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違法ファイル共有ユーザは金のなる木:RIAAの新たな和解プログラムは、新たなビジネスか(3)

前のエントリでは、大学生をターゲットにすることがいかにRIAAにとって都合が良いかについて述べた。このエントリでは、そのような状況を利用し、RIAAが具体的にどのような手段を用いているのか、そしてそのやり方がいかにRIAAによって都合がよく、利益を上げることができるかを考えてみるよ、というお話をしたい。簡単に言えば、リスクを負わず、手紙1つでお金を振り込ませることができるというところだろうか。

原典:TorrentFreak
原題:RIAA’s Online Settlement Receipt: Thanks for your Money
著者:Ernesto
日付:March 05, 2007
URL:http://torrentfreak.com/riaas-online-settlement-receipt-thanks-for-your-money/

現在、P2PLawsuit.comは、あなたのお金をRIAAに手渡すために、簡単な4ステップのプロセスを提供する。これは、匿名のブロガーがRIAAに3,456.23ドル支払った後に受けた確認メッセージである。

「あなたのお金をありがとう。将来のビジネスを楽しみにしていてください。」


私は賭けてもいい、これは「easy money(ぼろ儲け、あぶく銭、楽に手に入るお金)」であると。その支払いにPaypalが利用できるかどうかはわからない*1。ただ、彼らのスペルについて、突っ込むことはできる*2

4 step process

先週、RIAAはオンライン和解webサイトを開始した。それは、人々が法廷に引っ張り出される前に、RIAAとの案件を解決することを可能にする。本当の訴訟をする余裕のない多くの人達から、できるだけ多くのお金をかき集めたい、という彼らの本心が再び示されたというところだろう。それは正義ではない、お金なのだ。

RIAAは、過剰な罰金の支払いを背景に、人々(生死を問わず)を脅迫する。彼らはしばしば、人々に3,000~5,000ドルの和解の機会を提供する。それは人々を文無しにさせるか、本当の訴訟を回避させるものである。当然のことであるが、RIAAの犠牲となるほとんどの人達は、単にRIAAに反撃するだけのお金を持っていないために、和解を選択する。

それによってRIAAは、被告が本当にP2Pファイル共有において著作権で保護された楽曲の著作権を侵害したかどうかを証明することなく(RIAAはしばしばそれを立証することができない)、お金を得る。これはRIAAにとってはすばらしいものだろう。しかし、それが法制度において有効であると考えられるやり方ではない。

*1より簡単に支払える方法としてPaypalも使えるんじゃないの?ということ。easy moneyを手にしたいなら、それもいいんじゃないの?という皮肉だろうか。
*2 「Reciept」ではなくて「Receipt」

以前紹介したMPAA、RIAAらによるフェイクファイル作戦を思い出して欲しい。彼らは、フェイクファイルをホストするトラッカーをたて、そのフェイクファイルをダウンロードしたユーザをトレース(IPを取得)する。そしてそのユーザが著作権侵害をしたとしてISPに警告状を送付している。警告状はISPを介してユーザの手元に届けられる。しかし、フェイクファイル自体著作物であるわけではなく(著作物であったとすれば、一次アップロードした側(つまりMPAAらに雇われた団体)の責任が問われる)、そのダウンロードを元に著作権侵害を訴えるのは、まったくもって的外れなのである。

このフェイクファイル戦略のキモは、ユーザが著作権侵害にかかわったという証拠を集めることなく、訴訟への恐怖を背景にしてユーザを脅迫することができる、ということである。一部ISPはこのMPAAらの言い分を鵜呑みにしてユーザに警告状を送付している。ISPから転送された著作団体による警告状はユーザにとって非常に深刻に受け止められるだろう。著作権団体からは「証拠は握っているぞ」といわれ、しかもISPがそれにお墨付きを与えているのである。しかし、その主張にはなんら妥当性はなく、実際に訴訟に持ち込んで勝てるほどの証拠があるわけでもない。

しかし、さらに状況が深刻なのは、RIAAら著作権団体はこれまで、大した証拠もなく人々を提訴している、ということである。実際に裁判で争っているケースでも、複数のものが証拠不足によって話がこじれており、被告の責任を問えない、逆に被告に裁判費用を支払うよう命令されたりもしている(しかも、その命令を不服として再審理申し立てを行っている)。

私が推測するに、おそらく彼らは法廷での絶対的な勝利を求めているわけではないように思える。もちろん、勝てるに越したことはないのだけれども、それ以上に恐怖を植えつけることを目的にしているのではないかと考えている。つまり、勝っても負けても(特に負けた場合に)、被告となった人々の人生をめちゃくちゃにしさえすればいい

被告として法廷に立つ、そして苦労の末RIAAに勝利する。しかし、その彼、彼女には何が残るだろうか。その彼、彼女は、生活・お金のほとんどを捧げてRIAAに挑まなければならない。それでもRIAAのもつ、莫大な資金力、弁護士軍団、法的ノウハウなどを考えれば、相当のコストを要する。彼らの持つほとんど全て、だ。しかし、一方でRIAA側からみれば、彼らの活動全体の中のほんの些細な部分でしかない。たとえ被告たちが勝利したとしても、彼らが得られるものはほとんどなく、信頼、時間、生活そしてお金を失うことになる。

このような状況を作り出すことが、RIAAにとってどんな意味を持つのだろうか?その答えこそ、今回の前訴訟警告状とその支払いのためのwebサイトにあるのだろう。まず、この前訴訟警告状によって、ユーザはどのような段階を持つのかについて考えてみる。

まずはじめに、ユーザは提訴前の和解を要求される。それを拒否すれば、ユーザは提訴されその時点で和解を要求される。さらにそれを拒否すればユーザは裁判で争うことになり、最終的には、勝っても負けても人生はめちゃくちゃという状況になる。

結論を言うと、RIAAが望んでいるのは和解であり、それをビジネスにしようとしていると考えられる。たとえ、ユーザの人生を滅茶苦茶にすることが1つの意義を持つにしても、その数はそれほどは必要ではない。多くなればRIAAのやり方に対する批判が高まるし、負けが混んでくるとその正当性すら揺らぎかねない。現在抱えているKazaaユーザ裁判だけでも人身御供としては十分だろう。 そして、裁判に持ち込まれれば勝っても負けても人生が滅茶苦茶にされてしまう、という恐怖を植えつけたことが、ユーザとの和解を容易にする。

また、訴訟を起こす前に警告状を送りつけるという戦術も、非常に巧妙だ。表向きは、「提訴することによるコスト(費用)を回避することで和解金を安く済ますことができる」とか、「学生を訴訟に引きずり出さずに済む」などと、あたかも学生のことを考えているかのような物言いだが、実際の狙いは別のところにある。つまり、この戦略が学生以上にRIAAによってメリットがあるということ。RIAAが本当に回避したいのは、訴訟にかかわるコストではなく、リスクなのだ。

2003年から始まるKazaaユーザの提訴では800人以上が訴えられ、そのほとんどが和解を選んだ。しかし、少数ではあるがそれを拒否した人達がいる。そうしてRIAAは持てる力を全ていかしてユーザを追い詰め、人々の恐怖心を煽ったけれども、RIAAにしてみれば、先述の理由からこれ以上の無駄な訴訟は有益ではない。であれば、訴訟を避けつつ、ユーザとの和解を容易にする方法が必要になる。それがこのような手法なのだろう。

さらに、この戦術がRIAAにとって都合のいい点は、たとえこの前訴訟警告状を送付したからといって、必ずしも訴訟に踏み切らなくてもよいということである。つまり、前訴訟警告状を送付したとしても、(裁判において)都合の悪い、つまり大した証拠がない相手への訴訟はしなくて済むということである。これが何を意味するかというと、たとえ証拠がなくても誰彼かまわず警告状を送付できるということである。それで恐れをなして和解してくれればこれほどおいしいことはない。これまでは、都合の悪い相手から和解を拒否されれば、RIAAとしては訴訟に踏み切らざるを得なかったという状況があった。少なくとも提訴することで、そのケースの成り行きはメディアによって衆目に晒される。そんな中で、都合が悪いので取り下げます、などとはいえなかったという状況もある。しかし、この方法であれば、衆目に晒されることもなく、RIAAは必ずしも訴訟を起こす必要はない。その中で、明確な証拠がない相手への訴訟は回避し、勝てる裁判だけを選択することも可能なのだ。それによって、この手法が有益であることを示そうとするだろう。なぜなら、都合の悪いケースは表に出ないのだから。

もちろん、もし20日以内に和解するか拒否するかの返答をせよ、という要求をしている以上、もし訴訟を起こさないのであれば、それこそ法的に問題があるとみなされるだろう。しかし現実には、普通の学生が訴訟を起こされなかったからといって、RIAAを逆に提訴する、もしくは抗議するということはあるだろうか。おそらくないだろう。そのようなことも見越しての算段であるとも考えられる。

さて、上述した和解サイトでの決済の額がどのようにして決められているかはわからないが、日本円にして40万円といったところだろうか。RIAAはこの前訴訟警告状を毎月数百件送るつもりであるという。曖昧な数字だが、1つの仮定としてこれを600通としよう。それが毎月なのだから、1年にすると、40万円×600通×12ヶ月、年間30億円近くなる。月に100通増やすと大体2億500万円くらい転がり込む計算だ。

このビジネスのためにRIAAが行うことを考えてみよう。とあるP2Pファイル共有調査会社を雇い、IPと該当ファイル名を控えさせ、そのISP(今回は大学)に対して警告状(雛形にサインしただけの手紙)を送付する。そして、和解のためのwebサイトを構築して、振込先を開設する。そう、それだけだ。場合によっては、訴訟になるのだろうけれども、それも勝てる相手だけを選んで訴訟に持ち込めばいいのだ。莫大な資金と強力な弁護士軍団が、最高の、そして常人には決して理解されない汚い方法を用いるのだ。明確な証拠があればいくらでも追い込める。しかし、この戦略は拒否されたところで、必ずしも訴訟を行わなければならないわけではない。確固たる証拠はなくてもとりあえず警告状を送りつけて、相手がビビッて和解してくれれば万々歳である。

こんな簡単な、リスクを負わないやり方で、莫大な額が転がり込んでくるのだ。こんな楽な商売はない。それも表向きは著作権侵害対策と言い張れるのだ。



しかし、RIAAのターゲットにされる人達が全く落ち度がないかといわれれば、ほとんどの人はそうではないだろう。おそらくは身に覚えがあるために、このような戦略にはめられてしまうのだろう。私がこのようなエントリを書くのは、少なくともそのような人達を擁護するためではなく、たとえ違法ファイル共有ユーザであっても、そのようなやり方をするRIAAに対する憤りからである。以前のエントリにもあるように、違法ファイル共有ユーザは、一般にはあまり同情を引くものではない。よっぽどのひどいやられ方をいない限りは、味方にはなってくれないのである。

**追記**
訴訟が起こされる前に金銭で解決することを、正確には和解とは言わないかもしれないけれども、本エントリでは理解を容易にするために、前訴訟段階での金銭による解決を和解とした。もし、明らかな間違いであれば指摘していただければ幸いである。

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