権侵害政策として懸念が高まっている、(1)東京都の青少年健全育成条例改正案、(2)模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)案、(3)グレートファイアウォール、(4)第3次男女共同参画基本計画案の4つの現状をまとめました。
2010.05.09 13:26 | 匿名希望の時事ブログ
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