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著作権侵害は「盗む」のではなく、財産的価値を「希釈する」

世間一般に流通しているある楽曲の量・価値は需要に応じて一定であるという前提に立ち、違法なコピー(つまり料金を徴収できないコピー)が増えることで全体の量が増し、その価値が減じられるのではなくて、希釈されるんじゃないか?というお話。個人的には、これまでの著作権侵害=泥棒という視点よりは非常に良い考えだと思うのだけれども、違法なファイル共有によってダウンロードされた楽曲の全てが、財産的価値に影響を及ぼすとも思えない。少なくとも、購入する意思はないがダウンロードする人もいるわけで。

原典:APPScout
原題:The Real Price of a Song
著者:Mark Hachman
日付:February 21, 2007
URL:http://www.appscout.com/2007/02/the_real_price_of_a_song_1.php

これまで幾度となく、以下のような著作権侵害と海賊行為との平行線の議論を見てきた。

海賊行為は泥棒だ。

海賊行為は泥棒じゃない、著作権法違反だ。音楽を盗むってのは、店に入ってCDを盗むことだろ?


こんな議論は両方とも有益なものじゃない。こんな時代遅れのモデルを使うのは止めて、より良いメタファー「我々がインフレーションと呼んできたもの」を使おうじゃないか。

はじめに断っておくが、私は経済理論についての正確な議論に必要なバックグラウンドは持ち合わせてはいない。しかし、私が提案しようとしているものは、少なくとも経済学の基本的な見解を踏まえて議論の枠組みを作るということである。

金融理論は、ある時点において、所定の通貨(たとえばドル)がある固定した価値を持つことを示す。そう、それはしばしば変動する。たとえば、ドルの価値がポンドと円に対して変動するように。しかし一般的には、流通している全てのドルの間に分配される、ある価値が存在する。そして、ある部分では、ドルへの投資という世界中の投資家の需要と、購入可能なドルの総額によってその価値は変動する。

お金は電子的にも、物理的にも存在する。たとえば、あなたのATMカードは、あなたの銀行に対して、店にあなたが購入した食料雑貨に対して、ある金額を支払うよう命ずる。同様に、今日音楽はCDやレコードという物理的な形態と、MP3というデジタルな形態で存在する。

その形態がMP3、CD、レコードのいずれであっても、ある所定の時点で、広まっているある楽曲の「量」は一定であると思われる。もちろん、所定の需要もある。より多くのCDを生産することは、需要を上回ってしまう。理論上は、レコード会社が需要を維持するためには価格を下げなければならない。

当然、MP3が少しの固定費も必要とはしない。違法であれ合法であれ、コピーはコピーである。オリジナルではなく、何かから作り出されるわけでもなく、ほんの少しのストレージスペースを必要とするだけである。

MP3の価格を固定することは不自然である。レコードが発売された当初は、人々は通常、アルバムやそのヒットシングルのデジタルバージョンにより多くの代金を支払うかもしれない。しかし、時間と共にそのMP3の価格は不自然に高くなる。楽曲の人気が低下するのにつれて、その需要にマッチしなくなっていく。

そして海賊行為に関して面白いことは、 それが企業の利益を増すことなく、単にある楽曲の供給を希釈するということである。泥棒は、実際に企業の資産を減らすか取り去るかする。海賊行為は、単に利益の可能性を除去し、企業の既存の資産価値を希釈させる。

100万ドルの価値を有する、ある楽曲の100,000のコピー(物理的であれデジタルであれ)があったとして、楽曲の違法なコピーが1つ作成されると、100万ドルの利益は100,001のコピー全体で割られることになる。楽曲の価値は希釈される。それが更に進むと、MP3の価格は実質的にゼロにまで希釈される。それはレコード企業や映画企業が恐れているものである。

いずれにしても、海賊たちはその楽曲を購入するだろうか? 2004年、シカゴ大学のAlejandoro Zentnerは、海賊行為が35~65%音楽を購入する可能性を減少させると推測した。おそらくそれは正確だろう。

マネタリスト理論のニュアンスと経済学におけるオーストリア学派とを議論させるだけのバックグラウンドを私は持っていないので、私の考え自体はその制限がある。しかし、私が伝えたいことは、以下のような声明に注意を払わなければならないということである。これはDisneyのABC部門社長Anne Sweeneyの声明である。

したがって、私たちはビジネスモデルとして海賊行為を理解します。それは、市場、特にオンデマンドでテレビコンテンツを望んでいる消費者にとって要求を満たすために存在します。そして、私たちは、高品質、価格、利用可能性において同じ方法で消費者のために海賊行為と争います。私たちはモデルが好きではありません。しかし、海賊行為を前進している重要な競争相手とすることは、十分効果的であると理解しています。

...上記の声明などは、以下のような時代遅れの発言なんかよりもよっぽど適切である。

海賊行為は窃盗であり。そして海賊は泥棒です、単純明白なことです。インターネットから映画をダウンロードすることは、代金を支払わずに店頭の棚からDVDを盗むのと同じです。

私は正しい?それとも間違っている?教えて欲しい。

冒頭でも述べたが、これまでの泥棒理論よりはよっぽど理解しやすいものかなぁと思う。多くの人は、もともと存在しないものに対して泥棒だということに違和感を感じるし、かといって、それが全く無害であるとも思えないだろう。そのもやもやを解消してくれるお話ではある。

ちょっとわかりにくい部分があるので補足すると、10万のコピーが存在して、それが全て売れれば100万ドルの利益が上がるとする。つまり、1つ10ドル。しかし、そこに違法コピーが含まれるようになると話は変わってくる。更にその楽曲の5万の違法コピーが含まれたとすれば、15万のコピーに対して100万ドルとなり、財産的価値は1つのコピーに対して6.66・・ドルとなる。

しかし、この話は通貨のようにある時点で一定量、一定の価値を持つものであれば話はすっきりするのだけれども、音楽の場合はそう簡単にはいかない。通貨の場合は誰が持っていても同様の価値を持つのもであるけれども、音楽の場合、特にデジタル配信の場合は消費者の手元に入った時点で財産価値が大幅に失われる(現状ではゼロ)。

そして、仮に総体として一定の価値を有するとしても、その一つ一つのコピーが同様の価値を有しているとは思えない。つまり、一つ一つのコピーの価値が等価ではないということだ。全てのコピーが同様に価値を持つのであれば、単純に総体としての価値をそのコピーの数で割ることで、その楽曲のコピー1つの価格を算出することができる(記事内ではそれによって価値が希釈されると考えている)。しかし、私がこれまで述べてきたように、そのコピーの価値は一人ひとり全く異なるのだ。ある人が本来であれば購入していたはずなのに、違法ファイル共有ネットワークから入手することができたことで購入を取りやめたというのであれば、財産的価値に影響を及ぼす実数として含めるのはおかしくはないが、その人とどのみち購入はしないけれどもとりあえずダウンロードしてみた人とを等価に扱うことは難しいのではないかなと。

もちろん、概念として価値を希釈させるというのは理解できるし、それが業界団体の考えている部分でもあるのだろうけれども、じゃあそれが実質的にどう影響しているのか、という部分まで踏み込んで考えることは難しい話ではある。だからこそ、業界団体は泥棒というメタファーを使いたがるのかもしれない。

この手の問題は、消費者を層別に見ないともやもやは取れないのかもしれない。「購入する意図があり、実際に購入する人」「購入する意図はあるが、購入せず違法ダウンロードする人」「購入する意図はないが、違法ダウンロードする人」「購入する意図はなく、購入も違法ダウンロードもしない人」の4者。最初と最後は何の問題もないけれど、この手の議論で一緒くたにされることで見えなくなっているのが、真ん中の2者。

まぁ、それを区別して議論することは可能だけれども、どうしても推測になってしまうので、建設的ではない部分もあるだろうけれどもね。調査しようとしても、結構難しい部分だろうしさ。

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 著作権者が何を怖がっているか、は、おれおれ詐欺を考えると良...
 著作権の問題で、どうしても消えないおかしな理屈が、沈んでは浮き、沈んでは浮くので、何がいけないかを書いてみたい。 ちょっと暴論になることまず謝りたい。 ただ、皮膚感覚的には非常に似ているので、ここで並べることを許して欲しいのだ。 多分、この感覚が分か..
2007.02.26 21:25 | hikaliの部屋
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