スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

パロディ、二次創作、著作権、そしてビジネス

産経新聞が連載している「知はうごく」という知財を扱った連載がある。非常に面白い連載なので楽しみにしながら読んでいるのだけれども、それについて考えたことを書き残そうかなというお話。今回はちょっと古い記事だけれども、パロディと著作権の問題について。備忘録に近い感じです。

原典:Sankei Web
原題:知はうごく:著作権攻防(6)
著者:産経新聞
日付:2007年2月1日
URL:http://www.sankei.co.jp/culture/enterme/ 070201/
ent070201000.htm

 東京でデザイン関連の事業を営むスイス人、オリバー・ライケンシタイン氏は昨年12月、米IT(情報技術)業界の勢力図を東京の地下鉄路線図になぞらえ、批評的に表現したパロディー地図「ウエブ・トレンド・マップ2007」をインターネット上で公開した。

  地下鉄の各路線を「テクノロジー」「コンテンツ」「マーケティング」などITの動向に置き換え、その分野で有力な企業群が路線上に分布するよう描かれている。また、グーグル、ヤフーなどの巨大企業の周囲には、傘下の関連会社が群がるなど、IT業界を知る人がみれば、誰もが感心するようなユニークな構図だ。

(中略)

  だが東京メトロは、アルファベットの「M」をアレンジした同社の商標が無断で、上下逆さまに描かれていることが、著作権法や商標法に抵触する可能性があるとして、削除要請などの対応を検討中だ。

  これに対し、オリバー氏は「要請があれば削除する」と前置きした上で、「私の事業は東京メトロと競合していないし、制作した地図で経済的利益も得ていない」と主張。「このパロディーは国際的な常識に照らして問題ないはずだ。東京メトロにとっても宣伝になるのに…」と、パロディーの文化性や効用を強調する。

 
  (中略) オリバー氏は「インターネットは、リラックスした、ユーモアのある世界。法律を杓子定規に当てはめる考え方は、ネットの現実から乖離している」とも訴える。

  フランスは著作権法でパロディーを容認し、米国にも批評などには作品の無断利用を認める「フェアユース」の条文があるが、日本には模倣やパロディーを許容した明確なルールがない。権利保護と創作がせめぎ合う中で、各国の文化の奥深さが試されているかのようだ。

まぁ、宣伝となるかどうかはあやしいところだけれど、この地図が著作権や商標権の侵害になるのか、ということに対しては、彼の言い分はごもっともだと思うのだけれどもね。もちろん、法的に、ではなく感情的にね。

ただ、この引用部の最後のくだりなのだけれども、模倣やパロディの明確な線引きというのは、どこの国でも難しいと思うけどなぁ。どこからがパロディ、模倣で、どこからが剽窃になるのか。結局はガイドラインがないと、実際に判断するのは難しいよねぇ。

それでも、感覚的に受容しうるかどうかから判断すると、個人的には受容できる類のものだったりもする。というか、なんでまた東京メトロは削除要請を出す出さないのところまでになっているのか、理解しかねる部分もある。これが経済的損失を生み出すものであれば、理解もできるのだけれどねぇ。何が気に喰わないんだろう?

んで、この製作者のコメントも頷ける。

  ネットのルールは、だれにでもわかるコモンセンス(常識)がベースになっていて、実用的です。むしろ文章化された法律の方が、常識からかけ離れていることがあります。

  ネットの世界で成功するためには、賢くなければいけないし、楽しくなければいけません。知的なユーモアが必要だと私は考えています。

ただ、東京メトロ自体はネット関連の企業というわけでもないので、一概に上記の発言どおりにであるべきとも思ってはいないけれど、ただより良いイメージを保つためには、知的なユーモアが必要にはなるだろう。少なくとも、この程度のことに目くじらを立てるのであれば、その辺が欠けている感じもするけれどね。誰がどう見てもパロディのものが与える影響よりも、それをスルーしたり笑って見逃せない姿勢が与える影響のほうが大きいと思うんだけどなぁ。別に何でもかんでもアリにしろっていっているわけじゃなくってね。

そして、次にネット上ではとっても有名なドラえもん最終回の同人誌のお話。

 トラブルで動かなくなったドラえもんを蘇らせようと、猛勉強してロボット工学者になったのび太くん。未来の世界でドラえもんを製作したのは、実は、大人になったのび太くんだった-

  こんなストーリー展開で「ドラえもん 最終話」と銘打った漫画本が平成17年末、ひっそりと発売された。ある漫画家が、ネット上や電子メールで流布されたうわさ話を描き、同人誌として制作したものだ。

  その感動的な結末は、ネットなどを通じたちまち評判になり、数百部でヒットとされる愛好者向け市場では異例の1万5500部が出荷された。

(中略)

  ただ、この作品はドラえもんの版権を持つ小学館の許諾を得ていなかった。既存の漫画のキャラクターを利用して別のストーリーを作った場合、ドラえもんという絵柄を使っているために著作物の利用となり、許諾が必要だ。同社は「悪質な著作権侵害」と判断して昨年、漫画家側に販売中止と回収、ネット公表の中止を要請。損害賠償についても交渉中で、関係者によると刑事告訴も検討されているという。

  小学館は「ネットで評判になり、部数がケタ違いに増えた。厳しく対応せざるをえない」(知的財産管理課)と明かす。

小学館が著作権のうるさいというのは、結構有名な話。この最終回については、「漫画家アシスタントは強迫神経症!」という日記で、ものすごく痛烈な批判を浴びているが、それに関しては賛否両論、原作に対するリスペクトだという意見もあれば、原作を利用した金儲けだという意見もある。判断が分かれるのも至極ご尤もな話で、確かにできは良いのだけれども、これによって利益を得ているという側面もある。

ただ、じゃあこの最終回が利益を得ていないものであれば問題はなかったか、というとそうでもなさそうだ。オラサイトの一件は、結局はイタズラであったといわれているが、それでも小学館がこのようなパロディや二次的な利用にうるさいのはあながち間違いでもないらしい。

個人的には、上記の日記の批判の中には、藤子F不二雄の気持ちを考えろとか、藤子F不二雄が気の毒だとか、いう部分があるが、個人的にはこのような論の展開には無理があると思う。そもそも他人がアーティスト本人の気持ちを代弁したりすること自体、なんだかなぁと。そうやって、著作権ビジネスの利権が拡大してきた部分もあるしね。ライセンスを持っているところが、アーティストのためだと称してこれまで何をしてきたかを考えるとね。

というか、気持ちという部分で語るなら、作者の死後も続く連載やテレビ放送なども許されるべきではないだろう。劣化著しいドラえもんのアニメ放送(声優が変わる以前から)や、なぜかリメイクされるドラえもんの劇場版なんかも、本人の気持ちがわからない以上、(上記の論理でいえば)許されるべきではない。こっちは許さないだろうがこっちは許してくれるよ、なんて勝手な思い込みってのもずるいなぁと思ったりもする。

結局は、気持ちなんか介在する余地は(少なくとも作者が亡くなってからは)そんなにはなくて、どっちかというと権利とかライセンスとかお金とか、そういった部分で廻っていくんだろうと思うわけですよ。さらにいえば、作者が存命であっても、出版社等のビジネス的な兼ね合いから、気持ちを無視されることだってある。

要は気持ちとかなんだとかいっても、実際にモノを動かしているのはもっとひんやりしたものであって、そこからモノを見ないといけないわけ。なぜにひんやりしちゃうかというと、寛容になりすぎるとお金が逃げて行っちゃうかもしれないから。お仕事だからその辺はしょうがないにしても、世の中それだけではつまらない。せっかくインターネットというツールが存在し、そして二次創作文化というものが発展しているのだから、それを利用してもいいんじゃないのかなと。

もちろん、それは諸刃の剣という部分があり、1つ許可することで際限なく抜け道を作ろうとする輩が出てくることだってありうる。上記のドラえもんの件も、金銭的な利益が絡んできたことが、やはり最も大きな問題となっているのだろう。1つの解決策が、より大きな問題を生み出すこともある。著作権者に対して、1つの創作のスタイルとしてパロディを認めるような制度(制度化)に寛容であることが求められるが、一方で、そのパロディとして著作物を利用する二次創作者に対しても、悪意を持った濫用を許さないような制度を作ることも同時に求められなければならない。少なくとも、現時点ではそれほど二次創作に対しては許容的な制度ではないため(もちろん、同人市場を考えると、許容的な企業も多いとは思われるが)、それほど問題は起こりにくいのかもしれない。たとえば、EFFはViacomを訴えたときのようなケースとか。

ということで、知財大国を目指すという建前の日本は、著作者と二次創作者の双方が(経済的な利益に限定されない)利益を得るような枠組みを創りあげていくことが必要になると思われる。ユーザがお金を払うのは、それがユーザにとってホットなものだからに違いない。いかに、ひんやりにしたものがベースにあったとして、その上によりホットなものを創りあげていくことが必要なのである。二次創作者はホットなものを持っている場合が多いわけで、それを利用する枠組みを作るのも知財大国を目指す国としては必要なんじゃないのかしらね。

受容しうる部分と、受容し得ない部分を明確にし、受容し得ないケースに関してはどう対処していくべきか、を考えるべきだろう。とりあえず全部ダメにしちゃいましょうでは、どうしようもない。

Trackback

Trackback URL
http://peer2peer.blog79.fc2.com/tb.php/439-f8e15a47

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール
heatwave Author
:heatwave

RSS Jamendo twitter tumblr Creative Commons Attribution 2.1 Japan
ブログ内検索
記事リスト
最新の記事
全記事一覧
他所で書いてるブログ

P2Pとかその辺のお話@はてな

アーカイブ

カテゴリー
最近のコメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。