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BitTorrent社社長Ashwin Navin:オハイオ大学のP2P規制はイノベーションを妨げる

BitTorrnet IncBitTorrent Incがここまで成長できたのには、3つの理由があるだろう。1つにはBram Cohenの類稀なる才能によるすぐれたプロトコルであったこと、もう1つは違法ファイル共有を目的として広く利用されたこと、そして、Ashwin Navinがそれをビジネスに昇華させたことがあげられる。その1つでも欠けていればここまでの成長はなかっただろう。その成長に欠くことのできなかったAshwin Navinが、オハイオ大学のP2Pプロトコルの遮断に対して、イノベーションを阻害するとして批判しているよ、というお話。BitTorrentを合法的なサービスとして確立させた男だからこそ、説得力のある発言ができるというもの。ちょっと長いけれど、非常に興味深い内容だ。

原典:CNET News.com
原題:Perspective: The P2P mistake at Ohio University
著者:Ashwin Navin
日付:May 7, 2007
URL:http://news.com.com/The+P2P+mistake+at+Ohio+University/2010-1027_3-6181676.html

最近、オハイオ大学は学生に向けて、キャンパスコンピュータネットワークでのP2Pテクノロジーの利用の禁止を通告しました。その理由としては、ネットワークの負荷であったり、海賊行為に繋がる悪意のあるソフトウェアが存在するから、といったところです。

大学側も、P2P技術の合法的な活用方法があることは認めていますが、それでもテクノロジーの全面的な禁止を行っています。

この(訳注:P2Pの)禁止は、オハイオ大学の、インターネットにおけるP2P技術の価値や役割への無理解を示しているといえるでしょう。さらに大学としても、イノベーションへの扉を閉ざし、教育機関としての責任を果たしてはいません。

依然として、P2Pは非常に誤解され、過小評価されているテクノロジーです。一般的には、ファイル共有と最も関係していると思われているでしょうが、それはP2P技術の1つの側面でしかないのです。それは多くのものに採用されており、インターネットを介して音声通話を可能にしたり(たとえばSkype)、テレビのないところでもテレビ番組を合法的に楽しむことができたり、企業が直面する自社コンピュータネットワーク上の問題を解決したりすることができます。

非営利的で、それほど予算を持たない多くのアーティストは、インターネット上での出版コストを下げるために、P2Pネットワークを利用することができます。そのような中でのP2Pの全面的な禁止は、最もそのテクノロジーを必要とする学生や組織にとって、基本的なインターネットエクスペリエンスを不自由なものにするでしょう。BitTorrentのようなP2Pテクノロジーは、インディペンデントなソフトウェア開発者、NASAやPBSといった組織、そして多数のミュージシャンや映画製作者といった人達に、Web上でより効率的で、高速なファイル転送を提供します。それら出版者たちの対極にいるメジャーハリウッドスタジオ、たとえば私たちのパートナーである20th FoxやMTV Network、Paramount Pictures、MGM、Warner Brosなどは、P2Pテクノロジーを利用した合法的なコンテンツ配信を行っています。

A P2P fix for what ails the Internet

オハイオ大学やその他の人達が理解できていないことは、P2Pがインターネット自体をよりよいものにするということです。私たちが今日利用するインターネット-たとえば、YouTubeのストリーミング、VoIP通話、ソフトウェアやテレビゲームのダウンロードなど-は、そのデザインを越えて、私たちのネットワークやサーバーのキャパシティに相当な負荷を与えます。賢く応用されるならば、ユーザそれぞれが持つPCの空いているコンピューティングキャパシティや帯域を大量に束ねることで、混雑したネットワークにより多くのキャパシティを提供することができます。もし、他の機関がオハイオ大学に追随する-あるいはさらに悪化してP2Pテクノロジーを完全に禁止する-などということになれば、インターネット上のトラフィック問題は確実に悪い方向に進みます。

私のBitTorrentにおけるスタンスとして、P2Pアーキテクチャのより強固な、そして成功した未来の構築に向けて、持続的な興味を持っています。しかし、これは私だけのものではなく、多くの人たちによって共有されています。Deloitteの最近の研究によると、専門家は、ビデオトラフィックだけがインターネットトラフィックを限界まで圧迫しており、その成長率からすると今後深刻なトラフィック問題を引き起こすことになるだろうと述べています。

P2Pはこれを助けることができます(インターネットの父として知られるVint Cerfもまた、私たちに同意しています)。インターネットの中央バックボーンの負荷を軽減する最良の方法は、ローカルレベルでのP2P、特にBitTorrentライクなアーキテクチャの利用によって、配布の負荷を分散させることです。BitTorrentは1つのこと、1つのことだけをします。利用可能な全てのユーザのPCの帯域、コンピューティングキャパシティを拠り集め、中央webサーバーへの依存を減らすことです。それは(訳注:完全に)置き換わることではありません。その結果、webサイトとインターネットはより効率的に運用されることになります。P2Pがハイブリッドカーであるなら、BitTorrentはトヨタプリウスといえるでしょう。それはガソリン(つまり中央webサーバ)を完全には必要としないわけではないけれども、BitTorrentは、時代遅れのインターネットを駆動する方法、つまり大半を中央リソース依存していたころに比べて、1,000倍以上の「燃料効率」を誇ります。

先見性のある人達はP2Pの可能性に賭けています。、大容量かつ人気のあるファイルの配信が中央サーバに過剰な負荷を与え、それを管理する必要性に迫られたとき、従来の集中化したインターネット基盤を提供する企業は、その効率を求めP2Pを採用しつつあります。たとえば、BitTorrentテクノロジーがコンテンツ配信市場に採用されているのも自然の流れでしょう。そして、現在私たちはベータカスタマーと共にトライアルの最中です。有力企業もまた、この動きに加わっています。Akamai Technologiesは先月、Red SwooshというP2P企業を買収しましたし、VeriSignはKontikiと呼ばれる初期のP2P開発者を雇い入れています。

私たちは、平穏の中にいます。BitTorrent Incは海賊行為をサポートしません。実際、海賊行為は最大の競争者であり、わが社が利益を上げるためには、最大の脅威となりうる存在です。とはいえ、テクノロジーを利用した海賊行為の潜在的可能性は、いくつかの根本的な疑問をもたらします。なぜ、著作物を転送し、共有することが可能な他のテクノロジー(たとえば、ニュースグループ、FTP、IM、そして写真複写機、プリンター、CDRドライブなど)に対して、(訳注:BitTorrentと同様に)ブロックなどの対策がなされないのでしょうか?(訳注:逆に)他のテクノロジーの悪用抑制するためのテクニックが、P2Pに適応されたでしょうか?一方の禁止によって義務を放棄するのではなく、P2P産業のリーダーたちを共同して、生産的な解決方法を見出すことをなぜオハイオ大学はしないのでしょうか?

そして、なぜ大学のポリシーメーカーたちは、合法的なレンタル、購入が可能な合法的サービスが存在する、という意識を喚起させようとしないのでしょうか?なぜキャンパスは、iTunesやBitTorrent Entertainment Networkといった合法的ダウンロードサービスへの積極的なマーケティングサポートや大学向けのディスカウントの申し出に応じようとしないのでしょうか?

オハイオ大学は、この禁止よって引き起こされる、大学コミュニティの損害に対して責任があります。新しいテクノロジーの実験や採用には、常に思いがけないリスクが伴います。しかし、私たちは同時にそのテクノロジーによって生じる新たなリスクをモニターし、管理する義務があります。アメリカの大学には、どこで考案されたものであれ、新たなアイディアに対する開放性によって世界を導くという義務があります。

欠点を補って余りある用途のあるテクノロジーを近視眼的に、恣意的に禁止することによって、オハイオ大学はP2P以外からは決して入手できない情報やエンターメントといった掘り出し物を検閲し、さらに学生からその強力なツールの能力やスタッフを奪ったことになります。それは、P2Pテクノロジーが強力かつ建設的ものとして採用する「現実世界」を拒む環境を作り出しているということです。さらに悪いことに、大学の管理者は、新たなテクノロジーをサポートするクリエイティブな方法を抑制しうる酷い先例を作ってしまいました。

私は、この禁止によって、オハイオ大学におけるコンピュータサイエンス、エンジニアリング、ITへの熱意に、破壊的な影響を及ぼすのではないかと考えています。特に、国内の多くの主要なエンジニアリングスクールは、P2Pトラフィックを管理する革新的な方法を受け入れています。禁止は、大学にとって、入学志望者を減らす結果にすらなるでしょう。誰が、創造性や革新を妨げ酔うとする環境で、自らの最も大切な時間を過ごそうと思うでしょうか。それは、私たち、つまり学生やその両親たちが、高等教育に望むものとは、相容れないものです。

あなたがオハイオ大学の学生であるのなら、あなたは学長の指示に従わなければならないでしょう。 (訳注:禁止の)免除を受け、それを行使したいなら、大学のITサポートデスクに連絡してください。NASA Visible Earthシリーズの衛星写真を期末レポートのためにダウンロードしてください。BitTorrent Entertainment Networkで、たくさんの合法的な映画、テレビ番組、音楽をダウンロードしてください。もしくは、文書をキャンパスwebサーバ上の文書を「torrentする」ことで、学校のサーバコストを抑制してみてください。それは本当に簡単なことです。

P2Pは敵ではありません。 偏狭なポリシーは、イノベーションを阻害します。

要約すると、まずいかにしてP2Pテクノロジーが既存のサーバ・クライアントモデルの制限から開放してくれるか、ということが述べられている。ちょっと誇張が入っているとしても、非常に納得できる内容である。サーバに負荷が集中する既存のモデルの弱点を補うために、BitTorrentをはじめとしたP2Pテクノロジーが有用であると。そして、それはファイル共有に限らず、さまざまな用途での利用が可能である。

そのような用途があるにもかかわらず、安易に禁止してしまうことが、いかにイノベーションを妨げることになるか、いかに損失を生み出すか、その行為が学術機関たる大学に許されるのか、という主張が続く。

非常に納得のいく議論だなぁと思う。たとえ、違法な用途で用いられたからといって、それを一律に規制してしまうことがどれほどイノベーションを阻害するのか、ということは大学に限らず、日本のISPによる無分別なP2P規制にも通じる部分がある。とくに、BitTorrent Entertainment Networkという合法的な商用サービスを開始したBitTorrent Incにとっては、違法ファイル共有に巻き込まれる形で、自らのビジネスを妨害されることにもなる。さすがにそれは認めるわけにはいかないだろう。

と、上記の主張の大半を認めつつも、やはり依然として違法ファイル共有に利用されいる、という状況をどうすべきか、という部分を考えざるを得ない。もちろん、合法的で、有用な用途が存在しているのは理解しているが、かといって大学側としてはこれ以上違法な用途で利用されることは許容できない状況にある。

というのもRIAAによる圧力が日増しに高まっており、そのプレッシャーから逃れるためには、安易な手段であったとしても、遮断に頼らざるを得なくなったという背景もある。であれば、BitTorrent Incに求められるのは、いかにして違法なファイル共有を抑制することができるか、を大学側に提示することだろう。もちろん、それがどれほど難しいかは承知の上であるが、いかにAshwin Navinが正論を言っていようと、現実には大学側には有効なオプションがないわけで。

さらに、一点付け加えるとすれば、確かにP2Pが槍玉に挙げられ、同じように違法な用途が可能なFTPやIMなどが手付かずのままであるのは事実だし、それを不公平だと思うのもわかるけれども、現実はFTPやHTTP、IMなどに比して、P2Pファイル共有による違法ファイル転送の割合が高いのである。たとえ、他のプロトコルなどにも同様の可能性があったとしても、現実的にはその頻度や量が全く異なるのである。

大学は、ISPなどと比べると立場の弱い存在ではあるけれども、それでも学術機関としての責任を全うして欲しいという気持ちは、Ashwin Navin同様にある。ただ、そのために、大学にはどのような選択肢があるのか、それについて議論がなされなければ、大学側としてもこれまでどおりの対応をするしかないのかもしれない。ただ、大学に堪えろ、というだけでは板ばさみ状態ともいえる。

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