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豪州:著作権団体のインターネット・パイラシー調査がもの凄く胡散臭い件

以下の文章は、TorrentFreakの「Secrecy and Darkness Surround Mysterious $900m Piracy Report」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Secrecy and Darkness Surround Mysterious $900m Piracy Report
著者:Ernesto
日付:March, 2011
ライセンス:CC BY

エンターテイメント産業が委託したアンチパイラシー調査というのは大概疑わしいものだが、最近の調査にまつわるミステリーはそれどこではない。この調査に関する記事は多数報じられているが、実際にジャーナリストたちが報告書を読んだというわけではないようだ。しかも、この詳細な報告書を作った調査会社は、設立からわずか4ヶ月足らずで、その実態については謎に包まれている。

豪州エンターテイメント産業の上部団体 Australian Content Industry Group (ACIG)は、より強力なアンチパイラシー法制の必要性を政府に訴えるべく、インターネット上の著作権侵害の経済的な影響に関する調査を委託した。それ自体はよくあることではあるのだが、この調査を取り巻く不透明性や背景には驚くべきものがある。

2月末、問題の調査報告書は、将来的な著作権法の方向性を議論する協議会の中で、マクレランド司法長官により初めて言及された。それまでこの報告書の存在すら知られてはおらず、ジャーナリストたちにとっても初耳であった。

しかし、初めて公になったのは報告書だけではない。Australian Content Industry Groupという著作権団体もその時点では全く知られてはいなかった(現在でも同団体の公式ウェブサイトは存在しない)。この団体は、Music Industry Piracy Investigations (MIPI)など複数のエンターテイメント産業団体から構成されているのだが、その存在はこれまでほとんど公になっていなかった。

さて、これがこの報告書にまつわる背景である。では、時計の針を2週間進めてみよう。

3月6日、豪紙The Ageはインターネットパイラシーについてのシリーズ記事を掲載した。このシリーズ記事のコアとなったものこそ、先述の報告書だった。このシリーズではさまざまな記事が書かれたが、特筆すべきはフリーのジャーナリスト ニール・マクマホンの書いた"Nation of unrepentant pirates costs $900m(懲りない海賊ユーザ、国内で9億ドルの損害)"という記事だ。この記事は、他のニュースメディアにも広く取り上げられた。

先週、多数のヘッドラインを生み出したこの報告書に注目した我々は、この調査を行った会社『Sphere Analysis』について調べてみることにした。しかしそれは、言うは易し行うは難し、であった。

Australian Content Industry Groupと同様、Sphere Analysisもウェブ上にその存在を確認することはできなかった。公式サイトはもとより、同社の従業員とおぼしき人物も発見できない、さらに誰かが同社について言及している痕跡も見当たらない。果たして、これは何を意味しているのだろうか。これほど重要なレポートであれば、実績のある調査会社に委託するのが道理であるように思われるのだが。

控えめに言ってもこれは疑わしい。我々がまず思い浮かんだ疑問は、Sphere Analysisのバックに誰がついているのか、ということ。

オーストラリア海賊党の協力を受けて情報を収集した結果、Sphere Analysisは『Sphere Property Corporation』という会社名で登記されていることが判明した。この会社は(やはり公式サイト無かったが)、どうやら不動産ビジネスを営んでいるようだ。少なくともインターネット・パイラシーが豪州経済に与える影響を分析するような業種ではない。

更に興味深いことに、Sphere Analysisは登記されてから4ヶ月足らずであった。つまり、登記の直後に、大型の契約をゲットしたことになる。では、どのような人物がSphere Analysisに関わっているのだろうか。

同社について更に知るため、Sphere Property Corporationに関係する複数の電話番号に電話をかけてみた。が、結果は芳しくはなかった。いずれの番号もいわゆる『ヴァーチャル・オフィス』に繋がり、同社について心当たりはない、または企業に関する情報は教えられない、との回答を得た。

更に調査を進め、ようやくSphere Property Corporationの従業員とおぼしきフィル・ノットという人物に行き当たった。Linkedinには不動産コンサルタントとある。ノット氏以外の従業員については確認できなかった。ノット氏の2つのLinkedinプロフィールには、それぞれただ1つのコネクションがある。

Sphere Property Corporationは不動産事業以外に、投資会社のSphere Capital Advisers、リクルート会社Sphere Associatesと繋がってもいるようだ。

この2つの会社とも公式ウェブサイトを持ってはいない。Sphere Analysisに繋がる手がかりはここで潰えた。

この報告書に関する我々の関心はますます強まった。Sphere Anaysisが何を根拠に映画、音楽、ゲームの違法ダウンロードが年間9億ドルの損失を生み出し、8,000人の職を失わせているとしたのかについて、調べてみることにした。残念なことにThe Ageの記事で強調された2,3の数字を除いて、この報告書そのものはどこにも公開されていない。

しかし、暗闇に投げ出されていたのは我々だけではなかった。The Ageの記事を書いたジャーナリスト自身も、TorrentFreakの取材に報告書全体が提供された訳ではないことを確認している。彼は『何者か』によって提供された情報を元に記事を書いたとしている。彼に情報を提供した人物については、当人の許可無く明かしたくはないという。

次に我々はこの報告書のコピーを手に入れるため、Australian Content Industry Groupに参加する複数の団体にメールを送付した。しかし、返信は得られなかった。また、オーストラリア海賊党は情報公開法に基づく情報公開を申請しているが、現在は処理中であるという。

現時点で我々がつかんだのはここまで。この1週間、電子メールを送り、電話をかけ、ありとあらゆる情報を掘り下げてみたが、この報告書を入手することはできなかった。それどころか、この報告書を巡る疑念は、Sphere Analysisの不透明さも相まってますます強まった。

司法長官は、(このデータを)将来的な法制に影響を与えると明確に言及しているのだから、なおさら懸念される。我々に情報を提供してくれた海賊党も同様に考えているようだ。

「このような報告書や調査が政府方針の方向性を決めるのであれば、情報の透明性が担保され、その手法についても確実かつ十分に現実を反映したものでなければなりません。これは民主主義の根幹に関わることです。」と海賊党のロドニー・セルコフスキーは語った。

「The Ageの記事では、司法長官がこの調査の数値を元に政府の方針を判断すると推測されています。この調査は、公共施策の根拠としてはまったくあてになりません。現行の著作権法制が現実に対応しきれなくなり、抜本的な構造改革を必要とするというコンセンサスがますます得られてきているのですから。」と彼は付け加えた。また、Sphere Analysisという新興かつよくわからない会社に、これほど重要な調査を委託したという問題も指摘する。

「この調査は、事実上全く未知の団体が調査を行い、さらにたった1人のジャーナリストだけがその内容の一部を知ることができたというものです。著作権ロビーの一環ということを抜きにしても、きわめて疑わしいと言えます。事実として報告されるのであれば、いかなる調査であれ、市民に公表されなければなりません。そうでなければ、その事実とされたことが本当に事実であるかどうかを検証することすらできないのです。」と海賊党サイモン・フルーは言う。

さて、Sphere Analysisは、施策に影響すると言われるこの調査の全文を我々ないしニュースメディアに即座に公開してくれるのだろうか?透明性の問題は改善するのか?それとも、無名の団体から出された全く精査を受けない『統計』を、事実であるかのうように反復し、内容にかかわらずとにかく信用できるかのように喧伝され、その後、法律に組み込まれるような事態を、盲目的に受け入れなければならないのだろうか。問題の改善以外であってはならない。

UPDATE:こうした疑念を持っているのは我々だけではない。研究者のガイ・クランズヴィックはこのようにコメントしている。「私は研究者として、この上部組織に加盟する団体に報告書の開示を要請した。だが、返信は得られなかった。通常、こうした団体は多額のお金をかけて実施した調査については、名のある研究者やニュースメディアには喜んで提供するものなのだが、実に奇妙なことだ。」

「まったく指摘はされていないが、この報告書は報道の信頼性を揺るがす問題であると思う。The Ageのような新聞が、このような裏付けのない調査に基づいて記事を書いているのだから。」

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