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ポスト・ナップスター時代:メジャーレーベルは苦しんでいるが、新しい音楽は生まれ続けている

以下の文章は、TorrentFreakの「Report: Despite Piracy, Music Is More Alive Than Ever Before」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Report: Despite Piracy, Music Is More Alive Than Ever Before
著者:Ernesto
日付:March 25, 2011
ライセンス:CC BY

米国の経済学者ジョエル・ウォルドフォーゲルが公表した論文によると、 音楽パイラシーは、RIAAやIFPI、その他業界団体の主張とは異なり、新たな音楽の創出を害してはいないという。むしろ、音楽はこの数年で民主化し、そのパワーバランスは、メジャーレーベルによる独占状態から、小規模なレーベルやインディペンデント レーベルへとシフトしている。音楽それ自体は、以前にも増して活気づいているのかもしれない。

近年、多くの研究者がインターネットパイラシーとメジャーレーベルの収益との関連について研究を行っているが、その結果はさまざまである。ある研究者は、パイラシーはセールスに影響しないと結論づける一方で、別の研究者は、ほどほどにネガティブな関係にあるという。とはいえ、全体的には、音楽産業が主張する損失は誇張しすぎ、というコンセンサスは得られている。

また、音楽産業はパイラシーが新たな音楽の創造を妨げると主張してもいるが、ミネソタ大学応用経済学教授ジョエル・ウォルドフォーゲルによって、その偽りを暴かれた。彼は最近公表された論文の中で、パイラシーがクリエイティビティを損ねる、または、レコ―デッド・ミュージックの供給を遅らせるという証拠は見当たらないことを示した。

「著作権によって形成される合法的独占状態は、新たな作品の創出を促進するとして正当化されているが、この関連を指示する証拠はない。」 と、ウォルトフォーゲルは論文「ミスアメリカンパイにさようなら?」 の冒頭で述べている。(訳註:正式なタイトルは「Bye, Bye, Miss American Pie? The Supply of New Recorded Music since Napster」)

「レコ―デッド・ミュージックの供給は、Napster以降も大きく減少することはなかった。少なくとも損益分岐点が低いインディペンデント・ミュージック・レーベルが、新たな作品の市場投入についてより大きな役割を担っていることを示唆する証拠はある。」と彼は結論づけている。

一部の研究者たちは、パイラシーと音楽産業の収益との関連について注目してきたが、この10年で音楽産業が別の大きなシフトを迎えていることは、ほとんど注目されてこなかった。この論文であげられている詳細なデータについては割愛するが、ウォルドフォーゲルが指摘したいくつかのポイントについて強調しておきたい。

音楽の民主化

ウォルドフォーゲルはこの論文の中で、これまで我々が指摘してきたポイントを繰り返し主張している。つまり、ファイル共有の増加と共に、テクノロジーも急速に発展したということ。新しい、そして安価なレコーディング・テクノロジー、音楽配信サービス、ソーシャルネットワークが登場し、以前はメジャーレーベルがなければできなかった種々のタスクが、インディペンデントレーベル、さらにはアーティスト個人でさえ、容易にできるようになった。

メジャーレーベルは、次第に時代遅れになりつつある。少なくとも、メジャーレーベルの役割が、より低い利益率で経営されるインディペンデントレーベルによって引き継がれ、その独占は崩壊しつつある。メジャーレーベルの場合、50万枚を売らなければ損益分岐点をこえないこともしばしばあるが、インディペンデントレーベルならば25,000枚、またはそれ以下で損益分岐点をこえることができると、ウォルドフォーゲルは例示している。

新たなテクノロジー、特にインターネットが、より広い規模で、音楽産業のルールを一変させていると解釈することもできる。

製作、プロモーション、ディストリビューション(配布)

ウォルドフォーゲルは「音楽をうまく市場に投入するには、3つの構成要素―製作、プロモーション、ディストリビューション―をうまくこなす必要がある。新たなテクノロジーは、それぞれの要素を大きく変えた。」として、3つの構成要素それぞれが、近年どのように劇的な変化をもたらしたのかについて説明している。

第二次世界大戦以降、音楽の製作コストは10年おきに減少を続け、このプロセスはポスト・ナップスターの時代に加速度を増した。現在、ほぼすべてのガレージバンドが、限られた予算の中で、高音質のアルバムを録音できる。これはほんの数年前にはほぼ不可能なことであった。

同様に、インターネットのおかげで、ありとあらゆるプロモーションが可能となった。唯一かかるコストは、それにかけられる時間である。YouTubeやFacebook、その他にも、Last.fmやPandoraなど音楽に特化したサービスなど、アーティストは多数のプラットフォームを駆使して、プロモーションを行うことができる。以前は(違法ではあったが)、レーベルが音楽のプロモーションのためにラジオ局にお金を支払うこともあった。

ディストリビューションについても変化が訪れている。現在、アーティストは最小のコストで作品をiTunesで売り出すことができる。また、無料で配布したいというアーティストにも、数百の選択肢がある。現在と10年前とを比較してみるといい。10年前、iPodは未だ世に出ておらず、アーティストはCDを物理的に出荷しなければならなかった時代と。

音楽産業は史上空前の変化を経験している。しかし、メジャーレーベルは新たな現実に適応する代わりに、パイラシーを排除する方向に力を注いだ。メジャーレーベルは収益を落としたが、それと同時期に立ち上がった数千の小規模インディペンデントレーベルは、良好な収益を上げている。

ウォルドフォーゲルが結論づけているように、メジャーレーベルの主張とは異なり、新たな音楽の供給はパイラシーのせいで減少することはなかった。むしろ、音楽産業全体はアーティスト個人、小規模なレーベルにパワーバランスがシフトするように変化している。これはメジャーレーベルを損なうことになりはしても、パイラシーのせいというわけではない。そして、音楽それ自体は以前にも増して活発になっている。

論文(のドラフト)にざっと目を通したけど、経済学は門外漢なもので正直なところ、よくわからない。どなたか詳しい方に解説してもらえればありがたいのだが…。

一応、新たな音楽供給の指標としては、評論家(たとえばローリングストーン誌やピッチフォーク)による「遡及的な」評価(「2000年代 ベスト500アルバム/トラック」とか、期限を区切らないベストアルバム/トラックとか)だとか。任意の年にリリースされたすべてのアルバム/シングルをカウントするとか、一定の売上を記録したもののみをカウントするという研究もあるけど、問題もあるよ、とか、指標の妥当性は検証しているよ、とか書いてあるけど、きちんと理解はできてないなぁ。うーん、と首をかしげられる方は元論文を読んでもらえれば。

ちなみに、タイトルは、「音楽が死んだ日」を歌ったドン・マクリーンの『アメリカンパイ』からインスパイアされたものだとか。

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