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米国調査:下落するCDセールス、お気に入りのアーティストはCDで、なじみのないアーティストはダウンロードで

IpsosIpsosの米国調査によると、4年前と比較して、CDセールスは15%も減少しているという。この調査結果は解釈が難しいところもあるのだけれども、多くの人がデジタル配信によって、CDの購入を躊躇するようになったようだよ、というお話。もちろん、それでもお気に入りのアーティストあれば、CDが購入される傾向が強いけれども、それほなじみのないアーティストに対しては、CD購入よりもダウンロードする人の割合が高い。

原典:Slyck,com
原題:CD Sales Continue Slide
著者:Thomas Mennecke
日付:May 2, 2007
URL:http://www.slyck.com/story1464.html

従来のCDにせよ、新生のデジタルストアにせよ、音楽セールスに対して多くの関心が寄せられている。70年代に開発されたテクノロジーであるコンパクトディスクは、ここ20年以上の間、強力な大黒柱として存在し続けた。しかし、他の如何なるテクノロジーと同様に、より新しく、より先進的な技術が採用されるようになれば、その栄光の日々は日暮れに差し掛かっていくことになる。

インターネットは、人々のライフスタイルに非常に強い影響をもたらした。20年前、多くの人が過ごしていた生活と、今現在の日常を比較することはできないだろう。ジャーナリズム、銀行業務、スケジューリング、ソーシャライズ、TV、そしてもちろん、音楽の入手など、インターネットが日常に統合されたために、急激に変化をした。そして、インターネットのおかげで、たくさんのCDを限られたスペースの中に押し込んだり、持ち歩いたりする必要が、P2P、BitTorrent、iTunesによって置き換えられた。

デジタルの展望の中でiPod MP3プレーヤーはゆるぎないものとなり、もはや一時の流行のテクノロジーではなくなっている今、CDプレーヤーの必要性-特に携帯デバイスとしての必要性-は次第に時代遅れになっている。 CDテクノロジーが旧式列車となっていく速度をいかにして鈍化させるかということに関しては、未だ議論を必要としている。ブランクCDメディアは依然として高い人気を誇っているし、Ipsosの最新の調査によれば、米国の人々は、彼らの大好きなバンドのCDを未だに購入しているという。

本日発表されたIpsosの調査によると、ファンのアーティストに対する忠誠のパワーは、人々の中で依然として強いことが明らかとなった。音楽を得るための代替手段が存在しているとしても、お気に入りのバンドをサポートするという魅力は、大多数の音楽コンシュマーを凌駕するようだ。

「12歳以上の米国音楽ダウンローダーにとって、物質的なCDは、お気に入りのアーティストのニューリリースに際して、それを獲得するための第1の手段のままである。米国ダウンローダの62%が、彼らのお気に入りのアーティストのニューリリースの際に、その物質的なCDを購入している。対して、28%が1つもしくはそれ以上の楽曲を有料でダウンロードしている。」

この結果が、より力のある、メインストリームのアーティストにとって良い知らせではあるけれども、状況がまったくもってバラ色であるかといえばそうではない。実際、全体としてのCDの見通しは、非常に厳しいものである。Ipsosは、この6ヶ月間で1枚以上のCDを購入した米国市民の数が、2002年から15%も減少していることを示している。2002年には、およそ63%のアメリカ人が、6ヶ月間に1枚以上のCDを購入したと回答している。現在、それは51%程度となっている*1

この調査から、人々は依然として、自らの好む既存のアーティストやパフォーマンスのCDを購入する意思があることが示された。しかし、経験的に、人々は好きになるかどうかわからない、なじみの薄いアーティストに対して、10-15ドルを費やすというリスクを冒す気はないようだ。そのために、楽曲のダウンロードは非常に魅力的なオプションである。つまり、それが音楽業界に常にプレッシャーをかけ続ける。

*1 この調査は、年4回行われているようで、正確に言うと2002年4月の結果が63%だった。2002年の4回の調査結果は、63%-56%-56%-59%、一方で今回の調査結果の含まれる2006年の調査では、56%-51%-48%-51%となっている。この記事やIpsosのニュースリリースでは、4年前から15%減と述べられているが、2002年の4月と、2006年の9月を比較してのこと。ちょっとずるい気もするけれどね。

とりあえず、コレを解決するためには、CDを武器にしようとか世界中のPCを破壊しようというお話を昨日は紹介したけれども、今日はちゃんとした記事をご紹介。

非常に興味深い調査結果だなぁと思う。上記の記事で扱われている結果を要約すると、音楽配信利用者であっても、お気に入りのアーティストのCDは購入する人が多い、ということ。もちろん、音楽配信が始まるまではCDの購入くらいしか音楽を入手する手段がなかったわけで(レンタルとかもあるけどね)、お気に入りのアーティストであっても、3割近くの人がダウンロードで済ませており、CDセールスの減少の一因となっているのかもしれない。なので、この結果を解釈するのは、なかなか難しい部分もある。お気に入りのアーティストであっても3割の人がダウンロードするのか、お気に入りのアーティストだからこそ6割の人がCDを購入するのか、どういっていいかわからない部分もある。

一方、それほどなじみのないアーティストの楽曲に対しては、Ipsosの調査によると、23%の人がダウンロード(アラカルト)で、17%がCDで購入しているという。ダウンロードで済ませる傾向がやや高い、もしくは同程度といえるかもしれない。Slyckの最後のくだりはこの結果を指しているのだろう。おそらく、音楽ダウンロードという選択肢が存在しなければ、23%のうちのいくばくかは、CDを購入していたのかもしれないことを考えると、音楽配信の負の側面なのかもしれない(さらにいえばアルバム全体を購入するのではなく、視聴で気に入った曲だけを購入するCherry-Pickな購入をしていることも、負の側面となるだろう)。

この結果から考えると、依然としてお気に入りのアーティストであれば、相対的にCDを購入する傾向が強いことは示されているといえるのかもしれない。私個人としても、お気に入りのアーティストであれば、可能な限り安定した媒体で購入したいし、DRMのような不自由は味わいたくはないという気持ちもある。そのような人にとっては、この結果はある程度は理解できるのではないだろうか。

また、Ipsosの調査結果によると、ユーザは多くのデジタルチャネルを利用して楽曲や音楽サービスの購入(ダウンロード(アラカルト、サブスクリプション)、着メロ、サテライトラジオなど)をしており、それがCDに費やされる額を減少させているのではないか、と述べてもいる。実際、サブスクリプションサービスを利用する40%のユーザ、アラカルトサービス利用者の38%、サテライトラジオ利用者の25%、モバイルミュージック利用者の17%が、それぞれのサービスの利用によって、CDへの出費が減少したと報告している。

このような調査結果を見て思うことは、これまでのモデルが如何に選択肢がないことで維持されてきたか、ということをまざまざと見せ付けているのだなぁということ。もちろん、私などはアルバムという概念を非常に好んではいるけれども、一方でアルバムという概念が存在することで、とりあえず10-15曲のセット販売で高値で売りつけよう、もしくは、とりあえずアルバムという体をなしたものを作ろうという安易な考えでアルバムが製作されていたことも事実であろう。お金儲けのためには、アルバムという形態が重宝される。キャッチーなシングルを2,3曲入れれば、アルバムは売れるわけで。

しかし、アルバムという概念を利用してお金を儲けることばかりを考えてしまったがゆえに、アルバムという概念をベースにして如何にクリエイティブなものを作るか、ということをおざなりにしてしまった部分もある。そのようなアーティスト(といえる人達ではないけれど)ばかりに力を注いできたところは、今後はますます状況を厳しくしていくことだろう。いくらプロモーションをかけたところで、プロモーションをかけたその1曲ばかりが、ダウンロードで売れてしまうのである。

ロングテール、という言葉もあるけれど、音楽はもともとそういう市場である。すぐれた作品は必ず時代を超えてリスナーを魅了する。そうした音楽がファンの耳を肥えさせ、リスナーを育てる。耳の肥えた音楽ファンはうるさくもあるが、コンスタントにお金を払う良質の顧客である。本来であれば、そういう人をベースにしたビジネスをしなければならないのに、安易な金儲けに走った音楽業界は、一聴して耳障りのよい曲を大量に作り出し、プロモーションによって注目させるという手段に走ってしまった。もちろん、プロモーションが悪いというわけではないが、それに頼るのもよろしくはない。エロかっこいいとか。もう限界だろ。

さて、そのプロモーションが利かなくなれば、それでおしまい、という危険もはらんでいるこの状況、その原因の1つとしては、劣化コピーの乱発によって飽きられることがあげられるだろう。たとえば、小室やつんくなんかは完全に飽きられて見向きもされなくなった。所詮は作られた流行でしかない(この傾向は日本よりも海外で顕著かもしれない)。もう1つの原因としては、情報過多の時代になったことがあげられるかもしれない。情報が多くなればなるほど、1つのソースの持つプロモーション力は希釈される。テレビの時代だったころは、民放の4つのチャンネルが蝶よ花よと取り上げれば(日本の場合ね)、それなりにプロモーションとしては成功するものだが、ネット以外にも複数の媒体が普及していることでその効力は低下しているだろう。しかも、何とかプロモーションに成功したとしても、ダウンロードで購入するという安価な選択肢も存在するのである。購入するのは、プロモートされた1曲だけでいいわけで。

結局は、安易なプロモーションと製作によって音楽が実体以上に肥大化していたのだと思う。新たな時代を迎えるに当たって、もう1度最適なサイズに戻るべきかなと思ったりもする。少なくとも、良質の作品を創るという基本には立ち返るべきだろう。いつまでも聴きたいと思う楽曲を製作すること、それがCDのセールスを向上させる一因になると思うよ。少なくとも、5年経って聴かれなくなることが最初からわかっているような楽曲は、CDじゃ売れなくなるだろう。それが音楽配信の抱える爆弾であり、新たな変化のはじまりでもあるのかもね。

ずいぶん脱線しちゃったけど、Ipsosの調査結果は非常に面白かったので、また別の機会に紹介しますね。

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米国調査:下落するCDセールス、お気に入りのアーティストはCDで、なじみのないアーティストはダウンロードで
最近読み始めたblogP2Pとかその辺のお話に、こんなエントリがあった。米国調査:下落するCDセールス、お気に入りのアーティストはCDで、なじみのないアーティストはダウンロードでアメリカのある団体の調査結果をもと
2007.05.08 01:39 | fearless_02
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