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豪州調査:海外番組の放送の遅延がP2Pの視聴者の利用を促す

豪州での調査によって、海外番組が豪州地方局によって、海外での放送から大幅に遅れて放送されることが、オーストラリアの視聴者を海賊に変えているんじゃないの?ということを示しているよ、というお話。もちろんこれは、英語圏であること、その放送の需要が非常に高いこと、放送が意図的に遅延させられていること、その期間が非常に長いことといった独特の条件によって引き起こされているようだ。

原典:smh.com.au
原題:TV program delays 'turning viewers into pirates'
著者:Asher Moses
日付:February 21, 2007
URL:http://www.smh.com.au/news/home-theatre/tv-program-delays-turning
-viewers-into-pirates/2007/02/20/1171733750719.html

海外テレビ番組が放送されてから、ローカル放送局がそれを放送するまでの大幅な遅延が、オーストラリア人を海賊に変える、とテクノロジー法律家であり、研究者のAlex Malikの調査によって明らかになった。

調査では、海外で最初に放送されてから、オーストラリアで放送されるまでのズレは、過去2年に渡って増加を続けていることが示された。

調査結果は、「119の現在、または今後(訳注:本国では放送されているが、オーストラリアでは放送されていないもの)の無料放送(Free-to-air, FTA:広告が含まれるが少なくとも無料で視聴できる放送)のテレビシリーズやスペシャルの代表的なサンプル」に基づいて行われたとMalikは言う。

オーストラリアで発表された新たな調査によると、オーストラリアにおいて海外テレビ番組を放送することの「大幅な遅れ」が、同国における海賊行為の増加に対して責任があるとしている。彼は現在、シドニー工業大学において、法学博士号取得の最終段階にある。

彼は以前、Australian Recording Industry Associationの法律顧問*1、そしてAustralian Communications and Media Authorityの上級法律委員*2であった。

Malikは、最近いくらかの改善-The O.C.といった番組は米国での放送の数日中に放送されている-が見られていることを認めつつも、全体としてみると遅延は更に長くなったと主張する。

「過去2年に渡って、オーストラリアの放送局の番組放送の遅延は、7.6ヶ月から16.7ヶ月と2倍となった。」と調査にはある。

Malikはまた、さまざまなインターネットフォーラム法でのテレビ視聴者のコメントをまとめ、こう結論付けている。「これらの遅延は、オーストラリア人に、海外からテレビ番組を違法にダウンロードさせるために、BitTorrentやその他のインターネットベースのP2Pプログラムを利用させる主要な要因である。」

彼は、番組を合法的にダウンロードさせることに抵抗する、オーストラリアの放送局の有り様を批判している。

「映画、音楽コンテンツのオーナーがますますデジタル消費者を満足させようとする一方で、オーストラリアのTVネットワークは依然として、彼らの番組の方針を変えることができない、または変えたとしても不本意ながら変えている。新しいデジタルベースのオプションを消費者に提示しなければ、彼らはお気に入りのテレビ番組が(大幅に遅れて)放送されるのを待ってはくれないだろう。」

海外のAppleのiTunes Storeのようなサービスは、多くのメジャーな米国ネットワークの多数のテレビ番組を提供している。しかし、これはオーストラリアでは利用できない。

Network Tenは、ヘッドスペースをここに作っている-彼らは番組が放送されるとすぐに、同社の最近刷新されたwebサイトでその番組をダウンロード可能な状態にするだろう、と同社のデジタルメディア統括マネージャDamien Smithは言う。

Tenは既にテレビ番組のダウンロード実験を行った。先日、彼らはSupernaturalの放送の5日前に、同シリーズの最初の2話の無料ダウンロードを提供した。

ABCもまた、webサイトを通じて、多くの番組をストリーミングで提供している。

*11997-2000年
*22000-2002年

この調査を行ったAlex Malikという人は以前にも同様の調査を行っている。

原典:CNET JAPAN
原題:地元テレビ局を出し抜く豪のPtoPユーザー--海外の人気番組を先行入手
著者:Kristyn Maslog-Levis (ZDNet Australia)
日付:2005/04/05
URL:http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20082413,00.htm

 Malikの調査によると、オーストラリアでは海外の人気テレビ番組が初放映されるまで平均して8カ月間待たなくてはならないという。また同氏によると、同国では夏季の視聴率が低く、その間に人気番組を放送すると視聴率が稼げず無駄になってしまうため、地元テレビ局は人気番組の放映時期を遅らせているという。  

 「視聴者が米国で放映されたテレビ番組をネットにアップロードできるのは、まさにこうした遅延のおかげといえる。それにより、米国以外の国の視聴者や番組を見逃した米国民も番組を見ることができる」(Malik)

個人的には、このような主張が通るのは、オーストラリアの比較的限定された状況があるからだと思う。英語を公用語とし、米国や他の英語圏のコンテンツの需要が高く、放送局の戦略によって意図的に遅延がなされている、という状況が、視聴者にBitTorrentをはじめとするP2Pファイル共有ネットワークからテレビ番組をダウンロードさせる原因となっているわけで。

なので、同様の状況にない国では、あまり当てはまらない話でもある。日本では、例え番組の放送が遅れても(放送されること自体少ないが)、海外でアップロードされた英語コンテンツを利用しようとしても言語の壁があるし、逆にそのコンテンツを最初に放送している米国で、最もP2Pを利用してダウンロードするユーザが多かったりもする。まぁ、限定された条件下で、違法P2Pファイル共有を促進する要因にもなりうる程度に見ておいた方が無難だろう。

とはいえ、このような放送の遅延が全くP2Pの利用に関係していない、というわけではないだろう。少なくともその一因として考えられている以上は、その対策を講じる必要に迫られる。

先日のエントリで紹介した、オーストラリアが最もBitTorrentの盛んな国であるという記事の背景には、このような事情があるのだろう。少なくともテレビ番組に関しては、上述の事情から、豪州ローカル局による意図的な遅延に業を煮やした視聴者が多いという可能性も否定できない。

では、そのような視聴者の不満を解決するためにどうするべきか、という点についてだけれども、一部地元放送局では、米国での放送後24時間以内の放送を開始していたり、 Tenは、放送後の無料ダウンロードを視野に入れたサービス展開を狙っている。もちろん、このような戦略が(米国本国の状況を考えると)違法ダウンロードをゼロにするわけではないだろうが、それなりの抑止力をもつことはありうる。

ちなみに、このようなダウンロードサービスの展開によって本放送の視聴率に影響を及ぼすのではないかという危惧は杞憂に過ぎないのかもしれない。ある調査によると、(違法に)ダウンロード可能であったとしても、そのことが視聴率の低下には影響しない可能性も示唆されている。

さて、このような事情は日本では通じない、と先ほど述べてはみたが、昔2ちゃんねるで見たある議論をふと思い出した。違法議論スレッドだったか、著作権のパラダイムシフトスレッドだったかは失念してしまったが(最近はダウンロードソフト板でそういう議論がないのは寂しい限り)、「アニメの多くは首都圏でしか放送されていないものが多く、地方在住の人たちはDVDが出るまで待たなければならないし、首都圏の人たちがタダで見れるものを地方に住んでいるというだけで(レンタルするにせよ、購入するにせよ)お金をかねなきゃいけないんだ!」という主張があった。

もちろん、それが違法ファイル共有を正当化するものではないが、言われてみれば確かにそうかもしれない。私自身は首都圏に住んでいるし、アニメにも大して興味はないので(ガンダムとか攻殻機動隊とかは好きです)このことがピン来るまでには時間がかかったが、どうも深夜の時間帯に放送されているコア層向けのアニメなどは地方局でも放送しないことが多いらしい。そのため、その番組の視聴を望む地方在住のコアなファンは、コストと時間的遅延を要求されてしまうようだ。

まぁ、向こうも商売なわけで、需要があるからといっておいそれとそれに対応できないのはしょうがないけれど、違法ファイル共有は深刻な問題だ!と散々わめいている割には、法によってユーザの選択肢を狭める方策を採り続けるだけである。本当にそれが海賊行為対策になりうるのか、と疑問に思う部分もある。そんなに深刻なら、現状を変えて、ユーザに少しでも歩調をあわせてみては?と思うのだけれども、それも不本意であるらしい。

常々思っているのだけれども、海賊ユーザに対して「モラルが足りないからだ!」とか言われているけれども、現状がモラルのない人たちによって引き起こされているのだから、それを嘆いたってしょうがないだろうと思う。いくら啓蒙しようが、もともとのモラルが欠けている人には届かないし、自己正当化しうる根拠が存在する以上は抑止することは難しいだろう。その後に及んでも、ユーザを自己正当化しうる根拠をなくする努力に至ることなく、ダウンロードを違法にしようなどと極端なところにまで行ってしまう。それ、最終的には自分たちの首を絞めることになると思うんだけどね。

閑話休題。この記事について、ZeroPaidは英国のSky TVを引き合いに出してこのような書き出しからはじめている。

2004年の英国Sky TVの失敗は、米国での放送から3ヶ月の遅延が、(SkyTVの3ヶ月遅れの)レギュラースケジュール放送に先行して Sci-Fi channel を視聴するために、P2Pファイル共有ネットワークを利用した広範な配布に繋がったという点で、人々に海賊行為に変わる合法的な手段を提供しないことによっておこることの最初の例としてみることができる。

Sky TVの経験は、明らかにオーストラリアの放送局の目に映ってはいなかったのだろう。Sky TVのほんの3ヶ月間の遅延に対して、オーストラリアの放送局による遅延は7.6ヶ月から16.7ヶ月に増加すらしている(これはBattlestar Galacticaといった番組で実際にそうなっている)!この過大な時間的遅延は、人々がテレビ番組を得るための「代価手段」を見つけ出すことを促すだけだろう。

Sky TVが失敗ってのは良くわからないけれど、事情が似通っている英国でも同じことがあったんだろうね。

関連エントリ
BitTorrentが最も盛んなのはオーストラリア
豪州の放送局Ten、放送した番組をネット配信する試みを拡大
豪州:TV番組のダウンロード視聴の増加
英国:TV番組のダウンロード視聴スタイルの増加
スウェーデン:ネットユーザの4人に1人がTV番組をダウンロード
Azureus、TV番組有料配信でBBCと提携

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Comment

うにちゃん | URL | 2007.03.03 13:34 | Edit
日本の地上波で放映される新作アニメに関してですが、1年間で
東京、大阪、愛知では100~120シリーズを観ることができるのに対して、
日本の半分以上の都道府県では、50シリーズぐらいしか観ることができません。
さらに、20シリーズ以下しか観ることができない都道府県が3分の1ぐらいあります。
人口比だと偏りは少しましになるでしょうけど、アニメに関しては地域格差はかなり大きいです。

私自身はアニメはあまり観ないのですが、地方のアニメファンの不満が大きくなるのは容易に想像できます。
(DVDの売り上げで利益を出すという現状のアニメのビジネスモデルだと、地方局での放映は割に合わないんでしょうけど……)
heatwave | URL | 2007.03.03 15:52
うにちゃん様、コメントありがとうございます。

それにしても結構な格差ですね。なんとなく知っていた話ではありますが、
そのような状況は詳しくは知りませんでした。ありがとうございます。

アニメ事情に詳しそうな友人に、その辺について話を聞いてみたところ、
・キー局であっても深夜の放送だと地方局が買ってくれないことが多い、
・テレ東のアニメ枠を作ってくれる地方局が少ない
との事情もあるらしく、やはり地方のアニメファンには厳しい状況なのでしょうね。

かといって、その一部の人達が違法ファイル共有に流れていくことを致し方ない、とは思いませんが、そのような状況が違法ファイル共有を促す、という現状を否定することもできません。現状ではそのような行為に対して、その手段としてのP2Pファイル共有を塞ぐことで対処しようとしていますが、そのような対処が根本的な改善に向かうかどうかは疑問です。もちろんそれも必要なことではありますが、それと同時にユーザに別の選択肢(権利者にとって相対的に望ましいもの)を提示してそちらを選択させることも必要だと考えています。

まぁ、他人のビジネスですから口を挟むなといわれればそうなのですが、あまりに「被害が甚大だ!何とかしなければ!」とわめき、一般のユーザをも巻き込むような対策を打ち上げている彼らを見ていると、そういわざるを得ない部分もあります。

その点で、このオーストラリアのケースは非常に興味深いなぁと思います。現状でも全体としてはまだ足りないといわれてはいますが、Tenのようによりユーザライクな方向に向かっているところもあります。Tenの戦略によって、視聴率や当該番組への影響がどうなるのか、その結果が今後の試金石にもなりうるかもしれません。少なくとも、恐怖を与える戦略だけでは、米国を見る限りでは促進効果>抑制効果なのは明白です。

タダで見せることを一時的な損失(私は損失とすら考えていませんが)とだけ考えず、長期的に見て利益に繋がる(視聴機会の増加がDVD売上の増加や関連商品の売上の増加)に繋がると考えた方がいいんじゃないかなぁと思うわけです。
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