スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

違法ファイル共有ユーザに対するドイツ人的追跡方法とその効果を考える

Promedia.jpg違法ファイル共有ユーザに対する20,000件にも上る訴訟が行われているドイツだけれど、そのドイツでのP2Pファイル共有ユーザ追跡の方法についての記事を紹介するよ、というお話。国民気質というべきか、オートマティックなスキャンによって著作権侵害を発見しようとする米国とは異なり、全て人の手によって、違法ファイル共有の証拠を掴んでいるらしい。総勢130名弱。それによって、数多くのユーザが訴訟に直面することになったけれども、依然としてファイル共有の勢いはとどまることを知らない。このような法的な圧力によって抑制効果があるかどうかについては議論の分かれるところだろうけれど、少なくともファイル共有を促進する他の要因に相殺されている、または負けているというのが現状のようだ。

原典:P2P Blog
原題:Hunting down P2P users with German Gruendlichkeit
著者:Jank0
日付:March 16, 2007
URL:http://www.p2p-blog.com/item-261.html

ドイツのc't誌は最近、ファイル共有ユーザに対するドイツでの訴訟のセンターステージにいるPromediaと呼ばれるローカル企業に関する、興味深い記事を掲載している。

Promediaの創設者Clemens Raschは、IFPIドイツ支部の主席顧問であった。彼は自身の法律事務所の設立のため、2003年に産業協会を去った。そして、偶然にも、PromediaによってIPアドレスが記録されたP2Pユーザに対する訴訟も扱っている。つまり、結局は身内だということである。

c'tの記事は、BayTSPのような米国ベースの企業との違いを理解するのを容易にする、Promedia内部の役割について、いくつかの興味深い点を詳細につづっている。記事によると、BayTSPのような米国企業は、P2Pネットワークの自動的なスキャンを主に用いる-そのようなプロセスは、時おり不味い間違い(訳注:この記事の日本語版はこちら)を犯すこともあることが知られている。

Promediaは、オートメーションよりもドイツ人的徹底性(訳注:ドイツ人の国民性)を好むようだ。彼らは手動でファイル共有犯罪者を探し出すために、86名の人々を雇っている。さらに、30名のフリーランスのP2P探偵が同社で働いている。つまり、FastTrack/Kazaa、Soulseekといったネットワーク上のMP3の侵害を調査する、約120名の人達がいるということである。

c't誌によると、このような努力の成果は、将来の1日150~200件の訴訟であるという。これは、典型的なPromediaの従業員が、8時間の労働時間の全てを、1人のファイル共有ユーザを捕らえ、訴訟に必要となる証拠を集めるのに費すことを意味する。

同社によって集められた証拠は、ファイル共有ユーザに対する3,500件の示談と、50件の判決に繋がった。そして、15,000件が未だ係争中である。Promediaは、(訳注:米国でのKazaa訴訟で起こったような)間違いを犯したことがないことを誇っている。つまり、記録されたIPアドレスに関して集められた証拠が、一切の誤りがなかったということである。しかし、あなたがシーソーの右側にいるのであれば、言うのは簡単だろう。つまり、まさにアメリカの場合と同じように、訴訟での係争は相当な経済的コストがかかるため、多くの人にとって和解の選択が唯一のオプションである、ということだ。

米国との類似点が、もう1つある。それは、Promediaの働きによっても、ファイル共有全体に及ぼす影響はかなり小さい、ということである。P2Pが依然として、ドイツの全インターネットトラフィックの50-80%を占める

以前のエントリでも述べたように、違法P2Pファイル共有ユーザに対する訴訟攻勢によって、違法ファイル共有が劇的に抑制されるということはないようだ。贔屓目に見ても、一時的な抑制効果しか期待できない。見方によってはipoqueの調査結果からは、単純に訴訟攻勢が行われたプロトコルから別のプロトコルへの乗換えが生じるだけ、でもある。解釈はそれぞれだけれども、依然として違法ファイル共有が抑制されてはいないということはいえるだろう。

筆者は、米国のような自動的なスキャンを利用しない、人の手による調査であっても、実際のところは間違いがある可能性がないわけではない、ということを匂わせてはいるが、少なくとも人の手による精査な情報収集の方がマシという部分もある。もちろん、件数が多くなれば、不正確な情報をもとにした訴訟の危険性もないわけではないけれどもね。ただ、ここまでひどい間違いはないとは思うけどさ。

余談ではあるが、ドイツにおける違法ファイル共有訴訟についての問題は、この点だけではない。ドイツでは、違法ファイル共有ユーザに対する民事訴訟を行うための個人情報収集の手段にも問題がある。ユーザの身元を明らかにするためにいったん刑事訴訟を起こし、それによって判明した個人情報によって民事訴訟を起こす、というものだ。法的に問題があるわけではないが、彼らの目的が民事訴訟であることを考えると、刑事訴訟の手続きを悪用した、個人情報の取得、とも考えられる。著作権団体にしてみれば、ユーザの身元の開示を求める裁判を起こし、ユーザの情報をISPに照会するためのコストを支払うことはなくなる。一方で、そのコストは刑事手続きの中で行われるために、税金からまかなわれることになる。

個人的には、普通の市民といえども違法ファイル共有ユーザなわけで、それを考えると身から出た錆というように思えるけれど、ただこの著作権侵害問題を解決するということを考えたときに、ただ単に訴訟を行い圧力をかけることだけでは、なんら効果が上がらないのが実状である。確かに、訴訟や法律を背景にした抑制策は必要ではある。それがなくしては抑制効果は生まれないが、それだけに頼っても、抜け道を探したり、自分は大丈夫だという過信から利用を続けたり、という状況を変えることは難しいだろう。片輪だけではうまくいかないのは、これまででよくわかったはずなんだけどね。苦肉の策として、訴訟による抑制効果が一時的なものだと認識した上で、訴訟を継続して起こすことを決めたドイツ著作権団体。最後の手段のような気もするけれどね。

関連エントリ
P2Pファイル共有民事訴訟のための刑事訴訟の利用?:ドイツ
ドイツ、P2Pファイル共有調査:法的攻撃はファイル共有ユーザを減少させるか
ドイツ:来年から1ヶ月に1,000人のP2Pファイル共有ユーザを告訴する

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/322-8e7eecee

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。