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転載された記事の権利を買ってブロガーを訴える、著作権ゴロの新たなビジネスモデル

以下の文章は、Electronic Frontier Foundation の「Righthaven's Brand of Copyright Trolling」という記事を翻訳したものである。

原典:Electronic Frontier Foundation
原題:Righthaven's Brand of Copyright Trolling
著者:Richard Esguerra
日付:September 2, 2010
ライセンス:CC BY

著作権トロールは今に始まったことではないが、最近、Righthavemという弁護士グループが著作権訴訟をビジネスモデルに変えようとしている。こうした著作権トロール弁護士に共通しているのは、インターネットユーザを脅し金を搾り取るために、著作権の厳格な損害賠償制度を利用しようとしているところにある。ここ数年のファイル共有訴訟や、ワシントンDCの弁護士事務所が起こした最近のBitTorrent裁判などをご存じの方にとっては、Righthavenサーガは実になじみ深い、しかし悲劇的な物語である。しかし、これには複雑かつ特異な事情も絡み合っている。

まずは、通常のパターンから説明しよう。Righthavenは著作権侵害を主張して、ネバダ連邦地裁にて100以上の訴訟を起こした。彼らは、(a)新聞記事の一部をネットに投稿した個人、非営利団体、その他の人々をインターネット上で探し出し、(b)その特定の記事の著作権を買い、(c)投稿者を著作権侵害で訴えている。RIAAやUSCGの裁判同様に、法定損害賠償という制度上の穴をついた多額の賠償金やRighthavenが負担した裁判費用の支払いを当て込んだやり口である。従って、たとえ、フェアユースやその他の抗弁が可能であったとしても、多くの被害者たちは数千ドルの和解案を受け入れてしまう。

しかしRighthavenは、他の著作権トロールとはいくつか点で大きな違いがある。

Righthavenは、批評や議論のために文章・ニュース記事を使用したブロガーを探し出している。訴訟のターゲットにされた多くの人が、時事に関する議論を充実させるために新聞記事を使用していた。ニュース記事の全体、または一部を転載することはデジタル時代の批評と議論の要である。通常、転載の目的は、著作権の保護の対象にはなっていない記事中の「事実」の共有にこそあり、たとえば著者の言い回しのような保護の対象となる「表現」を共有するものではない。ニュースをターゲットにしたRighthavenの訴訟は、コミュニティにおける自由かつオープンな議論に萎縮効果をもたらしうる。

Righthavenは、インターネット上の討論の流儀に戦いを挑んでいる。他の著作権トロールは、ファイル共有ソフトや音楽・映画などのエンコードされたデジタルメディアを巡って争いを起こしている。しかし、Righthavenは基本である「コピー&ペースト」機能を用いるすべての人をターゲットにしている。ネット上での議論は、批評や反論の前に、他者の原文を見せることで成り立ってきた。正確な引用は、レッテル張りを最小限のものし、議論を円滑にする。インターネット上の議論が持つ長所である。

Righthavenは、被告のドメイン名を凍結、差し押さえるよう裁判所に求めている。たとえばHuffingtonpost.comやRedstate.comというドメインにおいて、ある1つの著作権侵害が認められた場合、ドメイン全体のコンテンツが失われることになる。著作権侵害のあったコンテンツのみならず、当該ウェブサイトにおける既存の、そして未来のコンテンツ全てのコントロールを事実上求めていることになるのだが、これは1つの著作権侵害への対処としては行き過ぎている。著作権法やいかなる前例においても認められるものではない。このことは、行き過ぎた主張で被告を脅し、早期の和解を引きだそうしていることの証左でもある。

Righthavenはいきなり訴訟を起こしている。Righthavenは、ターゲットとなったブロガーやウェブサイト運営者に、削除要請やDMCAテイクダウン通知を送付してはいない。Righthavenが権利を持つニュース記事の部分について削除や修正を求めるのではなく、いきなり警告なしに、連邦地裁に訴訟を起こす。つまり、まず訴え、然る後に問い正す(sue first and ask questions later)のである。これは、特定の著作権侵害を正すことを目的とした戦略ではなく、訴訟費用を釣り上げ、被告に即座に金を支払うよう脅すための平手打ち戦略といえる。

Righthavenは、ネットでの新聞記事の転載に対する「抑止効果」を意図した活動だと主張しているが、Righthavenの訴訟を見るに、ビジネスとしてやっているとしか考えられない。上記のような行き過ぎた法的戦術に加え、Righthavenは訴訟に利用できると踏んだ著作権のみを購入しているようである。一方で、ジャーナリズムの慣行には何ら関与することもない。

Righthavenはさらに、他の新聞社との契約を求めているようである。しかし、記事を利用したブロガーを訴えることでジャーナリズムが救われると考える新聞社がいるとすれば、それは大きな間違いである。新聞社はこれまで、真のジャーナリズムをサポートするイノベーティブなビジネスモデルについて、有意義な議論をしてきたではないか。Righthavenがさらに多くのクライアントを獲得しようものなら、悲しいことではあるが、未来に向けたこうした対話を阻害しかねない。

しかし、新聞社がどのような立場でジャーナリズムの未来を議論するのであれ、我々は「観衆を訴える」戦術がまったく考慮に値しないことを強く信ずる。新聞社は2004年当時の音楽産業と同じ態度を取る誘惑に耐えねばならない。かつて音楽産業は、無意味な訴訟により、新たなテクノロジーや新たな市場の開拓のチャンスを逃してしまったのだ。

EFFは、言論の自由やフェアユースを害し、法律システムを濫用する戦略を採るRighthavenやその他の著作権トロールを注視していく。今後も、我々を守る正当な根拠を模索し、関連するニュースを伝え、問題が進展する都度分析を加えていくつもりである。

スラッシュドット・ジャパンでもこの話題が取り上げられていたので、翻訳してみた。 Righthavenについてはあまり追い切れていなくて、当初の報道では全文転載したユーザのみが訴えられているとか報じられていたような。部分的な転載について訴えられていることも後になって判明したのかな。

私個人としてはEFFの主張に強く賛同するが、かといって全文転載のケースに限ってはやはり筋が悪いというか、大きなリスクを抱え続けるだろうとも思う。上記記事では、転載の目的は、著作権で保護される「表現」を共有することではなく、記事に含まれる「事実」の共有にこそある、といわれているが、ならばこそ、「表現」を排除し、つまりより安全なかたちで「事実」を抽出したものを共有することが必要とされているのではないか。

P2Pファイル共有に関連した国内の検挙事例をまとめた「もうだめぽ日記」というブログを書いているが、これも転載者が著作権侵害のリスクを減らすための試みでもある。複数の事件記事から事実のみを抽出し、自らの表現、というかテンプレを元に新たな記事として公開し、全文転載を含む自由な使用を許諾する。この手の話題に興味を持つ人はそれほどいないだろうが、それでも議論したいと思ったときに自由に使えるリソースとして利用できる。転載してくれれば、その部分について一から書き上げる手間を省けるよね。

殊に日本では、ウェブ上の報道記事はいつまでもあるわけではなく、一定期間後に削除されてしまうし、残っていたとしても自由に使えるわけではない。だからこそ、自由に使用できるソースとして残すことが重要なんだと思う。私が書いているのはP2Pファイル共有に関わる事件のみではあるのだけれど、個々人が関心を持つ領域について残していくことで、膨大なアーカイブを作り上げることができる。Wikinewsなんかはその可能性がありそうなんだけど…。

もちろん、二次ソースが一次ソースに勝ってしまうのは持続可能性に問題を抱えることになるのだが(勝てるとも思ってはいないが)、その辺りは仁義として、新規さによる話題性が失われたころにアップするようにはしている。アーカイブにも価値を置いているのもあるし、早く知ったからといって何が変わるわけでもないので、速報性で競う必要もないし。競合しなければうまいことやっていけるんじゃないのかしらと、楽観的に考えている。もちろん、報道記事の表現を改変しているわけではなく、報道された事実に立脚して記事を書いているだけなので、法を犯しているわけでもなく、単に仁義の切り方の問題だったりもするが。

元記事のブロガーを狙った著作権トロールの件とはだいぶ離れたコメントになってしまったが、長期的に考えると関係してくると考えている。何としても避けなければならないとは思っているが、著作権フィルタリング等によるウェブアクセス制限なども将来的には可能性はゼロとは言い難い。それが実現した場合、転載が含まれているがゆえに有益な議論すら我々の目には届かなくなる、つまり失われてしまう可能性がある。それを避けるためにも、そしてそれ以前に著作権フィルタリングなどの実装を防ぐためにも、クリーンな転載を推奨したい。

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