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Winny:「著作権団体からの重要なお知らせ」の本当の目的

ACCSやJASRACをはじめとした著作権団体が行っている、ISPを通じたWinnyユーザへの警告メールがあることは、以前から報道されていることですが、今回はそれについて少し考えて見ます。このような手法は、以前のACCSのサイトを標的にしたAntinnyへの対策を基にしたような感じです。まぁ、このような啓蒙行為自体はそれほど批判されるものではありませんし、理解もできるものではあります。著作権団体の利権に関する執着や、そのやり方自体には問題は相当ありますが、このような働きかけ自体は止むを得ないものと、中立的な立場から見ればそう思える部分も多々あります。実際に著作権侵害が行われているわけですし、それを是正しようとする試み自体は、日ごろの有り様によって批判されるべきでないと考えます。

で、今回はそのような日ごろの有り様は抜きにして、ISPと著作権団体が共同して行っている啓蒙作戦について考えてみたい。

今現在も、ISPと著作権団体によるWinnyユーザへの啓発活動は続けられているらしい。その辺について、実際にどういう活動をおこなっているかを見てみよう。備忘録的な部分もあるので、多少過分なところもあると思うけれど。。

まず、 著作権団体が何らかの方法でWinnyネットワーク上に流通しているデータ(著作物)を調査し(一説にはWinnybotというツールを使っている模様)、そのデータを保持しているIPアドレスと該当データを収集する。著作権団体は収集されたIPアドレスから、それぞれのISPに対して該当ユーザに「注意喚起メール」を送付するよう依頼する。このメール自体は著作権団体が作成したもの。このメールが送付されたユーザからの報告によると、以下のようなものらしい。

著作権団体からの重要なお知らせ 1of2 著作権団体からの重要なお知らせ 2of2

件名:著作権団体からの重要なお知らせ

****様<*****(ログインID>>

平素は、弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

このたび、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(以下ACCS)様より、弊社に対し、ファイル交換ソフト「Winny」を利用し、著作権を侵害している恐れがることを示す情報が発信されていたことに関する注意喚起以来が届いております。ACCSさまより弊社に届いた情報から発信さhを確認しましたところ、お客様のご契約回線<*****>より発信されていることがわかりました。

文末にACCS様より弊社に届いた文面を添付いたしますので、内容をご確認いただきますようお願い申し上げます。

弊社は、財団法人 日本データ通信協会Telecom-ISAC Japanの「P2Pファイル交換ソフト利用者に対する啓発活動」に参加しております。

つきましては、下記ホームページをご参照いただき、Winnyの利用と著作権に関する問題について理解していただいたかの確認をいただくため、ホームペー ジに記載された手順に沿ってご回答のご連絡をいただきたく存じます。

なお、ご回答をいただけない場合、弊社より再度のご連絡となる場合がありますことを予めご了承ください。

【Telecom-ISAC Japan ホームページ:「Winnyと著作権について」】
http://taisaku1.telecom-isac.jp/ica1/?id=***********************

以上よろしくお願い申し上げます。
--
株式会社インターネットイニシアティブ
abuse 担当 *****@iij.ad.jp


[別添: 著作権団体からの文面]

社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会

ファイル交換ソフト(Winny)を利用されている皆様へのお願い

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

当協会は、国内外の約300社ソフトウェアメーカー等が会員として構成する社団法人で、コンピュータソフトウェアをはじめとしたデジタル著作物の著作権者の権利を保護するとともに著作権の普及活動を行っております。

さて、現在当協会ではファイル交換ソフト(Winny)の利用実態を調査しております。本調査はWinnyネットワークで流通している誰でもアクセス可能な情報をもとに行っておりますが、このたび、貴方のパソコンで、Winnyを利用し、 著作権を侵害しているおそれがあることを示す情報が発信されていたことを確認いたしました。

当協会が本年6月に実施したファイル交換ソフトの利用実態調査結果によりますと、Winnyを始めとするファイル交換ソフトで流通している音楽ファイルの91.1%、映像ファイルの86.2%、ソフトウェアの58.2%が、著作権などの権利の対象で、かつ権利者の許諾がないと推定されています。このように、著作権の対象となるソフトウェアや音楽ファイルを、権利者の許諾を得ずに故意にファイル交換ソフトを利用して公衆に公開することは、著作権法に違反する行為(複製権、公衆送信権侵害)で、損害賠償および刑事罰の対象となります。

もし、あなたが、Winnyで他人が著作権を有しているソフトウェアや音楽ファイルを公開している場合には、直ちに公開するのを止めていただきますようお願いいたします。なお、Winnyはその仕様上、ダウンロードもしくは、中継し
たファイル(キャッシュファイル)を公開するしくみになっており、あなたが意図せずに著作権侵害行為を行ってしまっている可能性もあります。

皆様におかれましては、ネットワークでの適正な著作物の流通に関し、一層のご理解、ご協力をいただきますよう、お願いいたします。

敬具

当協会の詳細に関しては、当協会ウェブサイト( http://www2.accsjp.or.jp/ )をご確認ください。

まぁ、こういう文面のメールが届くそうです。といってもこの時点で収集されている情報というのは、
◆著作権団体:IPアドレス、同IPアドレスが保持しているデータ(著作物)
◆ISP:注意勧告を受けたIPアドレス
であるため、Winnyの特性上、その保持されているデータが中継されたものであるのか、意図的にアップロードされたものなのかが判断できない。そこで、上記のメールに添付されているサイトに誘導を行うことで、その問題を解消しようとしているようだ。

上記のサイトのリンク先の*の部分には、それぞれのユーザ(IPアドレス)にユニークなトラッキングIDを割り振っており、それが付与されている。なので、そのトラッキングIDが生きているものでなければ、当該サイトを見ることはできない。幸い、あるユーザがそのサイトにいき、スクリーンショットを作成し公開してくれたので、それを元に文章を起こしてみた。内容は以下の通り。

Winny利用と著作権について


Winny利用と著作権について

 Telecom-ISAC JAPANでは、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(以下ACCS)からの要請にもとづき、著作権に対し理解をいただく啓発活動の一環として、ACCSよりお預かりした「ファイル交換ソフトの利用と著作権について」のコンテンツを掲載し、Winnyを利用しているお客様にお読みいただく活動を行っております。
 お読みになりましたら、お手数ですが最後のページより、ご理解いただけたかのご回答をお願いいたします。


Winny利用と著作権について
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会

Winnyを利用してファイル共有(交換)を行うことは、著作権侵害に繋がる場合があります。以下で具体的に説明いたします。

●Winnyを使い続けることの問題について
 Winnyを使い続けた場合、自分で知らないうちに著作物ファイルを公開してしまう可能性があり、結果的に著作権を侵害する恐れがあります。Winnyは性質上、そのネットワークに参加しているだけで「キャッシュフォルダ」に「キャッシュファイル」を保存し、それをネットワークに公開します。そのため、自分が知らないうちに「キャッシュファイル」という形で他人の著作物を公開している可能性があるからです。

●どのような行為が著作権侵害にあたるのか
 販売されたり放送されたりしているコンテンツ(ゲーム、ビジネスソフト、音楽、アニメ、映画、写真集、漫画、小説など。以下「著作物」といいます)を、著作権を持っている人もしくは会社(以下、著作権者といいます)の許可なく公開することが、著作権侵害(公衆送信権侵害)にあたります。

●著作権とは何か?公衆送信権とは何か?
 著作権とは、著作物を著作権者が独占的に利用できる法的な権利です。したがって、著作権者の許可なく著作物を利用(コピーや上演、演奏、放送、インターネットでの公開など)することはできません。著作権者とは、著作物を創作した人、会社(これらを著作者といいます)、著作権者から権利を譲り受けた人や会社となります。公衆総真剣とは、著作権者が放送やインターネットで野送信を独占できる法的な権利です。なお、インターネットの場合は、著作物を許可なくアップロード(公開)するだけで、ダウンロードした人がいなくても公衆送信権に含まれる送信可能化状態となり著作権侵害になります。
 さらに、著作権法第112条(差し止め請求権)では、著作権者がその著作権などを侵害するもの、または侵害する恐れのあるものに対し、その侵害の停止または予防を請求することも可能です。

●著作権を侵害するとどうなるのか?
 Winnyを利用して著作権侵害を行うことによって、あなたが刑事処罰の対象となる、あるいは、著作権者がこうむった損害に相当する損害賠償をあなたに対して請求することがあります。
 あなたが刑事処罰の対象となった場合、著作権侵害の罰則は、”5年以下の懲役または500万以下の罰金、またはその両方”と決して軽いものではありません。さらに、その捜査の過程で、家宅捜索、証拠品の押収が行われ、逮捕されることもあります。

著作権団体(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)
コンピュータソフトウェアをはじめとしたデジタル著作物の著作権者の権利を保護するとともに、著作権の普及活動を行い、コンピュータ社会における文化の発展に寄与することを目的としています。


 著作権法の送信可能化権、ファイル交換ソフトのキャッシュフォルダの問題点についてご説明させていただきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。下記のラジオボタンをチェックの上、ご回答いただけますようお願いいたします。

 なお、ご回答いただけない場合に限り、お客様のご加入のプロバイダより再度のご連絡となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。回答内容は、個人を特定できないよう加工した上で、対応依頼を受けたACCSへ完了連絡をいたします。

著作権法の公衆送信権、Winnyを使い続けることの問題について理解していただけましたか?

○理解した   ○理解できない
というような内容。1つ突っ込みを入れるとすれば、著作権の定義があくまでも業界団体よりとなっているところだろうか。少なくとも、著作権は文章であろうと詩であろうと歌であろうと、創作した時点で発生する。その侵害とは商用利用や放送されているいないに関わらず、全ての著作物に適応される。もちろん、商用であったほうが著作権が存在していたことの証明はしやすいだろうけれど、かといってそれ以外の著作物を勝手に利用しても侵害行為にならないというわけではない。とりあえず、今回の考察に関係ないけれど、一応突っ込んでみた。

で、 このサイトのキモは、最初の項目のWinnyを使い続けていることの問題についてを理解させること。少なくともこの文面からは、Winnyを使用していると、意図せずとも著作権侵害に繋がる恐れがあることがわかる。そしてそれが違法行為であることを続く項目で理解させる。もちろん、それには刑事罰も民事賠償も含まれることも。そして次の重要な点として、これらのことを理解したかどうかを尋ねている。これを理解したということをを送信することは、以後Winnyを使用したとしたら、いかに自らアップロードする意思がなかったと主張しても、違法行為に加担する可能性があるという認識の下で利用した、ということがいえる。もちろん、このことが抑制効果になると踏んでこのような啓発活動を行っているのだろう。自らのISPからメールが届き、それが自分にとって身に覚えのある内容であることであれば、自分が特定され、宣誓したと感じることが、Winnyの利用の抑制にも繋がるだろう。

しかし、某所ではこのような活動を疑問視する声もある。このやり方は訴訟を見据えたものではないか、というのである。

これまで著作権団体がWinnyユーザを容易に訴えられなかった理由は3つある。

1つ目がほとんどであるのだけれど、Winnyはその転送の特性上、他者のPCを介して転送を行う。中継された人は、全くそれに気づかないし、それを制御する術はない。その彼には、当該のデータをアップロードする意思もダウンロードする意思も全くないかもしれない。しかし、それを外部から伺い知ることは難しいのである。

また、もう2つ目は、前述の理由からそのファイルを最初にネットワーク上に持ち込んだ人に一次的な責任があるという部分もある。中継する人の意図は不明ではあるのだけれど、少なくとも最初に持ち込んだ人には意図がある。しかし、その彼を特定するのもまた、容易ではないのである。

3つ目に、たとえ意図を持ってアップロードしている人を見つけたとしても、ISPに情報を開示させる手続きに困難が生じる、ということがある。これは前述の問題と重複している部分があり、 あくまでもその違法行為の証明が妥当であることを裁判所に認めさせなければならない、という理由からだ。少なくとも、不鮮明な理由によってISPがユーザの個人情報を提供することは決して許されないのである。

と、主にこれらの理由によって、これまで著作権団体はWinnyユーザの違法性とほとんど問うことはできなかった。例外として2件ほど検挙に至った事例もあるけれど、それもアクロバットともいえる手法であり、今後の摘発に向けて効果的なやり方とは決していえない。 そこで別の手法を用いて、裁判所を認めさせるに足る証拠を掴むことができれば、ユーザを裁判に引きずり出すことができる、と考えているかもしれない。それが、これらの活動の目的を疑問視する人たちの批判としてあるのだろう。

では、批判者たちはどう考えているのだろうか。

ユーザの個人情報を裁判所の許可なくダイレクトにやり取りすることは、現状では不可能であり、新たな手段と模索するとすれば、それを迂回しつつ、ユーザの違法行為に関する情報を収集する必要がある。この啓蒙活動には3者が関わっておりそれぞれに異なる役割を持つ。まず、著作権を持つ著作権団体、次にそれらの要請を受けて注意喚起メールを配信するISP、最後にそのメールの誘導先である啓発サイトを運営するTelecom-ISAC Japan、これらの3者である。

これら3者の役割についてわかりやすく説明するために、Telecom-ISAC Japanのニュースリリースの図を転載をさせてもらおう。

取り組みのイメージ図

これらの流れについては、よく解説されているところがあるのでそちらを参考にしていただきたいのだけれど、これらのプロセスの結果、どのような情報がどこに集まっているのかを纏めると、

著作権団体
1)該当ユーザのIPアドレスと
2)該当ユーザの共有していた著作物のリスト、
3)Telecom-ISACからの報告(トラッキングID、アクセスデータ、啓蒙サイトでの回答などの可能性がある)
※なお、トラッキングIDとIPアドレスは対応していない・・・かも。

ISP
1)該当ユーザのIPアドレス
2)IPアドレスから生成されたトラッキングID
3)啓蒙サイトへのアクセス、回答の有無

Telecom-ISAC
1)該当ユーザのトラッキングID(IPアドレスとは対応していない)
2)そのトラッキングIDによる啓蒙サイトへのアクセス、回答の有無、回答結果

さて、だいたいお分かりのように、これらの情報を総合すれば、

当該のユーザは、Winnyネットワークへの接続が著作権を侵害しうるアップロードを中継することを理解しつつ、当該IPアドレスから何時何分にWinnyを利用し、著作権を侵害する違法なアップロードを行っていた。

ということがいえる。もちろん、回答していれば、の話だし、その情報が統合されれば、の話でもある。しかし、それでも以前に比べれば格段にユーザを訴えるための情報が集まっているといえる。これまでのように、アップロードによって生じた著作権侵害が意図的ではなかったということが障害になっていた状況とは異なり、意図しない違法アップロードであってもその可能性は認識していた、ということができる。それによってユーザの責任を問うこともできるかもしれない。また、そのようなデータがそろっているということが、裁判所の開示命令を引き出すための手段として用いられる可能性もある。

もちろん、このような「未必の故意」を問うようなやり方が、個人情報の開示命令や裁判での勝利に繋がるかどうかは不明ではあるが、少なくともユーザを脅かすには十分であろう。また、裁判で勝てないにしても、個人情報の開示命令を勝ち取ってユーザに直接民事訴訟や和解を迫ることができれば、その結果が勝利であろうと敗北であろうと、Winnyの利用を抑制することが可能になるだろう。

このやり方については、なんともこすいというか、汚いなぁと思うけれど、かといって彼らにしても目の前で日常的に行われている著作権侵害を食い止めるためには、このようなまどろっこしいことでもしなければならないという可哀想な一面もある。

不幸にもこの警告状が送りつけられ、そしてこの啓蒙サイトにアクセスし、回答をしてしまったWinnyユーザがどうすればよいかを私なりに考えてみる。

1つはWinnyをやめることだ。もし、その人が著作権侵害の可能性のあるファイルをやり取りしているならなおさらだ。これを機にそのような違法なファイル共有ネットワークから脱して、健全なインターネットの利用をしてみてはいかがだろうか。もし、その人がコピーフリーな著作物をやり取りしているのであれば、Winny以外の手段を用いることをお勧めする。個人的にはBitTorrentなどがいいと思う。まぁ、それも好き好きなので強制するわけにも行かないが。

あなたがどちらの人物であれ、Winnyを利用し続けたいと考えるのであればISPを変えるしかないだろう。少なくとも、ISPを解約すればその後の追跡は不可能である。たとえ著作権団体にIPアドレスが渡っていたとしても、そこからあなたが誰であるかを判別することは不可能なのである。 しかし、それができないのであればWinnyをやめるべきだ。ISPを変えずにWinnyを利用し続けることは、たとえ合法的な目的で利用していたとしても、潜在的な監視や訴訟の脅威に晒され続けることになる。それは気持ちの良いものではないだろう。

確かに、著作権団体はあまりにユーザや真の創作者をないがしろにし、利益ばかりを求めているけれども、かといってそのことが違法なファイル共有を正当化しうるものではない。このような取り組みそのものには一定の理解を示せるものである。とはいえ、そのやり方や今後を考えると、どうしても信用できないところもあるわけで・・・。ということで、この話題に触れてみました。もう去年のことだけれども、これを検索してくる人も多いし、今でもこんなメールが来たって人もいるみたいだしね。そんな人に考えてもらいたくてこのエントリを書いてみました。

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