フィンランド音楽産業、ファイル共有サイトのブロッキングを求めISPを提訴

以下の文章は、TorrentFreakの「Music Industry Sues ISP to Censor The Pirate Bay」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Music Industry Sues ISP to Censor The Pirate Bay
著者:Ernesto
日付:May 27, 2011
ライセンス:CC BY

フィンランド ヘルシンキ地方裁判所にて、The Pirate Bayにまつわる新たな訴訟が申し立てられた。音楽産業団体は、国内大手の複数ISPに対し、加入者によるBitTorrentサイトへのアクセスをブロックするよう求めている。現在、The Pirate Bayは、フィンランドで最も訪問されるウェブサイトの1つとなっている。

インターネット検閲への憤りを強く感じているウェブサイトがあるとすれば、The Pirate Bayが含まれるのは間違いない。この人気のBitTorrentサイトは、現在、アイルランド、イタリア、トルコ、デンマークにて検閲されており、昨年は米国政府によりほとんどドメインを奪われた。

フィンランドの音楽産業団体次第ではあるが、フィンランドもその仲間入りを果たすことになるかもしれない。昨日、Copyright Information and Anti-Piracy Centre (CIAPC)と同国IFPI支部は、ヘルシンキ地方裁判所に訴訟を起こしたことを明らかにした。

この申し立ては同国最大手のISP Elisaに対するもので、加入者のThe Pirate Bayへのアクセスを停止するよう求められている。フィンランドではThe Pirate Bayの人気が非常に高く、トラフィックレポートによると、国内では31番目に訪問されているウェブサイトであるという。

音楽産業によれば、The Pirate Bayを検閲する以外に、この大規模な著作権侵害を止める術はないのだという。

「スウェーデン控訴審での有罪判決があった2010年11月、私たちはThe Pirate Bayの管理人が同サービスを停止することを待ち望んでいました。しかしそうはならず、それどころか、フィンランド国内の同サイト利用者が増える結果となってしまいました」と音楽産業団体のラウリ・ライヒャルトはコメントした

さらにライヒャルトは、「The Pirate Bayのような違法なサービスが運営を続ける限り、フィンランドの合法オンライン・マーケットが成熟することはないでしょう。」と付け加えた。

Finnish Musicians' Unionの代表アハティ・バンティネンは、『ならず者』ウェブサイトを効果的に取り締まるための法改正が必要だと強調する。

「なんとも非喜劇的ではありますが、The Pirate Bayの設立者たちの違法な活動に対し、(訳註:スウェーデンでは)懲役刑が下されたにもかかわらず、サイトは未だフィンランドからアクセスできてしまいます。フィンランドの法律で対処できないのであれば、信頼は揺らぎかねません。それとも、インターネットは無法地帯だというのでしょうか?」とバンティネンは言う。

これまでのところ、欧州各地で、The Pirate Bayへのブロッキングを求めた訴訟が起こされ、実際にブロッキング命令が下されてもいる。しかし、すべてがそうなったというわけではない。昨年、オランダ法廷は、同国最大手のISP2社に対するTPBブロッキング訴訟において、 加入者のThe Pirate Bayへのアクセスをブロックを認めない判決を下した。、法廷はその際、同ISPユーザの大部分がThe Pirate Bayを介して著作権侵害を行っているという明確な証拠はなく、したがってブロッキングは正当化しえないとした。

しかし、流れはエンターテイメント産業寄りに向かいつつある。そして、議会議員たちはより幅広い検閲ツールを導入に向けてウォーミングアップしている。欧州では、ウェブサイト・ブロッキングのために中国式のファイアウォールの導入が話題に上がっていたり、米国では、PROTECT IP法案が成立することにでもなれば、『違法な』ウェブサイトへのブロッキングはますます簡単になる。

これまでThe Pirate Bayチームは嵐の中をくぐり抜けてきたが、今月初め、彼らはこうした提案への懸念を示し、「インターネットの戦いは始まったばかりだ」とユーザに語りかけている。

「俺達の戦いは始まったばかり(これから)だ!」は死亡フラグのような。

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