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デジタルアーカイブを考える:ポルノ、ファイル共有、ファイルフォーマットの推移

デジタルアーカイブについてのシンポジウムについてのお話。Long Now財団というオンラインアートの保存を進める団体が、面白いことを言っているようだ。ポルノをデジタルの先駆者と考え、さらにはその保存の必要性を訴えたり、P2Pファイル共有はアーカイブのための重要なツールであると考えていたり。 なんとも目から鱗な発言が多いなぁ。

原典:Cnet New.com
原題:Digital archivists look to porn, Flash for tips
著者:Stefanie Olsen
日付:January 18, 2007
URL:http://news.com.com/2100-1025_3-6151389.html

奇妙なことに、大部分の博物館館長らが芸術と考えないような表現を、芸術だと考えている1人の保存主義者がいる。それは、オンラインポルノ。

「私は、20世紀後半からの豊かなポルノが、デジタル配信という形態で、今後も生き残るだろうと保障します。(なぜなら)それが非常によく機能する社会的モデルであるからです」と、Long Now財団のデジタル調査マネージャKurt Bollackerは言う。Long Now財団は複数のデジタル作品保存プロジェクトを進める非営利団体である。 Bollackerは木曜、カリフォルニア大学バークレー校で開催された"New Media and Social Memory"というシンポジウムでスピーチしている。彼は、恒常的に、広範囲にイメージやビデオを交換するWeb上の自己選択的コミュニティの1つの例としてアダルト産業(常にデジタル先駆者である)をあげ、その活動が長期にわたるアーカイブの保存をを助けるとした。同様に、彼はMulti-Arcade Machine Emulator(MAME;CPUとハードウェアエミュレータでビデオゲームを1980年代から保護しているプログラマの集団)のような成功したニッチアーカイブを指摘している。

「デジタルアートを保存することに興味がある人なら誰しもが、進行中の配信されたデータエフォートを評価しなければなりません。」とBollackerはいう。彼は人工知能研究のバックグラウンドを持ち、Internet Archive(web保存プロジェクト)以前に活動を開始している。Bollackerは、デジタルアートと、技術的変化の早い世界でそれを保存するための方法の問題について検討している科学技術者と研究者、博物館管理者の間にいた。

保存への挑戦
伝統的に、全ての芸術-本、音楽、絵など-を保存することは、熟練したプロフェッショナルによって非常にコントロールされてきた。彼らは、しばしば重要で、長期にわたって、そして博物館レベルの芸術であれば非常に高価なものを扱うことになる。しかし、デジタル世界では、そのモデルは一変する-つまり、デジタル音楽配信をコントロールすることが簡単かどうかを、レーベルに聞いてみてほしい。インタネット上では、データの転送は簡単であり、メディアは短命であり、そして保存主義者たちはアマチュアである。

そして、Bollackerの言うように「数百万人の人がデジタルアートを創作することができ、そしてそれらの大半はくだらないものでしょう。しかし、私たちは、どれを保存すべきかについて知らないのです。」

オンライン上の全ての作品を保存しカタログを作成するという挑戦は、全ての芸術のフィールドに共通している。それには、オンライン作品の多くを追跡するための人的資源という限界がある-そしてそれは単により制限されているというだけである。 もう1つの問題は、ファイル形式の旧式化である:デジタルメディアが記録されるフォーマットやソフトウェアが時代と共に代われば、将来の世代はどうやってデジタルメディアにアクセスすることができるのだろうか?

しかし、デジタル領域にはその利点がある。Hitachiが先日発表した世界初のテラバイトハードディスクなどのように、ストレージのコストは非常に低下しており、たとえば、米国議会図書館のテキストの全てを1台のサーバに保存するという可能性も開けている。低コストのバンド幅も、人々が比較的容易にメディアを転送することを可能にする。そして、インターネットは、人々をひきつける創造力や動機付けを失っていない。

しかし、保存主義者たちは、どのようにして歴史を保存するのが最良かを自らに問いかけている。

Long Now財団の専務取締役のAlexander Roseは、アーカイブのための真のキラーアプリケーションはBitTorrentやKazaaのようなP2Pアプリケーションであると述べている。彼は、これらの2社がニューメディアをアーカイブするうえで、重要な役割を担うと考えている。「彼らが持っていないものは、記憶です。しかし、彼らがそれを得るならば、アーカイブのためのメディアを保管することができます。」とRoseはシンポジウムで発言している。

Flashプログラミングコミュニティもまた、.swf archiveやGnashといったアニメーションのアーカイブの保存、オープンソース技術(Open Source Flash Player)の提供によって、初期のインターネットアーティストの利益となる。それにより、人々は過去のフォーマットのアニメーションを見ることが可能となる。その他のオープンソースデジタルアートプロジェクトであるProsessing.orgやプリンストン大学のオーディオプログラミング言語であるChuckなどもある。

Long Now財団は、世界中の彼ら以外のグループが、どのようにして芸術の保存にアプローチしているかを調査している。たとえば、バチカンは16世紀初頭のローマ周辺のモザイク画を、長く、細い引き出しの中にいれ、それが並んだ大きな部屋で保管している。「これは16世紀のピクセルのようです。」とバチカンのその部屋を視察したRoseはいう。「それらモザイク画は、そのままでは5,000年と持たないでしょう。」

同様に、Long Now財団は、ユタ州Cottonwood渓谷のモルモン教会を訪れた。そこではモルモン教会の系統的なアーカイブはアーチ状の地下貯蔵庫に保管されている。教会は、少なくとも1,000年は持つように作られた貯蔵庫で、マイクロフィルム上に全世界の系統的なデータのアーカイブを保管している。しかし、そこを訪問したLong Now財団の調査団によれば、貯蔵庫には内部のインデックスがないという。「ものがどこにあるのか、というインデックスは、貯蔵庫外部のオラクルデータベースにあります。しかし、貯蔵庫(に保管されているモノそのもの)のインデックスがなければ、(データは)役に立ちません。」と役員の1人はいう。その点について、Long Now財団は、検索し、ファイル形式コンバータを利用できるようなツールのプロトタイプを開発した。ツールは、廃れたファイル形式によって作られた作品を失ってしまうという問題を解決するよう設定されている。

Bollackerは、このようなソフトウェアが、オンラインコミュニティと協力して、ニューメディアアートを保存するための鍵となると信じている、と語っている。アーカイビスト(保管者)たちは、どのようにしてファイルを動かし、環境に挿入するかについても考えなければならないと彼は言う。

「データは、連続的に動き続けることで、生き続けることができます。つまり、多くの人々によって頻繁にアクセスされるということです。オープンソース、パブリックドキュメントされたフォーマットやソフトウェアは、長く行き続けることができるでしょう。」と彼は語った。
Webアーカイブも奥が深いなぁと思う。一応、P2Pブログなので、その辺について。確かに、P2Pファイル共有ソフトをアーカイブのために利用する、というアイディアは非常に面白い。もちろん、商業的なものに限らず、個人が提供するコンテンツをアーカイブする必要が出てきた時代なわけで、そういう意味では非常に有益だと思う。ただ、現状では商業的な著作物が多くを占めており、非常に効率が悪いのではないかなぁとは思う。それを抜きにしても、同一の作品が重複していることも多く、その点も効率を下げてしまうかもしれない。もちろん、その点を考慮した改良が行われればよいのだろうけどね。でもって、効率がよくないといっても、完全なオンラインコンテンツのアーカイブを目指すこと自体が、最も効率の悪いことなわけで、それを考えたら効率は悪くないという解釈もできなくはないだろうしね。しかし、こんな発想を持ってくるあたりが非常に面白い。

ポルノに関しても、それを1つのツールとして考えているところが面白い。確かに、古いコンテンツであっても積極的に利用する姿勢が彼らにしてみればデジタルの先駆者であり、アーカイブの可能性を秘めた存在なのだろう。一方で、既存のメディア業界はといえば、利権にまとまりつかれて、公的にアーカイブされるどころか、自らの倉庫に死蔵させている状態なわけで。彼らにしてみれば、なんとももったいない話だと嘆くことだろう。

最後の部分は自分たちの宣伝っぽいなぁ。といっても、非営利団体なわけで、その点では自らの理想や信念、やり方に自信を持っているからこそ、このやり方を進めようと考えているんだろうね。 こういう活動があってこそ、過去の作品を死なせずに済むのかもしれない。いや、過去になっていく作品、か。一方で非所有者がその価値を最大限に生き延びさせようと必至になっている中、もう一方で所有者自身がその価値を殺していることもある。なんつーか、おかしな話だ。

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