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英国調査:デジタルセールスの成長はアルバムセールスの減少を補えない

Enders英国メディア調査会社によると、音楽産業の未来展望は非常に暗いもののようだよ、というお話。単純によい作品がないということではなく、オンライン音楽配信への移行、1曲単位で購入できてしまうことによるアルバムのCherry-Pick(つまみ食い)によるアルバムセールスの低下、Appleによる固定価格設定や独占などによって、デジタル配信によって増加する収益の可能性をもってしても補いきれない減収があるのではないか、と見ている。もちろん、音楽業界の側でもこのことに気づいてはいるのだろうが、それにどのように対処していけばいいのかは、依然暗中模索といったところだろうか。海賊行為を殊更に問題視するのは勝手だけれど、結局は現実逃避のような気もするけどね。まぁ、海賊行為を肯定するわけじゃないけどさ、大事なのはバランスでしょうに。

原典:Ars Technica
原題:DRM, lock-ins, and piracy: all red herrings for a music industry in trouble
著者:Eric Bangeman
日付:April 12, 2007
URL:http://arstechnica.com/news.ars/post/20070412-drm-lock-ins-and-piracy-
all-red-herrings-for-a-music-industry-in-trouble.html

英国メディア調査会社は、音楽業界の今後を予測して、次の2年間の展望をそれほどホットではないとした。世界的な音楽セールスは、2009年には、1997年の450億ドルの半分程度の230億ドルになると見込まれている。これは2006年に比して、16%の低下である。この急落の原因は、CDセールスの低下であるとされる。Enders Analysisは、今後5年間では、デジタルミュージックセールスが完全にはCDセールスの穴を埋めることは出来ないと見ている。

その責任は海賊行為にあるのだろうか。DRMがソリューションとなるのだろうか。Enders Analysisは、そうではないという。その代わりに、産業全体のセールスがスライドすることの責任を、レコードレーベルに負わせている。「我々が産業のコアチャレンジを分析したところ、...産業はその未来に影響を与え、コントロールする能力を失っているということが、一貫して見出されました。」とレポートの要約に書かれている。「さらに悪いことに、産業はしばしば不意打ちを喰らい、したがってその反応は後手に廻っているといえます。」

どこから、産業の失敗は始まったのだろうか?

かつて、Napster 1.0の人気が隆盛を誇ったとき、 音楽産業はDRMへのラッシュの絶頂にあり、高額で魅力のないサブスクリプションサービスに彼らのお金を託すことを決定した。産業は、消費者がどのようにコンテンツを利用するかをコントロールすることの出来る月極のサブスクリプションサービスに消費者を閉じ込める、というアプローチを好んだのである。

しかし、その時点で失敗の兆しは現れていた。P2Pの寛容さである。ユーザは(しばしば無料の)コンテンツの海の中から、彼らの好む楽曲を選別することを望む。iTunes Music Storeがオープンしたのは2003年のことであり、消費者にとって望ましいオンライン配信モデルに対する、音楽業界の初の重大な試みであった。しかし、この時点でも、その数年前から、産業は市場が向かおうとしていた方向と戦ってきた。それはあたかも川の流れを変えようとする行為であった。そして、それは達成された。しかし、それは容易ことではなく、そしてほとんど価値のないことであった。

Enders Analysisは、AppleのiPod-iTunesエコシステムに対して、厳しい言葉を与えている。レポートの筆者は、デジタル音楽業界におけるAppleの独占状態が市場の進化を阻害していると考えている。Appleによる固定された単一価格設定の強調は、過去にリリースされたバックカタログ音楽のロングテールセールスに損害を与えているとしている。さらに、彼らはiPod-iTunesサイクルに対してよい印象を持っていないようだ。AppleのiPodのセールスと結果として生じる音楽価格設定モデルへの依存は、他のプレーヤーやミュージックオンリーストアの両者から市場を奪い取っているかもしれないとしている。

もちろん、最近のEMIのDRM撤廃の動きなどは、iTunes-iPod方程式を変化させるものだろう。そうなれば、AACをサポートした全てのプレーヤーが、iTunes Storeから購入される非DRMトラックを再生することが出来る。

Recorded Music Sales

Endersによると、音楽業界が直面している最大の問題は、我々がここArsでも提起したものであるが、アルバムセールスの低下である。デジタルミュージックの容易な利用可能性は、音楽ファンにとってお気に入りの曲だけをつまみ食いすることを可能にする。高校時代、私はGenesisのLPを(えぇ、それなりの年ですよ)"Dodo/Lurker"(訳注:の2曲だけ)欲しさに購入した。それから26年後、私はちょうど今、iTunes Storeからその2曲だけを購入した。

上の図からもわかるように、合法的なダウンロードは継続して成長を続けていくことが予測されている。しかし、その率はCDセールスの減少を補うほどではない。シングル曲のオンラインでのセールスは、レコード会社にとって物流のコストを削減してくれるものとなるだろうけれど、音楽ファンが、アルバムディスク全部を購入する代わりに、そのアルバムの中から気に入った曲だけをピックアップするという事実は、収益の観点からすれば、デジタル配信の長所を侵食している。

変化している展望は、4大レーベルに、収益の流れをより創造的するよう強いている。1つの例としては、著作権侵害の申し立てを行った直後に行われたUniversalとYouTubeのライセンス提携の決定である。取引条件において、UniversalはYouTubeの広告収益の多くの部分を受け取り、一方でYouTubeはUniversalのミュージックビデオライブラリからマスターを入手する。

ライセンス提携は、今後ますますレコード会社の収益の展望にとって、重要な位置を占めるだろう。しかし、それでも(訳注:アルバムセールスの減少に伴う)減益を補うほどにはならなそうである。レコードレーベルにとっては残念なことだろうが、90年代中ごろのあの全盛期は永遠に消え去ってしまったのかもしれない。どれほどの訴訟、DRM、ライセンス提携を行ったとしても、時計の針を戻すことは出来ないだろう。

さてさて、最近あまりP2Pとは直接関係ないことばかりを扱っていて申し訳ないのだけれども、今日もこんな感じでよろしくお願いします。

以前のエントリでも述べたけれど、アルバムセールスの減少は音楽業界にとって、避けられない事態なのかもしれない。今になって、アルバムはアルバム単位でしか買えません、などと路線変更をするわけにもいかないだろうし、これを甘受するより他はないだろう。もちろん、今後は着メロや、コンテンツ提携による増収もみこめるだろうけれど、それ以上の打撃をもたらすのは想像に難くない。もともとがアルバムセールスが主軸であり、それが揺らぐことは音楽産業の根幹を揺るがすものとなるだろう。

もちろん、一音楽ファンとしては、アルバムのファーストインプレッションなど当てにならないことは重々承知であるし、そういうファンにとってはあまり当てはまらないことかもしれない。聴けば聴くほど味が出てくる楽曲もあるし、他の曲を聴き、音楽の経験値を高めてから聴くことで新たな発見をすることもある。ただ、そういったリスニングスタイルを提供してこなかった音楽業界なわけで、今更路線変更してもそれはそれで劇薬、というか毒薬みたいなものになるだろう。

少なくとも、これまでどおりキャッチーさでリスナーをゲットするしかない。しかし、そうなるとアルバムが売れなくなる。まさにジリ貧だ。また、日本の場合は、シングル詰め合わせのコンピレーションがドル箱となってもいる。アルバムを3,4枚出すごとに、シングルを詰め合わせただけのものをベスト盤と称して販売している。何がどうベストなんだかよくわからないが、少なくともCherry Pickできるオンライン音楽配信においては、この手法は通用しないだろう。むしろ、配信業者のほうで、独自にコンピレーション風に出せるわけだしね。

ここでふと思うのは、以前のエントリでも述べたけれど、アルバムという概念が、今後も継続してありうるのか、ということ。私個人としては、1曲で世界を完結させるのもすばらしいとは思うけれど、選択肢の1つとしてアルバム1枚で世界観を作り出す、というのもすばらしいことだと思うのだけれどもなぁ。

こうやって見てみると、音楽産業にとってオンラインデジタル音楽配信はそんなによいことではないのかと思えてしまうけれど、それは大手レーベルにとって特にそうだ、というだけのことかもしれない。逆にインディペンデントのアーティスト、レーベルにとってはチャンスが広がっているわけで、ある意味では4大メジャー(とそのグループ企業)にとっての苦難であり、その独占状態の崩壊とも取れる。それはそれでいいことなんじゃないのかしら?というのはあまりに楽観的かなぁ。

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