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カナダ著作権団体、iPodに最高75ドル(約9,000円)の課税を要求

カナダにて、iPodをはじめとする記録媒体を持つ音楽デバイスに、記録容量ごとに累進的に課税すべきだと著作権団体が主張しているよ、というお話。しかも、その額が音楽デバイス1台に対して最高75ドル、9,000円くらいとものすごく高額となっている。その他にもメモリカードへの最高10ドルの課税、既存のCD-RやMDへの課税の増額なども要求している。このトピックから考えることは、デジタル配信時代の私的複製って一体何なの?ということ。もともとが私的複製でしかないのに、それに課税するってなんかおかしくない?

原典:The StarPhoenix
原題:Copyright collective wants iPod levy
著者:Vito Pilieci, CanWest News Service; Ottawa Citizen
日付:February 10, 2007
URL:http://www.canada.com/saskatoonstarphoenix/story.html?id=cccd9ce1-5279-4145-9874-a179b5be067f&k=26495

カナダのPrivate Copyright Collectiveは、デジタル音楽プレーヤーとメモリーカードに対する課税を導入するための新たな試みを開始している。

その課税は、新しいAppleのiPodの価格にさらに75ドルを追加するものとなる。

音楽の未許諾のコピーによって、アーティストが被る損失を補償することを求めるこの団体は、2003年の控訴裁判所での課税の棄却以来、最初の試みとなると今週金曜語っている。

小売業者であるWal-Mart、Staple Business Depot、Future Shopといった産業グループの連合による抗議ののち、同法廷はカナダ著作権委員会の承認を取り消した。

団体は、iPodといったデジタルオーディオデバイスの内部のメモリーは、主に音楽を保存するために用いられるため、それらはカナダ著作権法にもとづき、課税の対象とされるべきであると主張する。

カナダ著作権法では、オーディオ録音媒体は、「その製品の録音物が複製される形態を問わない」とされる。

しかし、法廷はメモリーがオーディオ録音媒体 と定義されるに至らないと判断した。

現在、団体はデバイスそのものを標的にしている。

同団体は、iPodといったデバイスは「録音媒体」として分類することができ、課税の対象とならなければならないという。

「それは単純に公正さの問題となります。コンテンツの製作者、実際には文化の製作者は、これらメディアを利用した膨大な量の未許諾の、制御不能なコピーに対するいくばくかの補償を受けるべきなのです。」と同団体会長Claudette Fortierは言う。「私的複製は事実としてあります。そう、カナダ人はそうしているはずです。」

団体は、ブランク録音媒体への課税を徴収し、それを著作権使用料を得る資格のある人たちに分配する役割を果たす。

言い換えると、カナダ人がブランクCDや音楽カセットテープを購入するたびに、その金額の一部が世界中のアーティスト、たとえばKid RockやJustin Timberlake、Paris Hiltonにわたる。

著作権委員会への彼らの新たな提案によると、同団体は、1GB未満のデバイスには5ドルの課税、1~10GBのものには25ドル、10~30GBのものには50ドル、30GB以上のものには75ドルの課税が提案されている。

それは、Appleの30GBのiPodの価格を290ドルから365ドルに、26%も増加させる。

また同団体はメモリーカードに2~10ドルの課税も求めている。メモリーカードは主にデジタルカメラに写真を保存するのに用いられている。

更に同団体は、現在のブランクCDメディアに対する21セントの課税、CD-RオーディオやCD-RWオーディオ、MDに対する77セントの課税を、更にそれぞれ8セント増加させることを求めてもいる。

彼らはこの要求への支持を得るため、この提案された課税へのカナダ国民の態度に関する世論調査を行うよう、Environics Research Groupに依頼したという。

世論調査の結果、80%の音楽の私的複製をしているカナダ人が、彼らの購入するCD-RやCD-RWそれぞれに30セントの課税をすることは「フェア」であると考えている、と彼らは主張する。

またこの調査では、79%の私的複製を行っているカナダ人が 30GBのiPodや同様のデバイスに対する40ドルの課税を「フェアであり妥当」であると回答したという。

この世論調査は、6月に993人にカナダ人を対象に行われた。この調査は、3.1%の誤差、つまり20回中19回で正確だと考えられる。

今年末に公聴会が行われる前に、この提案された課税について著作権委員会は検討を行う予定である。

本題に入る前に、この調査結果なのだけれども、どうも信用しがたい。主観で物申すのも申し訳ないけれど、消費者の不利益になるようなことに対して、ここまで高いパーセンテージで業界団体の望ましい結果を得るというのは、なんとも腑に落ちない。iPodが5,000円も値上がりするかもしれないってのに、それを「OK、しょうがないよね」なんて単純に言えるのはよっぽど寛大な人か、達観しきった人くらいだろう。

この文末に書かれているように、この調査の誤差は3.1%、つまり100回同じ調査をしても、この結果が出るのは3.1回くらいの確率でしかない、ということ。まぁ、複数の要因が絡んでいるにもかかわらず、3.1%という水準の誤差は非常に信頼性が高いといえる。といっても、それは推測統計のお話。たとえ統計的正しさが証明されても、それがいかに妥当な質問項目であったかどうかが問題なのである。つまり、いかに統計的に支持されたといっても、もともとの調査自体がバイアスをかけるような作りになっているのであれば、その調査の妥当性は低いということ。個人的には、誘導された質問項目だったんだと思う。質問文自体を見てみないとわからないけれどもね。少なくとも、同調査を行った調査会社のwebサイトには掲載されてはいないようだ。

さて、このiPodやメモリカードに対する課税のお話。個人的には非常にばかげているというか、目先の利益ばかりを追い求めているなぁといった感じ。少なくとも、音楽配信サービスが音楽業界の救世主として、ある種の信仰にも近い期待を背負わせているにもかかわらず、一方で目先の利益に目がくらんでそれを抑制しようとする。

いつの時代も音楽をこよなく愛するのは若者だ。その若者にとって、iPodはそれほど安い買い物ではない。この記事では、30GBのiPodを例に挙げているけれども、80GBのiPodで考えると、定価42,800円が、51,800円になる。それでも、全ての人の購入の意思が変わらない、なんてことはありえない。再検討する人は少なからず出てくるだろう。

よく考えてみよう。音楽配信サービスを救世主たらしめているiPodである。そのiPodを購入しようとする(iPodに限らないが)意思を抑制することは何を意味するだろうか。そう、iPodを買わなければ、音楽配信サービスも利用されないのである。もちろん、PCのみで利用する人もいるだろうがそれも一部だろう。現状では、携帯音楽デバイスあってこその音楽配信サービスである。

権利は一度獲得すると当たり前になる。業界団体は私的複製に対する補償を当たり前のものと考えているようだけれども、実際にはそのような制度はなくてもかまわないのではないだろうか。このような制度が確立したのも、消費者の声が全く届かない時代に、業界団体による誇大な損失の訴えによるロビー活動の成果として成立したものである。しかし、実際には私的複製によって業界が冷え込むということもなく、彼らいわく発展を続けてきたではないか。彼らは損失が見えないことをいいことに、それをダシにいかに金を搾り取れるかだけを考えているのではないだろうか。

もはや、私的複製という概念自体が崩壊しつつあるのだ。かつて、人々はCDを購入していた。そして彼らはCDというものを購入していると考えていた。なので、そのCDと同等のものを作ることは複製だと言われることはなんとなく理解できる。しかし音楽配信サービスが展開され、人々は以前と違うことを理解しはじめている。我々は音楽を買っているのではなく、音楽を聞く権利を買っているのだと。

音楽配信サービスで購入された楽曲データは、購入された時点で財産的価値を失う。もちろん、文化的価値は十分にあるのだけれども、おそらくそれを売却することはできない(このことは今後問題になると思う)。CDであれば、財産的価値を有しそれを売却することもできる。CD自体はマスターのコピーであるけれども、少なくともそれにはモノが存在する。一方で、音楽配信サービスで得られるものはデータである。それはなんら実体を持たない。モノとして存在しない「複製」でしかない。主体としてのCDが存在していた時代ではないのである。「複製」でしかないデータは、何に移したとしても「私的に複製された」ということになる。iPodでしか購入した音楽を聞かないという人も、私的複製をしているとでもいうのだろうか。

財産的価値もなく、実態として存在もせず、「複製」という概念だけがある状態、そしてその「複製」を快く思っていない業界団体。一体消費者は何を購入しているんだ?さらに、DRMを利用してその「複製」にすら制限をかけている。私的複製ができないのに、私的複製によって損害を受けているのだから金を払えと言っているのだ。

また、著作物の私的複製に関わらない利用が大半であるメモリカードに対しても課税しようとしていることも問題である。その用途の割合は不明であるが、現在のメモリカードの大半はデジカメなどの私的複製とは無関係な用途で使われている。それらに課税することは、全く無関係な人たちから、何のために支払われるか全く不明な税金を徴収するということである。あまりにおかしすぎる。頭がおかしいんじゃないかとすら思う。

・・・冷静に考えると、これに関してはあくまでも餌である可能性もある。あわよくば通ればいいな程度のもので、最初から本気で通そうとしていないということも考えられる。最初から交渉のための譲歩の部分として用意されている、ということだ。それは既存の課税の値上げについても同様のことが考えられる。はじめから、本丸はiPodをはじめとする携帯音楽デバイスであり、それ以外の要求は、譲歩するための余裕として付属されたものなのではないだろうか。自らの譲歩は、相手の譲歩を引き出す可能性を高める、ネゴシエーションの基本だ。課税の金額が高いのも、その辺を狙っているのかもしれない。

まぁ、ふたを開けてみたら、本気で要求しているのかもしれないけれどもね。相手は、強大な力があれば何でもできると思っている人たちなんだから。 HDDにまで本気で課税しようとしていたくらいだし。これに失敗したら、配信サービスに課税でもするつもりかしら。

にしても、毎回ダシにされるアーティストの身にもなってくれよと。自分たちの食い扶持には対して影響しないようなことに対しても、こんな風に利用してくる。会社から口を封じられているのにね。何もしゃべっていないのに、勝手に自分たちのためだと利用される。儲かるのは会社だけなのにね。

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