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音楽産業の低迷はP2Pファイル共有のせい?

音楽業界は、P2Pファイル共有の影響で売上が下がっているといっているけれども、果たしてそこまで明確にそういえるのだろうか、と常々考えている。今回は、直感的「あぁやっぱり」と思えるようなネタを1つ。軽いネタ程度のもんですが、まぁ見てくださいな。ちなみに今回は音楽自体の質についてはあまり触れません。前々からうっとうしいほどいってきたので・・・。

参考リンク
日本レコード協会 - 各種統計

日本映像ソフト協会 - 各種調査報告

音楽産業の不況が長引き、毎年のように前年比マイナスが続いている。上記統計ページを眺めてもらえればわかるだろうけれど、確実に毎年毎年低下を続けている。これは少なくとも日本だけのことではなく、世界的に音楽産業が10年ほど低迷を続けているのである。以下にiPodが馬鹿売れして、ネット配信サービスの利用者が毎年売買に増えていったところで、全盛期には遠く及ばない。

世界的な音楽産業の冷え込みではあるけれども、その原因はそれぞれの国独特の事情も反映しているだろう。10年前、日本では、もともとメジャー音楽自体がそれほどアーティスティックなモノではなかったが、それゆえにカラオケブームにのって好調を続けた。英国ではマッドチェスターに始まるバンドブームが好調を支えた。米国に限った話ではないが、R&Bやヒップホップが好調を支えた。そして、世界中でレコードからCDへの転換が進み、それによって全体が好況に沸いた。

しかし、そのような一過性のブームや移行などはいつかは終わりを告げるもの。結局は以前の状態に戻るわけだけれども、音楽業界はいつまでたってもこれが普通の状態であるということに気づかない。彼らにしてみれば、売上の増加は成長であり、自らが発展しているものだと勘違いしていたのだろう。しかし、所詮はブーム、熱心な音楽ファンではなく、ライトリスナー層を相手にしているという危うさが、その好調を体験したという快楽ゆえに、未だ理解できていないらしい。

人々の余暇や娯楽というのは、どうしたって限りがある。収入的な面でも、時間的な面でも。費やせる資源が劇的に増加するということは、まずありえない。その点では、娯楽産業というのはその限りある資源の取り合いなのである。そう考えると、一時的な音楽ブームというのは、たまたま音楽がその対象となった時期であっただけ、とも考えられる。そう、少なくとも音楽自体はこれまでの数倍のお金をつぎ込もうと思えるくらいに劇的に良くなるわけでもない。ネット配信によって消費者に容易に購入してもらう術を手に入れたとしても、それは単なる手段に過ぎず、購入してもらう機会を増やしただけなのである。それでも、他の娯楽産業に対するアドバンテージにはなるけれどもね。

しかし、消費者へのアピールという点では、音楽産業以外の娯楽産業の方がより熱心な部分もある。そして、娯楽に割ける資源をより低下させる状況もある。

日本の場合を考えよう。主に音楽業界を下支えするのは若者たちだ。音楽業界はまず最初に彼らをターゲットにした戦略を練る。そしてこれまでその層から多くの利益を上げ、それによって潤ってきたという過去を持つ。しかし、その戦略がいまだに通じるだろうか。

と、今回は結構シンプルに話を進めるつもりだったのに、ずいぶんまどろっこしくなってしまった。ということで以下はシンプルに。

上述したように、娯楽産業は資源の奪い合いだ。若者に限らず多くの人が、限りある資源を娯楽やその他のものに配分している。現在は、非常に多様な選択肢があり、以前のような黙っていても一定数のお客さんが来るというのは楽観的過ぎる。方々で言われていることではあるが、若者が携帯電話に費やすお金が増加したことで、音楽産業や他の娯楽産業に廻る金額が減っているとかまぁ、本当かどうかはわからないけれど、実際にそういう部分もあると思う。それもまた、資源の奪い合いの1つなのだろう。

音楽産業が低迷を続ける中、一方で映像ソフト産業は非常に潤っている。上記参考リンク先の統計情報から両産業を比較してみる。

#音楽産業、映像ソフト産業それぞれの売上推移

音楽産業、映像ソフト産業、それぞれの売上

なお、音楽産業の売上は音楽ソフト(オーディオ/音楽ビデオ合計)の売上を利用した。また、2005年の売上には配信サービスの売上を加えた。上記のグラフに示されたように、音楽産業が年を追うごとに衰退していくのに比べて、映像ソフト業界は年を追うごとに隆盛を誇っている。この違いはなんだろうか?

あくまでも個人的な推測であるが、映像ビデオ産業もまた媒体がシフトしている時期でもあった。現在はBlu-rayかHD DVDかの規格争いが起こっているが、ここ10年はDVDが普及した時期でもある。その時期にうまく時流に乗れたことが映像ソフト業界の発展に繋がっていると考えられる。また、この上昇は単に媒体の転換だけにとどまらないと思う。映像メディア業界は、これまで以上に映像メディアを購買してもらえるよう努力してきた。そしてそれは消費者に受け入れられつつある。10年前を考えて欲しい。その当時、この映画が気に入ったからといって、その映画のビデオを購入しようなどを言う人がいただろうか。当時は多くのビデオが1万円以上の価格がつけられ、それほど簡単に買える代物ではなかったと記憶している。

では、現在はどうだろうか。多くの映画がDVDとして店頭に並び、以前はレンタル以外の選択肢がなかった人たちですら、気軽にDVDの購入を考えられるまでに価格が引き下げられている。また、映像ソフト業界の努力はそれだけではない。劇場の公開から、DVDの発売までの期間をなるべく短くし、それによって「今更」感をなくす努力も怠りない。「もうこの映画のDVDが出たの?」と思ったことがある人も多いだろう。その映画の旬が終わる前にリリースすることで、購入の機会が失われる事を防いでいる。「あぁ、こんな映画もあったね」ではなく、「この映画見たかったんだよ」という反応が引き出せれば、目論見どおりであろうか。さらに、リリースされるタイトルも豊富になっている。以前であればリリースされず、TV局に眠っていたであろうコンテンツがDVDとして世にリリースされる。それはそのコンテンツをこれからも楽しみたいユーザにとっては非常にありがたいだろう。

翻って音楽業界を見てみると・・・どんな努力をしているだろうか?その努力は本当にユーザにとって受け入れられるものだろうか?ユーザにどれだけアピールしてきただろうか?このような比較をしてみると、音楽産業は成長を止め、以前の状態に戻ったのも理解できる。映像ソフト産業のように努力をしてきたわけでもなく、音楽業界にとってもユーザにとっても非常に有用なチャンスがめぐってきているというのに、自らの利益を求めるがあまり足踏みを続けているだけの状態で、発展するというのもおかしな話だ。

さてさて、最後にちょっとした足し算を。音楽産業、映像ソフト産業の売上を足してグラフ化したものが以下のグラフ。この2つだけが互いにトレードオフの関係にあるわけではないし、もっと他の要因もある。それぞれに独立している部分も大きいけれど、とてもフラットなのが非常に印象的だ。

#音楽産業、映像ソフト産業それぞれの売上合計値の推移
音楽産業、映像ソフト産業の売上合計

とまぁ、ここまで書いてくるとお分かりかと思うけれど、いかにP2Pファイル共有全盛であっても、映像ソフト産業の成長は著しい。これを見る限りでは、P2Pファイル共有のせいで売上が激減していると主張する音楽産業って何なんだろうと思ってしまう。

ただし、別の見方も可能であって、P2Pファイル共有でやり取りされるファイルについて、オーディオファイルはmp3化されたものでも十分に楽しめるのに対して(またサイズが小さい分ダウンロードが容易であることも)、これまで映像ファイルは劣化が激しくそれほど満足のいくものではなかったかもしれない。それまではP2Pファイル共有では満足できなかったから、DVD等の売上には影響しなかったとも考えられる。しかし、現在高速なインターネット回線の普及が進んでおり、DVD ISO形式でのファイル転送も容易になってきた。そうなったとき、映像ソフト産業の利益にどう影響するか、それも注視していかなければならないだろう。といっても、それも複数の要因が絡んでいるので、なかなか判断しかねる部分もあるのですけれどね。

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