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P2Pファイル共有が海賊業者を駆逐する:ある海賊業者の告白

たまに見かける露店でのソフトウェアやゲームの海賊盤の販売を行っている業者が、P2Pファイル共有についてどう考えているか、というお話。結論から言えば、P2Pファイル共有の発達と共に彼らの収入は減少し、最終的には廃業に追い込まれてしまったようだ。直接的にその影響をはかったものではないけれども、彼らの考えとしてはP2Pファイル共有による影響が大きいと感じているのだろう。

原典:TorrentFreak
原題:P2P File-Sharing Ruins Physical Piracy Business
著者:enigmax
日付:March 17, 2007
URL:http://torrentfreak.com/p2p-file-sharing-ruins-physical-piracy-business/

もし、MPAAやRIAA、IFPIの言葉を信じるなら、ファイル共有は世界中に荒廃をもたらし、何億ドルもの損害を与え、失業を引き起こす。一部の人達がP2Pから負の影響を被っていることは事実としてある。そう、『物理メディアの海賊版業者(physical pirates)』と呼ばれる人達のなかには、彼らの仕事がファイル共有によって奪われたという人もいる。

1990年代、Tonyは英国ワークマーケット、ガレージセール、パブなどで海賊業者人生をスタートさせた。彼は、偽造のPCアプリケーション/ゲームや、コンソールディスクの海賊盤を低価格で販売した。「当時の利益はものすごいものだったよ」と彼は過去を振り返る。「PSXのゲーム2本で25ポンド(48ドル)、最新のユーティリティを焼いたCDR1枚で15ポンド(29ドル)。海賊盤を作るのがおっつかないくらいに、飛ぶように売れていたもんさ」。彼の小さな事業は順風満帆に見えた。まもなく、彼は週に1,000ポンド(1,942ドル)の利益を得るようになる。

Tonyによれば、毎週土曜と日曜の朝に行われる地方のフリーマーケットの開始から2時間が、常に最もエキサイティングであったという。「60枚のCDRをバン(車)に乗せてフリーマーケットに向かった。到着するやいなや、客が群がってきたもんさ。他の業者もいなかったしな。客はみんな俺から買っていた。30分もすれば、だいたい9割近くは売れていった。客は2,3枚ずつ購入してたよ。おそらく売るつもりだったんだろう。3時間もたてば全部売り切って家路に着く。いつも売上をたっぷり抱えてな。」

2001年までに、Tonyは工場を借り、従業員を3人雇い、1日24時間、1週間休みなくデュプリケーター(CD複製機)を稼動させ続けた。しかし、2004年までは好調だったものの、利益は年を追うごとに次第に絞られてきた。利益の不足分を補うために、海賊版を増産せざるを得なくなった。この変化はビジネスが問題を抱えていたことを意味していた。つまり、需要は劇的に落ち込んでいたのだ。

「2005年、俺たちは工場を閉鎖した。そのやり方では続けられなかったんだ。もはや何枚も買ってくれる客なんていなかったんだから。俺たちは店じまいして、デュプリケーターを回してた妻と妻の妹(そのころにはもう何年も何もしていなかったけど)と家にこもった。彼女たちは幸せじゃなかっただろうな。」とTonyは語る。

Tonyは贅沢三昧の人生を謳歌していたものだった。美しい家、高性能な車、エキゾチックな海外での休暇、高級なレストランと芳醇なワイン。私がたまたま彼に出会ったとき、彼はオーバーオールを着て、フォークリフトトラックに座り、箱を製造する工場で働いていた。1杯のお茶をすすり、彼は説明してくれた。「もう収支が合わなくなった時点で理解したよ。2ダースのデュプリケータも稼動させられなくなった。それで終わりだよ。俺は仕事を探した、家内もな。で、家内は美容師に戻り、俺も前の仕事に戻ったってわけさ、倉庫での仕事だよ。小さな家に引っ越して、身の丈にあった車に載らなきゃいけない。何もかも変わっちまったよ。」

極貧から金持ちに至る物語の結末、再び極貧に戻らなければならなかった理由を、彼はよく理解している。「ファイル共有、P2P、そうあんたらが好きなもんさ。客になんで(海賊盤を)買わないか聞いてみりゃわかるよ、十中八九『これはBitTorrent、あれはLimeWire』って答えが返ってくるだろ。しかも、パソコンユーザはみんな高速ブロードバンドと(CDやDVDを)焼ける環境があるんだ。俺が廃業して、他のやり方で生計を立てなきゃいけなくなった理由は良くわかるだろ。俺はしばらくの間、ずいぶんいい目を見てたんだな。まさかこんな生活に逆戻りするなんて思いもしなかった。」

P2Pは非常にパワフルなマシンである。Tonyは彼の事業がP2Pの影響を被っていたことを理解していたが、それに対して手をうつことなく、何もしなかったことを認めている。その結果、彼のビジネスは廃業せざるを得なかった。P2Pに影響を受けるほかの産業は、このことに注意しなければならないだろう、『Tonyになるな』ということを。あなたのビジネスモデルを徹底的に見直すべきだろう。早急に。

海賊業者がP2Pに対してどのような目で見ているか、という点については非常に面白い記事であった。1つのドキュメンタリー番組を作れるくらいの、非常に面白い内容である。

やはり、P2Pファイル共有の存在が、彼らの商売敵になっているという側面が非常に大きいのだろう。それが旧来の海賊業者にとって非常に厄介であり、、売上の多くを奪う存在である。しかし、ヤフオクなんかを見る限りでは、現在の海賊業者の中にはP2Pファイル共有で手に入れたソフトウェアを売っている人達も多いだろう。これが筆者のいうところの、ビジネスの見直しの1つなんだろうか。ちょっと腑に落ちないところもあるけれど。

しかし、如何にP2Pファイル共有を利用した海賊ビジネスに転換したところで、人々がP2Pファイル共有について知るようになれば、必然的に彼らのビジネスは破綻をきたすようになるだろう。ある意味では、P2Pファイル共有によって海賊業者を衰退させることができるとも言える。ただ、それが全てが解決するかといえばそうではない。先日のアンチDRM広告にもあったけれど、「時として、ソリューションは問題よりたちが悪い」ということもある。映画盗撮問題などのように、海賊業者が主にソースの提供元になっている場合には、P2Pファイル共有を含めた市場全体の衰退は見込めるだろうけれども、ソフトウェアやDVD、ゲームのように一般の人が容易にコピーできるものに関しては、単純にユーザの手元に届く過程が変化しただけとも言える。

それはさておき、筆者は最後に苦言を呈している。P2Pファイル共有に影響を受けている産業と間接的な言い方をしているけれども、彼の指しているところは、音楽、映画、ビデオ、ゲーム、ソフトウェアといったコンテンツ産業だろう。確かに、それらの産業の多くは、自らのビジネスモデルを大幅に変えることなく、海賊行為を撲滅することで問題の解決を図ろうとしている。それはそれで1つの解決策ではあるのだろうけれども、実際には大した効果も上がっていないのが実情であり、そのくせ大した効果も上がらない一般ユーザの締め付けばかりが目を引く。

では、コンテンツ産業はどうすればよいのだろうか。確かに変わるべきだとは思うけれども、かといってどう変わるべきなのか、という道筋は見えてこない。もちろん、十把一絡げに同じことをすればよいわけでもなく、それぞれの状況によってすべき対策は異なる。良質のものを製作すれば、みんな対価を払うという回答をよく聞くけれども、私個人としては、良質ではないものですら違法コピーされている現状で、良質なものが違法コピーされないという未来を想像できるかといわれれば、そうは思えない。良いものを作るべきだ、という話は別次元の話だと考えている。もちろん、金を払うまでもないけどとりあえず試してみたい、という気持ちはわからなくもないけれど、それはそれでその人にとっての良質なコンテンツなのである。あくまでも言い訳に過ぎない。

さてさて、音楽や映画、ビデオなどに関してはこれまで散々述べてきたので割愛するけれども、じゃあTonyが扱っていたゲームは?ソフトウェアは?となると難しい。ゲーム産業もソフトウェア産業も相対的にはユーザライクな対策を採り続けてきた。確かにソフトウェアに要求されるネット認証は面倒だし、個人情報を握られ、管理されている感覚は良いものではない。しかし、そのことはユーザの利用の範囲においてそれほど大きな影響を及ぼしてきたわけでもない。ゲームに関しては、コピーされないようにという予防的な手段が主だったと思う(もちろん、それによって動作がおかしくなったという例もないわけではないけれど)。

「違法コピーをさせないくらいに魅力的なモデルを構築する」確かに、この言葉は理想としては非常に受け入れられる。しかし、これは目標であって具体的な手段はなんら伴っていない。音楽やビデオのようにまずできることがある(DRMを外すなど)産業はそうするべきだとは思うけれど、かといってこれ以上手詰まりな産業だってある。もちろん、価格を下げるとか、ネット上でのダウンロード販売を容易なものにするとか、方法がないわけではないけれど、それぞれにリスクが伴う。違法ファイル共有の撲滅のために、自らの基盤を大きく揺るがしてしまうのでは本末転倒だろう。

ただ、現状に至っては違法コピーが不可避なものである、ということから目を背けることはできなくなっているのも事実だろう。それが今後も加速を続けるのか、何らかの方法で抑制されるのかはわからないけれど、少なくとも加速を続ける限り、何かしらの対策をとらなければいけないというのは同感だ。ただ、どうすればよいのか、についてはなんとも難しい問題である。

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