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BitTorrent IncのトップBram CohenとAshwin Navinのインタビュー

BitTorrnet IncIT Proで、Ashwin Navin、Bram Cohenへのインタビュー記事が掲載されていたので紹介するよ、というお話。彼らの話としては、以前言っていたことと変わらぬ一貫したものであるが、それでも彼らの口から語られる発言は非常に面白い。また、日本のメディアとしてのインタビューであるため、Winnyの著作権問題やウィルスの問題などについて質問がなされている。非常に興味深い話だ。

原典:IT Pro
原題:BitTorrent創業者にインタビュー,「テレビの代替狙う」P2P合法ビジネス最前線
著者:影木准子
日付:2007/04/02
URL:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070330/266996/?ST=ittrend&P=1

BitTorrent社のオフィスはサンフランシスコのビジネス街にある高層ビルの9階。これまではフロアの半分しか使っていなかったが,社員数が50人に増え,今は全フロアにオフィスを拡張中だ。受付のところではスーツを着た来訪者が3人ほど待っていたが,中に入るとTシャツ姿の社員が多い。

  最初に取材に応じてくれたのは2人の共同創業者の1人で,現在は同社社長を務めるアシュウィン・ナビン氏。「インターネットが壊れているということが会社設立の理由だ」,「BitTorrentはHTTPを置き換えるエレガントな代替物である」――。29歳のナビン社長の口調はさらりとしているが,インタビュー冒頭から発言の内容は過激である。

  実はこのインタビューの前日,シリコンバレーで開かれた Voice over IPのイベント「VON」で,BitTorrent社のもう1人の共同創業者であるブラム・コーエン最高経営責任者(CEO)が講演し,その発言が物議を醸していた。BitTorrentソフトの生みの親でプログラマのコーエンCEOは壇上で,「最終的には放送というメディアはなくなり,すべてIPに置き換わる」と語ったからだ。

  31歳でギーク(geek)なエンジニアに見えるコーエンCEOに対し,やり手の若手ビジネスマン風であるナビン社長。この2人の出会いなくして今のBitTorrent社は存在しない。

記事の導入部分で、彼らの紹介がされている。なんかすごい野心的な感じがするなぁ。

続いては、いかにしてBitTorrentが今の地位を築いたかが紹介されている。Bram CohenがBitTorrentを公開し、それが次第に人気を集めるころには、現在のようなP2P=悪という構図は出来上がっており、さらに北米のインターネットトラフィックの3割がBitTorrentに由来するものであったなど、それほど逆風が予想される状況であったと。
しかし当時,米ヤフーで事業戦略を担当していたナビン社長にはこれが“商機”に見えた。「私はヤフーの映画情報サイトの仕事に携わっていたので,BitTorrentのすごさを知る機会があった。共通の友人を通してブラムと会い,『ソフトのベンダーかサービス・プロバイダになるべきだ』と勧めたところ,『ビジネスにする方法が分からないから助けて欲しい』と言われた。そこで,いっしょに起業することにした」(ナビン社長)。

  2004年9月にBitTorrent社を法人化。2005年11月には米映画協会(MPAA)と違法映画コピーの排除で協力することに合意し,これを機に映画スタジオ各社を次々と味方につけた。BitTorrent社が比較的短期間で「違法」のイメージを払拭し,一個人のソフト開発プロジェクトをビジネスへと転換できたのは,ナビン社長を中心とするチームの立ち振る舞いが大きなカギだった。「私は映画関連の仕事の経験があったので,BitTorrentの真の威力と商機について映画会社に説明しやすかった」と同社長は語る。

個人的には、Bram CohenはAshwin Navinに救われてるなぁという感がある。もちろん、BitTorrentプロトコル自体も優れているのだけれども、AshwinNavinのビジネス戦略自体も非常にうまい。少なくとも、数年前に全盛期であった米国P2Pファイル共有企業の中で、唯一大手を振って運営を続けられるのはBitTorrent Incだけである。また、違法な用途に使われ続けていることで、ネームバリューを高めてきた反面、それとは一線を画し、そのネームバリューだけをうまく利用している部分もある。同様にネームバリュー高めたNapsterもあるけれども、Napsterの場合は元の形態とは異なるわけで、うまく利用した、というよりは結果論に近いのかもしれない。

続いて話は、BitTorrent Entertainment Networkに移る。以下の図(IT Pro 同記事より引用)

このようにビデオコンテンツ配信サービスにはライバルは多い。 しかし、Ashwin Navinは。コンテンツ配信サービスは 「いずれマイクロソフトとアップル,そしてBitTorrentの3社に集約されるだろう」と語っている。個人的には、多くのサービスが乱立することになると思っているけれども、それでも大勝ちするところといえば、この3社になるということなのだろう。ただ、MSとAppleを持ってくるあたり、多少皮肉が入ってるような気もする。巨大独占企業としての戦略を練るMS、甘美な言葉やスタイルでユーザを酔わせるApple。それに対して、実力で対抗できる、という言葉のようにも聞こえる。考えすぎかしらね。

最近では、ストリーミング配信にも手を伸ばそうとしているBitTorrent Incだけれども、Ashwin Navinによれば「YouTubeはライバルではない」という。

 ナビン社長によるとBitTorrentは「テレビやDVDを代替する配信媒体(distribution medium)」との位置付けで,「まったく新しいタイプの消費媒体(consumption medium)」であるYouTubeとは異なるという。「YouTubeが成功すればするほど,BitTorrentのためになる。人々がネット上でビデオをどんどん扱いたがるようになると,インターネットが壊れ,BitTorrentの出番となるからだ」と同社長は解説する。

 ナビン社長はさらに,「将来,YouTubeは我々の技術を使わざるを得なくなるだろう」と予測する。理由は次のようなものだ。例えば,YouTubeではある特定の動画を同じ職場内などで共有することがあるだろう。そういう場合に,職場の1人がYouTubeのサーバーから動画をダウンロードし,それをBitTorrentによって職場内に配布すれば,YouTubeのリソースを大幅に節約できる,というのである。

 実際,BitTorrent社は配信用ソフトを法人向けにライセンス供与する事業も狙っており,既にYouTubeや同種の動画投稿・配信事業者と話し合いを持っている模様。技術のライセンス事業は中立性を守り,「BitTorrent.comの配信ビジネスの競合相手にもどんどん販売してゆく方針」(ナビン社長)だ。

これもAshwin Navinが以前から述べていることで、配信ビジネスと、配信技術提供ビジネスの両方がBitTorrent Incの領域である、ということだろう。ある意味では、前者としてまずまずでも、後者として勝負をかけることも出来るということか。やはり商才は筋金入りだ。ただ、配信ビジネスの競合にも技術を提供していくとしてしているが、オープンソースであるBitTorrent技術の売り手はBitTorrent Incだけではないのである。その点で、Bram Cohenを擁しているというアドバンテージをどれだけ活かせるかも期待したいところである。

また、更なる展開として、ハードウェアへの組み込みも考えている。まぁ、これが成功すればBitTorrentは確実に当たり前のプロトコルに名を連ねることになるだろう。

話を配信ビジネスに戻すと、これまでの主張どおり、彼らの望む配信形態は、広告モデルによる無料のコンテンツ配信であり、DRMによる保護は問題が多いと述べている。もちろん、コンテンツパートナーに対しては多少の配慮もしているのだろうけれども、このようなサービスプロバイダーの側から、業界団体へのアプローチをしてくれるというのは心強い。もちろん、このようなアプローチはBitTorrentだけではなく、Appleも行ってはいるが。

そのうえで、電子透かしによって侵害を抑制すべきだとしている。 「自分の名前が刷り込まれたコンテンツを,法を犯してまで無料でばら撒こうと考える人はいないはず」とAshwin Navinは言ってるのだけれども、このことはDRMの本当の目的がなんであるか、によって答えは異なるだろう。Ashwin Navinが考えている侵害とは、ネット上での広範な侵害に対して、である。しかし、現実的にはDRMはネット上での著作権侵害にはなんら効果を持たず、むしろ、有効な範囲はローカルな交換程度である。逆に、電子透かしはそのようなローカルな交換においてはそれほど効果はない。と考えると、DRM自体がどちらの抑制に重きを置いているかによって、答えは変わってしまうのだ。まぁ、DRM自体の狙いはもっと別の場所にあるのだろうけれどもね。

また、私自身は、このような用途での電子透かしの利用は、プライバシー保護の観点からあまり好ましくないなぁと思っている。ただ、この技術をユーザの名前ではなく、著作物としての証として、それをフィルタリングに利用するといった利用が望ましいかなと思う。もちろん、それを現実のものとするためには、P2Pファイル共有サービスプロバイダの協力が必要になるが、個人的にはそのような保護のための法改正は受け入れられるものだと思う。

ところで、この記事の興味深い点として、Bram CohenやAshwin NavinにWinny問題について質問をしている。まず、著作権侵害については、「NapsterやWinnyの開発者らは無責任だったのではないか」と指摘し、P2Pの真のよさを説明せず、違法ファイル共有を事実上黙認したことをその理由としている。

また、Winny上のウィルスの問題に関して、BitTorrentでも同様のことが起こりうるかとBram Cohenに質問したところ、「その心配はない。BitTorrentはダウンロードするファイルのすべての断片をマスターと照らし合わせている。オリジナルと一致しないものは削除され,一致しない断片の送信元はシステムからしゃ断される」と答えている。ちょっとずれている気もするが、まぁ、BitTorrentではたとえファイルが流出したとしても、トラッカーによってそれを阻止することが出来る。もちろん、協力が必要にはなるが、Winnyのように強制的にとめる術がない、ということはないだろう。

いや、非常に面白い記事だった。まさか日本のサイトで、Ashwin Navin、Bram Cohenのインタビューがみれるとは思わなかった。ちょっとインタビューの内容は少なかったけれども、それでも要点を外しているわけではない。ちなみに、この記事の最後に、ある意味ではBitTorrent Incの成功の秘訣を思わせる記述があった。もちろん、その技術が一番なのだろうけれども、

 ナビン社長の名刺の裏側には「ALL TOGETHER NOW」(ビートルズの曲名)という文字が刷り込まれていた。「それではみなさんごいっしょに」と新しいネット配信の世界に踏み込めるかどうか,BitTorrent社の今後の説得力と実行力にかかっている。
現在、かつては敵であった相手と手を結び、共にビジネスを展開している。そして、その敵であった存在から、利益を上げようともしてる。今後成功するかしないかは別として、「All Together Now」を実現させてきたことが、彼らをここまでのし上げたのかもしれない。

関連エントリ
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