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MPAA:電子透かし技術を用いた違法アップロードビデオの特定

MPAAが電子透かし技術のテスト結果をメンバースタジオに報告し、その結果は上々であるようだよ、というお話。この技術は、たとえばビデオ共有サイトなどにアップロードされたコンテンツに施された電子透かしとデータベース内に保持されているその情報とを照合することによって、そのアップロードされたコンテンツを著作権侵害だと認識するというもの。もちろん、この技術に問題が無いわけではないだろうし、この技術を運用していくためには、ビデオ共有サイトが協力しなければならない等々の問題は多くあるのだけれど、それでも将来に向けて必要になってくることだろう。また、ライツホルダーの中には、著作権侵害が判明したものを単に削除するだけではなく、広告を付随させたり、または購入を促すメッセージを提示したりといったより利益に結びつく可能性を模索してもいるようだ。

原典:Business Week
原題:Pirate-Proofing Hollywood
著者:Business Week
日付:JUNE 11, 2007(公開は6月5日)
URL:http://www.businessweek.com/magazine/content/07_24/b4038073.htm

現在、Tinseltownは、Johnny Deppの最新作、Pirates of Caribbean; At World's Endの話題で持ちきりである。しかし、それとは別の海賊のサーガは、映画産業により長きに渡って影響を及ぼすかもしれない。5月末までに、米国映画協会(MPAA)は、そのメンバースタジオに、コンピュータ化されたビデオ透かしシステムの結果を報告した。この技術は、海賊版の映画がインターネット上のどこに存在しようとも自動的に(現在のところは人が目視でクリップを確認している)特定できるように設計されている。

電子透かしシステムは、ネット上でのビデオコンテンツをコントロールするための戦いにおいて重要な役割を演じるかもしれない。多くのスタジオやテレビネットワークは、彼らのコンテンツをネット上で利用可能にする必要がある、という考えに合意している。しかし、最近では、彼らのコンテンツに対して対価が支払われているか否かについて緊迫した状況にあり、Viacomは、Google Inc.のビデオサイトYouTubeに対して10億ドルの著作権侵害訴訟を起こすこととなった。 MPAAは、その技術が長きに渡るテストを経て、現在そのプライムタイムが迫っていることをレポートすると見られている。MPAA副社長のDean Garfieldはこう語る。「この技術はうまく働く」と。

しかし、このことはビデオwebサイトがこの技術を導入することを受け入れるかどうかを保証するものではない。確かにwebジャイアンツのMySpace.comやMicrosoft、Yahoo!などがこの技術を導入することを検討しているという。しかし、それ以外-特にYouTube-は、よりその動きが緩やかであると業界筋は語る。その理由の1つには、誰がビデオサーチに金を払うかがはっきりしない、ということがある。このシステムはスタジオによって導入されなければならず、スタジオはフィルムの「透かし」またはマーカーのデータベースを作成しなければならない。そして、同様にビデオサイトにも導入されなければならない。ビデオサイトは、(訳注:そのデータベース上の「透かし」またはマーカーと)ユーザがアップロードするビデオとが一致するかどうかをソフトウェアを介して検出する。

TIPS FOR CLIPS
現実的にビデオ透かし技術を考えるとなると、CSI: Crime Scene Investigationのエピソードのようになる。最近、多くのビデオサイトは、Audible Magic社との提携を果たしている。これは、同社のサウンドトラックを分析することで、著作権侵害された映画やテレビ番組を探し出すための音楽サーチ技術を利用するためである。しかし、それらが中国語やイタリア語に吹きかえられていたら?また、ハッカーには海賊版ビデオを偽る多くの方法がある。スタジオの追っ手を巻くために、彼らはクリップの名前を変えたり、最初の数秒に異なる映像を挿入するかもしれない。多くの古い電子透かし技術は、ほんのちょっと傾けるだけで、ビットの認識が困難になり、(訳注;容易に)回避することができた。

しかし、映写会社は進歩を続ける。設立から2年のカリフォルニア、サンタクララのVobile Inc.は、映画から「Video DNA」と呼ばれるものを抽出し、MPAAのテストにおいて成功している。経営陣たちは、そのDNAがなんであるかは言及していないが、電子透かしの施されたフィルムであれば、ほんの数秒であっても、Video DNAによって検出することが可能であるという。CEOのYangbin Wangはデモンストレーションで、角度をつけてビデオ撮影されたWalt Disney Inc.のThe Jungle Bookの不鮮明なシーンであっても、如何にしてソフトウェアが特定することができるかを示した。

電子透かし技術を用いて、単に著作権侵害された著作物へのアクセスを防ぐ代わりに、映画スタジオはその侵害されたクリップからお金を搾り取りたいとも考えているようだ。彼らは、Lostのようなホットな番組の海賊版のエピソードをダウンロードしようとしている人に、2.99ドルでの購入を求めるのはどうかと提案している。また、視聴者がクライスラーの広告を我慢する限りでは、サイトは彼らに無料で、映画Bullittのカーチェイスシーン*1を無料で見せてくれるかもしれない。広告収入は、サイトと著作権ホルダーであるスタジオと折半される。

Googleは独自のビデオ透かしシステムに取り組んでいるが、その実装のタイムテーブルを発表してはいない。一方、YouTubeでは、いったん特定されたクリップが再投稿されるのを防ぐ制限された技術を持つ。そして、1クリップ10分の制限は、番組全体のアップロードを防ぐものでもある。「私たちは、著作権者が彼らの権利を守るために手助けすることができることなら何にでも、常に取り組んでいます。」とGoogleの弁護士、Glenn Brownは語る。

しかし、スタジオ経営陣や電子透かしシステムの配給元は、検索ジャイアントのその交渉において著しく抵抗を示していると不満を漏らしている。GoogleはAudible Magicとのパートナーシップを結んでいるが、産業関係者は、音楽の透かしを検出するという同社の技術は、現状ではビデオを特定するタスクをうまくこなすことはできないと語っている。

一部の産業広報は、ハードルは技術的な問題ではないかもしれない、と語っている。Googleは、ハリウッドと収益をどの程度分配するかについてきめあぐねているのかもしれない。

*1 1968年公開の映画。スタントなしで行われたカーチェイスが非常に有名な作品。以前、友人に見せてもらったことがあるのだけれど、やけに生生しいカーチェイスだなという印象を持ったのを覚えている。もちろん、いい意味でね。

1つ疑問なのは、このような技術はP2Pファイル共有サイトやソフトウェアにも実装可能なのかなということ。それができれば、非常に効果的に違法ファイル共有を排除することができるかもしれない。もちろん、ここでは、ビデオ共有サイトにおける海賊行為対策のための電子透かし技術であるのだけれども。

個人的には、このような技術の開発が進み、それがそれぞれのサービスに実装されていくことが、望ましいビデオ共有サイトの有り様になってくのだろうな、と思う。もちろん、ビデオ共有サイト側は、そのコストは誰が負担するのか、つまり、自分たちが著作権保護のためにコストを割かなければならないのか、という点で問題提起はするだろう。少なくとも、やるよりはやらないほうが、面倒が無い。その辺の制度的な枠組みを含めた話し合いが進むことになるだろうね。

ただ、これが全く問題が無いかといえばそうではないかもしれない。EFFがViacomを訴えたときのように、引用としてフェアユースの範囲内で利用されたものであっても、このシステムを利用すれば著作権侵害であるとみなされるかもしれない。おそらく、データベースとの照合は機械的なものであるため、それが引用か著作権侵害かの判断はおそらくできないだろう。もし、目視による確認がなされないままに、それを著作権侵害だとして、削除という処理まで自動的に行われるのであれば、EFFが問題視しているような状況が続くことになる。

これを緩和するためには、ユーザがアップロードする際に、引用を含むか含まないか、という確認を行うことが必要になってくるかもしれない。もちろん、違法なアップローダーが引用でもないのに、このチェックを入れることも考えられるので、これだけで判断することはできないと思うけれども。やはり、目視による判断というプロセスが必要になるのかもしれない。それはそれで大変なんだけどね。

ただ、ここまでは発見&削除というプロセスを考えた場合。この記事で非常に面白いのは、もし、Video DNAを利用して、著作権侵害を発見した際に、それを単に削除するというのではなく、そこから利益を得んとする可能性をも考慮に入れていることである。たとえば、その動画を視聴する前に広告を挿入する、もしくはその動画を見ようとしている人にその購入を促す(実際にビデオ共有サイトでは見れるのかな?)、といったものが提案されているようだ。

確かに削除したところで、そのコンテンツを見れなかったその人がペイする方向に向かうかというと、なかなか難しいところである。であれば、そこから少しでも利益を上げる、という可能性を残すことは非常に有意義なことかもしれない。ただ、これが行き過ぎると当該のライツホルダーのコンテンツを何でもかんでもアップロードしても許される、という誤認識によるカオス状態に陥る危険性もある。

また、動画を見ようとしている人に購入を促すメッセージを提示する、という提案は非常に面白いかもしれない。単に見れない、という状況を作り出すだけではなく、それに別のルートを提示することで、全員が購入するとは考えがたいが、ごくわずかでも購入を考え、実際に購入する人が出てくれば、まったくもって意味の無いことではないかもしれない。また、そのようなメッセージの提示によって購入が促された場合に、ビデオ共有サイトに対して「広告料のようなもの」が支払われれば、ビデオ共有サイトにとっても悪い話ではないかもしれない。

ただ、上記のような提案があったからといって、彼らが違法アップロードを認めている、というわけではない。認めてはいないけれども、現実問題として膨大な数の違法アップロードがなされている、という事実を前提にして、より建設的な議論をする、というところだろう。もちろん、その現状を変えなければならないのは必然であるというのは共通認識としてあると思われる。

ちなみに、日本での調査であるけれども、多くのユーザはYouTubeの削除問題について、単に削除するだけではなく、共存共栄をはかるべきだ、と考えていることからも、おおよそユーザにも受け入れられやすいものかと思われる。

技術の問題や、サービスプロバイダが受け入れるかどうかの問題、引用をどうするかの問題、上記の提案が実際に可能かどうかの問題など、多くの問題が前途にあるのは事実だとしても、カオス状態にあるビデオ共有サイトの流れを徐々に現実的なバランスのとれたものにする、という動きがあることは非常にのぞましいことだ。

関連エントリ
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