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EFF:YouTube対Viacomで差し戻し判決、だがインターネットとイノベーションは守られた

以下の文章は、Electronic Frontier Foundationの「Viacom v. Google: A Decision at Last, and It's Mostly Good (for the Internet and Innovation)」という記事を翻訳したものである。

原典:Electronic Frontier Foundation
原題:Viacom v. Google: A Decision at Last, and It's Mostly Good (for the Internet and Innovation)
著者:Corynne McSherry
日付:April 05, 2012
ライセンス:CC BY

インターネットは今日、ほっとため息をついたことだろう。長らく続いているViacom v. YouTube裁判に新たな動きがあった。第2巡回控訴裁判所は、大エンターテイメント企業がGoogleを訴えた裁判を下級審に差し戻した。しかしそれと同時に、法廷は訴訟の根幹をなす法理論を骨抜きにした。

2010年、地方裁判所はYouTubeに対するViacomの訴えを棄却した。デジタル・ミレニアム著作権法のセーフハーバー条項によりYouTubeはすべての著作権侵害の責任から免責されると判断したためだ。この判決を受けてViacomは上訴した。Viacomの主張は、それが採用されたらDMCAセーフハーバーが無効になる、というほどの先例のない法理論に基づくものであった。

本日の控訴審判決は基本的には地裁判決を支持したものである。本件に係る特定の著作権侵害、またはそのような特定の侵害を指し示す状況的事実について知っていた(もしくは意図的に知りえないようにしていた)場合を除いて、YouTubeは免責されると判断された。

控訴審はさらに、YouTubeが著作権侵害を「意図的に知りえないようにしていた」ならば窮地に立たされうるとしたが、YouTubeにユーザ活動を監視する義務はないことも強調した。言い換えると、同社は著作権侵害に気づかないようにするための措置を講じることはできないけれども、著作権侵害を積極的に監視する義務があるわけではないということ。ややテクニカルなポイントとしては、ビデオクリップのシンジケーションがセーフハーバーで免責される種類の活動かどうかは明確ではないとしつつ、本件のクリップを実際にシンジケーションしていたかはさらなる証拠が必要だとされた。

最後に法廷は、YouTubeがユーザの著作権侵害行為に「相当な影響」を及ぼしたのであれば、YouTubeは責任を負う可能性はある、とした。法廷は、さらなる実態調査のために、未解決の問題について裁判を地裁に差し戻した。つまり、裁判は今後も続く。今のところ、和解が結ばれない限りは地方裁判所は2,3の問題を解決しなければならない。

結局、どういうことになるのか。YouTubeには敗北(しかし極めて小さく、ほとんど影響を受けない敗北)だが、インターネットユーザとイノベーションにとっては勝利だ。Viacomの勝利を宣言する人もいるかもしれないが、失うものが大きく得るものが少ない勝利でしかない。判決は、明確に(そして正しく)Viacomの大半の主張を棄却した。Viacomの主張の中には、インターネットの表現の自由が依って立つDMCAセーフハーバーを覆す主張も含まれていた。

たとえばViacomは、YouTubeは著作権侵害について一般的な認識をもっており、したがって、それを取り締まる「商業的に合理的なステップ」をとる義務があったため、セーフハーバーでは免責されないと主張した。もしこれが認められれば、侵害取り締まりの負担がコンテンツオーナーからサービスプロバイダに押しつけられてしまう。セーフハーバー自体がそれを防ぐための規定だというのに。今回の判決は、第9巡回裁判所に加え第2巡回裁判所までもがこの理論を却下したことを意味する。大コンテンツ企業にはよいレッスンになっただろう。

同様に、Viacomは、ISPが著作権侵害活動をコントロールする権利と能力を有しているのであれば、判例法における「代位責任(vicarious libility)」スタンダードに基づいてDMCAセーフハーバーでは免責されないというアグレッシブな解釈を持ち込もうとした。その理論が認められれば、特定コンテンツへのアクセスをブロックできる全てのサービスプロバイダがセーフハーバーを失うことになってしまう。もちろん法廷はそれを認めず、ノーティス・アンド・テイクダウン条項は、侵害の通知があった場合にそのようなブロッキングをするよう意図したものであるとした。Viacomの主張が正しいならば、セーフハーバーは全く「セーフ」ではなくなってしまう。

さらに法廷は、YouTubeが著作権侵害の監視に失敗したことをもって「意図的に知りえないようにしていた」とするViacomの主張についても棄却した。法廷は、DMCAが故意に知らないようにすることを禁じてはいるが、サービスプロバイダに監視する義務を課すものではないとした。

最後に、YouTubeがストレージ・ロッカー以上の存在でありつつ、関連ビデオのリスト生成などユーザのビデオへのアクセスを促進するためのさまざまな方法を用いていることから、DMCAで規定されるサービス・プロバイダとしては不適格であるというViacomの主張に対しても、第2巡回裁判所は大幅に割り引いた。この主張は第9巡回裁判所でも否定されていた。法廷は、DMCAの立法の立法に際してそこまで細かい解釈は意図されていない、と結論づけた。

本日の控訴審の決定は、DMCAがイノベーションに必要不可欠であるという判断に、さらなる権威の重みを加える。YouTubeはこの点について明確に肯定されたことを好ましく評価するだろう。そして、インターネットもこのことを盛大にお祝いしているだろう。しかし、安心してはいけない。大コンテンツ企業が議会の友人たちに既に電話をかけていることは疑いない。そして、次のYouTubeを阻止するための権限を与える新たなSOPA/PIPAを要求しているのだろう。

この記事のほかにも、Public Knowledgeエリック・ゴールドマン教授TechDirtのマイク・マズニックの視点が参考になる。

CNET Japanの記事によれば、Googleはこの判決について、「米連邦巡回控訴裁判所は、長期にわたるDMCAの解釈を支持し、Viacomによる同法律の解釈を却下した。YouTubeに対する全面攻撃という形で始まったViacomによる訴訟で残されている議論は、かなり以前にYouTubeから削除されたほんのわずかな割合の動画に関するもののみとなった。今回の判決によって、YouTubeの運営方法には何の影響も生じない。」とコメントしている。

Viacomはセーフハーバーの範囲を削りたいという思惑があったのだろうが、その試みは今のところ失敗しているといえる。

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