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Winnyの合法的利用は机上の空論か?

今回も備忘録です。このブログを読んでいる人のほとんどが知っているであろう。我らが久保田裕(敬称略)の声明を考えてみるよ、というお話。あらかじめ断っておくと、私自身はACCSの活動を否定的には見ていません。というより、著作権侵害を抑制するための活動というのは、著作権者としては当たり前の活動だったりもするわけで(ただし権利強化という名目での権利拡大の片棒を担ぐのはどうかしている)。とはいえ、ACCSの活動自体が、どれほど著作権侵害の抑制に効果を挙げているのかについては、特にファイル共有を考える上では疑問がある。この声明を見る限りでも、Winnyはダメだ!という気持ちは伝わってくるけれど、だからどうした?という気持ちを揺さぶるほどのメッセージは感じられない。机上の空論、なんて言葉はセンセーショナルなのだけれどもね。

原典:ACCS
原題:ファイル交換ソフト「Winny」を使った公衆送信権侵害事件について
著者:久保田 裕
日付:2007/5/18
URL:http://www2.accsjp.or.jp/news/release070518.html

  Winnyの「合法的な利用」に関して、自分で撮った写真や自分が作詞作曲した楽曲などをアップロードする利用があり得ることをもって正当化しようとす る意見がありますが、前出のファイル交換ソフト利用実態調査を通じては、このような利用はごく少数にとどまっているものと考えます。さらに、現状の Winnyネットワークでは、参加するだけでファイルの断片を勝手に中継させられるという機能があることからも、完全な合法利用と言い切るのは無理がある と考えます。

個人的には、この辺の指摘はご尤もな感もある。少なくとも、現状のWinnyネットワーク上に流れるデータのほとんどが、著作権を侵害されたデータであることを考えると、いかに合法的な用途で利用していたとしても、そのデータを完全に除外することは難しいだろう。

ただ、それをもって違法行為であるということも難しいのは、ここで用いられた言葉を見ればわかるだろう。ここでは「完全な合法利用と言い切るのは無理がある」と言及するにとどまっている。Winnyを使うこと自体が違法だ、という印象を受ける人がいるのもわからないではないけれど、久保田裕自身も「違法だとは言えない」のは承知しているはずである。

  また、このような「合法利用」の「目的」の観点からも、現状では、多くの人に自分の作品を知って欲しい場合にはWebページやブログを使う方が合理的な 選択であること、しかも、Winnyネットワーク上でファイルを入手するためにはファイル名によって検索しなければならず、著名性の低いファイルが活発に やりとりされる可能性は皆無に近いことから、現在のWinnyが合法利用にも役立つとの主張は、机上の空論と言わざるを得ないのです。

ただ、この点についてはいささか現状を見誤っている感もある。多くの人に作品を知ってもらうためには、webページやブログを活用することが合理的だとしているが、それは一部の形態に限られるだろう。私の書いているブログのようにテキストデータやちょっとした少数の画像を多くの人と共有したい、という場合には、彼の言うことは間違ってはいない。

しかし、現在はユーザ自身が映像データや音声データを創作し、それを配信することもそれほど珍しくはなくなってきている(一般的とは言いがたいが)。そうしたときに、Webページやブログには限界があることは間違いない。稀有な例ではあるが、もしLasse Gjertsenが自身の映像作品Hyperactiveを自身のWebページやブログで配信しえたか、というと難しいだろう(現時点でのView数は1000万viewを超えている)。

もちろん、上記の例はYouTubeという媒体を利用しているわけだが、少なくとも映像や音声といった容量の大きいファイルを配信する際には、非常に莫大なコストが生じることもありうる、ということだ。配信によって利益を得られるならまだしも、無料で配信されているコンテンツに対して、それを自前で何とかしろ、というのはあまりに商業優位の考え方かもしれない。Web 2.0や「You」の時代だといっても、現在提供されているサービスの中で、という制約が存在する。その制限を超えるために、さまざまなサービスを模索することも、合理的だとは言えないだろうか。

また、この声明の中で、Winnyネットワーク上のファイルを入手するためには検索しなければならない、としているが、WinnyもBitTorrentやeDonkeyと同様に検索をせずとも当該のファイルをダウンロードすることは可能だ。もちろん、検索機能も付いてはいるが、md5ハッシュからダイレクトにそのファイルにたどり着くことができる。 ただ、それでも当該ファイル以外の意図しないダウンロードとそのファイルのアップロードが行われる可能性もあることは付け加えておく。

ということを考えると、少なくとも机上の空論ではなくなる。個人的な考えでは、如何なるサービスであっても完璧なものは存在しない。確かにブログやwebページは考えやテキストベースの情報を情報を伝達するのに非常に適している。しかし、大容量の映像、音声データを無償で配信するのには決して適してはいない。 一方で、Winnyを含め、P2Pファイル共有ネットワークは、自身の考えやテキストベースでの情報の伝達には相対的に向いていないかもしれないが、大容量の映像、音声データの配信には優れている。

であれば、それらは補完的に働くべきではないだろうか。webページやブログにおいてテキストベースでの伝達を行い、その中で映像、音声などの大容量のデータ配信が必要になった際には、それらをP2Pファイル共有ネットワークで取得するために必要なデータを提供し、それを元にP2Pファイル共有ネットワークから入手が可能とする。少なくとも、現状では従来のクライアントサーバモデルにおいて、非商用的な大容量コンテンツの配信が可能だとする方が、机上の空論ではなかろうか。まぁ、この辺の指摘は揚げ足取りになるのかもしれないけれどね。

ただ、現在Winnyが違法ファイル共有を目的として利用されることがほとんどであること、合法的な利用がほとんどなされていないことを考えると、そのような帰結に至ったことも理解できないわけではない。そして、個人的な意見としては、Winny以外のもの、たとえばBitTorrentを利用した方が、久保田裕の言う「完全な合法的利用」を実現するのに向いているとも考えている。そう考えると、「現在のWinnyが」という前置きをおけば、あながち的外れではないとすら思える(もちろん、机上の空論は言いすぎだと思うが)。

  以上の理由から、ACCSは、Winny利用者に対し、Winnyは、そのネットワークに参加した時点で違法な送信行為に「加担」しているということを警告し、Winnyの利用をやめるよう求めます。

と最後に述べられているが、個人的にはいつまでもWinnyを使うな、というだけで済ませることが問題であるとも考えている。結果論として、Winnyの利用が違法ファイル共有と強く結びついていることが明確になってはいるけれど、かといって、その程度の利用実態であれば、そのソフトウェアを使ってもいいのか、利用を控えればいいのか、がよくわからない。もちろん、違法なファイル共有をするな、というのは大前提としてあるのだろうけれども、どの時点から使うべきでないのか、というのがあまりに不透明だと思う。

また、このような状況になっても、Winnyの何が問題であったのか、を周知・議論しようとしないACCSの態度にも疑問を覚える。私がACCSの活動にかけていると思うのは、今後どうすべきか、という指針であると思う。たとえ、猛烈な反発を食らったとしても、ソフトウェア開発に当たって、著作権保護をどう扱うのか、についてもっと議論すべきだろう。それを抜きにして、ただ、結果としてWinnyが悪者になった、というだけではまた次のWinnyが出たときも同じことを繰り返すことになる。

また、ユーザに対しては、お前らのやっていることはWebページやブログで十分だろうというのではなく、大容量のコンテンツを扱うようになる今後を見据えてどうすべきであるのか、どんな選択肢が存在するのかを積極的にアピールしていくべきだろう。

さらに、ここまでWinnyが多くのユーザに利用された経緯を考えると、Winnyやその他P2Pソフトウェアをセンセーショナルに扱った書籍やwebページに対しても、どう対処していくかを考えていかなければならないだろう。ユーザに対してのみ、アピールして言ったとしても、方やそのような活動がある以上、彼らの活動を阻害することにもなる。

こちらに対しても、掲載の結果として著作権侵害が助長されている可能性があることを、どのように考えているのか、ということを公の場で述べるべきだろう。もちろん、一方的に掲載を取りやめろ、という言論の自由を侵害するような行為ではなく、どう掲載すべきであるのか、ということをもっと議論し、提言すべきだろうと思う。それら雑誌やwebページの「このソフトウェアを利用して・・・」云々の免責事項を記載していればいいという態度は、あまりにもご都合主義だろう。

そのような提言がなされないままに、一方的にユーザに対して利用をやめるよう警告する(とは言ってはいないがそういう意図を感じる)だけでは、単にユーザの反発や不信感を招くだけである。可能性のある全ての要因を考慮する必要があると思うのだけれどもね。

まぁ、具体的に書くと、Winny Tips管理人が家宅捜索されたにもかかわらず、ソフトバンクパブリッシングが何一つ影響がなかったことが、当時のユーザの目にどう映ったかということ。確かに一企業を相手に物申せば、いろいろと面倒なことになるのは承知しているが、だからといっていい易い相手にだけモノを言うというのもいかがなものかと。

そういえば、ネットランナーでは100人編集長と呼ばれる人達がいるようで。ガチンコで「ネットランナーの功罪を考える」、なんていう企画でも立ててはくれないかしらね。ネットランナーがやりたくないとか、紙面上で不都合なことを掲載したがらないならネット上でやればよい。全員でやる必要はないし、10人も集まれば大規模な企画になるだろう。ネトランは何でもアリなんでしょ?

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