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YouTubeは音楽産業を殺すのか?それとも生かすのか?

以下の文章は、TorrentFreakの「Is YouTube Killing Music Piracy?」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Is YouTube Killing Music Piracy?
著者:Ernesto
日付:June 05, 2011
ライセンス:CC BY

長きにわたり、メジャーレーベル経営陣は、フリー(Free)との競争は不可能だと主張してきた。しかし、YouTubeはその主張の誤りを証明している。彼らの音楽を無料で共有することで、毎月、数億回にわたって視聴されて、メジャーレコードレーベルは、数百万ドルの利益を手にしている。多くの人々にとって、YouTubeは「海賊版」のインセンティブを失わせる。しかし同時に、合法的な音楽セールスの機会も失わせているのかもしれない。

近年、音楽産業は劇的な変化の舞台となっている。パイラシーが全く関わらない場面でさえ。この10年、インターネット革命とMP3革命は、リスナーの音楽消費習慣を再定義した。

以前、音楽リスナーがアルバムよりもシングルを購入するようになってきていることをお伝えした。しかし、それとは別の、大きな変化が訪れている。これは、音楽産業全体に大きな影響を及ぼすのかもしれない。YouTubeなどの『フリーな』音楽ソースの存在によって。

5年、6年ほど遡れば、オンラインで自分の大好きなアーティストの曲を無料で聞きたいと思っても、選択肢はたった1つしかなかった。その唯一の選択肢こそ、パイラシーであった。しかし今日では、多種多様な合法的選択肢がある。そして、大多数の人々に選ばれているメディアが、YouTubeだ。

熱狂的な音楽ファンを喜ばせるのは難しいが、大部分のリスナーは、YouTubeにあるお気に入りの曲を無料で聞くという選択肢に満足している。また、Googleも、音楽ビデオが重要な収入源であると主張することはない。

では、レーベルはどうだろうか?彼らもハッピーなのだろうか?容易に答えられる疑問ではないが、考えてみる価値はあるだろう。

収益面では、YouTubeとVevoは莫大な収入源であると言える。メジャーレーベルは、こうした収益の分配契約についてほとんど明らかにはしてこなかったが、LimeWire裁判の最中、EMI Musicの最高財務責任者ポール・カーンは、YouTubeで音楽ビデオが再生されるたびに、EMIが0.5セント(half a penny)を受け取ると認めている。(PDF

0.5セントなんて大したことないじゃないか、と思われるかもしれない。しかし、それが数十億回に上るとなればどうだろうか。

EMIのトップ・アーティスト デヴィッド・ゲッタを例にとろう。YouTubeにアップロードされた彼のビデオは、この12ヶ月間に308,000,000回再生された。つまり、ただ1人のアーティストだけで、1,540,000ドルの収益があったということだ。

有料配信と比較してみよう。ゲッタとEMIが同じだけ稼ぐためには、シングルを200万回売らなければならない。

音楽産業団体IFPIの最新のレポートによると、メジャーレーベルの音楽ビデオは1ヶ月に17億回の視聴回数があり、その数は急速に増加しているという。Universal Music単独で12ヶ月間のYouTubeの視聴回数は、昨年5月の23億回から今年の5月には70億回と3倍にまでなっている。

これは驚くべき数字だ。フリーな音楽が少なくとも数千万ドルを生み出すのだから。

YouTubeの成功は、音楽パイラシーの代わりとなっている側面もあるかもしれない。大部分の人は、YouTubeにフリーな音楽があるため、海賊行為へのインセンティブを削がれてしまう。実際、BitTorrentでの音楽共有の人気は失速している。これは、YouTubeやその他の選択肢がオルタナティブになっているためである。

もちろん、BitTorrent音楽共有コミュニティが無くなってしまうとまではいかないが、カジュアルなダウンローダーは、YouTubeや他のストリーミングサービスをオルタナティブとして見ているだろう。

では、これはレーベルにとって素晴らしいニュースであるのだろうか?まぁ、慌てない慌てない。

毎月、YouTubeで数十億回視聴され、パイラシーを鈍化させたかもしれない。しかし、音楽産業のロジックに従うならば、実際のレコード・ミュージックの売り上げにも影響を及ぼしていると考えられる。彼らはこれまでずっと、海賊サイトの「フリーな音楽」が数十億ドルの損失を引き起こしていると主張してきた。YouTubeのフリーな音楽も同様の影響を及ぼしうる。

もちろん、大きな問題は、YouTubeから得られる収益が、音楽産業が主張する損失に見合うかどうかである。これも容易には答えられない問題はあるが、今後、レコード産業がどのようにして利益を上げていくかを定義する上で、パイラシーよりも遥かに重要な要因であることは確かだ。

TorrentFreakは、RIAAとBPIに、YouTubeが音楽セールスにどのような影響を及ぼしうると考えているのかを伺ってみた。しかし残念なことに、いずれからもコメントはもらえなかった。

コメントがもらえない以上、我々はこう結論づけるより他ない。これまで多くのレコードレーベル経営陣がしてきた主張とは異なり、フリーと競争することはできる、パイラシーでさえ競争できる、と。インターネットがもたらす結果がポジティブなものであるかどうかは、未だ定かではない。ただ、YouTubeは毎年、レーベルの収益の多くを占めるようになっている。

音楽ビデオ1再生につき0.5セント(half a penny)が、どれほど一般化できるのかはわからないなぁ。PDFのPage 834-836を読むと、被告弁護士に聞かれて、カーン氏がそうだと認めている、というところ。

この点については保留するにしても、リスナーの音楽リスニング環境は大きく変化していて、これまで手の届かなかった潜在的なリスナーに広くリーチできているという側面があるのは確か。YouTubeで万単位で再生数を伸ばせるアーティストは限られているとはいえ、レーベルのこれからにとって、重要な要因となりうる。

少なくともYouTubeで満足できる人であれば、YouTubeがなかったら購入していた人よりも、YouTubeがなければ聞くことはなかった人の方が遥かに多いのだろうね。それに、YouTubeで満足できる人と言っても、ただ1度だけ見て満足するわけではないのだしね。

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