スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

広告ベースの無料音楽ダウンロードは本当に始まるの?

Qtrax P2Pを利用した広告ベースの無料音楽配信サービスQtraxが、今年秋からの運営の開始を予定しているよ、というお話。といっても、広告ベースの無料音楽ダウンロードサービスは、開始予定時期の延期を繰り返してきた。ちなみに、Qtraxが最初にサービスの開始を予定していたのは、2004年中であった。なので、今回もどの程度信用できるかは微妙なところではある。ただし、昨今の流れを考えると、もしかしたら今年中には・・という淡い期待を持ってしまう部分もある。ということで、今回は、Qtraxを初めとする、複数の無料音楽ダウンロードサービス(SpiralFrog、Mashboxx、Ruskus)について考えてみたいと思う。

原典:International Herald Tribune
原題:SpiralFrog and Ruckus labels consider ad-supported music
著者:Robert Levine
日付:April 23, 2007
URL:http://www.iht.com/articles/2007/04/23/news/music.php

長きに渡って、音楽レーベルは、ファンがP2Pファイル共有ネットワークから彼らの楽曲をダウンロードすることを防ごうとしてきた。現在、彼らの一部は、人々がまず初めに広告を見るというモデルを推進しようとしているようだ。

SpiralFrogやRuckus(大学生向けのフリーな音楽配信サービス)といった複数の新興企業が、広告モデルによる音楽配信を推し進めようとしている。

9月からのビジネス展開の開始を予定しているQtraxは、既にWarner Music GroupとEMI Groupからの音楽配信の提携を結んでいる。そして、今週月曜にはSony BMG Music Entertainmentとの同様の提携の発表を予定している。

同社社長であり、最高責任者のAlllan Klepfiszは、4番目のメジャー提携企業として、Universal Music Group、そしてインディペンデントレーベルを代表するMarlinとの交渉中であることを明らかにしている。

テレビコマーシャルが、番組の制作に資金を提供するように、広告収入は提供された楽曲を製作する音楽レーベルにとっての収益となる。レーベルは無料の音楽という考えの合法化を嫌ってはいるが、その一方で新たな音楽ビジネスモデルを模索してもいる。

今年のCDセールスの昨年の低下に引き続いて減少を続けており、また、オンラインミュージックストア(たとえばAppleのiTunes)からの利益は、その減少を補償できるほどの成長を遂げているわけではない。

レーベルおよびアーティストマネジメント企業Neetwoerk Music Groupの社長Terry McBrideは、合法的なP2Pサービスは、単純に違法ダウンローダが現在利用しているプログラムと非常に似た動作をするために、彼らにもアピール可能なのではないかと考えている。

「私の信念としては、自らに都合のいいやり方を彼らに押し付けない、ということです。彼らがいかにして音楽を購入しているかを理解し、それをマーケティングし、そして彼らの行動から利益を上げるべきでしょう。」

Nettwerkは、Internet MediaWorksという企業と共に、P2Pネットワークに広告を含んだ同レーベルの楽曲を流通させている。同レーベルは、Qtraxと同様に合法的で利便性の高いサービスによって、著作権侵害が抑制されることを期待している。

「私たちは、違法P2Pサイトから(訳注:ユーザを合法的なサービスに)移行させることを望んでいます。」とWarner Music Groupの戦略・製品開発担当上席副社長のGeorge Whiteは語る。

Qtraxは、オーストラリア、メルボルンにおいて4年半前に、きわどいファイル共有サービスを開始した。しかし、Klepfiszはその半年後、訴訟を起こされる前にそのサービスを停止した。

協調を示すことによって、プログラムを合法的なビジネスに変えることができると彼は考えている。

ユーザの視点からは、Qtraxは、他のファイル共有プログラムと同様に動作する。というのも、それはGnutellaネットワーク上での検索を行う。しかし、Qtraxは、再生可能な許諾のあるファイルだけを表示し、それに関連した広告を表示させる。それは、Googleが検索ワードで広告を表示するのに似ている。

広告主は、特定のアーティスト名による検索によって広告を表示させることは出来ないが、Klepfiszによると、特定ジャンルの"集合"を購入することができるという。

リスナーは、特定の回数だけ楽曲を聴くことができ、おそらく多くのメジャーレーベルの場合、それは5回に設定されそうだ。リスナーがそれを気に入ったら、iTunesから購入と同じように、その楽曲を購入することができる。

当初のうちは、広告収入よりもそのようなセールスの方が、より収益を上げるだろうとWhiteは予測している。しかし、長期の見通しとして、Qtraxは広告によって収益を上げていく計画であるようだ。

「私たちの挑戦は、広告モデルによるP2Pが、ビジネスとして十分やっていける、それは誰しもがハッピーなものである、ということを証明しようとするものです。音楽産業が今直面している問題は、音楽に対して何も支払わない人々がいるということです。」とKlepfiszは語る。

初めのうちは、Qtraxはレーベルと収益を分配することになる。しかし、いつかは、レーベルに対して楽曲が利用されるごとに著作権料の支払いをしなければならなくなる。それは、広告収入に比して非常に高いコストとなる。

Jupiter Researchの上級アナリストDavid Caedは、「私は広告支持者です。それは米国の膨大なメディア消費に対して支払われています。しかし、未だ、十分な利益を上げることが出来そうだと確信させてくれるモデルを目にしたことはありません。問題は、それらが著作権料を下げるに足りるだけの普及をさせることが出来るのか、ということです。」

この記事、タイトルにはSpiralFrogやRuckusが出ているものの、話の大半はQtraxだったりする。なんか腑に落ちないなぁ・・・。

それはさておき、現在上記の記事であげられている無料音楽配信サービスがどの程度展開されているかというと、実はほとんどなされていはいない。このサービスの提案や提供については、数年前から言われてきたものの、それを実現してはいない。唯一、サービスとして開始しているのがRuckusであるが、これは大学生に限定されたサービスである。それ以外のQtrax、Mashboxx、SpiralFrogといったサービスは、前々から開始が噂されては、延期という状況を繰り返している。

とりあえず、上記の無料音楽配信サービスの特徴などを以下に列挙してみる。

Qtrax

  • P2Pを利用した配信サービス(Gnutellaネットワーク)
  • 現在、ベータテスト中(当初は2004年の開始を予定)
  • もともとは、きわどい線のP2Pファイル共有サービス
  • 無料版と有料版の2段階があり、無料版はMS Janus DRMが施され、再生回数が制限。再生のためには専用プレーヤーが必要
  • 無料版は、再生のたびに楽曲の購入、有料サービスへのアップデートの呼びかけが挿入される
  • WMA対応の携帯プレーヤーなら転送可。ただし、サービスに加入している限り有効であり、サービスにログインしなくなれば無効になる
  • 有料版は無制限のサブスクリプション

主な提携レーベル:EMI、Warner、BMI、AIM、Sony BMG(予定)
収益モデル:広告収入、有料版サービス

EMI、PtoPのQtraxと提携--デジタルライブラリを提供へ - CNET Japan
EMI、無料P2Pサービスに楽曲提供 - ITmedia


Mashboxx

  • CEOはGrokster創設者
  • P2Pを利用した配信サービス
  • 現在はベータテスターの募集中(海外からでも利用可?)
  • 当初は2005年の開始を予定
  • 5回まで無料の再生が可能だが、それ以降は購入が必要。価格は99セント(予定)
  • Windows DRMが施されている

主な提携レーベル:EMI、Sony BMG、Univseral、Warner
収益モデル:楽曲購入

P2P企業のMashboxx、ソニーBMGと正式契約 - ITmedia
EMI、PtoPの新興企業Mashboxxと提携--デジタルライブラリを提供へ -CNET Japan


Ruckus

  • 大学生を対象にした無料音楽配信サービス(.eduドメインのアドレスを持つ人だけ)
  • .eduドメインのアドレスでも、教員や職員などは有料
  • また、大学生であっても携帯音楽プレーヤーへの転送は有料(WMA形式のみ)
  • 以前は有料サービスとして大学と契約をしていたが、広告モデルによる無料配信を採用

主な提携レーベル:不明
収益モデル:広告収入

全米の大学生に音楽の無料ダウンロードを提供する新サービス,米Ruckus


SpiralFrog

  • 現在、カナダ国内のみでプレビューサービス
  • 配信形式はWMA。PCでの再生、携帯ミュージックプレーヤーへの転送が可能
  • ダウンロードされた楽曲には有効期限があり、継続するには毎月同社のサイトにアクセスし更新
  • 広告を解除するための有料サービスも予定
  • Universalとの契約期間は1年、このサービスが有効であれば契約期間を延長の可能性
  • Windows DRMが施されている。楽曲の間に広告が挿入される見通し。
  • CD作成不可

主な提携レーベル:Universal、EMI、複数インディーレーベル(Warner、Sony BMGとは交渉中)
収益モデル:広告収入

米新興企業SpiralFrog、ユニバーサル ミュージックと無料音楽配信で契約 - CNET Japan
EMIがSpiralFrogと提携、カタログにフリー楽曲(一部有料)を大量投入 - TechCrunch

と、このような感じになっている。ただし、複数時点での情報を総合したものなので、現在では変更になっている点もあるかもしれない。

提携レーベルに関しては、Ruckusはよくわからないにしても、それ以外はほぼ4大メジャーとの交渉を進めており、概ね広告ベース、もしくは購入を促進する無料音楽配信に対して前向きであることも伺える。となれば、相違点としては、PCのみでの利用か、携帯プレーヤーへの転送も可能かといった制限が差異点として浮かび上がってくる。

私個人としては、広告ベースの配信、再生回数制限つきでの配信のどちらも支持したい。たとえ、有料ベースへの移行を促すものであっても、有料での購入を促すものであっても、そこには音楽を聴く機会というものを提供してくれている。少なくとも、音楽は聴かれなければ好きになることはない。その意味では、無料であっても音楽を定期的に聴いてもらうことが、最終的には売上の増加に繋がるのかもしれない。

ただ、個人的に思うところは、せっかく広告ベースのサービスを展開できるとしても、Qtraxのような専用プレーヤーでの再生しか出来ない、というのは広告ベースのサービスとしては、自ら門戸を狭めているようなものかもしれない。もちろん、その広告がその楽曲の購入を促すものだけであれば、それでいいのかもしれないけれど、それ以外の広告を提示するのであれば、限れたユーザだけが利用するサービスの潜在的な広告価値は非常に限定されたものだといわざるを得ない。

おそらくは、ライセンス等の問題をクリアするため、広告を提示するために専用のプレーヤが必要になるだろうけれど、汎用のプレーヤーで利用できてこそ広告価値を高めることになる(もちろん、汎用のプレーヤが対応する必要が出てくるけれど)。それが難しいことは承知しているが、そこをクリアしなければ、非常に限定された広告効果しか持たないことになる。このようなリミテッドサービスとして提供されるものこそ、DRMや電子透かしが利用されるべきであり、そのためのコンセンサス、共通認識をもつことが、より広告効果を高めるための柔軟な運用が可能になる思うんだけどなぁ。

それと、広告ベースでの無料配信といっても、その広告の差し込み方如何ではユーザに受け入れられないかもしれない。音楽を楽しむというシチュエーションは、これまで広告が挿入されるということがなかった。その点では、テレビ番組や、映画(テレビ放送)、ラジオなどとは全く異なる。そのため、ただ単に全ての曲の合間に広告を差し込む、というだけのデリカシーのないやり方をすれば、リスナーにとっては利用したいとは思えないかもしれない。その辺の配慮も必要になるだろう。

それはさておき・・・、あまりにサービスの開始が遅すぎる。やはり技術を含めたライセンス関係でクリアできないことが多いのだろうか。それともそれ以外の何か問題でもあるのだろうか。他の原因があるとすれば、収支の問題があるのかもしれない。上記の記事でもあったように、楽曲を利用するためには使用料が必要となる。しかし、現時点ではその収支を合わせられるほどの見通しを得ることができないのかもしれない。

問題になりそうな部分をいくつかあげてみたけれど、それでもユーザにとっては選択肢が広がることほど望ましいことはない。このようなサービスが開始されたあかつきには、ぜひとも利用したいと思う。より多くのユーザが利用することが、このような多様なサービスを支えることになる。望ましいサービスだと思ったら、多少のことは目を瞑ってでも利用した方がいいのかしらね。それとも、ストイックに気に入らないところがあれば、利用しない、という方が賢いのかしらね。

余談だけれども、このエントリを書くに当たって、SpiralFrogのニュースリリースを見てたら、CEOのRobin Kentは、違法ファイル共有サイトからダウンロードできる楽曲は、音質が悪く、一部欠落しており、スパイウェアなどが含まれているために、合法的な無料配信サービスが高品質のファイルを提供することが、海賊盤対策になると語っている。ただ、ファイル共有は如何なるファイルであっても共有できるわけで、一部FLACのような可逆可能なフォーマットでの流通もあることを考えると、あながち低品質だとはいえない気もする。法的な良し悪しは別としても、ファイル共有であればこそ、そのような大きなファイルをやり取りできたりもするわけです。

関連エントリ
合法的な無料音楽ダウンロードサービスSpiralFrog、開始は来年1月末?

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/407-468ecd7b

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。