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私が海賊になった理由

なぜ海賊行為をするのか?これについては、人それぞれいろいろな理由があるだろう。ある人は、お金を出してまで欲しいわけじゃないから、とか、ある人はレアなもので市場にも出回っていないんだ、とか、エンコードする手間が面倒だとか、DRMがついているのは嫌だとか、さまざまあるだろう。今回は、ある音楽好きの男が、どうして海賊行為を選ばざるを得なかったかについてのお話。彼は海賊行為を行わない善良なリスナーであった。しかし、彼を変えたのは、CDにすることも、PCで再生することも、iPodに転送することも出来ないDRMであった。彼は思いのたけを手紙につづって、そのレーベルに送ったのだけれども、「450 Server configuration problem」というエラーが返ってくるのみ。その思いのたけをぶちまけたいということで、The Consumeristに送ったのだそうだ。

原典:The Consumerist
原題:How I Became A Music Pirate
著者:Jarrett (記事筆者はMEGHANN MARCO)
日付:March 20. 2007

手紙は、はじめに男と音楽との関係について述べられている。いかに彼が音楽業界にとってよいお客さんであったか、について切々と説明している。彼の人生の40年間のほとんどが音楽に費やされており、レコード、カセットテープ、8トラック、CDと彼の生きた時代に存在した全ての媒体、全てのタイプのものを彼は購入してきたという。メディアが変わったことによるリイシューすら購入してきたと。

その彼がこれまでのコレクションをiPodに転送していたときのこと。iPodからiTunes経由で転送しているため、音楽を聴けない状況だった彼は、転送中の楽曲のアーティストの解散後の動向をインターネットで調べたのだそうだ。そして彼はそのアーティストの未発表の音源のコンピレーションがネット配信でのみ公開されていることを知った。Googleで調べてみると、とあるブログでMP3をアーカイブした.zipファイルへのリンクを見つける。しかし彼は、たった10ドルで高品質のWAVファイルを得ることが出来るわけだし(これは彼の勘違いであったのだろうが、後々それが問題となる)、それにそのアーティストも経済的に成功したわけでもないし、お金を払わないのもどうかなと思い、改めて正規に購入できるところを探した。

そうしてRhinoのオンラインストアでファイルを購入することになる。しかし、いくらiPodに転送しようとしてもうまくいかない。何度ダウンロードしなおしても(1度のダウンロードに12分もかかったのだそうな)。それもそのはず、そのファイルは.wmaファイルだったのだから。さて、なぜiPodに転送できないかを理解できない彼は、Rhinoのカスタマーサポートに電話をする。

そうして私は、Rhinoのカスタマーサポートに電話し、8分間待たされた後、スタッフを話をしました。彼女は、ファイルはコピープロテクトがなされているため、私はそのファイルを特定の音楽プレイヤーで再生することしか出来ない、と伝えられました。そして、その特定のプレイヤーはiTunesではないことも。

私はこういいました。「あなたは理解していませんね。これらのファイルはコピーされたものでも、侵害されたものでもありません。実際に私が購入したものですよ。」と。

「えぇと」彼女は答えました。「実際にはあなたはファイルを購入したのではありません。あなたが本当に購入したのは音楽を聴くライセンスです。そのライセンスは、どのようにそれらのファイルが再生されるか、聴かれるかについて、非常に制限されたものです。」

私は困惑しました。「レコードにはそのような制限はなかったではないですか」と私は言いました。

「えぇと、それにつきましても、その時代からそのような考えはありました。しかし、私たちは当時それらのライセンスを適用することができませんでした。そして現在、私たちはそうすることができるようになったのです。」と彼女は答えました。

その後彼女は、その楽曲をCDに焼くことができ、通常のCDプレイヤーで再生できるが、PCでその楽曲を聴くためにはWindowsベースのプレイヤーを新たに必要とするという説明を続けました。しかし、どちらの方法でも、iPodで再生する方法はないと説明します。

欲求不満のまま電話を切り、私は楽曲をCDに焼くためにWindowsアプリケーションの検索を始めました。Neroをダウンロードし、それを起動させた後、私が購入したはずの楽曲のライセンスを見つけることができないという新たなエラーメッセージを見たときの私の憤りを想像してみてください。

私は再びRhinoに電話をしました。このとき電話に出たのはCSR部門の若い男性でした。彼は私が音楽をCDに焼くためには、ライセンスのアップデートが必要であると説明しました。しばしばファイヤーウォールの暗号化スキームによって、ライセンスが転送されず、ファイルだけが転送されてしまうのだといいます。私が誇張して言っていると思われるかもしれませんが、実際に彼らのFAQに以下のような文章が記載されています(明らかに、これは彼らのFAQでの言及を正当化するという非常に大きな問題です)。

1. 一時的に、コンピュータ上の全てのファイヤーウォール、ポップアップブロッカーを停止させてください。

2. もう一度ダウンロードを試みてください。

もし、それでもライセンシングについての問題が改善されてないのであれば、以下のURLからあなたのコンピュータのデジタル著作権管理(DRM)のコンポーネントをアップデートしてください: http://drmlicense.one.microsoft.com/Indivsite/indivit2.htm

それからフレンドリーなCSRスタッフは、私に再度ファイルとライセンスをダウンロードするよう提案しました。そして、私が不運な(訳注:ライセンスを取得できない)環境にあるのであれば、ローカルなコーヒーショップ、図書館、職場のPCといった他のプロバイダからのインターネットアクセスを行うよう提案したのです。

「基本的には、ライセンスが問題なく通過できるゲートウェイを見つけられるまで、楽曲のダウンロードを続けてください。」

何か気の利いた言葉で答えようとしたが、そのときの私は完全に当惑しきっていました。そこで私は諦めました。忠実な音楽ファンは、財政的問題を抱えているというビジネスに実際にお金を出します。そして彼らのできる最大のことは、私に既に支払いを済ませた音楽をダウンロードさせてくれるインターネットプロバイダを探すためにシアトルの町を歩き回るよう私に伝えることでした。私は支払いを済ませた音楽を聞くために3軒ほど廻りましたが、それでも依然として利用できませんでした。

一体どうすればこんなことになるのでしょう!?!?

率直に申し上げて、これがあなた方に出来る最大限のことなのでしたら、あなた方のビジネスは本当に、本当に深刻な問題を抱えているといえるでしょう。

つまり、コークが特定のコカコーラ社に認可された機器からしか購入できず、そしてコカコーラ社の人達が望む特定の消費のされ方以外が許されないとしたら、消費者がどう反応するかを想像して欲しいということです。「ファーストフードと一緒にコークを飲むことは問題ありません。しかし、私たちはあなたのライセンスではコークとアルコール飲料を混ぜ合わせることを禁じているということを警告しなければなりません。」

結局、私はいかなる方法をもってしても音楽を再生することが決して出来ませんでした。私のPCでも、CDでも、iPodでも。私は10ドル(と数時間)を費やしました。しかし、私が得たものは何もありません。

これに対して激怒していると言いたいところですが、結局はこの過程を通じて非常に悲しく落ち込んだ気持ちになったことを認めざるを得ません。つまり、私は音楽に育てられました。私は音楽に救われました。私は(かつて)音楽のために生きていました。Lester Bangsは私のアイドルなんかじゃありません、私のソウルメイトです。

私は人生の大半を音楽を集めることに捧げてきました。音の悪いレコードでも、カセットでも、8トラックでも、CDでも全てのジャンル、スタイルのものを収集しました。それらのもの(媒体)は現在、ほとんどが過去のものです。音楽は具体的な存在から、利害関係者にまるで金塊のように守られた0と1の形のないコレクションに進化しました。なんと悲しいことでしょう。

私はRhinoや同様の立場にいる人達に、今後このようなことを繰り返さないよう気に留めて欲しいと願っています。しかし・・・それでも信じきれないのは、20年前、絶頂期のRhinoにいたようなクールな人達は、このような不条理なことを許すほど、冷淡でも、愚かでも、浅慮でもなかったということです。

これ以上音楽ビジネスに付き合って時間を無駄にしたくはありませんので、私は私自身を変えることにしました。今後は中古CD、レコードを購入するか、友人から新しいCDのコピーをもらうことになると思います。

それを海賊と呼んでください。あなた方が呼びたいように呼んで下さい。でも、私は少なくとも試したのです。私はあなた方に何度もチャンスを与えました。そして、あなた方はその全てのレベルで惨めに失敗したのです。

Jarrett

唯一の救いは、彼が見つけたzipファイルをダウンロードせず、P2Pファイル共有による違法ダウンロードをしようとしなかったことだろうか。ただ、音楽業界にしてみれば、善良なるリスナーを1人失ったのである。業界よりの人はこの手紙を見れば、かわいそうだけれども著作権の保護のためにはやむ終えないことであるし、それに些細なことだ、というだろう。その視点に立つ人にとっては、数百、数千万人の中の1人の話でしかない。しかし、音楽ファンは自分と、アーティストという2者関係の中で音楽を楽しんでいる。音楽ファンにとっては決して些細なことでもないし、その2者関係を、中間搾取する側の人間によって疎外されることなど許せるものではないのだ。

しかし、話はリスナーのそんな感情などお構いなしに、業界団体(時にはそのロビー活動に操られる政治家たち)によって決められてしまう。そこにはリスナーもアーティストも存在しない。彼らのビジネスの都合のいいように物事が進んでいく。

著作権団体は、自らの利権拡大の際には必ずと言っていいほど、これは文化のためである、という詭弁を用いる。しかし、彼らは決して文化とビジネスを人前で天秤にかけることはしない。もちろん、多くの人がどちらを取るかは承知なのだけれども、彼らのやり方はビジネスのためなら文化を葬り去ってでもよいと考えている節がある。

悲しいかな、RIAJのいう、「音楽のない生活なんて考えられない・・・だから 音楽を大切に」などということは現実にはない。よっぽどのミュージックラバーでもない限りは音楽なんてなくても生きていけるのである。 現状を見る限りでは、リスナーの一生を通じて愛されるような楽曲を作ろう、育てようという気概が音楽業界から見えてはこない。もちろん、昔だって似たようなものだったがそれでも今ほど消費財としての音楽を生産し続けたことはない。熱心なリスナーを相手にするよりも、プロモーションで騙せる人達を相手にしていた方が儲かる、という勘違いがここまで進んでしまった時代もないだろう。手を変え品を変えプロモーションをかけ続ければ、これからも騙せるとでも踏んでいたのだろうか。2,3ヶ月で飽きるような曲を大量生産し、その都度新しい製品を買ってもらいたいのだろう。その結果、音楽業界は低迷を迎えているのに。結局、ライトリスナーは飽きればそっぽを向いて他の楽しいことにお金を費やすのだ。

一方で、熱心なリスナーに対しては、どう報いているのだろうか。まぁ、あまり説明は必要ないかもしれない。その1つがこの手紙だろう。

ライトリスナーからは飽きられ、ヘビーリスナーからは愛想をつかされつつある音楽業界。著作権を拡大、細分化することでより多くの収入先を獲得しようと躍起にはなっているが、彼らがリスナーを向かない限り、彼らに未来はないだろう。音楽文化があってこそ、ビジネスが成り立つのである。ビジネスが文化を食い潰したら、彼らは何で商売をするのだろう。

さて、本題である彼が海賊になった理由について。私は彼の気持ちが痛いほどよくわかる。というのも私自身彼に近い海賊であるからだ。残念なことに、友人たちの中に私と音楽的な趣味を共有しうる人がいないので、ローカルで貸し合うこともできないが、少なくとも現行の音楽ビジネスに加担しないよう、中古CD、レコードを買うことにしている。お金を使うとしても、現行の音楽業界のアンチテーゼとなるようなサービスに対してのみだ。まぁ、法を犯しているわけではないけれどもね。

一方で、例えDRMがあるからといって、海賊行為を正当化できるわけではない、と否定する人もいるだろう(個人的にはJarrettのやり方はそこまでひどいものだとは思わないけど)。 でも、正当化できるできないではなくて、している人達がいるわけで。ともすれば、正当化すらしていないかもしれない。 音楽業界が考えなければならないのは、相手のいいわけを塞ぐことではない。たとえ、そのいいわけは通じないと言い張ったとして、それが多くの人に受け入れられたとして、そのいいわけを主張していた人達が音楽ビジネスに貢献するようになるだろうか。

DRMによって一部のリスナーが海賊になる、という主張に否定的な人は、「それは一部のユーザだけの話であって、全てがそうではない」という論調を取っている。ならこの話も一部の人達だけの話なんだと思うけどね。文化を利用して利益を上げるのであれば問題はない。問題は、文化に寄生して宿主を殺そうとしていることだ。

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