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海賊予備軍を優しく諭し、改心させたアプリ開発者

以下の文章は、TorrentFreakの「App Developer Fights Pirate With Politeness」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:App Developer Fights Pirate With Politeness
著者:Ernesto
日付:May 19, 2011
ライセンス:CC BY

多くの大手音楽・映画業界団体が、コンテンツをコピーする人々に銃をぶっ放し、しばしば泥棒だ犯罪者だとレッテルを貼る。しかし、そうした人たちは、正規のお客さんでもある。あるアプリ開発者は、音楽・映画業界団体とは別のルートを取り、潜在的な海賊ユーザを礼儀正しく粉砕した。

パイラシーは、コンテンツ・クリエイターに複雑なジレンマを突きつける。自らの作品で生計を立てているのであれば、その作品が無料でコピーされていることを好ましくは思わないだろう。しかし、このご時勢、そうされないことの方が深刻な状況とも言える。つまり、誰も価値を見出していないことを意味するのだから。

また、『海賊ユーザ』が、正規の購入者でもありうると理解すれば、状況はさらに複雑になる。以前にお伝えしたように、音楽海賊ユーザは、正規の音楽購入に多くのお金を費やしている。ある意味、海賊ユーザを非難することは、その人の最大のファンを非難することでもある。

では、そうした様々な側面を持った海賊ユーザに出会ってしまったとしたら、コンテンツ・クリエイターはどのようにアプローチするのだろうか?

アプリ開発者であり、ウェブサイトThe Fucking Word of the Dayのオーナー クリス・ベーカーの例を見るに、対決的、しかし礼儀正しくというのが、良い選択をもたらしうることがわかる。昨日、クリスはxSellizeフォーラムにて、海賊予備軍を発見した。その海賊予備軍は、以下のようなリクエストを投稿していた。

「どなたか、 The F-ing Word of the Dayのクラックをお願いします。」

多くのコンテンツ・クリエイターがこのメッセージを読めば、うんざりするか、怒鳴りつけたくなるのかもしれないが、クリスはより平和的な答えを選んだ。彼は、投稿者「HiDefinition」に返信した。

「こんにちは!私が*** Word of the Dayの、もっと正確に言えば F-ing Word of the Dayアプリのクリエイターです。まずはじめに、お褒めの言葉をありがとう!私はいつも、誰かが私の製品を割ろうとしているタイミングで居合わせてしまうようで。」

クリス・ベイカーは、彼がニューヨークで仕事をしているが、決して裕福ではないと説明を続ける。彼にとってアプリとウェブサイトは、自由になる時間を費やして熱心に続けているプロジェクトで、みんながそこから何かを学び取ることを願っているという。それから、彼は海賊予備軍に事実上の承認を与えた。

「それで、私が何を言いたいかというと、アプリを割ってもいいよ、と。このプログラムには1500ドル掛かりました。私の1ヶ月分の家賃というほどではありません。でも、もし私のサイトがクールだと思ったなら、ステラ・アルトワ(ベルギーのビール)の8分の1くらいだしてもいいと思うなら、私に99セント払ってください。そうしてくれたら、大喜びして、飲みに行っちゃいますよ。」

これは、HiDifinitionが望んでいた返事ではなかったかもしれない。しかし、インパクトはあったようだ。タダで割れアプリを手に入れる目論見は、突然、以前ほど魅力的には思えなくなったようだ。

HiDifinitionは以下のようにリプライした。

「わっ、 開発者の方がコメントくださるとは思いませんでした。あんなリクエストを出してしまって、すみません。クレジットカードもなく、バンキングサービスも利用していなかったので、IPA(iPhone App?)をタダで手に入れようとしてしまいました。でも、あなたの考えを見て、契約しようと思いました。支払いできるようになるには、少し余分にお金がかかてしまうかもしれませんが、私もステラ基金に貢献したいと思います。」

「また、あなたからの返信に心から感謝し、あなたの取り組みをサポートしたいと思います。あなたのアプリがクラックされないことを祈りつつ、あなたへのリスペクトのため、リクエストは取り下げさせてもらいます。クリス、改めてありがとう。ご多幸を。」

クリスの礼儀正しい返答により、彼は少なくとも1人の海賊予備軍を排除した。しかし、これで終わりではなかった。クリスはHiDifinitionからの99セントを心待ちにするのではなく、彼にギフトとしてアプリを送ることを約束し、その代わりにポジティブな評価を依頼した。

そして、クリスはこう締めくくった。

「このスレッドが、あなたにとって、オンラインで起こった「予想外」の1つとして記憶されることを望みます。私は予想外が好きなんです。それに、語彙を覚えるなんてくだらないことでも、人をハッピーにすることが好きなんですよ。」(註:彼のアプリは"sex, drugs, and swearing"な英単語が学べるアプリ)

確かにこのスレッドは忘れ難い。この一件は、銃をぶっ放す戦略が必ずしも最良の戦略ではないことを示しているのかもれしれない。特に、インディペンデント・コンテンツ・クリエイターにとっては。もちろん、必ずしも『海賊ユーザ』を優しく扱うべきだというわけではない。しかし、時にバランスのとれたリアクションを試してもても良いのかもしれない。

TorrentFreakは、クリス(彼はRedditでもたくさんの出会いを共有している)にコンタクトをとった。彼は、誰かが自分のアプリを割ろうとすることは想定していたし、問題だとは思っていないと話した。

「誰かが私のアプリを割ろうとすることはわかっています。誰にも割られないより、割られる方がいいんですよ。もし誰も割ろうとしないのであれば、誰も必要とはしていないということですから。」とクリスは言う。

実際、クリスは海賊版ソフトの使用経験があると認めている。彼は、モラルの問題は開発者が決めることではなく、「海賊ユーザ」が自分自身に問いかけることだと考えている。

「アプリ割れのモラリティは、永遠に答えのでないトピックだと思います。」とクリスはいう。「飢えた子どもが食べるためにパンを盗んだとして、これは悪いことなのでしょうか?飢えたデザイナーがPhotoshop700ドル版を割ったとしして、それは悪いことなのでしょうか?」

「クリエイティブなストーリーテラーは、どんなストーリーでも2つの側面を見せる物語を生み出すものです」。

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| | 2011.06.03 16:07
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